日々是修行也
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登場する人物・団体・店名等はすべて架空のもので、仮に存在していたとしても単なる偶然です。 また、暴力・犯罪・性的描写も個人の思い込みによる勝手な想像です。

2004年04月08日(木) ** 砂の器とハンセン病

少し前にテレビ放送が終了した「砂の器」(原作:松本清張)

原作と違っていたのは・・・
テレビでは、村八分に遭っていた父親が大勢の村人を惨殺し、息子と二人で逃亡の旅を続けるという設定部分。

原作は、ハンセン(氏)病にかかった父親が息子と二人で流浪の旅に出るというもので、そこには松本清張の社会と行政に対する強烈なメッセージがあった。


<ハンセン病とは>
末梢神経障害により、知覚や運動機能が麻痺したり自立神経障害が起きる。知覚障害により手足に傷や火傷を負ったりしても気づくのが遅れ、症状がひどくなるまで放置され、最終的には四肢切断や拘縮など2次的な障害を起こしたりする。

”誤って燃えさかるストーブに背中からもたれ掛かっても・・・
通常であれば、熱と痛みを瞬時に感知しあわてて”アチチ”と逃げる事ができるが、皮膚の感覚がないと熱も痛みも感じないまま時間が経過、衣服が燃え、皮膚が焼けタダレても何も感じない・・・という事になる。”

体中に結節や湿潤といった皮膚障害が起きることで、ケロイド状の跡が残ったり、結節が目にできると失明したりする。そのような特異な外見が社会の人々の偏見や差別をより強いものにした。

また、ノルウェーのアルマウェル・ハンセン医師が病原菌を発見し感染症であると判明するまで、遺伝する病気だと信じられていた。

しかし、その感染力は弱く、生後間もない赤ん坊や、生まれつき免疫を持たない人が衛生環境と栄養状態の悪いときに感染する可能性がある程度で、仮に感染しても発病までの潜伏期間が数年から十数年におよんだり、発病しないまま一生を終える場合もあった。

現代においてはその治療法が確立されていて容易に完治できる感染症の一つに過ぎない。(細菌感染だから、クラミジアやカンジダと大して変わらないレベルじゃないだろうか・・・ウィルス(ヘルペスや肝炎)感染の方がよっぽど危険だと思う、、、)


しかし日本政府はハンセン病の伝染性を拡大解釈し1909年『在宅患者消毒規定』を公布。
その内容は「らい病撲滅・らい患者の取り締まり」であり、警察官が患者を療養所に強制連行し隔離するだけのもので、”療養所”とは言っても何ら治療はされず、患者同士の看護・介護、作業が義務付けられ犯罪者以下の扱いだった。


「らい予防法」はごく最近、1996年にようやく廃止されたが、全国各地の国立13療養所・私立2療養所には今なお5千人もが収容されたままとなっている。高齢(平均年齢71歳)であることや病の後遺症、社会に今なお残る偏見や差別で療養所外での生活が非常に困難なのが現状である。


ハンセン病の説明があるHP、

http://www.mognet.org/hansen/


そして今なお、社会にはハンセン病への差別や偏見が残っている。

つい最近「アイレディース宮殿黒川温泉ホテル」が起した事件の様に・・・



「砂の器」は確かにいい番組だったと思うが、原作者の強烈なメッセージが幾らか歪められていたのではないだろうか。(村八分という単なる偏見の一つとしてオブラートにつつんでしまった点は残念に思う)


これを書いている途中、パソコンの脇にあるテレビではイラクで起きた人質報道が未明から流れていた。



今日、職場でもこの人質問題で話題が持ちきりだが、、しばらく事実関係の把握が出来るまで日記には書かないでおく。


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