2004年09月20日(月) 「お得意様」の壁 そのに
(前回のあらすじ) 井ノ本さんは最近なじみのカウンターに行ったらなじみの美容部員さんが過労で入院したと知り何も買わずに帰ってしまいました。 どんどん化粧品を買う場所がなくなっていく
脳内顧客という話なのですが。 読んで字のごとくです。 実際の購買履歴はさほどのものではないけれど自分としては顧客だと思ってる人ですね。
前回も書きましたが化粧品カウンターは日々営業に勤しんでいます。 あれこれ手を尽くして来店とお買い上げに繋げようとしています。 しかし実際問題一部の富裕層を除けば化粧品のターゲットである女性の購買力はあまり大きなものではありません。 あと、購買力があってもカウンターの雰囲気(あれこれ手を尽くす雰囲気)になじめない人もいます。 ほんとうは購買力がある人に購買意思をもってもらうのが一番なのでしょうがなかなかこれがうまくいきません。 購買力があっても購買意志がない人に購入を促すのは実はとてもたいへんですから。 ゆえに女性の有限の購買力のなかでいかに自社のシェアを伸ばすかに腐心するという。
実際カウンターで接客されながらほかのひとを見るでもなく見ていると、 多くの人は1品買いで在店時間も短いです。 (わたしは道楽者なので引き止められるし営業されるし買うし、です) 効率を考えればわたしみたいな道楽者をカモるのが効率的でよいのだろうなと思います。 1品でも10品でも接客は接客ですし。 しかし現実を見るとそうではない、と。 コスメフェアのときとかカード払いするとコスメの購入のみポイント多くつけますよとかいう営業もあるし、 なんつうか、やっぱ買いたいひとにちょっとでも買わせることが大事なんじゃないかな。 たとえ1品であっても。 原価率考えれば1品客でも儲けにはなるわけだから、1品くらいいいじゃん、買ってみなよ、と思わせるほうが営業としてはやりやすいのでしょうね。
で、この「さらにもう1品」営業のえさになるのが顧客制度なのではないかなと。 顧客になると限定品を優先予約できたりイベント時に優先的に予約させてくれたりします。 (まあもれなく魅惑の営業攻撃がついてきますが) ここで購買力が若干あり、そういう「ワンランク上」とかいうステイタス感に弱い人を釣るわけですね。 (個人的には顧客扱いされるのは道楽者の烙印のようでこっぱずかしいですが) その顧客扱いの壁がたいていのカウンターでだいたい10万円@年間くらいだと。 で、一旦壁を作っておいて、新色の時期やなんかに「ダブルポイント期間」とか作っちゃうんですね。 「通常よりも早く顧客になれますよ」みたいな。 そーいうのに乗っかってようやく顧客ラインに乗ったような人が脳内顧客なのかなあ、と思います。 なんというか、あれ、恥ずかしいんだよなあ。 カウンターで浮くんですよ、そういう人って不思議と。 わざわざ顧客カードを見えるように出してみせたり。 なんでかっていうとあれだ、 実質的に自分から頼んで顧客扱いをしてもらっている状態だからです。
何度も言いますがわたしは化粧品好きの化粧品道楽なのでたくさん化粧品を買います(所得の問題ではなく、支出に占める割合が高い)。 カウンターで1、2を争う購入額になったりもしています(さすがにそんな暴れっぷりは最近してないけど)。 そういうところまでくると、嫌な言い方をしますが、扱いが完全に違います。 具体的にどうというのより、雰囲気で分かる。 具体的行動ではないぶん、あからさまです。 それが当然のこととして行われる。 別にこっちは頼んでいないのに。 それこそ、顧客カードなどここ何年も財布にすら入れてないのに、そこにいる人がみんなわかってるわけで。 (それはそれで羞恥プレイですが)
ここですね、違いは。 客側から頼んでいくか、店側から頼まれるかの違い。 アメックスのプラチナは(インビがいるとはいえ)自分で申し込む上に年会費がいるけど某百貨店の某お帳場カードはお店側から入ってくださいと頭を下げられる上に永久年会費無料なのと似てると思います。 裏を返せばなんで年会費無料なのか、っていう話でね… あーこわいこわい。
井ノ本的は別にどっちがいいとは思いませんが、どんな店であってもほんとの特別って言うのは明文化されていないところにあるんだよー、それこそが「お得意様」の壁なんだよー、と生温い気分で今日も化粧品カウンターを練り歩いています。 |
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