藤村は「静かにきたる秋風の/西の海より吹き起こり/…」(「若菜集」)と歌っているいるけれど東からの強い台風がさわやかな季節を運んでくれた。台風で大被害を受けた沖縄の人にはお見舞い申し上げるが暑気の抜けた日差しがやわらかくなってホッとする。もうひとつ名詩の一節。「際涯もしれず遠くなった紺青の空の遙かな高みに、/秋は/郷愁の歌のやうに流れてゐる」(「尾崎喜八詩集」)。