読書日記

2002年02月10日(日) 小林信彦「オヨヨ島の冒険」(角川文庫)につい目を向けてしまった

小林信彦「オヨヨ島の冒険」(角川文庫)につい目を向けてしまった。大沢ルミという小学生の女の子が語り手になっている軽妙な物語。
「あたしって、すごく、不幸な星の下に生まれたんじゃんないかと思う。だいたい、うちのパパは・・・」という独白で始まり、おたふく風邪の話、小学校での友達との悪戯の話、家での笑い茸事件、猫のダイナのことなど軽快にいろいろなエピソードの紹介から本筋の話が具体的になっていく。
小林信彦氏の本は去年・一昨年と「文春」連載のエッセイが単行本化されたが、今年はまだのようだ。氏の本はほとんど一度は読んでいるのでエッセイ集の発行が待ち遠しく感じられる。
考えてみると、未読の本はもう「オヨヨ」シリーズしかない。
少しずつ読んで次の本が出るまでつながねばならない。

昨日はああ書いたが今日液晶ディスプレイを入手。午後、また電器店に出かけ、決めてしまった。I・O DATAnoLCD−AD17CES 購入である。
15インチのモニター使っていたので4インチほど前よりも画面が広く、鮮やかに感じられる。



2002年02月09日(土) 吉川良太郎「ボーイソプラノ」(徳間書店)に手を出す。

吉川良太郎「ボーイソプラノ」(徳間書店)に手を出す。開巻のプロローグは路地裏を疾走する猫が語り手である。この猫の前世は人間らしく、それらしいことをしゃべり続けていると、不気味な牧師とその牧師を捕らえに来たギャングの手先との緊迫する場面に遭遇することになる。
未来のフランスにはびこる一種のマフィアの事件を描けばそれだけでもSFになるが、単なるギャング抗争劇ではSFとしての意味がない。
結末の趣向が楽しみな作品である。
最近とみに目の調子が悪いのでパソコンのモニターを液晶デイスプレィに替えようかと郊外の大型電器店に出かけた。しかし、どれがいいのかもわからず、またふんぎりもつかずただちょっと見て帰ってきた。
コーチャンフォーに寄って、新潮文庫新刊の北村薫「謎のギャラリー」を買おうと思ったが、妙に目の焦点が合わないせいか、読書欲が減退、結局こちらも買わずに店を出てしまった。



2002年02月08日(金) ジョー・R・ランズデール「ボトムズ」(早川書房)を今日中に完読する予定は崩れた。

ジョー・R・ランズデール「ボトムズ」(早川書房)を今日中に完読する予定は崩れた。100ページ近くで時間切れ。発見した死体が黒人の売春婦だったことから主人公の前にどろどろに絡み合った大人の世界が垣間見えてくる。殺人犯人が誰かという謎は一応物語の中核を占めるが、登場人物たちの生活や人間像なども丹念に描かれ、読みごたえ十分である。
創元推理文庫の「狂犬の夏」の方も少し目を通してみた。
マキャモンの「ミステリー・ウォーク」や「少年時代」にあった超自然的な要素はありそうでなさそうな感じである。



2002年02月07日(木) 後藤正治「スカウト」(講談社文庫)の解説はすばらしい。

後藤正治「スカウト」(講談社文庫)の解説はすばらしい。柳原和子の解説ー後藤正治讃は十七ページに及ぶ長文で堂々たるまさしく「解説」である。「スカウト」のそれというよりは題名の通り著者への愛情に満ちたエッセイ風解説としても優れている。これを読み著者へのイメ−ジは一変した。ボクシングのノンフィクションが得意な作家から奥の深い、個を大切にし、一人の人間を描き出すことに傾注する秀でた作家へと変貌をとげてしまった。
俄然読みたい作家の一人になったのだった。すぐに「遠いリング」も買ってきた。
思えば「編集者の学校」に登場していた。この中でインタビューに答えてこんなことを語っている。
「僕はギリギリのところで生きている人に惹かれます。」(225ページ)
卒然として注目の作家の一人になった。
しかし、すぐには読み出せない。ランズデールの「ボトムズ」(早川書房)を読み始めて65ページ。こちらも手が放せないもしくは目が離せない状況にさしかかりつつある。スティーヴン・キングの「スタンド・バイ・ミー」風世界が始まりそうな兆しがあるのだ。


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