| 2002年02月02日(土) |
池波正太郎「忍者丹波大介」(角川文庫)を34ページまで。 |
池波正太郎「忍者丹波大介」(角川文庫)を34ページまで。豊臣秀吉の没後、まだ天下の帰趨が決していない時期に島左近が独断で家康に暗殺者を差し向ける。その島左近の側近が実は家康の間者で、くの一を使って家康に急報させる。ところが、途中で丹波大介たち甲賀忍者に捕らわれて・・・。 最初から一筋縄でいかぬ展開で裏の裏、そのまた裏まで考えながら読まないと堪能できない、損をする時代小説である。 人物の方もその個性をしっかりと書き分けられている。冒頭の島左近とその側近の柴山半蔵もほんの数ページで人間の雰囲気が伝わってきた。 池波正太郎といえば、あれとあれとあれというくらい代表作が定まっているきらいがあるが、単独作品でこんな傑作がまだまだありますよ、というところか。 司馬遼太郎でいうと「梟の城」にあたるかもしれない。
昨夜、また「木更津キャッツ・アイ」(TBS)を観てしまった。贅沢な時代、国である。「ヤクザ球団」という映画は実在するのだろうか。(大笑い)
| 2002年02月01日(金) |
「ミステリマガジン」拾い読み。 |
「ミステリマガジン」拾い読み。まったく本を読めないので巻末の特集「私のベスト3 2001」を食事をしながら眺める。物凄く直接的かつ情熱的な文章を見つけ、そうなのかと思った。 文化人類学者青木保氏の文章である。237ページ上段にこうあった。 「日本ミステリイも大盛況を呈してきましたが、私にとっては五條暎氏の作品を知ったのが一大収穫でした。この才能、すごいと思います。もっともっと読みたいと次作を首を長くして待っています。」 これほどのことを書かれる作家の作品は当然読みたくなってくる。どんな作品なのだろう。
| 2002年01月31日(木) |
都築道夫の連載エッセイはいの一番に読む。 |
「ミステリマガジン」三月号の目玉は2001年翻訳ミステリ回顧とアンケートによる「私のベスト3」さらに2001年のベストミステリ短編3編。都築道夫の連載エッセイはいの一番に読む。 「SFマガジン」三月号の方は、新刊「ダイヤモンド・エイジ」のニール・スティーヴンスン特集。 新潮社の「波」2月号では、乃南アサの新連載「二十四時間」第一回が巻頭掲載。 「ちくま」二月号は、保昌正夫と種村季弘の対談「物語作家としての牧野信一」が目につく。 講談社の「本」二月号は、佐高信の「泣くより怒れ」が目立つ。 今日は楽しみにしていた雑誌が届いた。 おいしい飲茶をひとかみひとかみするようにじっくり味わいたい。 他に、後藤正治「スカウト」(講談社文庫)と青井夏海「スタジアム虹の事件簿」(創元推理文庫)を購入。買う時には意識しなかった。二冊とも「野球」の本だった。
| 2002年01月30日(水) |
吉田司「誰も書かないから、僕が書くしかない」 |
吉田司「誰も書かないから、僕が書くしかない」と鈴木英治「飢狼の剣」のつづき。 前者は「編集者の学校」の第30講である。わずか6ページほどの文章の中に胸をうつものが詰まっている。「差別と対決するには、涙の悲劇だけでは決定的に足りない。どす黒いファルス、つまり最高の喜劇を書く以外、他に手だてはないのではないでしょうか。」(329ページ)という結びの言葉まで見事な日本批評になっている。 どんな立場になっても自分の権利を守るためには戦い・行動が不可欠であることも改めて指摘されたような気がする。 吉田司という作家は人に勇気を与える文章を書く、あるいは述べる。 この「編集者の学校」は一人一人の割り当てが少ない。だから小説で言うところのショート・ショートを読むように退屈せずにどんどん読破することができる。短い中に核心をついた文章や言葉が誠実に込められ、実に面白い一種のエッセイ集になっている。 「飢狼の剣」は50ページまで進んだ。三人称の文章の中に主人公の独白や心情が融け込む形の文章が自然で読みやすい。
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