読書日記

2002年01月10日(木) 神沢利子「銀のほのおの国」(福武文庫)も新たに

神沢利子「銀のほのおの国」(福武文庫)も新たにもう一度発見されるべき作品である。もともと1972年に福音館書店が出版した壮大なスケールの神話的ファンタジーで佐藤暁が開いた道の頂点に立つ傑作。それにしても福武文庫に入った1991年からでも11年も過ぎている。読んだことのない人はもちろん過去に読んだ人も読む価値のある日本を代表するファンタジーである。



2002年01月09日(水) 佐野眞一「宮本常一が見た日本」(NHK出版)のプロローグ4ページを読んだ。「だれも知らない小さな国」。佐藤暁

佐野眞一「宮本常一が見た日本」(NHK出版)のプロローグ4ページを読んだ。この著者はまずプロローグやあとがきがすごくうまい。的確な表現と的確なまとめですっと舞台の幕を開いて導いてくれる。今回の「宮本常一が見た日本」のプロローグもすばらしい。是非とも読んでみたい、宮本常一のことを知りたい、そんな気をいざなう。先に読んだ「渋沢家三代」は教科書的なまとめで読みづらい面があった。この最新の著作ではもっとなまなましく臨場感のある表現を期待している。
日本のファンタジーの傑作といえばまず「だれも知らない小さな国」。佐藤暁が1959年に自費出版した、後にコロボックル・シリーズとしてアニメにもなった名作である。それから43年も過ぎている。今、「ハリー・ポッター」のおかげである意味ファンタジー・ブームにあるわけだから、このチャーミングかつぴりりと辛い物語も読まれてもいいのではないだろうか。
「二十年近い前のことだから、もうむかしといってもいいかもしれない。ぼくはまだ小学校の三年生だった。」
 これが冒頭の文章である。宮崎駿のトトロが出てきてもよさそうな時代の日本の話なのである。魔法は一切出て来ない。この作品の出現が魔法そのものだ、と言ったのは誰だったか。
 今は、新刊ばかりが読まれる時代(であるような気がするし、自分もそうだ)。かつての新刊や一見消えて失われてしまった本を探し出して読むこともなんぼかの割合で必要なのではあるまいか、と考える今日この頃。(終り)



2002年01月08日(火) 「ミステリマガジン」「SFマガジン」の最新号がやっと届いた。

「ミステリマガジン」「SFマガジン」の最新号がやっと届いた。年末にゆっくりとページを味わうように繰るのが楽しみの一つなのに、「今ごろ」などと愚痴りながら拾い読みした。奇しくも「ミステリマガジン」の日本人作家インタビューは今注目している芦辺拓であった。「SFマガジン」の方はなんと定価が2300円。創刊550号記念特大号である。1600円ぐらいに抑えてほしいものである。こんなに高価な雑誌を購入する人が本当にいるのだっろうか(採算とれるほど)。
「時の密室」は10ページほど読み進み、中断。
今週は厳しい。



2002年01月07日(月) 芦辺拓「時の密室」をほぼ半分。他に芦辺拓「殺人喜劇の13人」グランジェ「クリムゾン・リバー」を少し。

芦辺拓「時の密室」(立風書房)をほぼ半分。同じく芦辺拓「殺人喜劇の13人」(講談社文庫)を20ページほど。ジャン=クリストフ・グランジェ「クリムゾン・リバー」(創元推理文庫)を40ページほど。阿刀田高・編「ショート・ショートの広場11」(講談社文庫)からいくつか拾い読み。
読書傾向が「このミステリーがすごい!」の影響を知らないうちに受けているようだ。
芦辺拓の作品はさまざまな企みが巧みに満たされていて非常に興味深い。読む前から気になる作家ではあった。予想とは相当違っていて発見が多い。 


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