| 2001年10月03日(水) |
二日間、何の反動か、ブックオフ巡りで衝動買い |
二日間、何の反動か、ブックオフ巡りで衝動買いするばかりで、本はほとんど読まなかった。 佐伯泰英という小説家のおかげで他の時代小説と江戸時代に興味が湧く。まず現在部屋にある時代小説を集めてみた。段ボールの箱、ちょうど一箱分あった。読んでいないのがほとんど。新たに買ったり、借りたりしなくても、真面目に読んで1年半くらいは間に合いそうだ。江戸時代関連の本は少ない。次の通り、と挙げられる程度。 中公文庫の日本の歴史「16 元禄時代」(児玉幸多)「18 幕藩制の苦悶」(北島正元)「『鬼平』の江戸」(今川徳三)、ちくま文庫の「江戸へようこそ」(杉浦日向子)「江戸の想像力」(田中優子)、毎日新聞社のミューブックス「江戸学者おもしろ史話」(杉田幸三)の六冊。 それにしても佐伯泰英の作品群は十七世紀から十九世紀、さらに二十世紀までも視野に入れた時代活劇の名を借りた日本の歴史の一面を形成してゆくおもむきである。活劇場面の描写は当然のこととしても他のさまざまな描写にも手抜きがないので、どの作品も厚みのある世界になっている。 最近はこの佐伯泰英意外の書き手による時代小説が結構出回っているが、これほど優れた作品が他にもあるのだろうか。あるとしたら今が時代小説の絶頂期と言うことになるのかもしれない。 その他、昨日今日で買った本の記録、その一。 佐伯泰英「政次、奔る」(ハルキ文庫)、朝松健「魔障」(ハルキ文庫)、コリン・デクスター「後悔の日」(早川書房)、アガサ・クリスティ「謎のクイン氏」(早川文庫)など。
| 2001年10月02日(火) |
佐伯泰英「密命(弦月三十二人斬り)」「密命(残月無想斬り)」「刺客(密命・残月剣)」「火頭(密命・紅蓮剣」どれも傑作。 |
佐伯泰英「密命(弦月三十二人斬り)」「密命(残月無想斬り)」「刺客(密命・残月剣)」「火頭(密命・紅蓮剣」どれも傑作。 「密命(弦月三十二人斬り)」(祥伝社文庫1999.9)「密命(残月無想斬り)」(祥伝社文庫2000.3)「刺客(密命・残月剣)」(祥伝社文庫2001.1)「火頭(密命・紅蓮剣)」(祥伝社文庫2001.8)の四冊、一気に読了す。ほとんど列車と飛行機の中で読んだ。主人公、登場人物たちはレギュラー化しているが、1冊ごとに趣向が違うので飽きずに読むことができた。もちろん、シリーズものの安定した楽しみも味わえる。 始まりは1709年、惣三郎は35歳だった。5作目の「火頭」は1719年、惣三郎も45歳になる。無敵の惣三郎も当時は老年の侍である。剣の冴えが鈍っても当然のはずが、大事件の続発がそれを許さない。その点で少し、ほんのすこし「剣客商売」ともにているか。 四冊目の「刺客」を読んで、これで当分は惣三郎とはお別れだと寂しかった。佐伯泰英の本はどの書店でも見当たらなかった。長崎駅の「メトロ書店」にもなかった。 もっと大きな本屋ならあるさと京都の四条河原の「シュンク」に行ってみた。さすがだった。ケイブンシャ文庫の新刊として新しいシリーズらしい「逃亡(吉原裏同心)」があった。知らなかった。巻末に作者、佐伯泰英の時代小説作品歴があった。見ると今年の8月付けで第5作「火頭」が出ているのに気が付く。さらに予定として影二郎と総兵衛の新作が年内に出るらしい。 そういうわけで「火頭」を探して購入した次第。 また、寺町の小電気街の古本屋で「異風者(いひゅもん)」を発見。250円で即購入。 それにしても恐るべき筆力である。すべて書き下ろしで作品の質が落ちない。未読のシリーズにも十分期待できる。 このところ佐伯泰英の時代活劇ばかり読んでいる。 他の作者の時代劇にもやや興味が沸いてきた。佐伯泰英が終わったら誰の何を読んだら良いだろう。我が家にある時代小説を引っ張り出してとにかく読んでみようか。 ほぼ1週間ぶりの日記書き。時間が足りず、ここまで。
| 2001年09月25日(火) |
佐伯泰英「密命(見参!寒月霞斬り)」から「密命」第2弾へ |
佐伯泰英「密命(見参!寒月霞斬り)」から「密命」第2弾へ 「密命(見参!寒月霞斬り)」(祥伝社文庫1999.1)を読了。 七話からなる連作短編形式の長編で、全体を貫く大きな事件があり、それとは別に身近の市井の出来事と関わる中で主人公金杉惣三郎の人脈が形成され、やがてその大本の事件に結びついていく風の物語である。藤沢周平風と言えなくもない印象もある。はじめはなかなか大きな陰謀につながっていかない、ゆったりとした進行にややじれったくなるが、この物語の世界は結構大きいことに気がつく。後半はなんと船対船のガチンコ対決なのだ。あのホーンブロワーもかくやという器量の話になるのである。 全447ページ。もちろん、随所に剣戟の場面もあり、泣かせる場面もありで、作者の多彩さ、器量の大きさ、懐の深さを実感した。これもまた傑作であった。 そして、これも書き下ろしなのだ。 こうなると次の「密命(弦月三十二人斬り)」に行くしかなかった。 で、今、二五六ページのところである。諸般の事情から中断してこれを書いているのだが、もう本に戻りたい。前作からいつのまにか七年ほどたっているのだが、あの「伊賀の影丸」を思わせる冒頭の忍者襲来場面から目が離せない疾走感で話は進んでいく。 活劇と謀略がうまいぐあいに結びつき前作とまた一味違う傑作である。泣かせる場面は前作よりも多い。活劇も前作よりも迫力がある。 早く読みたい。 明日から一週間ほど旅に出るのでその間更新できない。 「夜のフロスト」は125ページで止まっている。これも読みたいのに。 というわけで、「弦月三十二人斬り」の方へ行く。
| 2001年09月24日(月) |
切通理作「宮崎駿の<世界>」期待以上の面白さ。スカパーに「風」が遂に登場! |
切通理作「宮崎駿の<世界>」期待以上の面白さ。スカパーに「風」が遂に登場! 切通理作「宮崎駿の<世界>」(ちくま新書2001.8)は、予想を越えて有意義で贅沢な読書時間を生み出してくれた。宮崎駿やその作品についての本は、その都度といった感じでよく見かけるし、読むことも多い。対象が良いためかどれも結構楽しめるし、考えさせてくれる。それらの本の最高峰に位置するのがこの本である。 もう隅々まで行き届いていて宮崎駿百科全書という趣で文句なし。全334ページ、1ページもおろそかな部分はない。批評の部分も解説の部分も引用の部分も描写の部分も的確かつ入魂の文章が見事に快適である。 この著者の本は初めて読んだ。読んでみたら快感だった。 佐伯泰英の「密命」第1弾、348ページまで読む。残りは100ページほど。 半藤一利・編の「夏目漱石 青春の旅」(文春文庫ビジュアル版)を拾い読み。愚かにも夏目影二郎と関わりがないかと。あるわけないのに。当然熟読とはいかず。何が読む動機につながるかわからないものだ。 栗塚旭がテレビに再登場した。もちろん、風の新十郎である。スカイパーフェクトテレビのホームドラマチャンネルに30何年振りかのテレビ放映となる時代活劇シリーズ「風」の話である。監督、松田定次。脚本、鈴木生朗。共演は、土田早苗、小林昭二、志村喬。今ずっと佐伯泰英の時代小説を読んでいるせいか、興味深い。 印象的だったのは、栗塚旭の鋭い眼光とかっこよさ、女忍者かがり役の土田早苗のひたむきな演技。30何年振りかの再見だったが、白黒作品にもかかわらず空間的な拡がりや殺陣のよさは十分感じることができた。面白かった。 次は同じ栗塚旭の「用心棒」シリーズが見たい。また、あの佐々木功が主演した特撮時代劇(たしか「伝奇武芸帳」とか「忍法武芸帳」というような題名で日曜日の夜7時から放映していたはず。)も見てみたいが。 「風」の最終回では「風」パート2を期待させるような予告が出ていたような気がする。暫くの間、それが楽しみでならなくて、それが楽しみで暮らしていた時期が暫く続いた気がするのだが。曖昧な記憶の一つである。
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