| 2001年09月22日(土) |
「破牢狩り」から「密命」へ。佐伯泰英の本を探す。 |
「破牢狩り」から「密命」へ。佐伯泰英の本を探す。 佐伯泰英「破牢狩り(夏目影二郎始末旅)」(光文社2001.5)読み終える。版元がなぜか日本文芸社から光文社に変わっている。解説がつき、縄田一男が的確な文章を書いている。 「八州狩り」は、25ページ。「代官狩り」は、12ページ。夏目影二郎が闘う場面の登場は早い。第3作の「破牢狩り」でも、28ページである。2回目の殺陣はどうか。「八州狩り」は38ページで「代官狩り」も30ページとやはり早いが、「破牢狩り」は86ページと遅くなっている。構成が複雑になり、登場人物も多彩になったためだろうか。前2作よりも冒険小説に近づいているので、読みどころが多い。多少ゆったりとした筋の運びになり作品としての完成度が高い。敵味方双方に忘れがたい人物も多く、良い。 次回作は何狩りだろうか。「城狩り」だろうか。「幕府狩り」?「忍者狩り」?官僚の立場を利用して私利私欲に走る者というと、何が残っているだろう。楽しみである。 夏目と言えば、夏目漱石。夏目雅子。夏目漱石につながるわけはないか。 それにしても、総兵衛の次が、この影二郎で、そして惣三郎と続く。まるで佐伯家の兄弟の物語を順番に読んでいるような気もしてくる。 というわけで、すぐに「密命」シリーズを読み始める。このシリーズは現在まで四作品が出ていてよく読まれているようだが、あまり見かけない。それでも3と4は近所ですぐに発見した。2は遠くの本屋でかろうじて。1がどうしても見つからない。比較的大きなところにもなかった。もっと大規模な書店でないとダメかなと思い始めていたのだが、たまたま入った新古書店で創元推理文庫の天藤真を6冊ほど見つけて集中力が高まった結果、祥伝社文庫をまとめてある囲いの中から「密命」第1作をも発見した。70円だった。 というわけで、「破牢狩り」からすぐに「密命(見参!寒月霞斬り)」(祥伝社文庫)にとりかかった。主人公の人物の魅力は健在で、しろも出てきてまたまた期待できる布陣である。90ページまで読んだ。 昨日までにそういうわけで何冊か購入したが、とりあえず今日購入した本は次の通り。切通理作「宮崎駿の<世界>」(ちくま新書2001.8) 宮崎駿の創出した物語を徹底的かつ網羅的に批評しているようなので思い切って購入。 隆慶一郎にはまって以来の時代活劇三昧または佐伯泰英三昧はしばらく続く。
| 2001年09月19日(水) |
「代官狩り」から「破牢狩り」へ。佐伯泰英は時代小説の神様だ。 |
「代官狩り」から「破牢狩り」へ。佐伯泰英は時代小説の神様だ。 佐伯泰英「代官狩り(夏目影二郎危難旅)」(日文文庫2000.9)読み終わる。野暮用を忘れて読みふけった。暗殺集団「七坊主」や私利私欲にはしる代官たちとの数々の激闘の果てに大きな陰謀をたたきつぶす主人公夏目影二郎の物語は格好よく面白い。 長編時代小説をこんなに連続して読んだのは本当に久しぶりで20年くらい前の「剣客商売」シリーズ以来ではないか。あるいは白石一郎の「SFアドヴェチャー」に連載された未完の伝奇時代小説シリーズを文庫本で読んだ時(およそ11年前)以来か。と言う先から半村良の「妖星伝」や隆慶一郎、宮本昌孝などもそうだなと思い出されるが。 すでによく読まれている評判の時代作家なのだろうが、まったく知識がないまま、たまたま題名と設定にひかれて購入し読んでみたら抜群の手練だったので、驚きは尽きない。総兵衛シリーズ以上に面白く魅力的な主人公、立ち回り、副主人公たち、そして犬のあか。良い所ばかりの時代活劇である。
クラーク・バクスターの「過ぎ去りし日々の光」(早川文庫、訳=冬川亘)を62ページまで読んだ。おもしろくないわけではないが、佐伯泰英と比べると展開が遅く感じられ、ややもどかしい感じがする。
| 2001年09月18日(火) |
「八州狩り」を読み終え、「代官狩り」へ。 |
「八州狩り」を読み終え、「代官狩り」へ。 佐伯泰英「八州狩り(夏目影二郎赦免旅)」(日文文庫2000.4)読み終わる。全六話からなる連作短編形式の長編で、六人の八州廻りとからむ。同時に、国定忠治が関わる大きな陰謀の存在も徐々に明らかになり、ついには影二郎も巻き込まれる。 チャンバラの場面がよいだけでなく、そこに至る経過も軽快で格好よく、すばらしい。小さかった犬のあかも成犬になる。影二郎の愛犬らしい存在感を増してゆくのも好ましい。 集団の総帥たる総兵衛と違い、影二郎は一人である。そのためか颯爽としていて爽快である。二重丸である。 勢いに乗って次作の「代官狩り(夏目影二郎危難旅)」に移った。これも勘定奉行の父に依頼された任務を遂行する物語である。ここにも国定忠治が登場して関わっていく。185ページまで一気に読み進んだ。 立派な成犬になったあかももちろん影二郎のそばにあり、時には影二郎を守って活躍する。ますます面白くなった第2作である。 佐伯泰英という作家は書き下ろしのみなのだろうか。どれもこれもそうである。しかも質は高い。総兵衛の物語ではやや息苦しい印象も受けたが、影二郎では余裕綽々の感がある。作者自身も楽しんでいる様子がうかがえる。(逆もあり得るが)
| 2001年09月16日(日) |
佐伯泰英「八州狩り」柄刀一「殺意は砂糖の右側に」などなど。 |
佐伯泰英「八州狩り」柄刀一「殺意は砂糖の右側に」などなど。 読書の焦点をしぼれず本屋の棚を物色する。読んではいないが「3000年の密室」という変わったミステリーのことは聞いていた。その作者の奇妙な題名が目に飛び込んできた。まず「殺意は砂糖の右側に」で横には痛快本格ミステリーとあり、さらに「天才・龍之介がゆく!」とまるで漫画のようなサブ・タイトル(?)。次のは「アリア系銀河鉄道」で「三月宇佐見のお茶の会」とある。つい買ってしまった。 「殺意は砂糖の右側に」の最初の短編「エデンは月の裏側に」を読む。語り手の光章と探偵役の天地龍之介の掛け合い漫才のようなずれた会話が楽しく読み終わったが、「痛快」とまではいかなくて残念。続きはそのうちに。 佐伯泰英の別のシリーズ、夏目影二郎ものの1作目「八州狩り」をつい読み始め、一気に73ページまで進んでしまった。旅の途中が拾った子犬を「あか」と名付けて連れて歩くのは好感度を高くした。国定忠治が登場するが、影二郎とはすれ違い同然でまだかたすかし。影二郎はとにかく強い。総兵衛とは違う強さである。それにしても人格的にもできている人間で自棄を起こして道をはずれたとは考えにくい。あの木枯らし紋次郎を率直な人柄にしたような人物である。総兵衛と比べても好感度高し。 このところ2日に1回になっている。野暮用の多さと読書欲の減退、そして掟破りで漫画もつい読んでいるのがその原因である。漫画を読むと活字を見る意欲が減っていく。何か落ち着かない気分になるのである。 今回、つい読んでしまった漫画は「最終兵器彼女」5冊。6冊目に続くのだが、読後妙に落ち着かない。SFなんだろうが奇妙な初恋物語でもある。とにかく変な話である。
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