| 2001年08月31日(金) |
佐伯泰英「古着屋総兵衛影始末 死闘!」読み終わる。 |
佐伯泰英「古着屋総兵衛影始末 死闘!」読み終わる。 佐伯泰英「古着屋総兵衛影始末 死闘!」(徳間文庫2000.7)読了。最後の第6章はタイトル通りの「死闘」で、敵方集団を誘い出しての帰趨を決する派手な剣戟場面が読みどころ。普通ならそれで終わりだが、この後さらに二つほどハードな殺陣が続く。もちろん、総兵衛はどちらにも勝利する。しかし、全体としては総兵衛の勝ちとはならず、窮地のまま終幕となる。 敵方との確執は次の巻に続く。「鬼平犯科帳」のように読み切りハッピーエンドでない。いまのところ、四冊出ている(未確認)わけだが、漢詩でいう起承転結になぞらえるならば大長編の第一部が終わり、これから大きなうねりを生じながら四冊目に向かっていくのではないか。徳川家護持のためにといういわばアイデンティティの問題と向かい合いながら総兵衛とその一派はとんでもない方向に向かって生きていく事を選ばざるを得なくなるような気がする。 二冊目の「古着屋総兵衛影始末 異心!」を118ページまで読む。「影」からの指令に疑念を持つ総兵衛に向かって敵方の包囲網が徐々に厳しくなっていく。 今日もこれだけ。読みながら「鬼平犯科帳」との類似点を考えていた。
昨夜、教育テレビで眉村卓を見た。話題の「日課一日三枚以上」が取り上げられていた。
| 2001年08月30日(木) |
発見!佐伯泰英「古着屋総兵衛影始末 死闘!」は「鬼平犯科帳」を継ぐ。 |
発見!佐伯泰英「古着屋総兵衛影始末 死闘!」は「鬼平犯科帳」を継ぐ。 「元和二年、死の床にあった大御所家康は秘密裏に・・・」「裏では徳川家を護持する影旗本としての任務を果たすよう命じ、・・・」「渾身の書下し」 時代劇は題名で決まる、とは限らないが、少なくとも題名から入っていく。魅力的かつ刺激的な題名は時代劇にこそ似合う。その点で「古着屋総兵衛影始末 死闘!」は及第点。次に裏の売り出し文が重要である。その点でも上のような設定は合格で、ダマサレタツモリデ読んでみる気になった。 家康は、隆慶一郎の傑作を想起した。作者本人の名前は「本の雑誌」などで記憶にあり、(本当に「本の雑誌」で見たかどうかは自信はないが)今まで読んだことはないが、いわば未知の強豪というイメージがあった。 場所が古本屋だったことも財布を開きやすくした。シリーズ四冊揃っていたが、手堅く一冊だけにしたが。 そして、一気に275ページまで読んでしまった。文句なくはまってしまった。六代目の総兵衛一族に突然仕掛けてきた謎の対抗勢力。両者の死闘が静かに深く激しく厳しく繰り広げられる。主人公の総兵衛の存在感はもちろんのこと、配下たちも個性的で池波正太郎の「鬼平」や「雲霧」を思い出した。 宮城賢秀に新しい「鬼平」ものがあるが、「総兵衛」の方が近いように感じた。 魅力的な時代劇シリーズが誕生していた。別の古本屋にも四冊揃っていたので知らないのは私一人なのかもしれないが、宮本昌孝と同様注目の作家である。 というわけで今日はこの本ばかり。続編を求めてまた以下のような買い物をした。 「古着屋総兵衛影始末2 異心!」(佐伯泰英)「夜はわが友」(ホック)「戦中派天才老人・山田風太郎」(関川夏央)「ロボットの夜」(井上雅彦・監修)「冬の教室」(大塚英志)「ハイウェイ惑星」(石原藤夫)「憑融」(青木和)「天国の悪戯」(喜国雅彦)「ジャーナリズム性悪説」(バルザック)「警視の休暇」(クロンビー)「告解の日 上・下」(フォルサム)
| 2001年08月29日(水) |
早川書房の「ミステリマガジン」と「SFマガジン」はエッセイの宝庫か。 |
早川書房の「ミステリマガジン」と「SFマガジン」はエッセイの宝庫か。 「ミステリマガジン」と「SFマガジン」の10月号が届いた。両誌とも作家特集を組、前者は未発表中短編三作の発掘が売りのロス・マクドナルド特集で、後者は<知性化>シリーズの新作宣伝をかねてのデイヴイッド・ブリン特集である。いつものように書評を中心に拾い読みした。 両誌ともに連載エッセイやコラムが多いが、「ミステリマガジン」の方に軍配が上がる。「SFマガジン」にはSFという枠組があるせいだろうか。「ミステリマガジン」のテーマの幅広さと自由度の高さにはかなわないようだ。 今日段階の個人的エッセイ・コラム大賞は、小熊文彦氏の「彼らもまた忘れられた」 第31回「ワーロック」である。読みの深さ、的確さと手堅い文章。他の誰かが書いたことのない独特の視点の紹介。相当の勉強と工夫が背景にあるにちがいない。一冊の本にまとまったら映画についての稀有な一冊になることはまちがいない。 「ミステリマガジン」は本当に書き手が多い。通常の書評以外の連載評論・エッセイが八本、コラムも同じく八本。どれもが充実した文章、内容である。 「SFマガジン」も負けていない。 両誌合わせて1000号を既に越え、1094号。その歴史の重みが感じられる。もうすぐ、合わせて1111号の月がやってくる。 「ちくま」「本」の9月号も届いたが、ひらひらとめくって今日は終わり。
久しぶりに購入した本は以下の通り。読み終える当てはあまりない。 「双頭の鷲 上・下」(佐藤賢一)「母娘練習曲」(中井じゅん)「過ぎ去りし日々の光 上・下」(クラーク、バクスター)「ハノイ挽歌」(辺見庸)「タクラマカン」(スターリング)「黄金時代」(椎名誠)「兵士を見よ」(杉山隆男)
| 2001年08月28日(火) |
「夜のフロスト」「クリスタニア1」を読み始めた。 |
「夜のフロスト」「クリスタニア1」を読み始めた。 R・D・ウィングフィールドのフロスト・シリーズ第3弾に遂に着手。今回の相棒は部長刑事になったばかりのフランク・ギルモア24歳、妻有り。過去の2人の相方よりもしっかりしているばかりか、フロストと共通点がある。もちろん例の下品なギャグは飛ばさないし、思いつきもしない真面目派だが、仕事中毒気味で直観で犯人を推理する。妻がいてその妻が早い帰りを期待しているのを承知の上で時間を忘れて任務に励むタイプである。時間を気にしながらいやいやフロストに付いて行った過去の相棒達とは一線を画す。 100ページを過ぎたところで中断。しかし、面白さは◎ 水野良の作品は電撃文庫の1冊。8年程前の「冒険ファンタジー」シリーズ第1作。漫画のようなとか、アニメのようなとかと漫画もアニメも嫌いではないにもかかわらず軽く見ていたが、設定はSFに近い。どういう謎解きが待っているのか楽しみである。といっても既によく読まれ評判もよさそうな気もするので、いまさら誰にも薦められないが。 フイリップ・ホセ・ファーマーに通じるような一応破天荒な設定の世界での冒険SF。今のところ、まだ46ペ−ジだが、やや○ まとまった読書時間がとれないので、こんな感じの日記になってしまう。これも実力。
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