読書日記

2001年08月07日(火) 8/4(土)から8/7(火)までまとめて。「フロスト日和」読む。

 8/4(土)
 老化現象のせいで「クリスマスのフロスト」を以前に読んだことをいまだに思い出せないでいる。あれほど面白い本の記憶がないのはどう考えても変だ。極度の激しい老化現象に違いない。
 などと思いつつ、旅に出た。
 旅のお供は当然「フロスト日和」。分厚いのでやや迷った。この買ってから四年もほったらかしにしていた本が今一番読みたい本に大変身。迷いは瞬時に雲散霧消、雲霧仁左衛門、鬼平犯科帳。
 汽車、バス、船、と乗り継ぎながらこの日読めたのは百ページ少々。一番長い時間乗ったバスでは車酔いしそうになって読書中止の憂き目にあった。
 
8/5(日)
 旅館でも60ペ−ジ程度しか読めず。朝六時半朝食で八時半出発なので無理。昨晩はテレビで馬鹿な映画「メジャーリーグ3」をつい見て楽しんでしまったのが失敗。帰宅後、二百ページ程読んだ。七百七ページは長い。目茶苦茶愉快な警察物だが、途中若干本を投げ出したい思いに駆られた。

 8/6(月)
「フロスト日和」完読。フロスト警部が何を言い出すのか。どう行動するのか。相棒のウエブスターはフロストの真価に気づくのか。
 事件の解決の仕方にも興味はあるが、面白いのはフロスト警部そのものである。
「クリスマス」よりも笑ったりしみじみとする回数が多く完全にはまってしまった。第三作「夜のフロスト」が翻訳出版されたばかりで、すぐにも読みたいところだが、すぐに読んでしまうのはもったいない気がする。
 文字通り徹底して型破りな警部(臭い、汚い、口汚い)が主人公だが、一種の奇想小説である。さまざまな事件が次々に錯綜して起きる。普通だったら仮病でも使って逃げ出すところをフロスト警部は3Kジョークをとばし嫌がられながら最終的には解決していく。普通の警察官だったらノイローゼと胃痛を併発するのではないか。
 遅ればせながらやっと読んだフロスト物は世評通りの愉快作だった。
 
 8/7(火)
 今日はまだ何も読めず。ミステリマガジンをまたぱらぱらめくった程度。 



2001年08月03日(金) ウイングフィールド「クリスマスのフロスト」を読んでしまった。

「クリスマスのフロスト」(創元推理文庫)を読み通す。
 夜中に民間人の家に不法侵入し撃たれて瀕死の状態の姿で主人公らしき警部フロストはまず登場する。この時彼は撃たれているので何もしゃべることができない。ここからそもそもの始まりである四日前の日曜日に話は戻る。八歳の女の子トレーシーが日曜学校から帰宅せず、そのまま行方不明になるという事件が起こるのだ。思ったことはとにかく口にする、しゃべり動くフロスト警部が登場するのは六十七ページからである。その後のしゃべることといったら並大抵ではない。そのフロストがトレーシー捜索の責任者が急病で入院したあとを継いで総責任者となってからは話は急展開。なにしろ責任者自身がその四日間に起きる事件・出来事すべてに直接関わっていくのだから巻を置くあたわず、である。 前に読んだはずと、どこかで思い出すだろうと読み始めて結局最後まで、特に六十七ページ以降はぐいぐい引きずられて、読み終えてしまった。初めて読んだような感じである。どう考えても一度よんでいるはずなのに。
 千九百九十四年九月初版でこれは千九百九十七年十二月十七版である。よく読まれている傑作。シリーズ第二作は「フロスト日和」大いに期待できる。
 今日はほかに講談社文庫のミステリー傑作選20「死者たちは眠らない」の一番目の「初代団十郎暗殺事件」(南原幹雄)を読んだ。元禄十七年の殺人事件を百五十年後に八代目の団十郎が推理する話である。今はその時代からさらにだいたい百五十年後である。時代小説がその時点での現代小説に見事になっている。
 「始祖鳥記」も少し。気になる砂絵師の卯之助の過去が語られる。
 明日と明後日は旅行のため日記を書けそうにもないので月曜日にまとめることにする。



2001年08月02日(木) 雑誌を読む。ブックオフに行く。

 雑誌を読む。ブックオフに出かける。
 早川書房の「ミステリマガジン九月号」が届いたので拾い読み。最近は拾い読み専門家である。
 村上貴志の日本人作家インタヴューは西澤保彦。最近は読まなくなったが好きな作家だ。冒頭すぐに紹介される、二人の教授から異なった小説作法を習った話をもっと聞きたかった。
 NWA賞最優秀長編賞全解題で読んだ覚えのあるの11作。そのうち2つはデイック・フランシスの競馬シリーズ。昨日ちょっと読んだ「フロスト」で思い出したが、名前が思い出せなかったマリックの「ギデオンと放火魔」を発見してこれこれと思う。
 コラムをはしごする。児玉清、北上次郎、田口俊樹。また、連載中の都築道夫の「読ホリデイ」小熊文彦の「彼らもまた忘れられた」などを読み、ブック・レビューに進む。
 次に「SFマガジン」九月号を開いた。漫画や映画のページを先にめくってしまう。西島大介の「空飛ぶリス」横山えいじの「おまかせ!レスキュー」などを見る。ミステリマガジンと比べると短時間で編集後記まで到達する。
 次に「ちくま」八月号たむらしげるの「モービー・デイック航海記」は面白い。澤口俊之の「ちょっとあぶない脳」も意表をついて楽しい読み物だ。
 「波」八月号車谷長吉の連載「意地っ張り文学誌」が最終回。
 「図書」八月号は目次を見ただけで今日は終わり。
 それにしても読みたい本はあるのにそれを読まないで違う本に行ったり、新たに本を買ったりもったいないことを随分している。 
 結局近所のブックオフに出かけて、次のような買い物をしてしまう。
 有栖川有栖「海のある奈良に死す」(角川文庫)
 安野光雅「読書画録」(講談社文庫)
 プロンジーニ・マルツバーグ編「1ダースの未来」(講談社文庫)
 椎名誠「中国の鳥人」(新潮文庫)
 辻仁成「パッサジオ」(文春文庫)
 佐藤賢一「赤目(ジャックリーの乱」(マガジンハウス)
 すぐに読み始める本はないが、つい買ってしまう。
 今日は本棚の整理もしたのでなおさら読めなかった。 



2001年08月01日(水) 山田風太郎の短編ミステリーを繙く。

 山田風太郎の「鬼さんこちら」「目撃者」「跫音」を読む。
 光文社の山田風太郎ミステリー傑作選3「夜よりほかに聴くものなし」全13遍のうち最初の三作である。事あるごとに奥さんではないかと身元不明の死体の検分を求めに現れる稲垣刑事に音をあげる小早川武史。可憐な花売り娘の嘘で絶望に突き落とされるタクシー運転手、関口長五郎。逆上して殺人を犯し、勝手に破滅してゆく渋川十作。
 いずれも笑えない皮肉な結末を迎えるが、骨太のブラックコメデイである。名前、仕事、家族などを持ち自分の人生を生きる男たちがあがくほどに地獄に落ちて行く皮肉な話である。今から45年ほど前で、作者が三十代半ばころの作品。まったく古びていないことに驚く。
 ほかに「始祖鳥記」少し進む。邪気のない兄弟。「クリスマスのフロスト」も少し。23才の若い刑事が赴任して来るあたりまで読んだ。
 最近の個人的ニュース。あの「神異伝」が文庫化され、今度は完結するという。ノベルス版の時は、5冊目で完結すると作者が宣言したにもかかわらず、5冊目は出ず、未完のまま。今回は完結編を出してほしい。どんな話かはもう憶えていないのだが。


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