留学先での独り言

2008年05月15日(木) 生検というもの

今日はアパラチアン州立大学の先生がやってきて、
biopsy(バイオプシー、生検)のやり方を教えてくれま
した。うちの先生の一人が筋ジストロフィーの研究をし
ていて、彼もそれをやって実際の人間の筋肉のサンプルを
採りたかったから。普段動物を対象にした実験しかしたこと
のない自分にとって、人間から筋肉のサンプルをとるという
のはある意味刺激的で、勿論見学に行きました。

被験者には仰向けに寝てもらい、患部の毛をそった後、
アルコールで消毒。Vastus lateralisという脚の筋肉
の位置を確認後、まずは皮下に麻酔。ツベルクリンの
注射みたいに針を入れた後、皮を上に少し引っ張る感
じで針を上向きにし、麻酔を注入します。麻酔が入った
所は小さな水ぶくれみたいになります。これで皮膚の
感覚がなくなったのを確認した後、今度は深部へ注射
を打ちます。さっきは斜めに注射器を入れたけど、今度
は直角に近い角度で注射器をいれ(しかも針全部)、
奥から少しずつ手前に向かって麻酔を入れます。聞いて
いると痛そうだけど痛みはなく、被験者は話せるし、
笑ってその様子を見ている人もいます。そうそうこの時
にベータダインで患部となる部分を何度も消毒します。

これが終わると今度はメスでサンプルを取る所を切り
ます。だいたい2〜3センチぐらいですかね、傷は。こ
の時血がそれなりに出るのでガーゼでその度に圧迫し
ます。で最後に生検針を入れて筋肉のサンプルを取り
ます。見た目結構深く入れますが(3〜4センチぐらい?)
患者は何かが当たっている、といった感覚ぐらいで
全く痛みはありません。でその採ったサンプルをアルミ
ホイルに包んで液体窒素に入れて冷凍し保存するわけです。
患部はSteri-stripという、アスレティックトレーナー
にはおなじみのバンドエイドみたいので閉じておしまい。
長く書いたけど、実際は15分から20分ぐらいの行程です。

結局4,5人のサンプルを採ったかな、今日は。自分の上司
もとってもらって、何故か明日ぼくが彼の筋肉を薄く切っ
て染色して、彼の筋肉の状態の一部を報告します。

脂肪ばっかりだったして。



2008年05月14日(水) 妙なことで励まされ

春学期が終わった、と書いたけど、自分の中では実は
まだ終わってません。というのはまだ来週火曜日提出
のテイクホームの試験が残ってるからです。従って
残念ながら今も家に帰ってはその課題に取り組む毎日
です。今晩も例に漏れず。

今回の課題はウイルスです。「ウイルス」と普通に
グーグルすると、最近はコンピュータウイルスが最初
に出てきてしまうんだけど、自分がやっているのはも
ちろん人間や動物、植物に巣をくうウイルスのことで
す。

皆さんも恐らくご存知の通り、ウイルスは自分でたん
ぱく質を作る構造を持ってません。寄生してそのホス
トにDNAやらRNAを注入してたんぱく質を作らせて、さ
んざん働かせたあげく、そのホストを破壊しては他に
乗り移っていく悪い奴です。こういう人、社会でもい
ますけど。

それでもその機能を吟味すると、よく出来てるなぁと
感心してしまいます。ウイルスや癌細胞が免疫機構を
欺いて生き残る様はまさに「生きる=生物」というこ
とを実感させてくれます。

自分も小さな失敗でくよくよしてる場合じゃない、と
ウイルスに励ましてもらっている感じがしてきて、妙
な気分になります。でもがんばろ。


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