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2016年04月07日(木)
一辺10センチほどの正方形をした「ピンコロ石」が 扇状に敷き詰められた通路は常に濡れている。 小型運搬車「ターレ」がギリギリですれ違い、あちこちから威勢のいい声が響く。 裸電球がつややかに照らし出すマグロの赤身や銀色に輝く魚の腹。 昭和10年に日本橋から移った東京ドームの5倍近い広さを持つ築地市場の 水産仲卸棟には1600店がひしめいていた。 移動や規模の拡大縮小を繰り返し、現在は約630店舗が軒を連ねる。 1日平均3350トンの魚や野菜などが入荷し、毎日およそ21億円が取引され、 首都圏の食生活をまかなう生鮮食料品などの流通の一大拠点でもあり 日本最大の市場でもある築地場内市場(正式名称…東京都中央卸売市場) この築地場内市場にある店は今秋11月の移転を機に約100店前後が 豊洲に行かずに店を閉める予定だという。 早くも11月を待たずに年度末でもあった3月末をもって廃業した店も多かった。 その中には、うちが仕入れに行っていた店もあった。 その店は明治の時代から仲買を続けていたが、新市場である豊洲には 最初から移転は考えていなかったという。 築地と共に長い歴史を終える。潔い最期だった。
東京都が考えている豊洲移転へのシナリオだが、 築地場内の全ての店は11月2日で営業を終え、11月3日から6日までの4日間で 豊洲市場へ引っ越し作業。そして7日より豊洲新市場の開市となる。 このタイトなスケジュールが相当もめている。 まず4日間で500店舗以上の店が一斉に移動できるのか? ほとんどの店が持っている冷凍冷蔵庫などの運搬や豊洲への搬入に無理はないのか? 現在、築地場内だけでもターレが1500台以上もあるが、その移動や駐車場所は? 中央区に築地から江東区にある豊洲に変わるので電話番号も変更になる。 今まで使っていた伝票などもすべて一新しなければならない。 引っ越しがうまくいってもすぐに年末の超繁忙期を迎える。 慣れない新しい場所で年末の超繁忙期を乗り切れるのか? なにより引っ越しにかかる費用はほとんどが自己負担で 店の規模にもよるが1店舗あたり平均で約200万円もかかるらしい。 東京都が勝手に豊洲移転を決めたのに引っ越し費用は自己負担。 これらを考えると豊洲移転を諦め、廃業する店が多いのも理解できる。
今、築地場内では移転時期の変更を求めた署名活動が行われている。 年末繁忙期を慣れている築地で行った後、来年の1月に豊洲移転を 東京都に申し出ようとしているが東京都の変更はない模様。 なんせ築地場内市場のすぐ手前まで新しい道路が完成していて 場内市場が引っ越しをしたと同時に、そこに道路を通す予定だし 東京オリンピックに向けても場内跡地整備は急ぎたいのだろう。
今、築地場内市場を歩くと、ところどころ虫食い状態。 すでに年度末で止めてしまった店の跡は発泡スチロールが積まれ 近くにある他の店舗の荷物置場のようになっている。 4月いっぱいで止めてしまう店もあるだろう。 今秋に向け、どんどん場内の虫食い状態は増えていくんだろうな。 昔から通い慣れた築地築地場内市場がどんどん寂れていくのは悲しい限りだ。
ちなみに築地場外に関しては移転はないが、今の場外はただの観光地。 まったく魅力を感じない。 以前なら朝9時までに仕入れをしないと観光客でいっぱいになってしまったが 今は朝8時前でも観光バスから大勢の観光客が吐き出されてくる。 正直、めちゃくちゃ邪魔。 なので大量に仕入れをする時は朝7時台までに済ませないといけない。 まぁ、場内市場が移転してしまうので残される場外は観光地として 生き残りに必死なんだろうな。 でも場内が移転してしまったら、場外だってどうなってしまうのか…。
11月、予定通り豊洲へ移転したら仕入れはどうしようかね? 場外で買える物は良いとして、場内でしか扱っていない生鮮物は 豊洲まで仕入れに行かなくてはならないのかな? 今はネットで何でも買える時代なんだけど、やっぱり昔から築地で じかに目で見て買っていた古いタイプの人間なので ネットで生鮮物を買うのには大きな抵抗があるんだよな。 あと7ヶ月ほどあるので、それまでいろいろ考えよう。
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