|
2010年03月02日(火)
バンクーバー五輪も終わってスポーツニュースや新聞を見ても物足りない感じだ。 ところで感動に水を差すような話かもしれないが、 オリンピックというと昨年話題になった「事業仕分け」を思い出してしまう。 事業仕分けでオリンピックなどの選手強化費が削減されるという件。 さらに「五輪は参加することに意義があるのではないか」 「ボブスレーなどマイナーな冬季競技を支援する必要があるのか」など、 仕分け人からスポーツ行政への理解に欠ける発言まであったことを。
オリンピックは参加することに意義があるというのは確かだと思う。 だけど、それは頑張った結果、どんな成績でも参加することが大事という意味だろう。 決して、闘争心も無く、負けてもいいから参加するというような意味ではないはず。 事業仕分けに於いて仕分け人から発言された 「参加することに意義があるのでは?」は どう考えても、勝たなくても良いという意味に聞こえてしまう。 話題にもなったスーパーコンピューターの 「世界で2位じゃダメなんですか?」発言からも分かる通り、 世界と争う必要などない。と言いたいのだろう。
まぁ、選手の強化費用に無駄があるのなら見直さなければいけないことも確かだ。 金をかけても常識をわきまえず、服もまともに着れない選手がいれば 叩かれるのも分かるし…。 だが、本当に必要ならば費用を削減する必要はないはずだ。 特にウインタースポーツは費用が掛かる。 十分な練習をするためには莫大な費用が掛かってしまう競技も多くある。 競技によっては年間何千万円も掛かり、自己負担額も相当になるそうだ。 そうなってくると金持ちや、運良くスポンサーなどが付いて 金が手に入った人しか選手になれなくなってしまう。 それでは才能のある人材が世に出ないまま埋もれてしまう可能性がある。 仕分け人達は、それならそれでも良いってことなのか? 別にスポーツで世界1位になっても自分たちには何のメリットもないし、 こう思っているのなら大きな問題だろう。 しかし「マイナーな競技を支援する必要があるか?」という発言、 本当にこれは酷い発言である。 マイナーな競技では放送をしても視聴率も取れないかもしれない。 だが、マイナーでも強ければ注目度は上がるはずだ。 モーグルだって長野で里谷選手が金メダルを獲って注目度が一気に上がった。 ノルディック複合だってリレハンメルで荻原健司が活躍して 団体で金メダルを獲ったが、それまで競技自体を知らなかった人だって多いはずだ。 最近では北京オリンピックで太田選手がフェンシングで銀メダルを獲ってから NHKなどでフェンシングの国際大会がテレビ中継されるようになった。 なので最初からマイナー競技だからで決め付けるのはどうかと思う。 現に競技としては存在しているのだし、それに向けて鍛えている選手達にも失礼だ。
今回、女子ボブスレー2人乗りに出場した桧野・浅津組のソリ、 着物を着た女性や桜や富士山などを描いた真っ赤なソリは 海外のメディアからも美しいと一番注目されたソリだが、 実はこのソリは桧野選手個人の私物なのだ。 日本ボブスレー・リュージュ連盟所有のソリは古くて世界で戦うためには 十分な力が発揮できないので、桧野選手が自ら頭を下げてスポンサーを探し、 資金を集めてドイツから中古のソリを個人で購入し、 今回のオリンピックに持ち込んだというではないか。 それでもソリの進化は早いため、中古のソリでは最新のソリに比べると 戦闘力はかなり劣るため、目立った成績を挙げることができなかった。 ソリの開発など日本の技術力があれば他国のソリになんか負けるはずがない。 しかし、国からの資金援助がないため、 いつも中古のソリで戦わなければならないのだ。
ふと思ったのは、スポーツって何?スポーツ選手って何?ということ。 運動は身体のために必要としても、スポーツを放送したり 観戦させたりする必要性はあるのか? あくまでもスポーツは経済のため?広告塔や賭博のため?見世物か? えげつない言葉のようだが、事業仕分けで予算をカットしようとしている人たちは 上記のような程度のことしか考えていないと思ってしまう。 確かに経済効果はあるとしても、それ以上に得られるのは 感動や向上心ではないかと個人的には思う。 どんなスポーツでも頑張っている姿は感動的だ。 それを見て自分も頑張ろうと思う。 それを見て明日からも精一杯、生きようと思う人だっているはず。
今回のオリンピックも入賞した選手は人一倍の練習を積み重ねて得たはず。 競技に勝つための努力を惜しまなかったはず。 その姿は人の活力になるのではないだろうか。 その為なら、国が支援してあげても良いと思うのだが。 我々の税金がバカな政治家の給料や利権絡みのことに使われるより、 国を背負って戦う選手育成のために使われるなら反対されないだろう。 それなのに国民の代表である政治家が「勝たなくたっていいじゃん」と いうようなことを言っているのが残念だ。 金もないのに子供手当てだの何だのと、ばらまきマニフェストを実行するため スポーツや科学の分野が犠牲になるのは絶対に許せない。 日本なんて資源のない小さな島国なんだから、世界と対等に渡り合えるのは スポーツや科学の分野しかないんだから、その芽を摘み取るのは愚の骨頂である。 どうしても予算が足りないなら、何も役に立たない政治家の給料をカットしろよ。
だが、今回のバンクーバー五輪の結果を見て、予算を増やせば 成績が良くなるのではないか、などという安直な考えはしてほしくもないけど。 それでも予算をカットすることが正しいかどうかを 真実の目を持って検討してもらいたいものだ。
|
|
|