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2008年07月29日(火)
この前の土曜日、ジミーと観に行った 「スターシップトゥルーパーズ3」(ST3)の感想。 実は自分は映画の中でもSF物が好きである。 特に宇宙間での戦争物が好きなので、「スターウォーズ」や「ID4」なんかは テレビで放映されるたびに観てしまったりする。 しかし、戦争物としては、いまひとつリアリティに欠ける映画が多いが、 約10年前に公開された「スターシップトゥルーパーズ」は 戦争の最前線の悲惨さを、かなりリアルに映像にした作品である。 「ロボコップ」の監督でもあるポール・バーホーベン監督は 約10年前に1作目を作った際「本当の戦争のリアルさを追求した」と言っていた。 しかし、リアルに人間同士の争いを映像にすることは、あまりにも問題があるので あえて宇宙を舞台にした人間と巨大な虫の形をした 宇宙生命体集団(バグズ)の戦争を描いた。 そして、この映画は同じ地球に住みながら、争いの耐えない現在の人間たちや 戦争を肯定する軍国主義を大いに皮肉った映画でもあった。
1作目を観た時、メインキャラは次々と死ぬは、身体はバラバラ、鮮血は飛びまくり、 無駄に裸が出てくるは、笑っちゃうくらい軍国主義を皮肉ったCMが流れ、 気持ち悪いくらいの群れをなして襲ってくるバグズの悪趣味さ等々、 いかにもポール・バーホーベン節満載で、その内容のあまりのぶっ飛びぶりに驚き、 衝撃を受け、何も考えず大いに楽しめた映画だった。
しかし、監督が変わった2作目で思いっきり失速。 シリーズ物の続編はつまらないとは言うものの、稀に見る駄作で呆れてしまった。 なので、よもや3作目が製作されるとは思ってもいなかった。
今回の3作目は1作目の監督ポール・バーホーベンが製作総指揮に戻り、 1作目の主役が再登場。 1作目では学校を出で地球連邦軍に入隊し、そこで挫折しながらも鍛えられ、 どんどん戦場で成果を出して出世していく様が描かれていたが、 3作目は「英雄」として大佐に昇進していた。 また今回の目玉はパワードスーツ「マローダー」。 実はこのパワードスーツは、この「スターシップトゥルーパーズ」の 原作にもなっている『宇宙の戦士』という小説に初めて出てきたものであり、 その後「特装機兵ドルバック」「機甲創世記モスピーダ」 「超時空騎団サザンクロス」など、そして今も多くの日本アニメに影響を与え、 その功績は計り知れないものがある。それほど凄いものなのだ。 そういえば「エイリアン2」でもリプリーがパワードスーツのような 作業用ロボットを操縦してエイリアンと戦ったっけ。
とても楽しみにしていた「スターシップトゥルーパーズ3」だが なんと都内では銀座、新宿、池袋の3館のみの上映…。 それも銀座と新宿は汚い映画館で有名なシネパトス系だし、 池袋もロサ会館でしか上映していない。 キレイなシネコンでの上映となると一番近くてラゾーナ川崎のみ。 と言うわけで初めてラゾーナ川崎で鑑賞となった。 しかし、ここでまた残念なことが。 ラゾーナ川崎では1日2回の上映しかない(・ω・;) それも一番小さなスクリーン(-o-;) なんて悲しい扱いを受けている映画なんだろう。 とりあえず最初の回と言っても18時5分からの上映に入場したが、 場内はあっという間に埋まって、ほとんど空席はなかった。
映画の内容だが、前半はバグズの防衛基地襲撃が始まってからは、 緊迫感とスピード感があり迫力満点。 新たな「爆弾(カミカゼ)バグ」「スコーピオン・バグ」なども登場し、 鮮血飛びまくるは、首チョンパの連続でグロシーンも満載。 そういえばR15指定の映画だっけ。 しかし、人類は相変わらず弱すぎ。武器が全く効いていない。 1作目から10年も経っているのに、歩兵の武器は進歩がしていない。 そして気になったのはバグズのCGが劣化しているような…(-ω-)ノ 群れの数もちょっと少ないのではないかな。 1作目、2作目に登場していた地上から宇宙艦隊を攻撃するプラズマ・バグも未登場。 プラズマ砲は宇宙空間に飛んでいたし、実際に宇宙戦艦に命中もしたが、 発射シーンはなかった。あの攻撃シーンが観たかったのでちょっと残念。
中盤からは少しダラダラとした展開が続く。 この手の映画に有りがちな広大な砂漠の中を延々と歩くシーン。 早くマローダー出してくれ〜と思いつつ、ついにラストで7体も登場。 気持ち悪いくらいの群れで襲ってくるバグズに対して どんな活躍を見せてくれるのかとワクワクしながら スクリーンを観ていたら……約3分で終了ヾ(・ω・o) ォィォィ 圧倒的に強くてアッと言う間に群れを全滅。 待たせるだけ待たせておいて3分で終了って…(´Д`) マローダー、強いけど、あまりにも強すぎて、たいして活躍しなかった…。 これじゃ「エイリアン2」のパワーローダーや、「マトリックス」の APU(パワードスーツ)の方がよほど活躍していたし迫力あったな。 でも、今回はマローダーの紹介で次作4作目に続く予感も。
前作同様、内容も全く「ない」と言ってもいいかもヾ(^-^;) 悪い意味で「ない」のではなく、深く何も考えずに 純粋に楽しめる映画であるということ。 だけど、ブッシュ政権や、現代の悩めるアメリカ、軍国主義や宗教を風刺し、 ブラックユーモアたっぷりに描いているものの、 いささかそれが少しイキ過ぎな感も。 それが原因で、風刺や皮肉がアメリカ賛美、宗教(キリスト教)賛美、 軍国主義賛美に見えてしまいかねないし、笑えなくなっている部分もあった。 特に後半のバグズに洗脳された司令官や宗教バカ女の 「信仰が」「神が」というセリフが至るところに出てきて、 無宗教の自分には鼻についたかも。 ラスト、窮地に陥った宇宙戦艦の女艦長、救出に来たマローダーの光が 宗教バカ女の頭上で天使の輪に見えたため、宗教に目覚めてしまうところなんかは、 ちょっとやりすぎな感じで失笑モノである。 こういった「ブラックユーモア」というのは、それを発する人の話術や、 作り手の手腕により、ユーモアと成り得て笑えるか、 不快となるか紙一重なんだよね。 だけど2作目のつまらなさに比べれば全然良い映画に仕上がっていたけど。
まぁ、1作目にあった戦時ニュースや軍隊勧誘のCMなどの雰囲気は、 1作目を思い出させてくれ嬉しかったし、 「戦争プロパガンダを皮肉ったSF戦争映画」というスタイルも踏襲しつつ、 本作では宗教の存在をも皮肉の対象として、ちゃんと映画としての ストーリーを成立させていたのは確かだ。
調べたら日本円で制作費20億円以上。けっこうお金かけてるように思うけど、 アメリカのSF映画としては低予算であり、やはりB級感は拭えない。 だけど1作目を観たことのある人なら、観終わった後、 純粋に「面白かった」と言える映画である。 でも1作目を知らない人には間違っても勧められないけど…。
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