読書日記

2004年12月22日(水) ジェフリー・ディーヴァー『魔術師』

シリーズ5作目にして最終回。
今回の終わり方はいわば胸を張ってこのシリーズを続けていく、明快な宣言ともとれる。
逆にシリーズのこのあとは自由な読者の想像に任せるともとれる。
あまりにも自信がみなぎっているので返って疑いを招いたのでは。
それにしてもこの五作目は大傑作。
北村監督の『ゴジラ・ファイナル・ウォーズ』を軽く超えた極上の面白さ。



2004年12月16日(木) 季刊・本とコンピュータなど

今日は次の4冊に目を通した。本や読書について語る文章はいつもエンタテインメント。これを再確認した。特に『本とコンピュータ』は熱燗、いや圧巻。アッカーマンである。
トランスアートの『季刊・本とコンピュータ 2004冬号』
東京創元社の『ミステリーズ!extra』
本の雑誌社の『本の雑誌2005・1月号』
双葉社の『本棚探偵の回想』(著者は喜国雅彦)
講談社の『IN☆POCKET 2004・12月号』

先だって『王狼たちの戦旗 上・下』(早川書房)を読み、またファンタジーに回帰しそうになった。しかし、今次に読みたいなと思っているのはレジナルド・ヒルのダルジール警視シリーズ。最近のハヤカワミステリの分厚さは「読め」と言わんばかりなのだ。『死の笑話集』なんぞは2000円プラス税のオレンジ色で迫ってくる。



2004年12月06日(月) 「ニホン語、話せますか?」マーク・ピーターセン

最近は読むのが楽なエッセイ集が多くなってきている。『死の笑話集』なんていう分厚い本をつい手にとるのは悪い癖である。「読みたい!」と理屈抜きにまず思うのだ。実際に読み始めるのはいつのことか。手頃な読書が終わった後になる。

この本は楽な本ではない。痛快な本だが、その分毒含有量が多い。村上春樹の翻訳文について語っていたと思っていたら、次の瞬間にはや石川さゆりの歌に涙したというチャレンジがあり、油断できない大胆なエッセイストぶりを100%発揮。
英語の本じゃないけれど、横書きが結構読みやすい。目にもやさしい本となっている。
本とに新潮社はイイ本を出した。



2004年12月03日(金) 「超英語法」「英語で人生をひろげる本」

最大のポイントになる主張は、「『供給者の論理』に落ち込むな」だろう。学習のための教材の入手や作成はいわば需要者自身で十分にできる。つまり、高価な教材の購入や英語学校入学は必要ないというのである。不足部分は、この本、野口悠紀雄「超英語法」(講談社、千五百円)で補えばよいと言う本。
著者は現在(二千四年)、六十四歳。自身が英語の勉強をしなおすのに合わせて書いたと言っている著者の若さが言外から伝わってくる。

読み終わって改めて題名を見る。内容にふさわしい題名だったのだと驚いた。読む前は「英語で」のところに勝手に重点を置いて内容を軽薄に推断していた。読後は「人生をひろげる」のところに目がいき、納得した。
ハウツウ本ではなかった。
題名の通り、人の人生を深く考え、味わう助けになる本だった。
本を読み、その本の子や登場人物や作者のことに思いを馳せるとはこういうことだったのかとこちらの気持ちにある種の切り替えをほのめかすような謙虚なこの本には久々に感心してしまった。
著者は、現在66歳。その年齢ならでは年輪の見事さとその年齢があくまでも身体面のもので数字でははかれない精神面の若々しさを感じる。
高橋茅香子『英語で人生をひろげる本』は晶文社二千年発行の本。


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