DETHの戯れ言
未来過去
2016年11月24日(木)

月夜に、カテドラルという名前のアンティークショップで見つけた本に挟まっていた押し花の話をしてください。


肩を回す。正直、月曜日からの残業は疲れた。ひとり、会社から出る。
いつもより少し早く出れた。いつもならバスで帰るところを少し歩いて帰る。
夜空に大きな月。どうせなら昨日晴れていればなぁと思っているとなじみの喫茶店についた。
バスに乗るとここは通り過ぎてしまう。定時で帰ると電車の定期がある。
残業して電車の本数が少なくなって、すこし早く帰れた時だけのちょっとした贅沢。
「日替わりランチで」いつも通りの注文。夜なのに何でランチなのだろう?と思うところもいつも通り。
「昨日晴れてたらスーパームーン見れたのにねー」とマスターと世間話。
カウンターのいつもの席から店内を見渡す。
アンティークショップなのだろうか?
"一級品"だけが並んでいる。とはマスターの弁。
僕は芸術がわからないのでノーコメント。
奇麗な装丁の本がある。建築の本だろうか?
文字は外国語なので読めないが建物の絵が心地よかった。
画集のようにぱらぱらめくっていると中から1枚の栞が落ちる。
拾うと押し花?黄色いバラの?造花の押し花だった。
すっ、と栞が抜き取られ、テーブルにシチュー、ライス、スプーンが並べられる。
「この本は売り物じゃないんだ、すまないね」
本を片付けるマスターはどこか優しい目をしていた。


      

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