⊂枯れてゆくもの。⊃
2001年11月14日(水)

愛される事は、いつでも求めて。
それなりに求めて。
いつか相手が愛してくれる時、あたしはそれに飽きている。
結局、深いトコまで知っても退屈をしないひとはごく僅かで。
あたしはそんな中、人間に飽きてゆく。
酸素の中に在るべきでは無い水に溺れて行く様に。

『御飯を食べる事が嫌い』
貴方はいつもいつもいつも、あたしを見て。
過去の話しを持ちかける。
食べてるの話さないであたしに話し掛けないで。
昔話ばかりを並べられた食卓に、あたしは傷を増やし、食欲をなくす。

貴方だってそうでしょう?
食事をする時が一番嫌いなの。
あたしを此れ以上、腐らせないで。
学校へ行かなきゃいけないの、知ってる、知ってるから。
あたしの目の前で条件をちらつかせないで。
あたしをゴミ扱いしても良いから、猫は殺さないで。

いつもひとは矛盾の中、パラドックスの渦。
子供でもなければ大人でもなく。
産んだくせに死ねと言っては。
帰って来てと、あたしを殺す。
ねぇ、そうでしょう?
あなたとまた暮らしたのなら、貴方は毎晩毎晩ずっと。
ずっとナイフを翳したまま、あたしの部屋に来るんでしょう?
扉の前に見える残景は今もあたしの中で眠りをくれないのよ。

狂う貴方を見ながら過ごして来た日々が。
貴方の悲鳴や、手のひらや、取り憑いた悪魔が。
時々耳鳴りのように押し寄せて、執濃くあたしを咎めるように。

恐いの、大きな声を出さないで。
あたしの声を殺すように、貴方はあたしを殴るから。
あたしはもう喋らない。
大きな音を出さないで、またあのひとを殴るの。
貴方の手は何の為に存在している?
それ以上、肌を叩くならもいであげましょうか。
貴方の目は何が見えたの?
あたしを闇まで追い掛けては、終りの呪文を口にして。
大きな声を出さないで、鼓膜を引き千切るように。

爪先を潰して、朝は森へ逃げてゆく。
音を立てないように、ひっそりと息を殺して。
森へ逃げて。
あたしの日々はそんなふうに繰り返された。

あたしを追い掛ける、貴方の影が恐いです。



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由弥 [御手紙]