2004年07月28日(水)



【入道雲】


大きな大きな雲が
夏をあらわしていた


きっとあの雲の中には
ラピュタがあるね
そうはしゃぐ僕に
君は優しく微笑んだ


入道雲を見ると今でも思い出すんだ
とても優しかったあの時間を


今では取り戻せないほど
遠くに逝ってしまった優しい時間を


君は今 何処で 何をしている?





2004年07月27日(火)



【オレンジ】


真っ赤なオレンジが
目に焼きついたまま放れない


教室からの夕暮れ時
グラウンドからは運動部の掛け声
それでも何処か遠く
現実味を帯びる事は無い


あの ただ 独りで
教室の窓からみたオレンジ


きっとこれからも忘れる事は無く
鮮やか過ぎるオレンジは
僕の胸に小さな疵を残していった






2004年07月26日(月)



【果汁30%】


曖昧なオレンジ果汁30%
君の好きなジュースの味
そして、それは夏の味


僕はきっと忘れる事は無いだろう


痛い位に照りつける太陽と
少しだけ切ない笑顔の君
甘酸っぱい果汁30%は
微妙に薬の苦さが舌に残って
ピリピリとした刺激を与えた


僕は笑顔で答える事が出来ず
君は一層寂しそうに笑った





2004年07月25日(日)



【溺れる】


自分の感情にさえ
今の僕は溺れそう


必死で息継ぎをする


迫ってくる何かに
怯えて 走って
転んで 落ちて


また 慌てて立った


溺れそうなのはきっと
自分の足元が良く見えないから





2004年07月24日(土)



【動物実験】


嗚呼 僕は何かしたのだろうか
何故こんな痛い思いを
しなければならない?


顔を器具にはめられ
目に何かをさされ
痛くとも
僕は目を擦る事さえ出来ずに
ただ 痛みに耐えるだけだなんて


僕は 何かしたのだろうか

痛い、痛い、痛い
目が痛いんだ
目がどうにかなってしまう
とても目が痛いんだ
誰か助けて
ねえ、怖いよ
怖いよ、怖いよ、怖いよ
誰か
誰か


僕は泣き叫ぶ事さえも許されずに
涙を流す事さえも出来ずに
ただ耐える
ひたすら耐える


神様 もしいるのなら
僕を今すぐ殺してしまって
こんな苦痛のまま生きるだなんて
それは死ぬよりも辛い事だ





2004年07月23日(金)



【名前】


何度も君の名前を呼んだ
誰にも聞かれないように
こっそりと
何度も何度も
言葉にした


君に届かなくとも
何故かそれだけで嬉しかったんだ
きゅうっと何処かか切なくなって
泣きそうになったんだ


届かないのは解ってる
それでも 想いは死なないから


アタシは今晩も独り君の名を呼ぶ





2004年07月22日(木)



【術】


誰か 誰か
こんなにも大きく空いてしまった
心に 大きく空いてしまった
君が居ない 穴を
どんな術で埋めれば良いのか
僕には見当もつかない


誰か 誰か  教えて


じりじりと広がるその穴は
どんどん深く深くなるばかり
君の声を
君の言葉を
僕はもう思い出すことすら
難しいのに
穴だけが
君の居ない事だけが
疵を 広げて





2004年07月21日(水)



【神様】


どうかお願い
あの人に優しさを届けて
きっと泣いてるあの人に
優しさを届けて


疵を癒すのはきっと
誰かの優しい手
君を癒すのはきっと
隣で笑う誰かさん


想像しただけで
胸がきゅっとなる


でも 神様
このまま綺麗な恋のまま
想いを空に返すから
私が汚れてしまう前に
誰かを憎んだりする前に


どうか私の最後の愛を
あの人に届けてください







2004年07月20日(火)



【君】


欠けた君の存在は
あまりに切なく
まるで
身体の何処かを千切られたように
鈍く 傷んで


僕は言葉を見失う
何故いつも大事な事は
後に気付くのだろう


君が好きだった
きっと始めてあった日から
君が好きだった
言葉が笑顔が仕草が
僕を見る事は無くとも


君が好きだった






2004年07月19日(月)



【未来】


僕はいつまで
このまま進むつもりなのだろう
変わらない僕のまま
何処までも行ける筈が無いのに


限界なんかとうに知っていた
無理なんてきっともう気付いてた
それでも足掻いて足掻いて
強がった
弱い僕のまま


このままじゃ未来は来ない
そう知っているのに
今も何も出来ずに立ち竦む


僕は 何処に向かうのか





2004年07月18日(日)



【好き】


好きだって気付くから
身動きが取れなくなって
あの人の笑顔さえ
真っ直ぐに見られない 今


好きだって気付いたら
どんどん心が雁字搦めになって
視界が狭くなって行った


あの子みたいに可愛くなれたら
少しは自信持って君の前で笑えるかな


ねえ、神様
気持ちが届かなくても良いから
あの人が今何をしているか
教えて欲しい





2004年07月17日(土)



【進歩】


夢を掴んだと思った途端
それは消えて
朝日が瞼を掠める


おぼろげに目を覚まし
ゆるやかに現実へと帰ってくる


未だに僕は受け止める事が出来ず
君の居ない世界を惰性で生きる
進歩なんて今はしたくないんだ


ここでずっと立ち止まっていたい





2004年07月16日(金)



【青空】


空が余りに真っ青で
眩暈でも起こしそうなほど


ただ願うのは
君の傍にいたい
ただそれだけなのに
それも叶わないのだ


ただただ切ないばかりのこの恋を
どうしても捨てる事が出来ずに


青い空さえ今は憎らしい





2004年07月15日(木)



【死】


ボロボロと細胞は欠けて行って
粉々に砕けていく僕の 心臓


体の節々から死んでいくんだ
誰にも
僕にも
止める事はもう出来ずに


細胞が死んでいくのを
僕は目を閉じて感じる


そうして静かに眠りに落ちていく
泣き叫ぶ事が出来たのなら
結果は少しは変わったのだろうか
遠い意識の中ぼんやりと考える


全ては もう 遅いけれども





2004年07月14日(水)



【夏祭り】


もう騒ぐ事も
浴衣を着ることも
誰かを誘う事も
しなくなったけれど


やっぱりあの何処か
懐かしい雰囲気が好きで

ほらいつもと違う
空気がざわめいている


きっと何処かで
神社の神様が微笑んでいるね





2004年07月13日(火)



【偏頭痛】


ああ 嫌だ
ガンガンと
頭を打ち付けられる感覚に
眩暈と吐き気が襲ってくる


太刀打ちする事も出来ずに
ただ蹲って時が過ぎるのを待つ


そんな僕は
ひたすら弱くて醜く愚か
だからいつも涙が零れる


痛みじゃなくて
自分自身の駄目さに涙が出る





2004年07月12日(月)



【感情】


溢れ出る感情は止め処なく
僕を支配していって
いつのまにか 余裕など何処にもない
そんな生き方してるね


いつでも ギスギスして
いつでも イライラして
いつでも キリキリして


安らぎなんて感情
きっと走ってくる途中
どっかに落としてきたんだろう


引き返す時間が無いからと
走り続けてきたはいいけれど
ああ  疲れた


疲れたよ


感情に振り回されるばかりじゃ
疲れてしまうよ





2004年07月11日(日)



【産まれる何か】


僕の中で
産まれそうになってる何かを


僕は必死で押し殺す


ドロドロに僕の中が穢れて
その血で澱んでしまった何かは
きっと良くないものだ


良くないものの塊


それが 静かに僕の中で
産まれそうになってる


僕は今も 必死で 押し殺す





2004年07月10日(土)



【指先】


嗚呼 どうか
指先で触れて
敏感に感じ取って


愛を
優しさを
ぬくもりを
人を


忘れないで
怖がらないで
指先で触れて


きっと 愛はそこら中に溢れてる
きっと 君が触れるだけで溢れてる





2004年07月09日(金)



【風】


このジメジメした
鬱陶しい梅雨の季節に
時折入り込む 風が


まるで 優しい 誰かのようで
まるで 愛しい 誰かの手のようで


君が僕にくれた優しさを
僕はいつか誰かにかえせるといい


そうして
他人に優しい人でありたいと
そう 静かに願う


嗚呼 風が静かに僕を撫でた





2004年07月08日(木)



【窓】


夜中に一人きり
窓を開け放った


虫が入ったって構わない
泣き声が誰かに聞かれても
構わない


僕は 叫びたかった
世界に 誰かに


僕が居る事を
叫びたかったんだ






2004年07月07日(水)



【織姫】


会いたくて、会いたくて
でも会ったら何を話せばいいか
解らなくて 目をそらした


うじうじする自分が大嫌いで
彼方の前の私は嫌いで


織姫のように年に一度の逢瀬ならば
大胆になれるのだろうかと
途方も無い事を考えてみる


嗚呼 でも出来たら彼方も
今のこの星空を見ているといい
この綺麗な星を見てるといい


次に会う事が出来たら
勇気を出して星の話でもしてみるから





2004年07月06日(火)



【両手】


この手にもてるものは
きっと両手を数えるよりも少ない
それを忘れないで生きていきたい


あれも これも と欲張っては
結局 何も 手に入れられずに
泣きそうな顔の僕の過去


解ってるんだ
解っていたんだ


僕の許容量はとっくに超えていて
端から溢れていったものが
静かに 零れていく



どうか忘れずに
この両手で持てる分だけ
愛せる分だけ
自分の出来る範囲で


世界を突き進んで行けばいい





2004年07月05日(月)



【月】


真っ赤な月は
まるで僕を責めるよう


あの赤が忘れられずに
今もまだ忘れられずに


幾度も残像を描いては
頭を振って思考を止めた


あの赤い月は
きっと僕を責めている
薄情で残酷な 僕を





2004年07月04日(日)



【すり抜けて】


指の隙間から
サラサラと時間はすり抜けていく


僕が感じ取るよりも早く
それは零れて行って


跡形も無く空に溶けてく


そうして
すり抜けた時間は
二度と還らずに





2004年07月03日(土)



【腐敗】


何処かから 少しずつ
ほんの少しずつ
僕は 腐って行く


もう綺麗な音は
この口から零れない
もう綺麗な涙は
この瞳から零れない


ドロドロに腐った何かが
僕の顔を
僕の視界を覆って
僕の指先はとっくに腐って
どこかに落として来たよ


ああ ほら
もう直ぐ僕は歩けなくなる


足も腐る
手も指も瞳も声も 世界も
腐って行く





2004年07月02日(金)



【救い】


どうか君のその凛々しさを
僕に一欠けらだけ良いから
分けて貰えないだろうか


ひとつ
体の中に
心の中に
芯が欲しいのです


目の前の何かに立ち向かえる強さを
挫折からまた立ち上がる事の出来る
強さ を


いつも負けては挫けて
泣いては諦めて
揺るがない僕なんて何処にも居ない
理想ばかり積みあがって行く


どうかお願いです
君のその凛々しさを僕に与えて


どうか下らない僕に 救いを





2004年07月01日(木)



【半年】


あっという間に月日は経って
今年も半年が過ぎ去った
なのに 一歩も進めていない
ぼくの 今


日々すべき事は山のように溢れていて
片付けている振りで終わってしまった
目の前には ぼくの積み重ねた
何かは見えない


きっと流れていってしまったんだ
月日と共に
僕が片付けた振りした全ては


流れていってしまった






 


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