Memorandum


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2007年07月30日(月) 政治の一寸先は闇

参議院選挙は予想通り自民党大敗、民主党圧勝に終った。
しかし安倍総理は続投を表明。
また、与党もこれを容認する方向だとか。
客観情勢としてこれは当然であろう。
そもそも過去の参院選敗北の際、宇野や橋本が何故辞めたのか理解していない人が多すぎる。
はっきり言って、彼らは別に、参議院選挙で負けたからやめたのではない。
宇野の場合、衆議院の任期切れが近づいていたからである。
つまり、すぐまた選挙があるのに、大敗したばかりの不人気の首相では戦えないから辞めたのである。
橋本の場合も似たような状況だった。
翌年に統一地方選挙が控えていたからである。
しかし今回の場合、全く状況が違う。
統一地方選挙はもう終っているし、衆議院の任期はまだ2年もある。
つまり当分の間、大きな選挙もないのに、今から総理の首をすげかえたところで始まらない。
政治家と言うのは、選挙を行動基準にして生きている。
2年先のことなんか、まだどうなっているのかわからないのに、今ここで安倍を下ろしたり権力闘争をするような、無駄なエネルギーは費やさないものだ。
そういうわけで、与党から安倍下ろしの声が起きないのは当然なのである。
一方、野党にとって自民党が敗戦責任をどうとるかは所詮「党内問題」なので、外野でいくら騒いだところで他党の党首を辞めさせることはできない。
「民意」だなどと言ったところで、元々参議院選挙で政権交代はあり得ないのだから、文句があったら次の衆議院選挙で堂々と勝つしかない。
ただ以前も記したように、この参院選の勢いを当分先の衆議院選挙まで持続させるのは難しい。
つい昨年「安倍人気」を当て込んで政権に押し上げた自民党がここまで落ち込むとは誰が予想しただろうか。
まさに「政治の一寸先は闇」なのである。


2007年07月26日(木) 「終わりの始まり」はどっちだ!?

選挙は最後の最後まで何が起こるかわからない。
とは言え、自民党の劣勢は覆りそうも無い情勢である。
40議席を割るという声もある。
そうなれば安倍は退陣を余儀なくされるかもしれない。
私個人的には、参議院選挙の結果で総理を辞めさせるのは反対だ。
まして、発足して1年も経たぬ内閣。
そもそも日本の総理は短命過ぎる。
イギリスでは、サッチャーとブレアの間に挟まれて影が薄く、短命と思われているメージャー政権ですら実は6年半。
日本で長期政権と言われている小泉の5年半よりずっと長いのである。
ただ、安倍が辞めようが辞めまいが、どっちにしろ相変わらず自民党政権であることには変わりない。
問題は次の衆議院選挙だ。

野党は、参院選を政権獲得のステップに、と考えているだろうが、現実にはなかなかそうは行かない。
むしろ、なまじ参院選で勝ったため没落に繋がった事例もある。
1989年の参院選で大勝した社会党がその後どうなったかは歴史の示すとおり。
また、98年の参院選で自民党を敗北に追い込み、参議院のみだが「首班指名」を受けるという栄光に輝いた菅直人は、翌年にはもう民主党代表ではなかった(代表選挙で鳩山に敗北)。
今回の参院選に民主党が勝利したとして、果たして有権者は「民主党政権」まで望むのだろうか。
参院選が「政権選択の選挙」ではないのをいいことに、単に与党に「お灸をすえる」だけの結果に終ってしまうのが過去の現実である。
また、参院で勝利した場合の民主党は、今後の政局では単に与党の批判をするだけでは許されない。
今度は「共同責任」を負うことになる。
つまり「折角勝たせたのに民主党はだらしない」ということになれば、失政の責任が跳ね返ってくるのは、民主党自身なのだ。
その時、小沢一郎が代表で民主党は持つのか。

小沢は選挙には強いのかもしれないが、肝心の「勝った後」の政局をリードする力に欠けることは、これも歴史の示す通りである。
93年衆院選勝利後の非自民連立政権しかり、95年参院選勝利後の新進党しかり。
今回も小沢はまた「壊し屋」の異名を如何なく発揮し、この参院選が単なる「あだ花」、民主党の「終わりの始まり」になってしまう可能性がないとは言えないのである。
今後の政局に注目したい。


2007年07月06日(金) 諸悪の根源、参議院

現代の政治をダメにしている最大の元凶は参議院の存在にある。

日本の政治制度では、与党が衆参両院で過半数を取らなければ政治は安定しない。
しかも参議院は半数改選のため、2回に分けて選挙が行われる。
つまり衆議院選挙に加え参議院選挙2回の、計3回の選挙に連勝しなければならないのである。
だが今時、どの党の誰が政権にあろうとも、国政選挙で3連勝もするのは至難の業である。
高い人気を誇った小泉前政権にしろ、その任期中4回の国政選挙(01参、03衆、04参、05衆)のうち、勝ったと言えるのは最初の参院選と最後の衆院選だけ。
2度目の参院選に至っては民主党を下回って「敗北」である。
そもそも日本の総理大臣ほど絶えず選挙で進退を危うくされている存在はあるまい。
例えば小泉前首相の場合、その5年半の政権の間に4回の国政選挙に加え総裁選でも「信」を問われている。
つまり毎年のように選挙に明け暮れていたわけだ。
これでまともな政治ができるのだろうか。

また、日本で本当の意味での「政権交替」ができにくくなっている最大の要因も、実は参議院の存在にある。
と言うのは、参議院選挙は「政権選択の選挙」ではない。
たとえ参院選「敗北」の引責で自民党総裁が辞任・交替しようとも、次もまた自民党の政権であることには変わりない。
しかし本来なら失政の責任を取らせて政権を替えるのは、衆議院選挙であるべきだ。
ところが有権者は、参院選で与党を敗北させ適当に「お灸」をすえても、衆院選では野党を勝たせようとはしない。
現に1989年、98年、そして前回04年の参院選でいずれも自民党は敗北を喫したにもかかわらず政権は変わらない。
それは直後の衆院選では、自民党が勝利しているからだ。
何故か。
まず、第一に、参院選で有権者の政治的不満は「ガス抜き」されてしまうからである。
第二に、有権者が折角参院選で野党を勝たせても、その後の政治で野党が存在感を発揮できないからである。
というのは、何だかんだ言っても衆議院では与党が多数を占めている限り、混乱はあってもなかなか野党の思い通りにならない。
しかしその有様が有権者には「やっぱり野党はだらしない」と映り、失望を与え、その結果、次の衆議院選挙で再度野党を勝たせるところまでは行かないのである。
しかし、もしこれが参議院など存在せず、国政選挙が4年に1度の衆議院選挙だけだったらどうなるであろうか。
有権者の政治的不満は一気に爆発し、与党は失政の責任を一手に問われ、政権を失うこともあり得るだろう。
このように、参議院の存在は政治の発展にマイナスであれこそすれ、何のプラスにもならない。
今回の参議院選挙でも有権者はこのようなことも念頭に入れた上で選択を図るべきであろう。


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