後悔日誌
From ND

きのう あした もくじ
写真サイト 航跡

2013年11月15日(金) 410


410日。
感謝の気持ちで一杯だ。

暗中模索の陸上でのお仕事。
何も分からないまま、大海原に投げ出された小舟の中。
頼りになるコンパスみたいな存在が彼女だった。

仕事を覚えていくまではずいぶん手を引いてくれて。
その先も、ずっと陰で支えてくれたそんな人。
今日、みんなに祝福されてこの部署を去った。

急に無機質になったデスクの上を見ていると心にぽっかり穴が開いた気分だ。
来週の週初めから、どうすりゃいいんだろなんて。
急に弱気になってしまう。


上司に叱られたとき、慰めてくれたナァ…とか。
毎日飲みに出てる事聞いて、嫁さんに同情して叱ってくれたり。
おやつの交換こしてみたり。
色々あったよ。
本当に。

この会社に来て、見たこともないくらいの祝福。
メッセージカードとたくさんの写真に囲まれたアルバムに花束。
暖かい言葉の嵐が自分の事のように嬉しかった。
ここ最近の、大きなお腹を左手で気遣いながら、フゥって息つく姿は多分忘れられないだろう。


「何言ってるんですか、ただ休みにはいるだけですよ!」
最後にそう言って、バイバイした。

またいつか、一緒に仕事が出来るといいね。
あと、遠くから安産祈ってます。
今の正直な気持ちです。

また、いつかね!



2013年11月04日(月) 骨


終電が無くなって朝まで。
しんみりと、一人で飲んでいた。
お通しで出してもらったポップコーンを見ていたら、骨みたいだな。
なんて思った。


親戚が亡くなって、法要に参加した。
お坊さんが一通りお経を唱えた後、静かにこう言った。
「故人はこれから旅立ちます。応援の気持ちを込めて御焼香して下さい。」

人は亡くなってから7日間で山(死出の山)に登る。
登り切ると三途の川があり、川を渡り先を目指す。
誰の力も借りれない、孤独な一人旅。

のんびりしてると上半身が動物の番人に急かされるんだとか。
なんだか死んでも忙しいナァ…。


63歳は確かに早いけど、でも与えられた命。
棺の中の顔は穏やかで、いい人生だったんだろうなと勝手に想像した。
他人事のように感じていても、花を添える場面はぐっときた。
目頭をぎゅっと押さえて棺を閉じた。


霊柩車の後ろをくっつくように走るバスに乗り火屋へ向かう。
最近はいつもここだ。
炉の中に棺を収めると、銀色の扉がすっと閉じた。

何度も聞いた喉仏の説明。
職員が一生懸命に骨壺の中へ骨を収める乾いた音。
静かに見つめる親戚たち。
焼くという行為は、区切りをつけるということなんだと思う。


すっきりしたよね。
身体から解放されて、もうおじさんは旅に出たんだと思う。


最後を過ごしたマンションの一室にお骨を持ち帰って、
部屋の片隅にある代々の仏壇の前に安置した。

空間の雰囲気っていうのかな。遠くから先代と、それから本人が、
喪主を務めた母に対してありがとうと言っている気がした。


誰もが綺麗に亡くなりたいと思っている。
死のことを、暖かく、身近に感じた良い一日だった。



My追加
MAIL】【HOME