後悔日誌
From ND

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2010年08月16日(月) 海鳥


「あのね、アホウドリって昔は船乗りさんだったんだって!」
「船を見ると懐かしくなってどこまでも付いてきちゃうんだって機関長が言ってたよ。」

船尾についた2匹の海鳥を見ていたら、誰かが言ったそんな言葉を思い出した。

つくづく船乗りってのはロマンチストだと思う。
夕方に海坊主を恐れてベルの回数を変えてみたり、口笛を嫌がったり。
海の男、なんて言われる人のほうが意外に迷信なんてものを大事にしてたりする。


「どこまで付いてくるんだい?」
そんなことを聞いてみたくなったその時のこと、海面から跳び出した飛び魚を見逃さずにキャッチした。
その駿足さと視力の良さにすっかり感心してしまった。

賢いんだ…。
船の波に驚いた魚を捕まえてるなんて、こいつの前世は漁師さんなのかもしれないネ。


太平洋を渡るのはこれで何度目だろう。

透き通った青い海を何日間も眺めてようやく陸地が見えてくる。
飛行機とは違った時間の感覚が、少し独特で。
古き良き、大航海時代の生活を感じることのできる貴重な時間の中にいる。

テレビも電話もなく、それぞれの仕事に没頭する。
缶詰みたいな生活だけど、色んな遊びのスパイスを足しながら、毎日笑ったり、泣いたり…。


再び、船尾に目をやる。

付かず離れず、距離を保ったままアホウドリ。
どこまでも真っ直ぐな航跡の上で、右へ行ったり左へ行ったり。
じゃれあっているような、必死についてきているような。

ハワイまで、行こうよ。



2010年08月11日(水) 出航


芙蓉の峰よいざさらば。
野島の灯かり滲むとも、海のロマンを訪ねゆく。
若き練習生は、若き練習生は泣かぬもの。


語り継がれてきた歌のひとつに思いを寄せながら、陸地に別れを告げた。
強い西日に富士のシルエット、そして日没とともに光り始めた赤と白の閃光。
家族や恋人に別れを告げて、船乗りらしい生活が始まる。


「ずいぶん溜めちゃったからナァ…。」
机の上に積みあがった書類の山に溜息をつきながら、またひとつ仕事をこなす。

若き?仕事人も泣かぬもの、泣かぬもの…。



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