ゆりゆり日記
こうのとりの郷豊岡より
そこで出会うすべてのひとと
日々の想いの種が
なににつながりどこへ行くのか
未来へ続く今の日記

2005年09月26日(月) 恋しい場所

まったく放鳥効果はとんでもなく
コウノピアの閉館時間を過ぎても
郷公園の門が開いているので
どんどんお客さんが入ってくる始末
売るだけで精一杯で
集計はどんどん溜まって行く

バスケットの方の手伝いは
今月いっぱいと言ってある
けれど納品スケジュールは
10月も詰まっていて
そのことを思うと
ずるずると手伝いを
申し出てしまいそうな自分がいる

今日も
ノドまで出掛かった言葉を飲み込んで
11月の展示会を考えた
まだ詳しい日程を
Sさんと相談することもできないままだ
本当は一週目を考えているけれど
10月の締めに追われて
たぶん準備どころじゃなくなる

バラバラの頭を
一番したいことへ
もう少し近づけてみるために
明日は売り場の集計を
わくわく館ですることにした
庭の紫式部は色づいているかな
なんて思ったら
あのスペースが無性に恋しくなった

あそこで仕事をする
そう考えただけで癒される
全ての流れが
いつかひとつになる時が来るのかな
それでもまたわたしは
何処か別のところをふらふらと
彷徨うんだろうか



2005年09月24日(土) スポットライト

黒雲が北の空に広がった早朝
郷公園に向かう直線道路を
自転車で走っていると
一瞬雲の切れ間から
光が差し込んで
建物のある付近を照らした

いつも見慣れている風景の中に
スポットライトが当たった
誰も見ていないその情景が
あまりにも綺麗で
思わず胸がいっぱいになった

昨日準備しきれなかった荷物を持って
何度かコウノピアと
駐車場の販売テントを往復するうち
パッキングした商品を積んで
観光協会の車がやってきた

途中で午後から手伝ってもらう予定の
Hさんがナイスタイミングで来たので
朝から販売をお願いし
わたしは行ったり来たりする間
宮様がご購入になる商品のことで
県の秘書課の人と打ち合わせ
コウノピアに足止めされて気が気じゃなかった

お昼にご購入決定の商品を持参し
代金を戴き領収書とおつりの準備
それからいちど包装した商品の値札を全部はずして
お渡しするのは3時と言う
とてもそれまでじっと待っている訳には行かず
ゲートの外へ移動できるタイミングを
事務所の人に誘導してもらった

放鳥の瞬間はひとり金庫番だった
けれど最初の一羽は
テントの中からでもよく見えて
一度円山川方向に飛んだあと
ぐるりと旋回してサービスしてくれたし
他の二羽はお互いを意識するように
空中で優雅に舞っていた
野生よりはどこか頼りなく
風に煽られそうなのもいたりした

来る人はみんな
コウノトリが目的なのだけれど
それはいつものコウノピアも変わらない
本当についこの間まで
売れなくて困っていたのがうそのよう
切れそうな気持ちをようやく繋ぎながら
やっとこの日が来た

稼げない間に辞めなくて本当によかった
けれどいつかこの盛り上がりも消える
コウノトリグッズも目新しいものでなくなる
その時は
コウノトリがもっと
身近な存在になった時だろうけれど



2005年09月23日(金) 放鳥イブ

明日はいよいよコウノトリの放鳥
検索が多いので情報を少し
郷公園も付近一帯も
自家用車の駐車ができなくなります
総合庁舎から無料のシャトルバスが
先着1000名様でご利用できます
コウノピアは休館で
放鳥の様子は所定の場所からご覧になれます

という訳で
今日は販売をしながら
明日のテント販売用のパッキング
実際にはあまりにお客さんが多く
ほとんど時間内にはできなかった

加えて
どんどん減って行く在庫の補充に
納品を頼むも
その処理が追いつかない
何度言っても
相変わらず値札なしのお菓子
Hさんが手伝いにやってきて助かった

明日のために
館内の売り場は
商品を全て片付けた
それが終わったのが7時
今日の集計は全くできず
家に持って帰っての宿題となった

早くもふたりして
腰が痛いだの
脚の筋がおかしいだの言いながら
果たして明日はどうなりますか



2005年09月20日(火) 歯車としての仕事

どうしてこんなにも
充実しているんだろう
自分で作ったものを自分で売る
その喜びが一番だったはずなのに
売ることは誰かがしてくれて
日々数をこなして作って行けるのが
ただ嬉しいのだ

翻って売り場では
自分で作ったものを売っている訳ではないから
その逆の立場だけを経験している
売って売って売りまくって
ようやく最低賃金に
あと少しのところまで近づいてきた

その両方で
仕事をするということの意味を
改めて考える
やりがいを持って向かえるための条件は
少なくともわたしにとって
収入がいくらかは関係ない

ひととの繋がりがあって
その仕事へのきっかけが生まれ
誰かが必要としてくれているそのことで
明日への活力が湧いてくる
続けるには日々の実感が不可欠で
安心して仕事をこなせる場所が保証されて
初めて自分が成した小さなことを喜べる

その場所を脅かされないためには
もう自分で作るしかないのだと思っていた
けれど売り場は急激に状況が変化し
なくても誰も困らないはずだった場所から
観光協会の売り場としての存在意義が
少しずつ見えてきた

そして一方で
既に需要があり
佐藤さんが築いてきた方法に従って
全体の中のほんの一部を覚え
他の何を心配することもなく
ただ自分の技術の向上を目指している

いろんな人によって
今のわたしの仕事が与えられている
新しいものを作って
切り込んで行くのとは
どちらも全く違う世界なのだ

でもそれは不思議に心地よく
売り場でも作業場でも
ただその時の作業に没頭することができる
そしてそのふたつを行き来する日々が
ちょうどいいリズムとなっている

実店舗が見えてきて
何故今ここにいるのか
行く先は解らないし
作って売ることの両方ができるはずの
わをん更新も滞ったまま
でもたぶん
今じゃないと経験できないことに
携わっているのは間違いない



2005年09月15日(木) 修行効果

ちょっと頑張ったら
首が凝りすぎて
頭が上がらなくなった
たぶんひたすら編み続けて
一週間連続の作業は到底無理
コウノピアが入って
ちょうどいい転換になっている

24日の放鳥を意識して
発注を5件済ませ
新たに入ったこうのとりのお菓子3種類を
さてどこにディスプレイしようかと
あちこち模様替えして
気付いたら
実に新規の分60個以上に
値札がついてきていない

一瞬差し戻してつけてもらおうかと思ったけど
それを待ってるのもバカらしいので
とりあえず急ぎ並べる分だけ済ませ
溢れる在庫のダンボール箱を
何とか少なくしようと四苦八苦
涼しいのに汗をかいて
結局集計は終わらず明日に廻した

でも
そうやってびっちり働いても
佐藤さんのところでする仕事に比べたら
身体ははるかに軽い
以前なら帰るといっぱいいっぱいだったのに
なんだか全然余裕で
これでお金をもらっていいんだろうか
なんて思ったりする

自分がその場にいる間
できる限りの仕事をしよう
こういう言葉を何度も使いながら
あまりにも抽象的だったことに気付いた
だって
一日に編み上げることができる数は限られていて
まさに時は金なり
途中でアクシデントがあって遅れれば
それをリカバーするのは大変なのだ

そういう仕事の仕方が
身体に染み付いてきてやっと
解り易い目安がない売り場でも
惜しみなく働くことが
できるようになった気がする
それはあまりにも爽快で
今を生きている感覚に満ちている



2005年09月09日(金) ハードワーク

少し前
11月の但馬ドームでのイベントに
売り場を出店する話がきた
土日にひとり出るとなると
コウノピアも閉めるわけに行かないので
ふたり体制の売り場では
どちらもが出勤となる

過去の経験から
地元のイベントで
まともな売上げがあった試しがなく
正直言って出る分だけ
日割りのマージン率は低くなる
手当を補償してもらえないかとの提案は
会議を経ないとダメらしく
あっさり却下されていた

それが昨日
新たに10月に3日間予定される
国体関連のイベントの話がきて
事態は急転した
売上げが相応あった場合には
少し割り引いてもらいたいとの条件つきで
なんと日当が出るというのだった

正直な気持ちは
お金もらっても出たくない
売り場のあれこれに時間を割くぐらいなら
少しでも佐藤さんの所で仕事をしたい
けれどさすがに
そこまで考えてもらいながら
やっぱり出ませんとは到底言えない

そして今日
展示会でのお客さんから
スカートを縫って欲しいと依頼があった
まだまだオーダーを受けるほど
縫製に自信がないので
知り合いにあたってみるからと
電話を切った

ああ
どうしてこんなにいっぺんに
いろんな事が動き出すんだろう
一番したいのは
やっぱり服作りだけど
佐藤さんの仕事ぶりを見て
きちんとした技術を獲得することの
大切さを思い知った

基本がしっかり習得できて
初めて自由な表現ができる
本当は売ることだって同じはずで
ずっと我慢して
あの制限された売り場で試行錯誤してきた
今だからこそやっと
外へ出て売るチャンスがもらえたのかもしれない

ともかく睡眠だけはしっかりとって
今の自分にできることを頑張ろう
明日はまたバスケット編みが待っているし
今日のうちに少しでも
ピンクッションを仕上げておかなきゃ
こんなに休みなく働いているのが
まったく信じられない気分だ



2005年09月06日(火) 理想の上司

昨日は
予定より早く50本を納品
そのついでにあちこち走り回って
細部の工程を頼める場所を
探してきたらしい佐藤さん
もう本当にお尻に火がついているはずなのに
決してバタバタとあせっている風には
見えないのが不思議だった

戻るとまたぞろ
バスケットの先の注文が入り
一週間留守にする予定の奥さんが
先にずらそうかと心配して言った
すると佐藤さんは
自分の用事はちゃんと済ませて
その他の時間でしたらいい
と言うのだった

そういうとき
とくべつ威厳がある訳でもなく
どちらかと言えば
さらっとした口調なのだけれど
その分聞いているこちらも
気持ちがすっと軽くなる

できないことを
無謀に受ける訳にはいかないと
一番基本になる木枠の釘うちを
してくれる所が見つからないので
必ずとは約束できないからと
電話口で言っていた

たぶん
これ程納期が詰まっていなかったら
佐藤さんひとりで
全部やってしまうだろう
できないと言いながら
もし見つからなかったら
今からだって自分でこなすに違いない

うっかり一件寄るところを忘れた
そう言う佐藤さんに奥さんは
完璧だと思っていたのに安心した
なんて言っていた
決して自分以上に自分を作ろうとせず
真摯に掛けられた負荷に向かって
最大の努力を傾ける

これまでいろんな所で働いて
本当にたくさんの人に出会ってきたけれど
佐藤さんほど
人として上司として
尊敬できる人はいなかった
ただバスケットを預かって売ることを
そのままよしとして続けていたら
きっとこんな貴重な機会は
訪れなかっただろうと思う



2005年09月03日(土) 婦唱夫随

バスに乗り遅れ
少し後の電車にも乗り遅れ
朝から汗びっしょり
次のバスは一時間以上空くので
家に戻って少しでもと
ピンクッションの綿詰めをした

10時過ぎに佐藤さんの作業場に着くと
奥にもうひとり誰かが座っている
あれひょっとしたら
9月から応援を頼めると聞いていた人かと
挨拶しながらよく見ると
はにかんで笑う奥さんだった

もう10年以上していないという
ソーイングバスケット
わたしが通うようになるまでは
作業場に来て座ることさえ
ほとんどしなかったと
一緒にお茶を飲みながら言っていた

その奥さんが
と思うと
なんだかちょっと感動した
猫の手も借りたいほど
切羽詰まっているのは確かだけれど
身体を壊してから
座り仕事はしていないと聞いていたのに

仕掛けると面白いと奥さん
途中から降ってきた雨が
屋根を叩く音にかき消されないように
声を張り上げておしゃべりしながら
ひたすら無口な佐藤さんとの対比が
なんともコミカルだった



2005年09月02日(金) 放鳥目前

昨日今日のコウノピアは
ざわざわと落ち着かない雰囲気で
お客さんの多かった夏休みとも違う
それはひとえに
今月24日に控えた
コウノトリの放鳥のせい
そのための話し合いや
テレビ取材が続いている

当日のお客さんが
対応できないほど増えたら困る
というHさんに代わって
わたしが出ることになっているのだけれど
どうやらコウノピアは
一般客の入館ができなくなるらしく
駐車場の入り口にテントを張って販売することに
けれど郷公園への直線道路すら封鎖されて
簡単に行き来できない
というのには驚いた

とすると
一般のお客さんがマイカーで
放鳥を見に来るのは不可能になる
専用の駐車場をどこか他に
確保するなんて話は聞かないし
当日の賑わいを当て込んで
朝市も開かれるらしいけど
果たしてどうなるんだろう

中の商品は全部片付けて
外に運ぶ分の準備と
また並べ直す作業に
前日と翌日も来てくれないととHさん
それほど労力使うだけの
甲斐があるのかどうかがちょっと怖い

結局
関わっていれば
ズルズルと余分に時間を取られることになり
その度自分が
いかにそこに居たくないかを確認する
売上げはどんどん伸びて
今日もお盆並みの金額だったのに
充実感はそれに比例しない

やっぱり
自分がこころを込めて
手を尽くして作ったものを
売りたいように売る
それに勝る喜びはない
まだまだそれ一本で行くには遠く
修行の日々は続く


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