『日々の映像』

2007年07月31日(火) 中越沖地震の記録 (21)

1、中越沖地震から2週間 空洞商店街、被災追い打ち 朝日新聞
2、日報抄の引用
3、東電が新潟県や柏崎市に義援金7千万円  朝日新聞
4、中越沖地震:要介護高齢者 生活不活発病の疑い  毎日新聞
5、中越沖地震:サポート情報 ライフライン
6、柏崎刈羽原発の揺れ、想定の2.5倍…最大2058ガル
7、波打つ敷地・焦げた壁・続く油漏れ…柏崎原発建屋内を公開  読売新聞
8、地震防災研究 活断層の評価が甘過ぎる  新潟日報社説


1、中越沖地震から2週間 空洞商店街、被災追い打ち 朝日新聞
2007年07月30日14時38分
 新潟県中越沖地震は30日で、発生から2週間になった。柏崎市と刈羽村で1438人が避難所生活を続ける一方、同市内の商店街では半数以上の店が再開するなど復興の動きも見え始めた。ただ、中心部のしにせ商店街では、被災をきっかけに店をたたむ決断をした経営者も出てきた。街の空洞化を防ぎ、どう立て直すのか。再建の先を見据えた課題がのしかかる。
 「また店をやる気にはとてもなれない」。柏崎市役所に近い古くからある商店街で、靴店を営む阿部良平さん(58)は、父親の代から続く店を閉じることを決めた。
 表のタイルがはがれ落ち、ショーウインドーのガラスは砕けた。再開には「1000万円以上かかる」。借金してまで再開しようという気にはならない。
 市内は古くからの9商店街がある。かつては食料品や金物、雑貨、呉服などを扱う300店以上が軒を連ねた。だが、郊外の大型店進出などの影響で、最近の6年間だけで30店が閉店。市商工会議所は「経営が厳しい店ほど被害がひどい。市内で数十店規模が閉店に追い込まれるのでは」と予想する。
 それでも逆境に立ち向かう人たちがいる。市商議所副会頭で呉服店経営の吉田直一郎さん(61)は「商店街は、いくつもの店が連携して人の流れをつくるから意味がある。出て行く人を指をくわえて見送るわけにはいかない」と話す。「『とにかくあきらめないで』と呼びかけ、夢が持てる商店街に作り直したい」
 吉田さんは地震から10日後、別の商店街で被災した競合店の中村康夫さん(47)に電話をかけた。仮店舗の場を紹介するなど両商店街で協力し合うことを確認した。
 同じく震度6強の揺れを3年前に経験した同県小千谷市。駅前からアーケードがのびる東大通商店街は、地震で約40軒の店舗・事務所のうち6軒が閉店した。
 商店街は、復興策を探るため、近隣2800世帯にアンケートをし、要望の多かったミニスーパーを共同で設置する構想を立てた。酒店を経営する高野直人さん(50)は「お客を巻き込んだ街づくりが必要だ」と訴える。



2、日報抄の引用
 中越沖地震に襲われた柏崎市の商店街に胸が痛む。明治、大正、昭和と、地域の歴史を刻んできた建物が軒並み大きな被害を被っている

▼傾いた町屋の土間で、高齢の男性が肩を落としていた。近寄り難い雰囲気だ。黒光りする柱、線香のにおいが染みついた仏間。思い出が詰まった家を解体されるのは、身を切られるよりつらいだろう

▼レトロな洋風建築の絵本館は今にも倒れそうなほど傾き、子どもたちが夢を託した短冊が風に揺れていた。この地域は、柏崎市が六月下旬に「歴史的建造物概況調査」を行ったばかりという。市内に古い建物がどれだけ残っているのか、まず全体像を掘り起こし、風格ある街づくりに生かそうという事業である

▼県内の文化財に詳しい山崎完一さんは、調査の印象を語る。「百年以上も前の様式を残す町屋や土蔵造りの住宅などが、意外なほど残っていました。柏崎は石油産地としていち早く近代化したためか、洋風建築も多い」。地域の記憶を伝える建物に中越沖地震が残したつめ跡は、あまりにも大きい

▼耐震診断と補強へ、国がもっときめ細かな補助制度をつくっていればと悔やまれてならない。これ以上、悔いを生んではならない。阪神大震災で問題になったのが、文化財指定を受けていない歴史的建造物だった。直せば使える貴重な建物が「全壊」と診断されて次々と消えていった

▼「直せる建物を壊さないでと柏崎の被災者に訴え、ノウハウを教えています」と、阪神大震災を体験したボランティアが大粒の汗を流しながら語っていた。住民、行政、専門家、各地で震災を体験したボランティア。熱い思いを結集したい。
[新潟日報7月25日(水)]



3、東電が新潟県や柏崎市に義援金7千万円  朝日新聞
2007年07月30日18時33分
 東京電力は30日、新潟県中越沖地震で被災した新潟県などの自治体に総額7000万円の義援金を贈った。内訳は新潟県に3000万円、柏崎市に2000万円、刈羽村に2000万円。



4、中越沖地震:要介護高齢者 生活不活発病の疑い  毎日新聞
 新潟県中越沖地震で避難している要介護の高齢者に、心身の機能が低下する「生活不活発病」の疑いがあることが県理学療法士会などの調査で分かった。調査した28人のうち3分の1が身体機能の低下を訴えた。避難生活で家事や散歩など日常的な活動が減ったことが原因で、同会などは「できる範囲で体を動かすように」と注意を呼び掛けている。
 
生活不活発病(廃用症候群)は体を動かさないことで、心身の機能が低下する状態。筋力や心肺の機能低下や、うつ状態など精神にも影響し、寝たきりにもなる。高齢者の生活の質を著しく下げるため警戒されている。
 
県理学療法士会と県作業療法士会が28日、要介護者が避難する柏崎市の4福祉避難所で、生活不活発病の兆候を調べるチェックシートを使って高齢者28人に聞き取り調査し、約3分の1が身体機能低下を訴えた。「地震後は寝ていることが多く、足が悪くなった」「前は壁伝いに歩けたのに車椅子を使うようになった」などの内容だった。
 
避難所ではトイレや入浴など日常行動に助けを借りることが多く、周囲に気兼ねして散歩などを控える傾向などが原因とみられる。

 生活不活発病は、避難生活で起こりやすいとされ、04年の中越地震では被災地の高齢者の約3割の歩行能力が低下したことが厚生労働省調査班の調査で判明。県は今回の地震では厚労省が作った同病のチラシを配るなどして注意喚起し、県理学療法士会などに対策を依頼していた。
 
対策で大切なのは本人や周囲が注意し、意識的に活動すること。同会の深川新市会長は「やりづらいことでも人任せにせず、無理のない範囲でやってみることが必要」と呼びかけている。【前谷宏】   毎日新聞 2007年7月30日 15時00分



5、中越沖地震:サポート情報 ライフライン
 ◇鉄道
 28日午後7時現在、信越線・柿崎−宮内間、越後線・柏崎−吉田間が不通。このうち信越線・柏崎−宮内間は30日から再開見込みで、当面は通常より本数を9本程度減らして徐行運転。信越線・柏崎−長岡間、柏崎−柿崎間、越後線・出雲崎−吉田間、柏崎−出雲崎間でバスによる代行輸送を行っている。
 JR西日本は8月10日まで、札幌−大阪、青森−大阪、新潟−大阪、金沢−上野の夜行列車全線を運休。
 ◇ガス
 28日午後8時現在、柏崎市と刈羽村の2万7451戸で供給停止が続いている。
 ◇水道
 柏崎市で28日午後7時現在、3790戸が断水。刈羽村で1312戸が断水中。
 ◇道路
 28日午後7時現在、国道352号は柏崎市椎谷ー西山町と同市宮川ー刈羽村刈羽で通行止め。国道403号は上越市安塚区で通行止め。国道405号は長野県栄村和山ー切明で通行止め。
毎日新聞 2007年7月28日 20時45分 (最終更新時間 7月28日 20時46分)



6、柏崎刈羽原発の揺れ、想定の2.5倍…最大2058ガル
新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原子力発電所内のほとんどの建物で、設計時の最大想定値を大きく上回る揺れを観測したことが30日、東電が発表した解析結果で分かった。
 
3号機のタービン建屋では、最大加速度2058ガルという最大級の揺れを記録していた。稼働再開に向け、想定の上方修正を迫られるのは必至だ。
 
柏崎刈羽原発の建物や敷地内には97台の地震計が設置されている。東電によると、最大680ガルを記録した原子炉本体のある原子炉建屋だけでなく、ほとんどの建物での揺れが、想定を上回った。3号機タービン建屋1階で観測された東西方向の2058ガルは、想定値(834ガル)の約2・5倍。東電は「原発でこれほどの揺れが観測されたのは、恐らく初めて」という。
 
新型の地震計33台では、地震波の波形データも得られた。これに基づき、各原子炉建屋での揺れを詳細に解析したところ、建屋内の機器などほとんどすべての構造物の揺れが、想定を上回ったことも判明した。1〜4号機建屋の方が、5〜7号機に比べ、揺れが大きかったことも分かった。
 
原子炉の圧力容器や、緊急炉心冷却装置などの最重要機器は、設計強度に余裕を持たせてあるため、想定を上回る揺れがあっても、ただちに破損するわけではない。また、分析の結果、強い揺れをもたらした地震波が、1〜7号機とも、周期0・5〜1秒の間に集中しており、原子炉が共振しやすい周期はもっと短いため、大きな被害が避けられた可能性もある。
 
東京大学地震研究所の纐纈一起(こうけつかずき)教授は、2058ガルの揺れについて「周辺地域の活断層評価が十分でなく、未知の活断層による揺れの予測が甘かった」と話している。
(2007年7月30日22時2分 読売新聞)

                 

7、波打つ敷地・焦げた壁・続く油漏れ…柏崎原発建屋内を公開  読売新聞
 東京電力は21日、新潟県中越沖地震で被災した柏崎刈羽原子力発電所の建屋内部を報道陣に初めて公開した。
 波打つ敷地内の道路、焦げた壁に囲まれた3号機の変圧器など、原発関係者も想定していなかった〈ありえない光景〉が広がる。地震のツメ跡が生々しい原発施設の姿を見た。(科学部 米山粛彦)
 3号機の変圧器に近づくと、油のにおいが鼻をツンと突く。変圧器内の油を密封している絶縁体のふたが地震で外れ、今も油が流れて出ているためだ。炎上が激しかった変圧器の壁は真っ黒に焦げ、数十メートル離れた消火栓の脇には、消火活動に使おうとしたとみられるホースが放置されたままになっていた。
 7基の原子炉自体には異常はないとされるが、原子炉建屋の周囲を歩き回ると、道路や砂利は海のように波打っている。地下深くの岩盤に直接建てられた原子炉建屋とは違い、変圧器は軟らかい土の上に設置されている。このため、地震の揺れで土の部分だけが沈み込み、建屋と変圧器に段差が生じた。東電社員が段差にメジャーを当てると、その長さは50センチ程度もあった。
 異変は、変圧器周辺にとどまらない。
 1号機近くの軽油タンク脇の地面は、1・6メートルも沈んでいた。このため消火用の配管が傷つき、交換工事が始まっていた。「変圧器などの周辺施設に、原子炉建屋ほどの強い耐震性を持たせていないのが問題だった。今回の地震をこれからの想定にどこまで生かすかは検討課題だ」。発電所の幹部は、神妙な顔つきで語った。
 しかし、固い岩盤の上に建ち、地震に強いはずの原子炉建屋では、さらに想定外の異変があった。
 微量の放射性物質を含む水が見つかった6号機。この原子炉建屋の中3階と3階には、原発を制御する機器などが置いてあり、放射性物質を扱わない「非管理区域」のはずだった。
 しかし、地震後、ここに放射能に汚染した水が合計1・5リットル余り散乱していた。
 これらの水は地震の揺れで、使用済み燃料プールから建屋最上階(4階)の床にこぼれ、壁の中の配管を伝い、中3階と3階の天井にあるダクトや電気コード棚からしたたり落ちたとみられる。
 放射性物質を扱う「管理区域」から「非管理区域」への漏れ。検査した東電社員も検査結果に「まさか」と思い、検査をやり直してしまったほどだ。
 現場には、水が再びしたたることも想定し、ピンク色のシート、さらにその上にはバケツや紙タオルが置かれ、最先端の原発施設には似つかわしくない光景があった。
(2007年7月22日0時6分 読売新聞)



8、地震防災研究 活断層の評価が甘過ぎる  新潟日報社説
 中越地震からわずか二年九カ月後に起きた今回の大震災は、地震に関する常識を覆した。ほぼ同じ地域を、マグニチュード(M)6・8クラスの激しい揺れが襲うなど、県民ならずとも予想しなかったはずだ。
 中越沖地震の震源は日本海海底の活断層と推定される。この地域は国の地震観測強化地域に指定されている。異常が見つかったら、観測を強化することになっている場所である。異常どころか、いきなり震度6強だ。評価が甘いといわれても仕方あるまい。
 地震の巣である活断層は、全国に二千以上あるといわれる。国はそのうち長さが二十キロ以上で活動が活発な百十の断層を重点的に調査している。県内には長岡平野西縁断層帯など七つが存在する。「長岡」の最大Mは8・0前後と想定されている。
 今回の地震と「長岡」の関連は不明だ。中越地震を起こした活断層は地震の後「活発な断層」とされた。阪神大震災や能登半島地震なども活断層が活発とは認識されていなかった。
 日本列島のあらゆるところに大地震の危険性が潜んでいる。国はこのことをきちんと周知すべきだ。
 国の地震予知や震災対策の大半は、太平洋岸の東海、東南海で起きるとされるプレート境界型の巨大地震に備えてのものだ。想定される被害の大きさや産業への影響を考慮すれば、そこに力点を置くのは当然だろう。
 プレートの動きは活断層にひずみをもたらす要因でもある。一層研究を深めねばならない。
 だからといって、活断層の研究や対策がおろそかになっては困る。近年大きな被害をもたらしている地震は、いずれも活断層のずれによるものだ。活断層評価の精度を上げ、国民に適切な情報を伝える方策を急ぐべきだ。
 今回の地震では、緊急地震速報の有効性が確認されたと気象庁は評価している。確かに新潟市などでの実証試験では本震発生の約十秒前に速報を受信している。だが、震源に近づくほど速報と本震の時間差はなくなる。
 地震の前触れとなる波動は、秒速約六キロで進む。震源から十キロ以内では緊急速報はほとんど役に立たない。活断層型地震への対応は、この面でも極めて脆弱(ぜいじゃく)である。
 原発や新幹線、高速道路なども直下型の大地震にどこまで耐えられるか未知数だ。活断層地震の予知は不可能とされる。どこに活断層が横たわっているのかさえ定かではない。
 これでは国民は安心できない。緊急に全国の活断層調査を行うよう強く要請したい。安全と安心の確保は国政の最重要課題である。後追いの対策に終始してはならない。
                     [新潟日報7月26日(木)]



2007年07月30日(月) 中越沖地震の記録 (20)


1、被災者生活再建 支援金の使途制限を解け 日報社説
2、被災企業対策 中小にも手厚い支援を  日報社説
3、「激甚災害指定基準」の一部改正について
4, 点検中の柏崎1号機、原子炉の水もあふれる  朝日新聞
5、1号機・原子炉の水も作業フロアに流入…柏崎刈羽
6、被災宅地調査「危険」2割、419か所地滑り・崩落の恐れ  読売新聞
7、エコノミークラス症候群検診、柏崎市と刈羽村の避難所で
8、刈羽 水田送水管80カ所破損 500ヘクタールで影響
9、心の傷、高齢者に色濃く…3年前の中越地震で被災者調査
10、柏崎で被災した家屋21棟、6割がアスベスト含む建材使用
11、信越線柏崎−宮内、30日再開  日報



1、被災者生活再建 支援金の使途制限を解け 日報社説
 中越沖地震で自宅が壊れた被災者を対象に仮設住宅の入居受け付けが始まった。地震発生から十日、ようやく将来の生活再建に向けた次の段階に移ろうとしている。
 まだ千五百人以上が避難所暮らしをしている。仮設住宅は柏崎市に約八百、刈羽村に約二百、出雲崎町と合わせ千戸余りが用意される。お盆は家族水入らずで過ごしたいだろう。被災者の願いに応えようと工事も急ピッチだ。
 一九九五年の阪神大震災では入居は抽選で行われた。このため、顔なじみや近所同士での仮設生活ができず、住民の孤立が問題になった。
 二〇〇四年の中越地震ではその反省から、集落の仲間が隣り同士で入居する方法が取られた。ただ、冬場の湿気や結露に悩まされた。今回は天井裏に換気扇を設置するという。
 被災者にとって最も大切なことは仮設を出た後の生活だ。被災者の生活再建支援制度の改善が急がれる。
 被災者生活再建支援法は阪神大震災を契機に一九九八年に施行された。被災の程度により、家財などの購入費として最高百万円を支給することになった。しかし、住宅本体の修理や新築費用に充てることは認めなかった。
 〇四年の改正で支給額は最高三百万円に引き上げられた。使途は住宅解体や家賃にとどまり、今も住宅再建には使えないままだ。所得や年齢の制限も多い。申請手続きも煩雑だ。
 この支援金の使途を広げ、住宅再建にも活用できるよう被災者本位の制度に変える。これが中越地震で得た最大の教訓だったはずだ。
 支援金は中越地震では四千八百世帯に六十五億円、同じ年の7・13水害でも三百世帯に四億円が支給されている。しかし、せっかくの制度も使い勝手が悪いことから、本県を含めて全国の自治体が災害のたびに、独自の住宅再建支援策を設けている実態がある。
 政府は今年三月、学識者による検討会をつくり、来年の法改正に向け議論を始めた。中越沖地震はその最中に起きた。政府は支援金の使途を住宅再建まで広げると早く表明すべきだ。
 安倍晋三首相は二十四日、泉田裕彦知事の改善要望に「理解されやすい制度になるよう研究したい」と述べた。これでは被災者の不安は解消されない。まず使途制限の緩和を宣言する。改正の細目はそれから詰めればいい。
 中越地震の被災者もまだ約二百五十世帯が仮設住宅に残る。生家を直したくても資金が足りない被災者は多い。
 「このまま、仮設ごと(壊れた自宅がある)山に引っ張ってってくれんかのう」。仮設住宅で年金生活をしていた八十二歳のおばあちゃんの訴えだ。その声を無駄にしてはならない。
[新潟日報7月27日(金)]


2、被災企業対策 中小にも手厚い支援を  日報社説
 中越沖地震では企業も大きな打撃を受けた。被災企業は復旧に向けて懸命の努力を続けている。県も市町村も被害の実態把握を急ぐとともに、手厚い支援態勢を組んでほしい。
 県産業政策課が柏崎市の製造業を抽出してまとめた被災状況調査によると、地震発生五日目の二十日は稼働率ゼロの企業が78%あった。それが二十四日には27%に減り、着実に復旧の道を歩んでいる。
 操業を再開した企業の中にはリケン柏崎事業所も含まれている。トヨタをはじめ、国内全自動車メーカーが、リケンの部品供給ストップで生産停止に追い込まれる事態となった。
 メーカーから応援部隊が多く駆けつけて復旧にこぎ着けた。関連する柏崎市の会社は百社近くに上るだけに、フル稼働に向けた動きは心強い限りだ。
 しかし、県の被災状況調査では稼働率50%未満が16%、100%未満は37%で、ゼロの27%を合わせるとまだ八割の事業所が震災前の状態には完全に戻っていない計算になる。
 長野、群馬など隣県の企業から注文を受けている中小企業が少なくない。そうした企業からは発注先が変更、分散されるのではないかとの懸念の声が上がっている。
 操業再開が遅れるほど受注機会を失う危険性は高くなる。水さえあれば操業できるところは少なくない。ライフラインの確保は市民生活が優先されなければならないが、中小企業への対応も急いでほしい。
 柏崎市と柏崎商工会議所は二十五日、県に対して激甚災害の指定、産業基盤復興への支援などを要請する。
 県は中越沖地震の被害額が総額一兆五千億円になるとの推計値を公表した。このうち、商工関係は三千億円に上るという。中越地震の被害規模をベースに固定資産評価額などを掛け合わせてはじき出した見込み額だ。
 激甚の指定を受けるためには詳細な被害額の算定が必要だ。まずは被害の実態を正確に把握することである。
 激甚指定により、税の優遇措置や低利の融資を受けることができる。中越地震で県は七千万円を限度に年利1・7%の特別融資を実施した。同様の措置を早急に取るべきだ。
 柏崎市は明治からの縮(ちぢみ)行商で商業が栄えた交流の町だった。刈羽での石油産出で興った機械工業の伝統も引き継いでいる。
 地震で東京電力柏崎刈羽原発が止まった。原発と共生してきた地域は、これまでに経験したことのない危機に直面している。
 地場産業は地域のエンジンである。中小企業が復興すれば、街も元気づく。きめ細かな支援を急ぎたい。
                    [新潟日報7月25日(水)]

3、「激甚災害指定基準」の一部改正について
http://www.bousai.go.jp/oshirase/h12/121101/121101.html


4, 点検中の柏崎1号機、原子炉の水もあふれる  朝日新聞
2007年07月28日09時52分
 新潟県中越沖地震で、東京電力柏崎刈羽原発の使用済み核燃料プールから水があふれ出た問題で、点検中だった1号機では原子炉部分の水も同様にあふれ出ていたことが27日、わかった。東電はこれまでプールからの流出だけを公表し、原子炉部分については明らかにしていなかった。
 社民党調査団に対して東電が認めた。東電によると、原子炉とプールの間で核燃料を移動させる際、両施設の水路を直結させ、水の中を動かす。
 1号機は地震発生当時、定期点検を終え、原子炉内に水を張ってプールとつないだうえ、核燃料をプールから炉に戻す直前だった。そのため、格納容器などのふたも開けた状態で、地震の揺れで炉内の水もあふれたという。点検が終わっていないので、炉内に核燃料はなかった。
 5、6号機も点検中だったが、両機は核燃料を炉内に戻した後で、格納容器のふたを閉めていたため、内部の水はあふれなかったという。
 東電は「公表しなかったわけではない。説明不足だったが、炉内は水路で使用済み核燃料プールとつながっており、両者の水に区別はない。1号機ではあふれた水が非管理区域に流れる被害も出ていない」と説明している。
 一方、東電は同日、不明だった補助建屋の雨漏りの原因について、地震で外壁に入ったひびから水が浸入している可能性が高いと発表した。
 管理区域内で使った衣服を洗う場で、厚さ約40センチのコンクリート製壁の床に近い部分がひび割れていた。水たまりは、長さ約21メートル、幅約2メートル、深さ約1センチになっているという。
フォームの始まり


5、1号機・原子炉の水も作業フロアに流入…柏崎刈羽
 東京電力は28日、柏崎刈羽原子力発電所の1号機の原子炉の水も、新潟県中越沖地震で建物の作業フロアにあふれ出ていたことを明らかにした。
 東電はこれまで、使用済み核燃料貯蔵プールの水が地震の揺れであふれたことは発表していたが、炉水の状況は詳しく説明していなかった。東電は、「使用済み核燃料プールの水と炉水は基本的に同じもので、特に問題視はしていなかった。説明不足だったかも知れない」(広報部)としている。水は放射能を含んでいるが、管理区域内にとどまり、建物の外への影響はないという。
 地震発生時、7基ある同原発のうち、1、5、6号機の3基は定期検査中で運転を停止していた。5、6号機の原子炉は閉じていたが、1号機は炉内の核燃料を交換するため、原子炉圧力容器と原子炉格納容器のふたを開けて、上に水を張った状態だった。
 交換した核燃料は、隣接の使用済み核燃料プールに貯蔵されていた。原子炉上部に張った水と、プールの水はつながっており、水面の高さも同じ。放射能の濃度など水質にも大きな差はないという。これらの水が地震で大きく揺さぶられ、一部が作業フロアにあふれ出した。
 水があふれたことは地震発生翌日の17日に公表、床のふき取り作業は27日に終了している。
(2007年7月28日12時35分 読売新聞)


6、被災宅地調査「危険」2割、419か所地滑り・崩落の恐れ  読売新聞
 新潟県中越沖地震の被災地で行われた宅地の「危険度判定」で、地滑りや崩落が起こりやすく「危険」と判定された場所が、調査対象の2割、計419か所に上ったことがわかった。
 建物の倒壊などは免れても、宅地に亀裂が入ったり、段差が生じて避難せざるを得なかったケースもある。一方、国土交通省では、都道府県などが危険性が高いと判断した区域内の造成宅地を対象に、耐震化工事の補助事業を創設しているが、自治体による危険区域そのものの調査が進んでおらず、これまでの利用実績はゼロ。宅地の耐震化の難しさを示している。
 危険度判定は、被災地の宅地に入った亀裂の大きさや陥没の深さ、周囲の斜面の状態などを点検し、二次災害の危険性について「危険」「要注意」「調査済み」の3段階で判定する。
 今月17日〜25日、新潟県などの「被災宅地危険度判定士」延べ248人が4市町村の造成地や傾斜地を中心に計2082か所で実施した結果、「危険」は柏崎市344、刈羽村27、上越市26、出雲崎町22の計419か所となった。
 また、「要注意」も計307か所あり、継続して使用が可能な宅地は計1356か所だった。「危険か所」では今後、地中の調査や、盛り土を固定する擁壁の補修、地盤の強化などが必要となるため、同県では、復興基金などによる補助を検討している。
 一方、2004年の中越地震では、斜面を利用した造成宅地で地滑りや崩落が多発したため、国交省は昨年4月から宅地耐震化工事の補助事業を創設した。宅地にくいを打ったり、擁壁を補強したりする耐震化工事を行う際、国や自治体が合わせて2分の1以上を補助する事業で、1戸当たりの負担は最大100万円程度になる。
 対象地域は、都道府県や政令市などが大地震の発生時に危険があるとして指定する「造成宅地防災区域」であることが要件となっているが、国交省によると、同区域の指定はまだなく、指定の前提となる危険か所の調査を始めている自治体も、大阪府、宮城県、静岡県をはじめ、横浜、川崎、広島、高松市など13自治体にとどまっており、新潟県内はまだない。
 同県では、「調査は、住民に身近な市町村が担うべきだが、動きが鈍い」とするが、上越市などでは「調査には多額の費用がかかるうえ、危険か所とされた宅地の地価への影響が大きく、二の足を踏んでいた。だが、大地震が続いているだけに、宅地の実情把握は必要」と話す。
 国交省都市・地域整備局は「宅地についても大地震の危険性にようやく目が向き始めたばかり。危険か所の指定を急ぐよう呼びかけたい」としている。
(2007年7月28日14時43分 読売新聞)



7、エコノミークラス症候群検診、柏崎市と刈羽村の避難所で
 新潟県中越沖地震で被害を受けた柏崎市と刈羽村の避難所で28日、住民を対象にしたエコノミークラス症候群=肺塞栓(そくせん)症=の検診が始まった。
 29日までに計8か所を回る。
 同症候群は、狭い場所に長時間、同じ姿勢でいることで、足の静脈にできた血の塊(血栓)が肺の血管に詰まり、呼吸困難などを引き起こすもの。同市の柏崎小学校体育館では、高齢者らが、午前10時過ぎから次々に受診。医師や看護師がふくらはぎの静脈をエコー検査で調べ、同症候群の疑いがあるとして血液検査を行ったケースもあった。
(2007年7月28日11時59分 読売新聞)



8、刈羽 水田送水管80カ所破損 500ヘクタールで影響
中越沖地震で刈羽村の田んぼに水を送るパイプが約80カ所で破損し、水の供給ができなくなっていることが27日、分かった。8月上旬までの期間は特に水が必要な稲の出穂期に当たり、コメの出来を大きく左右する。7月内の完全復旧は難しく、農家からは「このままでは収穫期に大変なことになる」と焦りの声が上がっている。

 同村は古くから田んぼへの水の供給に悩まされてきた。安定供給のため10年ほど前、地元を流れる別山川の水をポンプでくみ上げて送るパイプを地中に整備した。3つのポンプ場のある勝山地区では、滝谷と滝谷新田だけで12カ所のパイプの破損が確認されている。

 同地区で34ヘクタールの水田を保有する勝山農産(武本一巳社長)では、地元の製菓会社と契約栽培しているもち米「わたぼうし」に穂が出始めた。武本社長(68)は「一刻も早く稲に水をやりたい。来月4日ごろにはコシヒカリの穂も出始めるので、復旧には一日の猶予も許されない」と訴える。25日には送水試験を行ったが、農道の至る所で水が染み出たり、土砂が噴き出したりした。

 刈羽村災害対策本部などによると、パイプの破損で影響が出る水田は村全体で約500ヘクタール。村は8月上旬を目標に完全復旧を目指す。

 自宅が地震でつぶれたという同村十日市の専業農家男性(70)は「パイプは地中にあるため、修復は簡単じゃない。ライフライン優先は分かるけど、農家にしてみればパイプも急いで復旧させてほしい」と話していた。

穂が出始めた勝山農産のもち米「わたぼうし」。水の供給ができず、武本一巳社長は不安顔だ=27日午後3時ごろ、刈羽村滝谷新田
2007年07月28日



9、心の傷、高齢者に色濃く…3年前の中越地震で被災者調査
新潟県中越地震(2004年10月)で被災した60歳以上の人は、若い人に比べ、抑うつ感など「心の傷」がいまも治りづらい状態でいることが、東京女子大の広瀬弘忠教授(災害心理学)らの調査でわかった。
 新潟県中越沖地震でも多くの高齢者が被災し、避難所生活を余儀なくされているが、広瀬教授は「高齢者の場合、ストレスが小さいように見えてもなかなか癒やされない。周囲が積極的にかかわるなど心のケアが大切だ」と提言している。
 広瀬教授らのグループは、中越地震で被災し、仮設住宅で暮らした経験がある長岡市(旧山古志村を含む)の20歳〜80歳代の住民112人を対象に、意識調査を行った。調査は05年から今年にかけて3回に分け、「なんとなく不安だ」「眠れない」など、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の判定にも使われる13項目の心理状況について質問した。
 その結果、初回調査時には、59歳以下の被災者の中で、PTSDの症状が「ある」と答えた項目は平均で3・11件だったのに対し、60歳以上は2・84件と少なかった。しかし今年2月の第3回調査では、59歳以下の被災者は平均2・33件と減ったのに、60歳以上は2・66件と、ほとんど変わらないことがわかった。
 特に「物事に無関心」「抑うつ感がある」など無力感や無気力に関する4項目については、59歳以下では減少したのに、60歳以上は、逆に0・57件から0・61件へと上昇していた。広瀬教授は「被災後に家の片づけや仕事などで活動できる若い人に比べ、高齢者は避難所での生活が長くなりがちで、心の傷が治りにくいようだ」と話している。
(2007年7月29日3時0分 読売新聞)



10、柏崎で被災した家屋21棟、6割がアスベスト含む建材使用
 新潟県中越沖地震の被災地で損壊した家屋の解体作業が本格化するのを前に、新潟県は28日、専門家に依頼してアスベスト(石綿)を使用した建材の実態調査を行った。
 日本石綿協会の平井良夫技術委員と県職員ら14人が、柏崎市内の3地区で被災した21棟の家屋を調べ、6割でアスベストを含むとみられる建材が見つかった。県は、解体時にアスベストを飛散させないよう解体業者などに注意を呼びかけることにした。
 平井技術委員は「アスベストの飛散対策で有効なのはぬらすことだが、水が不足しているのが気になった。建材を重機で割るなどせず、できるだけ分別してほしい」と話していた。
(2007年7月28日19時11分 読売新聞)


11、信越線柏崎−宮内、30日再開  日報
 中越沖地震のため不通となっていた信越線柏崎―宮内間について、JR東日本は30日の始発から運転を再開する。一方、柏崎市など被災地の家屋被害は県の調査(29日現在)で1万9000棟を超えた。同市は8月1日から、各課に分かれていた被災者の相談窓口を一元化し、生活全般の相談を受ける被災者相談所を開設する。

 JR東日本によると、運休していた快速「くびき野」を30日から長岡―新潟間で1往復運転する。同線柿崎―柏崎間と越後線柏崎―吉田間は、再開のめどが立っておらず、引き続き代行バス輸送を行う。

 損壊家屋の調査が進み、全壊が1024、大規模半壊は218、半壊は1223、一部損壊は1万6625となった。

 柏崎市の相談所は、市役所分館2階に設けられ、関係する部署の職員が常駐する。被災者の生活再建支援や住宅の応急修理、住宅から出た廃棄物の処分といった相談のほか、融資制度についても説明する。

 同市災害対策本部によると、地震発生から28日までに、同市と刈羽村の避難所から合わせて68人が病院に救急搬送された。発生直後は骨折や打撲などのけがが目立ったが、避難所生活の長期化に伴い頭痛やめまい、発熱などで運ばれる人が増えている。

 同市は31日、ごみ焼却場クリーンセンターの煙突の倒壊防止工事に着手する。解体工事の前に、内部にコンクリートを流し込み、倒れるのを防ぐ。8月5日まで行い、その後焼却炉の被害を確認する。
新潟日報2007年7月29日

2007年07月29日(日) 中越沖地震の記録 (19)

1、柏崎4号機、海水24トン放射線区域に ゴム製配管損傷 朝日新聞
2、中越沖地震:震源は巨大断層帯の一部か 原発の北数キロ  毎日新聞 
3、柏崎刈羽原発:圧力容器で放射能帯びた水漏れ 東電未公表  毎日新聞 
4、柏崎刈羽原発:事務棟の天井落ち通路ふさがる 東電未公表  毎日新聞 
5、震源と「鳥越断層」連続か、M8・0級地震の可能性も   読売新聞
6、震災の柏崎、配水本管10か所損傷…復旧大幅遅れ   読売新聞
7、柏崎刈羽原発事故、海外誤報に困惑…国と県が安全性PR  読売新聞
8、柏崎刈羽原発の復旧・点検、東電がスケジュール公表  読売新聞
9、刈羽の建物被害を新大調査 大規模液状化が要因  日報
10、社説:原発震災 リスク判定に情報徹底公開を 毎日

1、柏崎4号機、海水24トン放射線区域に ゴム製配管損傷 朝日新聞
2007年07月28日06時00分
 新潟県中越沖地震で、東京電力柏崎刈羽原発のタービン建屋内で、冷却用の海水を循環させるゴム製の配管が損傷し、海水約24トンが施設内に流れ込んでいたことが27日、わかった。放射線管理区域内への大量の海水流入は極めて異例という。東電は原因を究明し、管の設置基準や強度を再検討する方針だ。
 海水が漏れた区域に精密機器はないが、室内の塩分などの除去には時間がかかる見通しだ。
 東電によると、海水が流入したのは4号機の復水器水室。発電用タービンを回すために使った高温の蒸気を海水で冷やして、水に戻すための施設。
 損傷したのは、日本海から冷却用の海水を引き込むための配管。ゴム製(直径2.6メートル)で、取り入れた海水を復水器に送り込む手前部分で管の円周方向に長さ3.5メートルの亀裂が見つかった。破損の原因は不明だが、地震の揺れが影響したとみられる。修繕は終えており、海水の漏出は止まっているという。
 東電は床にたまった海水を排水した後、紙製のぞうきんで塩分などをふき取る作業を進める予定で、「原子炉関連の点検などを優先させているため対処が遅れている」としている。
 経済産業省の原子力安全・保安院によると、タービン建屋内の海水を引き込む管が損傷して海水が内部に漏れた事例は過去にもあるものの、劣化した管から少量漏れた程度だったという。
 柏崎刈羽原発では今回、1、3号機の原子炉建屋や固体廃棄物貯蔵庫など、本来は外部と遮断されているはずの放射線管理区域に、地震の揺れでできたとみられるすき間などから、雨水や消火用水が大量に流れ込むトラブルが相次いで発覚している。


2、中越沖地震:震源は巨大断層帯の一部か 原発の北数キロ  毎日新聞 
 新潟県中越沖地震の震源断層が、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)の北側数キロの地下で、原発北東側の内陸部にある鳥越断層とつながっている可能性があることが、東京大地震研究所の佐藤比呂志教授(構造地質学)らの研究で分かった。当初の想定より、断層が原発近くを通っている可能性があることを示す結果で、佐藤教授は「原発への影響を含め、地下構造を詳しく調べる必要がある」と指摘している。
 鳥越断層は、海岸線とほぼ並行に延び、断層面は海側に下がるように傾斜している。佐藤教授が周辺の地質構造を分析したところ、傾斜は地下深部で緩やかになり、今回の震源と推定される断層と連続している可能性があることが分かった。
 鳥越断層は、マグニチュード(M)8クラスの地震が起こる可能性が指摘されている長岡平野西縁断層帯(新潟市沖−小千谷市)の一部。南側には、同断層帯に属する片貝断層もあるが、佐藤教授は「片貝断層が地下でどこまで延びているかは不明で、調査が必要だ」と話している。【須田桃子、西川拓】
毎日新聞 2007年7月28日 6時30分
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070728k0000m040180000c.html


3、柏崎刈羽原発:圧力容器で放射能帯びた水漏れ 東電未公表  毎日新聞 

柏崎刈羽原発1号機の原子炉で起きた水漏れ 東京電力は27日、新潟県中越沖地震の揺れのために柏崎刈羽原発1号機の原子炉圧力容器から、放射能を帯びた水が周辺の作業用フロアにこぼれた可能性のあることを明らかにした。地震発生時、1号機は定期検査のために圧力容器のふたがあいていたためで、外部には漏れていない。あふれた水量は不明。この日、同原発を視察した社民党調査団が求めた現状報告に対して明らかにした。東電は事前に把握していたにもかかわらず、これまで公表していなかった。

 説明によると、1号機の燃料は検査に伴い、すべて使用済み燃料プールに移され、移動のためにプールと圧力容器をつなぐ水路が開けられていた。このため、両方の水に含まれる放射能は微量という。

 これまで、東電は全1〜7号機の使用済み燃料プールから水があふれたことを発表していた。しかし、1号機であふれた水の一部に圧力容器の水が含まれていることは未公表だった。

 東電は「隠そうとしたわけではない。すべての号機で作業用フロアに水があふれたのは使用済み燃料プールが原因となっており、説明がしやすかった。1号機の圧力容器とプールの水は同質だったため特に紹介しなかった」と説明する。

 元原子炉設計技術者の科学ライター、田中三彦さんは「圧力容器とプールの水の放射能レベルは同じかもしれないが、きちんと公表し、説明しないことは問題だ」と批判する。【田中泰義】

毎日新聞 2007年7月28日 3時00分


4、柏崎刈羽原発:事務棟の天井落ち通路ふさがる 東電未公表  毎日新聞 
 新潟県中越沖地震の際、東京電力柏崎刈羽原発(同県柏崎市、刈羽村)で、緊急時対策室がある事務本館の天井が、一部で落下していたことが27日、分かった。落下した天井板で通路がふさがれるほどの被害だったが、東電は公表していなかった。災害時の中枢機能の脆弱(ぜいじゃく)性が改めて明らかになった。
 事務本館は1号機の西南側にあり、1階に緊急時対策室、2階に総務部フロアがある。地震で2階通路の厚さ2センチの天井板が落下したが、けが人はなかった。また、緊急時対策室は入り口ドアが開かず、消防とのホットラインが使えなかった。
 東電はこれまで事務本館について「柱やはりに問題はなく、ガラス破損やひびが多数、ダクト落下」などと発表。だが、経済産業省原子力安全・保安院関係者は同社員から「平日に地震が起きていたら(落下した天井で)死者が出ていたかもしれない」と聞いたという。
 東電は保安院の指示を受けて26日に提出した改善計画に、09年度内をめどに「緊急時対策室の強化を図るべく、(事務本館の)耐震性などの信頼性評価を行い、設計に反映するとともに耐震補強などの工事を実施する」ことを明記した。
 同社は「建設後の調査で、事務本館は想定する最大級の地震にも耐えられる結果が出ていた。想定自体が甘かったことは認める」と話している。【関東晋慈、田中泰義】
毎日新聞 2007年7月28日 3時00分



5、震源と「鳥越断層」連続か、M8・0級地震の可能性も   読売新聞
新潟県中越沖地震を起こした海底断層が、越後平野南部にある「鳥越断層」と連続している可能性が高いとする解析結果を、東京大地震研究所の佐藤比呂志教授らが27日まとめた。
 政府の地震調査委員会は、鳥越断層を比較的活動度が高いと位置づけており、同断層を含む「長岡平野西縁断層帯」全体が活動した場合、マグニチュード8・0の大きな地震を起こす可能性があるとしている。今回、中越沖地震が起きたことで、鳥越断層周辺の詳しい調査が求められそうだ。
 佐藤教授らは中越沖地震の余震分布と地質構造などを分析、日本海海底下の北西深部から南東の地上方向に斜めにのびる震源断層の一部は陸域まで及び、鳥越断層と連続している可能性が高いとの結果を得た。
 長岡平野西縁断層帯は、新潟市の沖合から小千谷市にかけて南北方向に延びる長さ約83キロの断層帯で、複数の断層からなる。断層の一部は柏崎刈羽原発から10数キロの所にも走っている。
 17日の地震調査委員会では、今回の地震はこの断層帯が動いたものではないとしていたが、その後、断層の向きが当初の推定と逆だとする見解が出るなど、新たな状況になっている。
 地震研の平田直教授は「より詳細な検討が求められる」と話している。
(2007年7月28日3時7分 読売新聞)



6、震災の柏崎、配水本管10か所損傷…復旧大幅遅れ
 新潟県中越沖地震で被災した同県柏崎市で、水道の配水管のうち基幹となる3本の配水本管は、いずれも最新の耐震管に交換されておらず、約10か所に損傷のあることが27日、市ガス水道局の調べでわかった。
 配水本管の損傷が復旧の遅れの大きな原因になっているが、耐震管への交換を中心とした配水本管などの基幹管路の耐震化率は全国的にも11%(2006年3月)にとどまっている。ガス管についても柏崎では、耐震性の低い接合部で破損が相次いでおり、耐震化の遅れが被害を拡大させたといえる。
 同市では、市中央部の3か所の配水池から配水本管(最大直径80センチ以上)がそれぞれ延び、そこから枝分かれした細い配水管(直径5センチ以上)が各地区に網の目のように広がっている。
 配水本管の中でも損傷がひどいのが供給量の多い1本で、6か所の損傷が確認された。ほとんどが接合部分が外れる「抜け」だったとみられている。
 配水本管と配水管を合わせた破損個所は計約370か所にのぼっているが、細い配水管については約7年前から、古い管を中心に「抜け」防止のある最新の配水管への交換が進められ、耐震管に交換されていた配水管では抜けがなかった。
 これに対し、配水本管は80年代までに敷設されたもので比較的新しいため、耐震管への整備が行われていなかった。
 交換が進んでいないことについて、市は「浄水場の整備や計器類の更新もしなければならず、予算が追いつかない」としている。
 厚生労働省は2004年、基幹となる配管の耐震化率をおおむね10年後に100%とする目標を掲げ、自治体に推進を求めている。つなぎ目に余裕を持たせ、「抜け」を防止する「耐震型継手」を装着したダクタイル鋳鉄管、接合部を溶接した鋼管などを用途に応じて導入する必要があるとしている。
 一方、ガス管についても、市は、管を耐震性の低い鋼管からポリエチレン(PE)管への交換を進めている最中。被害はほとんど、交換前の管の接合部に集中していた。また、管内部の圧力が高く、PE管への交換ができないため、接合部の強度を高めてあるはずの中圧管の鋼管(口径300ミリ)でも接合部分で亀裂が見つかった。経済産業省原子力安全・保安院ガス安全課は「どの程度の力が、どう働いたか調べたい」としている。
         ◇
 柏崎市の水道復旧率は27日午後10時現在で90%となっており、約3800世帯は断水したまま。ガスの復旧率は柏崎、刈羽両市村で10%にとどまっている。
(2007年7月28日3時1分 読売新聞)


7、柏崎刈羽原発事故、海外誤報に困惑…国と県が安全性PR  読売新聞
 新潟県中越沖地震で発生した東京電力柏崎刈羽原発の放射能漏れ事故を巡り、新潟県、外務省などが、海外メディアによる過剰報道と風評被害に神経をとがらせている。
 外国の旅行会社に安全性をアピールする新潟県知事のメッセージを送ったり、現地の日本大使館を通じて報道機関に正確な情報提供を呼びかけたりするなど対策に乗り出した。
 放射能漏れトラブルが起きた今回の地震には、多くの海外メディアが関心を示し、東電には、日本に特派員が駐在するメディアを中心に、これまで20社以上から取材があったという。
 しかし、東電側が報道内容を確認すると、イタリアの通信社が19日にインターネットで流したニュースでは、放射能を含む水漏れの量が実際の30倍以上になっていた。米国の経済専門通信社が16日に「原子炉にひびが入った」と配信。この記事が17日付の米国の大手有力紙に引用され、その後、修正記事を流すという例もあった。
 東電は「専門知識が必要とされる分野だけに、丁寧に説明しても言語の違いからか、なかなか理解が得られない」(広報担当者)と困惑。新潟県の泉田裕彦知事も「日本全体が、まるで放射能の霧に包まれているかのような報道が海外でされている」と訴える。
 新潟県は、海外向けに安全性が証明されることを期待し、早い段階から政府には国際原子力機関(IAEA)の調査団の受け入れを求めるなど海外での風評被害防止に力を入れた。
 しかし、サッカーの親善試合のため来日する予定だったイタリア・セリエAのクラブが放射能漏れを理由に来日を取りやめたほか、韓国の外交通商省も、大地震を理由に被災地への旅行自粛を呼びかけた。
 県は、台湾や中国、韓国などの旅行会社に対し「地震の被害は限定的。上越新幹線や高速道路は通常通り利用できる」とアピールする知事メッセージを送付。海外メディアの在日特派員にも資料を送って安全性を強調している。
 外務省と経済産業省原子力安全・保安院も、全世界約130か国約190の在外公館に対し、各国の政府や報道機関に柏崎刈羽原発の正確な被害状況を説明するよう指示した。在外公館のホームページにも安全性をアピールする新潟県知事のメッセージ掲載を始めた。
 国土交通省も、2010年に海外からの旅行客を年間1000万人に増やすことを打ち出した政府の訪日旅行キャンペーン「ビジット・ジャパン・キャンペーン」への影響を懸念。独立行政法人「国際観光振興機構(JNTO)」の海外事務所を通じて、海外の反応や報道について調査するとともに、正確な情報提供を関係機関に呼びかけている。
(2007年7月28日3時3分 読売新聞)



8、柏崎刈羽原発の復旧・点検、東電がスケジュール公表  読売新聞
 東京電力は27日、柏崎刈羽原子力発電所の主要設備について、復旧・点検のスケジュールを公表した。
 6号機の原子炉建屋内にあるクレーンの駆動部が損傷したことを受け、1〜7号機のクレーンを8月12日までに調査・点検する。主排気筒に接続されているダクトについて放射能漏えいの有無などを調べる作業は8月17日に終了する予定。
 また、8月12日ごろをめどに、油漏れがあった3号機と6号機の低起動変圧器の補修作業を行い、消火配管を復旧させる。
 ただし、火災が発生した3号機の変圧器については、8月12日以降も詳細な点検を続ける。一方で、原子炉圧力容器内の点検時期は未定という。
          ◇
 一方、東電は同日、1〜7号機の原子炉建屋内にあり、原子炉を安全に停止させるための系統やポンプなどに電気を供給する非常用ディーゼル発電機について、起動試験を行った結果、定期検査中の1号機の1台を除く20台について健全性を確認できたと発表した。
 同発電機は原発で特に重要な機器に分類され、最も高い耐震性を有するように設計されている。
(2007年7月27日20時59分 読売新聞)



9、刈羽の建物被害を新大調査 大規模液状化が要因  日報
 中越沖地震で刈羽村刈羽のJR刈羽駅西側に大規模な液状化を伴う地滑りが発生し、住宅など建物被害の要因となったことが26日、新潟大災害復興科学センターの調査で分かった。
 同所は砂丘の末端部。調査によると、JR越後線とほぼ平行して走る道路沿い500メートル以上の区域で、道路片側の斜面が地震により液状化。砂が数十メートルから100百メートル近くも滑り落ちたほか、大きな段差を形成した個所もあった。そのため斜面側の建物基礎が斜面下方向に押され損壊したという。
 同所では中越地震でも液状化が発生し、多くの住宅が被災した。同センターの卜部厚志准教授は「液状化は繰り返し発生する可能性が高く、今回は中越地震よりも規模が大きい。復興の際には宅地の補強が必要だが、個人の力では限界がある」と指摘している。
2007年07月27日


10、社説:原発震災 リスク判定に情報徹底公開を
 新潟県中越沖地震による破損やトラブルはどこまで及んでいるのか。東京電力柏崎刈羽原発の点検結果が明らかになるにつれ、心配が増す。
 24日には6号機の原子炉の真上にある天井クレーンの損傷がわかった。原子炉を納めた圧力容器のふたの開閉や、核燃料の搬入に使われる重要装置だ。
 クレーン本体が落下したわけではないが、原子炉建屋内は原発施設の中でもっとも揺れに強く設計されているはずの場所である。そこで損傷が起きたことは見逃せない。万が一、クレーンが落下していたら、大事故につながった恐れもある。
 どういう揺れによってクレーンの破損が起きたのか、耐震設計に問題がなかったかなど、詳しい調査が欠かせない。
 こうした重要機器の破損が、地震発生から1週間以上たたないと明らかにならないことにも、住民は不安を抱くはずだ。これまで、電力会社のトラブル隠しが問題になってきただけに、揺れの詳細なデータなど、わかっている情報は迅速に公開すべきだ。
 それにしても、東電の地震に対する備えの甘さには驚く。変圧器で起きた火災を自力で消火する体制が整っていなかっただけではない。柏崎刈羽原発に備えられた地震計97台のうち63台のデータを消失した。データ容量が小さく、本震のデータの上に余震のデータが上書きされてしまったというからおそまつだ。
 これでは、地震の影響の解析にさしつかえる。同様のデータ消失は3月に起きた能登半島地震の際にも、北陸電力志賀原発で起きている。なぜ、その教訓に学んで直ちに対応しなかったのか。油断があるとしか思えない。
 さらに、根本的な問題として、地震を起こす活断層の過小評価がある。東電は原発建設前の調査で今回の地震を起こしたとみられる断層の一部を見つけていながら、耐震評価の対象からはずしていた。国は東電のこの判断を認め、原発の建設を許可していた。
 東電と国の両方に、地震に対する評価の甘さがあった。これでは他の原発の信頼性も揺らぐ。国は昨年、原発の耐震指針を改正しているが、過小評価が見逃されるようなシステムも見直さなければならない。
 消火体制の不備にしても、地震計の不備にしても、柏崎刈羽原発だけの問題ではない。活断層の過小評価も同様であり、全国の原発の点検を急いでほしい。
 国民の間には、地震のリスクの高い場所に原発を建設すること自体への疑問もある。中部電力浜岡原発のように、想定される東海地震の震源域の真上に造られた原発もあり、不安に思うのは当然だ。
 原発に「絶対安全」はなく、新しい耐震指針も想定外の地震による重大事故の可能性を認めている。そうしたリスクがどの程度なら許容できるかを最終的に決めるのは国民だ。そのためにも、電力会社や国は原発の耐震性について徹底した情報公開を行うべきだ。
毎日新聞 2007年7月26日 東京朝刊




2007年07月28日(土) 中越沖地震の記録 (18)

1、柏崎の「花街」ダメージ深刻  新潟日報
2、東電が風評被害拡大 知事、初期対応を批判  新潟日報
3、佐渡への宿泊客 キャンセル9259人  新潟日報
4、断層は西傾斜、国土地理院が発表 中越沖地震 朝日新聞
5、発耐震対策、周辺機器も補強・保安院、電力会社に要請方針  日経
6、災した柏崎市の商店街、56%の店が再開  日経7月27日
7、柏崎市、予算確保しながら災害用医薬品を発注せず 読売新聞
8、中越沖地震義援金、10億超す  新潟日報
9、西山町で食糧備蓄生かされず  新潟日報
10、プラント刈羽店 従業員数十人解雇へ  新潟日報
11、社説  原発の安全規制に独立機関を(7/27・日経)



1、柏崎の「花街」ダメージ深刻  新潟日報
 柏崎市の花街として栄え、1980年代には原発建設関係者でにぎわったという飲食店街「新花町」。中越沖地震で店舗がつぶれたり、傾いたりしたところも多い上に、ガスなどのライフラインの復旧が遅れ、一帯は深刻なダメージを受けている。閉店を余儀なくされた人もおり、店主らからは「不景気に追い打ちをかけられた」とのうめき声が漏れている。

 大きく傾いた店舗から木材が1つ1つはぎ取られていく。地震前、その建物で小料理屋を切り盛りしていた栗林真里さん(56)は閉店を決めた。

 「大家さんに建て替えの話も聞いたが、家賃が倍になるという。とてもやっていけない」。22年間も慣れ親しんだ店の変わり果てた姿に涙をこぼした。

 隣接する諏訪町なども含め、新花町一帯には100軒余りのスナックや割烹(かっぽう)、寿司店がひしめく。

 諏訪町でスナックを始めて40年の有坂ノブさんの店は損壊こそ免れたが、店内がめちゃめちゃになった。「開店当時、この辺の飲食店は10軒くらいだった。原発ができるようになって店がどんどん増えた」と思い出話にため息が交じった。原発景気が去った街に、今度は地震が追い打ちをかけた。

 店の多くは月末に仕入れなどの支払いを迎える。「日銭が全く入らない」と首を振るのは、新花町で割烹店を夫婦で営む池上春子さん(57)。借金返済に、家賃や各種保険の支払いも重なる。「店じまいも考えたけど、ほかに仕事もないよね」と笑ってみせた。

 自宅アパートも被災し、店内で寝泊まりしながら後片付けをするスナックの女性店主(66)もいる。開店のめどは依然として立っていないが、地震から1週間後に常連客が顔を見せたという。辛うじて難を逃れたビールを客が持参した氷で冷やして出した。

 「こんな時にって思ったけど、元気かって様子を見に来てくれたんだよね。そういう人もいるから店をやめるわけにはいかない」と女性店主は言う。

 日が暮れた新花町。通りは暗く人通りもないが、いくつかの店がネオンをともす。24日に営業を再開したスナックでは水道が復旧するまで、トイレの水をタンクで運んでいた。それでも、雇われ店主の佐藤マリンさんは笑顔で客を出迎えた。

 「地震で仕事がなくなったお客さんも来てくれた。みんなストレスがたまるけど、元気を出してほしいね」
新潟日報2007年7月26日


2、東電が風評被害拡大 知事、初期対応を批判  新潟日報
 泉田裕彦知事は25日の定例会見で、中越沖地震で発生した東京電力柏崎刈羽原発の放射能漏れなどによる風評被害について「初期のリスクコミュニケーション(情報の発信と説明)がうまくできていなかったことで、甚大な被害を被った」と東電の初期対応が被害を大きくしたとの認識をあらためて示した。
 東電の情報開示の手法について知事は「当初『放射能漏れはない』と言っておきながら、途中で訂正したり、事後的にさまざまな事実を出してくる。一連の対応が信頼を損ねている」と厳しく批判した。
 風評被害が世界的に広がっていることから、県は、外務省などを通じ本県観光の安全情報などの発信を始めた。在外日本大使館のホームページに県が作成した外国語の安心情報を掲載した。
 中越沖地震の特徴について知事は「中堅地方都市を襲った災害。中越地震のように橋やトンネルといったインフラよりも個人住宅の被害の方が深刻。地盤の液状化により、外見上は分からない宅地崩壊などの被害が大きい」と見解を述べた。
2007年07月26日



3、佐渡への宿泊客 キャンセル9259人  新潟日報
 佐渡観光協会は25日、中越沖地震による佐渡への7―9月の宿泊客のキャンセル数が延べ9259人に上るとの調査結果を公表した。
 調査は島内の旅館やホテル、民宿などの80施設を対象に行い、70施設から回答を得た。このうち60施設で宿泊客のキャンセルがあった。
 内訳は個人客が4987人、団体客が4272人。月別では7月が6048人、8月が2918人、9月が293人。
 同協会は「原発問題によるキャンセルが増えており、新たな予約も入らない状態」と話しており、月内にも首都圏などで誘客のラジオCMを始めることを計画している。
2007年07月26日



4、断層は西傾斜、国土地理院が発表 中越沖地震 朝日新聞
2007年07月27日09時56分
 国土地理院は26日、新潟県中越沖地震を起こした断層が二つあり、いずれも西に下がった逆断層と推定できると発表した。断層の上端部は東の陸地側となり、深さは約1.2キロと浅い。地震を起こした断層が、被害を受けた東京電力柏崎刈羽原発の、より近くにあった可能性が出てきた。
 断層の一つは長さ約12キロ、幅約10キロで、約1.5メートルずれた。もう一つは長さ、幅ともに約10キロで約1.4メートルずれた。二つは隣り合っていると考えられた。
 これまで政府の地震調査委員会は、余震分布などから東に下がった断層を推定していた。産業技術総合研究所の解析では、そこから分岐した断層があるとの見方も示されている。
 地理院は、地殻変動の観測結果をもとに二つの断層の存在を推定した。余震分布では、比較的浅いところに西に下がっていると判断できる成分もあり、地殻変動の観測と合わせて整合性がとれるという。
 8月8日開催の地震調査委員会で報告する予定。地理院の飛田幹男・地殻変動研究室長は「内陸の断層と違い観測点が少ないため、モデルの推定は難しく、議論になるだろう」と話している。
 一方、東京大地震研究所も26日、精密な余震観測をもとに、西に下がった断層の可能性があるとの見方を明らかにした。



5、発耐震対策、周辺機器も補強・保安院、電力会社に要請方針  日経
 経済産業省原子力安全・保安院は、新潟県中越沖地震で火災が発生した原子力発電所の変圧器など心臓部以外の周辺機器や施設について耐震補強工事を早期に実施するよう各電力会社に求める方針を固めた。8月から具体策の検討を始める。2007年度内にも各電力会社が工事に取りかかれるようにする考えだ。
 耐震強化対策の詳細は総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の専門委員会(委員長、班目春樹東京大学教授)で検討する。  7月27日



6、災した柏崎市の商店街、56%の店が再開  日経7月27日
 新潟県は27日、新潟県中越沖地震で被害の大きかった同県柏崎市の商店街で、25日までに56%の店舗が営業を再開したと発表した。今週に入り水道の復旧が急速に進み、再開店舗が増えた。地域住民の生活に欠かせない商店街も以前の姿を取り戻しつつある。
 JR柏崎駅北の商店街254店舗を調査した。9ブロックあるうち再開発が進んでいた五中会商店街の復旧が最も進んでおり、90%が再開した。アーケードが崩れた東本町2丁目商店街は21%の再開にとどまっている。



7、柏崎市、予算確保しながら災害用医薬品を発注せず 読売新聞
 新潟県中越沖地震で被災した柏崎市の災害用備蓄医薬品のほとんどが期限切れだった問題で、市が医薬品などの買い替え費約80万円を今年度当初予算に確保していながら、発注しないまま震災に遭っていたことが26日、わかった。
 備蓄担当の市防災・原子力課によると、少なくとも2002年以降、備蓄医薬品の使用期限の確認を怠り、06年夏、期限切れに気付いたが、「緊急に必要なものではない」として買い替えを見送った。
 今年3月末、今年度予算に買い替え費を確保した後、医薬品などの種類や量について、市医師会などに相談して購入リストを作成。今月9日には業者の見積書も出来上がって、発注するだけになっていた。
 しかし、同課では、震災翌日の17日に予定されていた中越地震の復興に関する県などとの意見交換会に向けた資料作りなどに追われ、発注したのは今回の地震から8日後の24日だった。このため、地震直後に避難所から「医薬品が欲しい」と複数の要請があったが応じられず、「避難所で用意してほしい」などと対応を任せていた。
 期限切れ医薬品の買い替えを急がなかったことについて、同課は「認識が甘かった」としている。市民からは「中越地震を経験しているのに、防災への意識が低い」と不信の声が上がっている。
(2007年7月27日3時2分 読売新聞)



8、中越沖地震義援金、10億超す  新潟日報
 中越沖地震の被災者支援のため、県災害対策本部、日本赤十字社県支部、県共同募金会に寄せられた義援金の総額が26日までに11億4400万円となり、受け付け開始から10日間で10億円を超えた。中越地震で同じ期間に集まった義援金の約17%にとどまっている。
 これまでに寄せられたのは県災害対策本部に5億900万円、日本赤十字社県支部に約5億円、県共同募金会に約1億3300万円。
 中越地震に比べて義援金額が少ないことについて県では「中越大震災ほど報道で大きく取り上げられていないことや、能登半島沖地震など災害が相次いだことも影響しているのではないか」としている。

 中越地震では約370億円の義援金が寄せられ、被災者に配分された。
新潟日報2007年7月27日



9、西山町で食糧備蓄生かされず  新潟日報
 柏崎市西山町事務所近くの倉庫に同市が備蓄していた約1000食分の乾パンが、中越沖地震発生直後に配られていなかったことが、27日までに分かった。同市防災・原子力課は「現場は備蓄を知らず、本庁は支援で届いた食料の配布を最優先した。連携が不足していた」と釈明している。

 同事務所によると、地震が起きた16日の夜は西山地域の12避難所に約2400人が避難。同課が送ったおにぎりなどが同事務所に到着したのは午後11時ごろ、避難所にはさらに数十分後に届いた。乾パンの備蓄を把握していれば、迅速な食料提供が可能だった。

 市は2006年、災害用備蓄品計約2万1000食分などを市内7カ所に分散保管。西山町事務所近くの倉庫には、毛布や缶入り乾パンなどを配置した。しかし同課が事務所に渡した備蓄品の記録に食料の記述がなく、現場の担当者は乾パンの存在を知らなかったという。

 16日から西山地域の避難所で暮らす無職女性(75)は「初日の夜はボランティアからおにぎりをもらったが、備蓄があるなら早く出してもらいたかった」と話した。
新潟日報2007年7月27日



10、プラント刈羽店 従業員数十人解雇へ  新潟日報
 総合ディスカウントストアのプラント(福井県坂井市)は26日までに、中越沖地震で被災した刈羽村の「プラント―5刈羽店」の一部従業員を解雇することを決めた。対象は地元採用者で、数十人に上る見通し。今回の地震による大規模な解雇が明らかになったのは初めて。
 同社は「解雇人数は詰めている段階」としているが、本社がある坂井市のハローワーク三国は「会社から約40人の解雇を来週にも届け出ると報告を受けている」としている。
 同社によると、解雇するのは同店の全従業員約220人のうち、生鮮食品売り場のパートやアルバイトら。店舗は21日から営業を再開しているが、生鮮食品売り場は、専用冷蔵庫や調理場、給排水設備が大きな被害を受けたため、閉鎖している。
 今回の決定について、同社は「生鮮部門は当面、再開できる見通しが立たない。売り場のパート、アルバイトは出勤しないと収入もないため解雇する。再開する場合は優先して再雇用したい」と話している。同じ売り場の正社員約10人は既に他店舗に異動したという。
 プラントは県内に4店舗を展開。刈羽店は中越地震直後の2004年11月に開店。売り場面積は1万7000平方メートルで、柏崎刈羽地区で最大規模。
2007年07月27日



11、社説  原発の安全規制に独立機関を(7/27・日経)
 地下は水浸しで、天井のクレーンは軸が折れていた。地震発生から10日が過ぎても、点検が進むにつれて、柏崎刈羽原発では新たな損傷やトラブルが次々に見つかっている。

 周辺の旅館やリゾート施設の予約キャンセルや、イタリアのサッカーチームの来日中止など、いわゆる風評被害もじわりと広がっている。原発の安全に第一義的な責任を持つのは、事業者である電力会社だが、国の安全規制当局が、安全確認やトラブル評価の情報をわかりやすく発信すべき時期ではないだろうか。炉心から放射能漏れはなく、原発の耐震性は実証された、などと繰り返しても、住民の安心は得られまい。

 使用済み燃料プールから水があふれるなど、リスク管理の常識を覆す事象も多い。圧力容器のふたを開けて、肝心の炉心の健全性を確認する作業も急がねばならない。

 今回の地震で学んだのは、監督官庁も電力会社も、原発に関する様々なリスクを過小評価しがちだという事実である。海底断層の評価、想定地震動の強さ、いずれも地震国日本の現実に比べてリスクを過小に評価してきたことは明らかだ。役所と事業者に一部学界まで巻き込んで、原子力分野は産官学ともに世間の常識とは少々ずれた仲間内の理屈、「ムラの論理」が随所に顔を出す。

 変圧器が炎上しても、使用済み燃料プールから水があふれても、クレーンが損傷しても、炉心が壊れて大量の放射性物質が周辺に飛散する最悪の事態にさえ至らなければ、原発は安全と言い切ってしまうのが、典型的なムラの論理といえる。

 私たちは日本の原発が健全にその役割を果たすために、安全規制を担う原子力安全・保安院が、原発推進役の経産省の傘下にあるという、矛盾した関係を解消するよう、提言してきた。推進と規制を同じ役所が受け持つのは無理がある。今回の地震でも、原子力安全・保安院は現地に10人近いスタッフを常駐させていたのに、その存在感は住民や国民に伝わっていない。安全規制機関にとって組織的独立は決定的に重要だ。

 リスク評価機関としての原子力安全委員会は、内閣府に設置されているが、人員が不足している。新潟県知事や柏崎市長が国際原子力機関(IAEA)の調査参加を希望したのは、安全委や保安院に対する国民の信頼度が低いことを示している。

 米国の原子力規制委員会は3000人を超す専門家を抱える独立機関で、フランスも昨年、安全規制機関を法的に独立させた。安全機関の独立は、原子力大国の要件ではないか。



2007年07月27日(金) 中越沖地震の記録 (17)

1、「救急隊到着待てない」ご近所連携で救出劇
2、柏崎刈羽原発再開「早くて来秋」 調査委員長が見通し
3、被災世帯へ独自の生活再建支援金 新潟県
4、柏崎原発、放射能漏出の恐れ13件も…5件は詳細不明 読売新聞
5、放射線管理区域に雨水30トン 地震ですき間 柏崎原発 朝日新聞
6、都市ガス復旧まだ5% 管に水、破損特定難航 柏崎  朝日新聞
7、環境省審、原発停止で温暖化ガス排出増を懸念  産経新聞
8、震源断層は2つ、柏崎原発より近くに…国土地理院が新分析  読売新聞
9、被災再び、刈羽村の住民悲鳴  新潟日報
10、被災廃材の石綿飛散に注意を  新潟日報
11、北陸道の完全復旧は1年半後  新潟日報



1、「救急隊到着待てない」ご近所連携で救出劇 
2007年07月24日17時49分
 新潟県中越沖地震で命を落とした11人の大半は倒壊家屋の下敷きになったためだった。一方で、大災害で救急隊の到着がままならない中、近所の人に救い出された命もたくさんあった。日ごろの「顔の見えるつきあい」が、連携ある救助劇につながっていた。
「おかげさまでばあちゃんは明日退院です」
 東京都からきた会社員近藤正人さん(53)は21日、菓子折りを手に刈羽村を回った。「命の恩人にお礼です」
 実家の古い木造一部2階建てが倒壊。一人暮らしの母、最子(さいこ)さん(79)が生き埋めになった。近所の人がすぐに家に呼びかけたが、最初は応答がなかった。
 寺に行く用事があったはず。農業小林秀俊さん(58)は小さい頃に最子さん宅と一日おきに風呂を交換して入ったようなつきあいだ。妻(53)も「どこでどうしているか大抵わかる」。だが、近所で手分けして寺に連絡してもいない。仲のよい先へも問い合わせ、来ていないと確認し、「やっぱり中にいるのでは」。
 1階はひしゃげてつぶれ、瓦屋根が地面まで届いていた。そばに住む会社員小林敏夫さん(59)が119番したが、救急隊は来る気配がない。
 200メートルほど離れた地区内から駆けつけた安沢弘さん(66)は「中に入るしかない」と自宅に戻ってヘルメットをとってきた。余震は怖い。覚悟を固めると、周囲の呼び掛けに最子さんの声が返った。不安定な屋根に数人で上がり、突入口をあけるために瓦をはがしはじめた。
 土木業を営む区長の加藤幸夫さん(63)が1キロ近く離れた機材置き場から小型重機に乗って加勢した。間もなく到着した救急隊が、すでに広がっていた穴から突入し、奥でうつぶせになっていた最子さんを助け出した。
 18歳までこの地で育った正人さんは「みんな親類みたいなもの。都会だったら、ここまでやってもらえただろうか」。
 柏崎市新田畑では決死の救出があった。
 崩れた木造2階建ての1階部分に足が不自由な阿部敏子さん(84)が取り残された。「ばあちゃん!」。浴室からはい出た孫の健一さん(37)がバスタオル1枚で必死で叫ぶのを聞きつけた近所の人たち20人前後が、声をかけあい集まった。
 裏の壁を数人がかりで壊した。そこへ通りかかった30〜40代ほどの男性2人が50センチ四方ほどのすき間から進入。5〜6メートル奥まではっていき、敏子さんを抱いて出た。
 健一さんは「再び崩れないか心配した」。進入路を支えるジャッキや懐中電灯……。必要なものを近所の人が自宅まで取りに走った。ジャッキを提供した高橋次雄さん(76)は「ただ助けたくて必死だった」。
 敏子さんは一時入院したが、軽傷で済んだ。健一さんが母聖子さん(60)と避難生活を送る車庫には、救出時に持ち寄られたのこぎりやバールが残る。「お礼かたがた、持ち主を探します」と健一さんは感謝する。
 「ご近所」による救出劇は、ほかにもみられた。柏崎市新花町では亡くなった中村エツ子さん(81)宅から男女2人が救出され、倒壊した隣家からも3人が助け出された。50人前後が協力しあった。原町の普光寺では崩れた山門の下敷きになった7人の救出に即座に数十人が集まった。
 柏崎市消防本部によると、地震による救出活動は27件。通報による捜索活動も含めると45件に上り、「手が回りきらなかった面があるのは否めない」と話す。
 消防士を40年経験し、救出現場を調査した日本防災士会の有我政彦さん(70)は「隣保共助(りんぽきょうじょ)という消防用語がある。大災害ですぐに動けるのは身近な人。その大切さを改めて実感した」と話す。



2、柏崎刈羽原発再開「早くて来秋」 調査委員長が見通し
2007年07月25日23時16分
 新潟県中越沖地震で想定外の揺れを受けて停止中の東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)について、経済産業省が今月にも設置する調査対策委員会で委員長に就任予定の班目(まだらめ)春樹・東大教授が25日、「1基の運転再開だけでも来秋までかかる。全7基が再開するには2年ぐらいは必要だ」との見通しを明らかにした。
 同原発は、6号機で原子炉建屋の天井クレーンの破損が見つかり、原子炉のふたを開けて中を点検できない状況だ。残る6基は、原子炉建屋のクレーンの点検に至っておらず、全機器の状況を調べるにはかなりの時間がかかるという。海域の断層調査にも相当の期間をとられる見込みだ。
 班目教授は、東海地震で想定される揺れの2〜3倍に当たる1000ガル(加速度の単位)に耐えられる補強工事が必要になる可能性も示した。現行の耐震設計の妥当性の検討なども踏まえると、運転再開は容易ではないとしている。



3、被災世帯へ独自の生活再建支援金 新潟県
 新潟県は25日、地震で被災した世帯への被災者生活再建支援法の適用を決めた。04年の中越地震と同じく、国の生活再建支援金に加え、県独自で最大100万円を上乗せする方針。住宅再建費用などで最大計400万円が支給される見込み。
 県から同法適用の報告を受けた国などは、住宅が全壊認定された世帯に最大で生活必需品の購入などの生活関係経費を100万円、住宅の解体など居住関係経費200万円を支給。大規模半壊の世帯に居住関係経費100万円を支給する。ただ、住宅の改築や補修には使えないため、県はこれに加えて、最大100万円を上乗せする。半壊世帯にも支給され、改築や補修にも使えるほか、必要な書類も少なく手続きも簡単になっている。
 泉田裕彦知事は「同じ私有財産である農地には補助金が投入されるのに、被災者の住宅に公金が入れられないのはおかしい」と国の制度を批判し、法改正や手続きの簡素化を求めた。【前谷宏】
毎日新聞 2007年7月25日 22時53分



4、柏崎原発、放射能漏出の恐れ13件も…5件は詳細不明 読売新聞
 新潟県中越沖地震で被害を受けた東京電力の柏崎刈羽原子力発電所で、放射性物質の放出につながりかねないトラブルが、実際の漏出2件のほかに13件あり、そのうち5件では詳細が依然としてつかめていないことが25日、東電のまとめでわかった。
 13件のうち、排気ダクトのずれや消火配管の破損による水の大量流れ込みなど6件は、同日現在、復旧作業に取りかかれていない。
 原子炉建屋内などの空気を吸い出して主排気筒に接続するダクトのずれが五つの建屋で見つかった。稼働中に被害を受ければ、放射能を帯びたガスの漏出が懸念される部分だが、高所にあるため余震発生の危険から足場を組んで直接点検ができず、今回の地震による放射能の有無など詳しい状況は確認できていない。
 また、1号機では、消火系配管の損傷で複合建屋地下5階の放射線管理区域を含む部分に最大2000トンの水が流れ込み滞留した。放射性物質の量は検出できないほどわずかだが、これほど大量の水は想定外で、排気ダクトのずれ5件とともに、復旧の見通しは立っていない。
 現実の放射能漏れは、これまでに2件確認された。地震の揺れで6号機の使用済み燃料プールからあふれた水の一部が非管理区域に漏れだし、最終的に微量の放射性物質が海に流出。7号機の排気筒からは、原子炉の緊急停止後の操作手順ミスで、微量の放射性物質が放出された。ただ、原発敷地内や放水口周辺に設置された監視装置では検出されておらず、いずれも人体に影響ない濃度に薄まっていたとみられる。
 使用済み燃料プールからの水漏れは全7基で発生し、24日までに4か所で除去が完了した。
 東電によると、主な目視による点検は終わり、より細かな部分の点検を現在進めている。同原発には約1200人の社員が常駐しているが、地震で自宅が被災した社員も少なくなく、「現在は600〜700人程度しか出勤できない状態」(東電広報)という。
 同原発では、これまでに、この13件や漏出の2件を含む計64件のトラブルが確認されている。64件中には、24日になって新たに見つかった6号機原子炉建屋のクレーン損傷もあるうえ、原子炉の炉心部分の調査は手つかずの状態で、被害の全容はつかめていない。
(2007年7月25日15時17分 読売新聞)



5、放射線管理区域に雨水30トン 地震ですき間 柏崎原発 朝日新聞
2007年07月26日21時26分
 新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原子力発電所は26日、新たにタービン建屋内部など4カ所に外部から水が計約30トン流れ込んでいることを確認した。地震で建屋の壁にすき間が生じたところに、25日夜から26日にかけて降った雨水が入り込んだとみられる。4カ所とも放射線管理区域で、本来はつながってはならない施設外部と直結していた。
 東電は、いずれの雨水からも放射能は観測されていないとしている。
 東電によると、雨漏りが見つかったのは、1号機のタービン建屋地下2階の低圧復水ポンプ室(雨水約12トン)▽3号機タービン建屋地下1階南側通路(同約0.12トン)▽固体廃棄物貯蔵庫地下1階(同約17トン)▽補助建屋地下1階(同約0.47トン)という。
 東電の調査では、1号機と3号機のタービン建屋内の雨漏りは、地震の揺れで建屋内部と外部の地中をつなぐ電線や配管の引き込み口にすき間ができて、そこから雨水が漏れてきたとみられる。タービン建屋には、原子炉でつくられた蒸気が循環する配管がある。
 一方、低レベル放射性廃棄物を貯蔵する固体廃棄物貯蔵庫と、管理区域内で使った作業服を洗浄する補助建屋の雨漏りについては、原因がわかっていない。固体廃棄物貯蔵庫では現在、13メートル四方の部屋の床面から約10センチの深さまで水がたまっている。補助建屋では幅約2メートルの通路で、長さ約21メートルにわたって深さ約1センチの水たまりができているという。
 東電は現在、たまった水の除去作業を進めており、「管理区域内なので、適切に処理したい」と話している。
 今回の雨水の流入で放射線管理区域と外部の直結が判明したことについて、東電は「管理区域内は低圧になっており、空気や放射性物質などが外部に漏れることはない」と説明している。
 新潟地方気象台によると、原発周辺は25日夜から26日朝にかけ、梅雨前線の影響でまとまった雨が降った。柏崎市では降り始めから26日午後2時までに48ミリの雨を観測した。




6、都市ガス復旧まだ5% 管に水、破損特定難航 柏崎  朝日新聞
2007年07月25日21時34分
 新潟県中越沖地震で最も被害を受けた柏崎市で、都市ガスの復旧作業が難航している。半数余りが回復した水道に対し、都市ガスの復旧率は約5%に過ぎない。管に大量の水が入り込んだ影響で、損傷部の特定に手間取っているためだ。県も復旧には「1、2カ月はかかる」とみて、病院などにプロパンガスを都市ガスに変換する大型装置を設置する準備に入った。
 同市の都市ガスは市営で、被害は約2万8000世帯。復旧には東京ガスなど全国から約1200人が支援に来ている。
 日本ガス協会などによると、損傷部を特定するには、ガス管に検査用の気体を注入し、それが漏れる部分を地上からセンサーで探知する手法を採る。だが今回は、ガス管に入った大量の水が破損部分をふさいでいるため、検査ができないケースが目立つという。
 管を埋設している地下約1.2メートル付近が地下水の多い砂の層で、あわせて地震で壊れた水道管から漏れた水が管内に流入したためとみられる。ポンプやバキュームカーなどでくみ出しているが、1日に6000リットルに及んだ所もあるという。
 同協会は「水が出なくなるまでくみ出し続けなければならないため、いつまでかかるという目安が立てにくい」という。
 04年の新潟県中越地震でも、小千谷市などで地下水がガス管に入り込んだが、傾斜地なので管内の水の流れが把握しやすくて対処が比較的容易だった。柏崎市は平地なので、水の流れ先が特定しにくいことも作業を難しくさせている。
 ガスの復旧が遅れていることについて、泉田裕彦知事も25日、「中越地震の時も2カ月かかった。かなり長期化が予想される」と指摘。病院や福祉施設などには、プロパンガスを変換して都市ガス用器具で使えるようにする装置を置く方針を明らかにした。すでに全国のガス事業者などから装置を取り寄せる準備を始めているという。
 一方、ボランティア団体も、集まった募金で簡易コンロを購入し、被災者に配っている。



7、環境省審、原発停止で温暖化ガス排出増を懸念  産経新聞
 経済産業・環境両省の合同審議会は25日、温暖化ガス削減に向けた政府の「目標達成計画」を見直すための中間報告案について議論した。複数の委員が新潟県中越沖地震の影響で、東京電力柏崎刈羽原子力発電所が運転停止となっていることに懸念を表明。不足する電力を火力発電などで補うことで、温暖化ガスの排出が大量に増えるとの声が相次いだ。

 原子力発電はほとんど温暖化ガスを排出しないため、政府計画でも重要視している。だが、柏崎刈羽原発で新たに4基停止し、日本の原発全55基のうち、18基が止まった。原発が一基停止すると国内の排出量を0.3%を押し上げるという試算もある。



8、震源断層は2つ、柏崎原発より近くに…国土地理院が新分析  読売新聞
 国土地理院(茨城県つくば市)は26日、新潟県中越沖地震は長さ約22キロにわたる二つの隣り合う断層が起こした可能性が高いとの分析結果を発表した。
 判明した震源断層は、他機関の分析とは逆に、北西側にずり上がるタイプだった。地理院が正しければ、断層から柏崎刈羽原発までの距離がさらに短くなる。
 国土地理院は、全地球測位システム(GPS)や人工衛星「だいち」がとらえた地殻変動などを詳細に分析し、震源断層の位置や傾きを推定した。
 その結果、長さ約10キロ、幅約10キロの範囲が約1・4メートルずれ、続いて南西側にある長さ約12キロ、幅約10キロの範囲が約1・5メートルずれたと推定できた。断層の上端部の深さは、一つめの断層面が約5・2キロ、二つめの断層面が約1・2キロだった。
 防災科学技術研究所などは、余震分布などを基に、南東側がずり上がり北西側が落ち込む断層と推定、柏崎刈羽原発の地下20〜25キロ付近にまで断層が達している可能性を指摘していた。国土地理院の分析によると、原発直下には達していないものの、もっと原発に近い、浅い所まで断層が延びていた恐れがある。
 分析結果は8月8日の政府の地震調査委員会で検討される。
 防災科研地震観測データセンターの小原一成センター長は「震源域は地下の構造が複雑で、震源の深さなどに不確定な要素が多い。断層を確定するにはさらに慎重な検討が必要だ」と話している。
(2007年7月26日20時36分 読売新聞)



9、被災再び、刈羽村の住民悲鳴  新潟日報

 中越沖地震で震度6強の激震に襲われた刈羽村。JR刈羽駅周辺の同村刈羽や十日市は特に被害が深刻で、応急危険度判定で「危険」の赤紙が張られた家屋が目立つ。両地区には2004年の中越地震で被災し、住宅や作業小屋などの補修に多額の費用を要した世帯も多い。「補修にいくらかかるのか」「行政の支援は?」。2度目の被災に住民からは悲痛な声が漏れている。

 応急危険度判定で「危険」とされたのは、同村刈羽が362戸のうち62戸、十日市が97戸のうち43戸。両地区合計で村全体の3分の1強を占める。

 両地区は農家が多く、広い敷地には住宅や作業小屋、土蔵など複数の建物が立つ。その多くが中越沖地震で全壊などの被害を受けた。

 同村刈羽の農業小林知正さん(81)の住宅は半分が崩れ落ちた。柱がむき出しで瓦が散乱する。小林さん宅は中越地震でも被災。その後、コンクリートで地盤を補強、傾いた家を修理していただけに、「やっと再建できたのに悔しい。どうしていいか分からない」と肩を落とし、行政の支援を切望する。

 同所の女性(65)も中越地震後に自宅の土台を補強し、床を張り直していたが、今回の地震で全壊した。「多額の費用をかけたのにやり切れない。うんざりだ」と力なくつぶやく。

 同村十日市の山沿いの一角。瓦や壁にブルーシートが掛けられた住宅が軒を連ねる。屋根をすっぽりシートで覆われた家もあり、被害の大きさを物語る。会社員で農業も営む近藤正弘さん(55)の家は中越地震後に傾いた柱を元に戻し、玄関の壁や廊下も新しく張り替えたが、再び損壊した。

 米の乾燥機がある作業小屋は全壊。業者からは小屋の撤去費用だけで、約100万円かかると言われた。「農家は自宅以外に作業小屋の撤去があり、費用が余計にかかる。耕作機械が壊れた人も多く、作業をやめる高齢者が増えるかもしれない。行政は小屋の再建費用も支援してほしい」と訴えた。
新潟日報2007年7月26日



10、被災廃材の石綿飛散に注意を  新潟日報

 中越沖地震の被災地で、倒壊した住宅の廃材処理や解体作業の際にアスベスト(石綿)を飛散させないよう、県は注意を呼び掛けている。

 県は26日までに、建物の損傷でアスベストが飛散する恐れがあったのは十日町市のビル1棟だけと確認。このビルは損傷場所を応急的にシートで覆い、周辺への飛散は避けられた。

 一方、一般住宅でも多く使われているアスベストが練り込まれたボードなどの建材は、破砕したりしなければ飛散を避けられる。

 業者には建材を破砕せず、袋に入れるなどして飛散を防ぐ処置が周知されているが、一般の人やボランティアが誤った方法で処理することが懸念されている。県環境対策課は「正しく処理をすれば飛散することはない。破砕などしないよう注意してほしい」としている。
新潟日報2007年7月26日

11、北陸道の完全復旧は1年半後  新潟日報
 東日本高速道路新潟支社は26日、会見を開き、中越沖地震で被災し、一部区間で片側1車線通行となっている北陸道の完全復旧が1年半後になるとの見通しを示した。今年8月の旧盆の期間のみ、暫定的に片側2車線を通行できるようにする方針。

 2004年の中越地震では、関越道の完全復旧までに約2年掛かった。

 中越沖地震では北陸道を中心に、高速道路の橋やトンネルなど土木構造物260カ所と、サービスエリアの建物など施設70カ所が損傷。26日現在、大積パーキングエリア―柿崎インターチェンジ(IC)間で、一部区間を除き片側1車線となっている。

 帰省ラッシュによる渋滞を緩和するため、8月11日までに応急的な舗装修復などを行い、片側2車線で通行可能にする。暫定復旧区間の制限速度は50キロ。同月20日以降に、再び通行規制を行い、工事を再開する。

 また、通行止めになった一般道路の迂回(うかい)路確保のため、長岡IC―能生ICを無料で通行できるようにした措置は、通行止めが解除されたが当面継続する。
新潟日報2007年7月26日




2007年07月26日(木) 中越沖地震の記録 (16)

1、中越沖地震で断層実態解明へ 文科省が16機関に補助金  朝日新聞
2、原発地質調査、手引き見直し 柏崎の事故受け29年ぶり
3、トヨタなど自動車全社が生産再開・リケン、通常稼働に戻る (7/25日経)
4、柏崎原発、放射能漏出の恐れ13件も…5件は詳細不明 読売新聞
5、地震のストレスに要注意「たこつぼ心筋症」患者3人が発生  読売新聞
6、新潟県を放射能の風評被害直撃、宿泊取り消し4万8千件  読売新聞
7、柏崎刈羽原発の内部公開、床の放射性物質ぬぐう作業続く 読売新聞
8、ボランティアもっと来て! 平日激減、片付けはかどらず 刈羽村 日報
9、取り壊し急がずに 「赤紙」住宅で県が注意喚起  日報
10、震動を増幅させる「なぎさ現象」
11、柏崎のインフラ 被害額91億円




1、中越沖地震で断層実態解明へ 文科省が16機関に補助金  朝日新聞
2007年07月25日18時42分
 中越沖地震の余震活動や震源となった断層の実態解明などのため、文部科学省は25日、大学や独立行政法人など16機関に科学研究費補助金を交付することを決めた。金額は2325万円。
 陸上や海底に臨時の地震観測点や全地球測位システム(GPS)観測点を設置し、震源断層と周辺の地質構造との関係の解明を進める。建物や斜面の状況や、地震が地域経済に及ぼした影響、救援活動なども調べる。
 一方、総合科学技術会議も、船から音波で海底の地下構造を探るなどの緊急調査研究を行うことを決めた。調査は産業技術総合研究所や海洋研究開発機構などが行う。



2、原発地質調査、手引き見直し 柏崎の事故受け29年ぶり
2007年07月25日17時47分
 新潟県中越沖地震で東京電力柏崎刈羽原発を想定外の地震動が襲った事態を受け、国の原子力安全委員会(鈴木篤之委員長)は、原発周辺の地質や地盤に関する安全審査の手引を、最新の研究成果を反映させて29年ぶりに見直すことにした。先に原発の耐震指針が改定されたが、原発の構造物を乗せる地質や地盤の「素性」を調べるための手引の改定は積み残しとなっていた。
 今回の地震では「断層の調査や評価が不十分だった」との指摘が相次いだ。地質調査の専門家らからは、海底断層の調査などについて、最新の手法や知見を反映させるため、早期の手引改定を求める声もあった。
 原発の耐震性は、影響が出そうな活断層を見つけ、想定される最大規模の地震でも大丈夫な設計だと確かめるのが基本だ。手引は、電力会社が申請する原発の設計計画について、原発周辺の特に地質と地盤の安全審査の道筋を示している。例えば、敷地中心から少なくとも半径30キロ以内の陸地で航空写真や地表の踏査などで調べるよう具体的に求めている。
 昨年9月に改定された原発の耐震指針を補完する、いわば安全審査の手順書。手引ができたのは旧指針と同じ78年。指針が5年近い激論の末に改定され、並行して進めようとしていた手引の見直しまで及ばなかった。
 今回の地震では、東電が同原発を建設するため79、80年に実施した海底調査で見つけた4本の断層のうち、1本が動いた可能性が指摘されている。東電はこの断層を地震につながる活断層ではないと判断していたが、地震後、この断層が動いた可能性を認め、調査などへの疑問が噴出した。
 また、改定された新耐震指針で安全性を調べ直すため、東電は今春まで地質調査をしたが、海底断層の実地調査が入っておらず、「おざなり調査」との批判も出た。甘利経済産業相も24日の記者会見で「海の部分の把握の状況が甘かったということなら、国の確認の対応が不十分だったと思う」と述べている。



3、トヨタなど自動車全社が生産再開・リケン、通常稼働に戻る (7/25日経)
 新潟県中越沖地震で被災した部品大手リケンが通常稼働に戻ったことを受け、トヨタ自動車やスズキ、富士重工業など完成車メーカー各社は25日午前、操業を休止していた工場を再開した。ホンダの軽自動車生産ラインが生産休止を継続しているが、これを除くと自動車メーカー12社全社の工場が生産再開したことになる。

 トヨタは同日午前、グループ28工場すべてで生産を再開。19日から休止していたスズキは湖西工場(静岡県湖西市)など3工場すべてで生産を始めた。群馬製作所(群馬県太田市)で軽自動車の生産ラインを休止していた富士重も全面的にラインが稼働した。

 ホンダは主要生産拠点での生産はすでに再開している。ただ、軽を生産委託している八千代工業四日市製作所(三重県四日市市)とホンダの熊本製作所(熊本県大津町)ではリケンからの部品供給が間に合わず、25日午前も生産休止を継続した。



4、柏崎原発、放射能漏出の恐れ13件も…5件は詳細不明 読売新聞
 新潟県中越沖地震で被害を受けた東京電力の柏崎刈羽原子力発電所で、放射性物質の放出につながりかねないトラブルが、実際の漏出2件のほかに13件あり、そのうち5件では詳細が依然としてつかめていないことが25日、東電のまとめでわかった。
 13件のうち、排気ダクトのずれや消火配管の破損による水の大量流れ込みなど6件は、同日現在、復旧作業に取りかかれていない。
 原子炉建屋内などの空気を吸い出して主排気筒に接続するダクトのずれが五つの建屋で見つかった。稼働中に被害を受ければ、放射能を帯びたガスの漏出が懸念される部分だが、高所にあるため余震発生の危険から足場を組んで直接点検ができず、今回の地震による放射能の有無など詳しい状況は確認できていない。
 また、1号機では、消火系配管の損傷で複合建屋地下5階の放射線管理区域を含む部分に最大2000トンの水が流れ込み滞留した。放射性物質の量は検出できないほどわずかだが、これほど大量の水は想定外で、排気ダクトのずれ5件とともに、復旧の見通しは立っていない。
 現実の放射能漏れは、これまでに2件確認された。地震の揺れで6号機の使用済み燃料プールからあふれた水の一部が非管理区域に漏れだし、最終的に微量の放射性物質が海に流出。7号機の排気筒からは、原子炉の緊急停止後の操作手順ミスで、微量の放射性物質が放出された。ただ、原発敷地内や放水口周辺に設置された監視装置では検出されておらず、いずれも人体に影響ない濃度に薄まっていたとみられる。
 使用済み燃料プールからの水漏れは全7基で発生し、24日までに4か所で除去が完了した。
 東電によると、主な目視による点検は終わり、より細かな部分の点検を現在進めている。同原発には約1200人の社員が常駐しているが、地震で自宅が被災した社員も少なくなく、「現在は600〜700人程度しか出勤できない状態」(東電広報)という。
 同原発では、これまでに、この13件や漏出の2件を含む計64件のトラブルが確認されている。64件中には、24日になって新たに見つかった6号機原子炉建屋のクレーン損傷もあるうえ、原子炉の炉心部分の調査は手つかずの状態で、被害の全容はつかめていない。
(2007年7月25日15時17分 読売新聞)



5、地震のストレスに要注意「たこつぼ心筋症」患者3人が発生  読売新聞
 新潟県中越沖地震の被災地で、精神的ストレスで発症しやすい心臓病「たこつぼ心筋症」の患者が3人発生したことが25日、相沢義房・新潟大医学部教授(循環器内科)の調べでわかった。
 2004年の中越地震直後にも多数の患者が発生しており、相沢教授は「息苦しさや鈍痛など胸に異常を感じたら、すぐ循環器専門医の診断を受けてほしい」と注意を呼びかけている。
 たこつぼ心筋症は、心臓から血液を送り出す際、左心室の下部がふくらんだまま収縮しない病気で、左心室がたこつぼのような形にみえる。血流不足で胸の痛みや圧迫感が続く。約1か月ほど入院して安静にしていれば治るのが普通だが、原因がわからない突然死の中に、たこつぼ心筋症が含まれる可能性も指摘されている。
 心筋梗塞(こうそく)と違って血管に異常はなく、発症原因は不明だが、様々な精神的ストレスで発症しやすく、患者は高齢女性に多い。1990年に日本で最初に報告された。中越地震発生後3週間で、被災地で25人(うち女性24人)の患者が発生したことが相沢教授らの調査でわかり、広く注目されるようになった。
 相沢教授によると、今回の地震では、発生から1週間以内に柏崎市内の病院で3人の患者が確認された。全員が高齢女性で、入院して安静状態にある。
 今のところ、中越地震後ほど患者は多くないものの、相沢教授は「避難した住民同士で口論などして、ストレスをためないでほしい」と話している。
(2007年7月25日14時45分 )



6、新潟県を放射能の風評被害直撃、宿泊取り消し4万8千件  読売新聞
新潟県中越沖地震で起きた東京電力柏崎刈羽原子力発電所の放射能漏れが、観光地に風評被害を広げている。夏のかき入れ時を迎えた県内の旅館やホテルのキャンセルは地震後5日間だけで4万8000件(県市長会、町村長会調べ)にのぼり、その後も事態は深刻だ。観光業者らは「人体に影響がない」と、安全性のアピールに懸命だ。
 「魚のアメ横」で知られる長岡市・寺泊。被害の大きな柏崎市から約35キロ離れているが、いつもなら新鮮な海の幸を求める観光客でにぎわう「魚の市場通り」は閑散としている。「割烹の宿 山長」では17日からの1週間で予約客240人全員がキャンセル。店主の大倉英雄さん(55)は「物的被害は時間がたてば直るが、原発がらみの風評は我々にはどうすることもできない」とこぼす。
 柏崎市内の海水浴場15か所では海の家のほとんどが通常通り営業しているが、客はまばら。柏崎観光協会によると、海水浴客は、市内の年間観光客380万人の約4分の1を占める。自宅が全壊した佐野共恵さん(64)は、鯨波海水浴場で経営する海の家に泊まり込んで客を待つ。「やるしかないからね」と、佐野さんはため息をつく。
 風評被害は広範囲に及び、柏崎市の北約130キロの村上市・瀬波温泉の旅館「汐美荘」でもキャンセルが1000人を超えた。福田修支配人は「県外の旅行会社を回ってもなかなか理解が得られない」という。佐渡島の旅館「八幡館」も560人が予約をキャンセル。内陸の湯沢町でも、地震後4日間の宿泊取り消しが2700人。町によると、「なんとなく怖い」という声が多いという。
 東京電力、県の調査では、柏崎刈羽原発から海に漏れた放射能の量は約9万ベクレル。橋本哲夫・新潟大名誉教授(放射化学)は「ラドン温泉9リットルにしか相当せず、人体への影響は全くない」と話す。
 民宿などで数千件のキャンセルがあった上越市の木浦正幸市長は24日、長野県庁などを訪れ、市内の海水浴客70万人の半数を占める長野県民に「来てもらうことがボランティア活動」と訴えた。佐渡市観光協会も、福島、長野県のラジオ局に「佐渡は安全」とCMを出すなど対策に追われる。
(2007年7月25日15時21分 読売新聞)



7、柏崎刈羽原発の内部公開、床の放射性物質ぬぐう作業続く 読売新聞
 新潟県中越沖地震で、放射能を帯びた水の漏出を起こした東京電力柏崎刈羽原子力発電所6号機の作業フロアが25日、地震後初めて報道陣に公開された。
 公開された作業フロアは、地震による揺れで水があふれた使用済み燃料プールのいわばプールサイド。びしょぬれだったフロアは、23日までにふき取りを完了。ふき取った水を詰めた袋が片隅にまとめられ、10人ほどの作業員が、床にこびりついた放射性物質をぬぐう作業を続けていた。一部が折れて動かないクレーンなど、傷だらけになった施設の現状も公開され、定期点検を終えて今月末に稼働する予定だった6号機の運転再開までの、遠い道のりを感じさせた。
2007年7月25日13時47分



8、ボランティアもっと来て! 平日激減、片付けはかどらず 刈羽村 日報
 中越沖地震で被災した刈羽村でボランティアが不足している。週末には県内外から300人前後が訪れたが、平日は3分の1に激減。家屋の片付けが進むとボランティアがさらに必要になるのは確実で、同村災害ボランティアセンターは協力を呼び掛けている。
 地震後、初の週末に刈羽村を訪れたボランティアは21日が263人、22日が350人だったが、週明けの23日は90人、24日は113人にとどまった。ボランティアは家屋の片付けも手伝うが、人手が足りず、5人の要請があるところを3人にするなど、人数を絞って派遣している。
 一方、柏崎市では週末の21日に671人、22日に886人が集まった。23日は500人を割り込んだが、24日には県外からのボランティアグループが多く参加し、週末並みの627人を確保。「きちんと対応できているが、日によって変動があり動きがつかめない」(市社教)という。
 刈羽村災害ボランティアセンター本部長の広川武司・同村社会福祉協議会長は「刈羽村も被災家屋が多く、片付けが進むと今後活動が本格化してくる。平日にもぜひ参加して」と呼び掛けている。問い合わせは同センター、0257(45)2316。 
2007年07月25日



9、取り壊し急がずに 「赤紙」住宅で県が注意喚起  日報
 中越沖地震の被災住宅の応急危険度判定で立ち入り危険の「赤紙」を張られた住宅約5000戸について、補修すれば住める場合でも急いで取り壊しを決める被災世帯が出ているとして県は24日、「赤紙は全壊認定とは違う。取り壊す前に、専門家や行政窓口に相談を」と緊急の呼び掛けを始めた。
 応急危険度判定は、全壊や半壊を決める被害認定とは異なり「かわらやエアコンが落ちそうといった要因で赤が張られることもあり、補修すれば住める家もある」(県対策本部)。しかし、現地調査をしている新潟大のスタッフから「赤紙を張られたので取り壊そうという被災者がいる」と連絡が入ったという。
 中越地震、能登半島地震でも赤紙が張られたため、補修できた家を壊したり、被害認定前に取り壊して「り災証明」作成に難渋したりするケースがあった。県では早合点しないよう注意喚起している。
 相談窓口は柏崎市役所第2分館や刈羽村生涯学習センター「ラピカ」に設けられている。
2007年07月25日



10、震動を増幅させる「なぎさ現象」
 中越沖地震で震動を増幅させる「なぎさ現象」が発生したとされる柏崎市東本町などの地域では、石などを基礎にした古い木造建造物の「大破率」が他地域に比べて高いことが24日、新潟大災害復興科学センターの高浜信行副センター長らの調査で分かった。しかし、比較的新しい住宅は東本町などでも被害が少なく、同センターは「耐震基準を満たせば、なぎさ現象にも強い」と指摘している。
 同センターは(1)同市栄町など海岸近くの砂丘地(2)東本町や西本町など「なぎさ現象」地域(3)JR柏崎駅前地域―の3地域で木造の約860棟を調査、被害を比較した。
 調査では、建築基準法改正で耐震基準が強化された1981年以前の建築と、それ以後の建築で建物の新旧を区別したほか、コンクリートによる「布基礎」と、石などの上に柱を置いた「直接基礎」ごとに分類。それぞれ外壁の傾きや損壊割合が高い建物の件数から地域ごとの大破率を算定した。
 その結果、同市東本町2と同町3での大破率は、旧住宅(直接基礎)が55%、旧住宅兼店舗(同)が63%に上った。(2)の地域の平均では旧住宅(同)36%、旧住宅兼店舗(同)24%、同(布基礎)10%だった。
 (1)の地域でも旧住宅(直接基礎)は21%となったが、布基礎の旧住宅や新住宅は大破率が低く、(3)の地域はすべての分類で5%未満だった。
 「なぎさ現象」は水を入れたバケツをたたくと波紋が縁の部分で盛り上がるように、地下の固い地盤が盆状のとき、盆の縁部分の地上が大きく揺れる現象。
 同センターは「普通は(3)のような沖積層地域で被害が大きくなるが、今回は砂丘上の被害が大きいという特徴がある」と指摘している。
2007年07月25日



11、柏崎のインフラ 被害額91億円
 柏崎市は、24日現在の主なインフラの被害総額が91億5800万円に上ると発表した。内訳は道路、橋りょう、河川、公園の計1427カ所と、公共下水道の約30キロ。
 仮設住宅の建設が始まった刈羽村では同日までに67件の申し込みがあった。柏崎市では26日から申し込みを受け付ける。
 菅義偉総務相は同日、被災地に入り、東京電力柏崎刈羽原子力発電所などを視察、泉田裕彦知事、会田洋柏崎市長とそれぞれ面談した。菅総務相は同原発が消火に手間取ったことに触れ、「原発と消防のホットラインがうまく機能しなかった。あらゆることを想定して連携を強めるなどを準備しておく必要がある」と述べた。
 柏崎市は同日、同市中浜2の3世帯9人に対して、宅地周辺の擁壁が崩壊し、家屋倒壊の危険性が高まったとして避難勧告を出した。同市内で指示・勧告が出されているのは、11地区の126世帯352人となった。
 都市ガスは同日午後9時現在、同市と刈羽村で復旧率は4・6%にとどまり、2万9000戸あまりが復旧していない。
 柏崎市の水道は同日午後9時現在、59・3%にあたる2万3864戸で復旧したが、1万6000戸あまりで断水が続いている。
2007年07月25日




2007年07月25日(水) 中越沖地震の記録 (15)


1、備蓄医薬品33種類、32種類は期限切れ 柏崎市 朝日新聞
2、柏崎刈羽原発:天井クレーン部破損 原子炉建屋内で 経済新聞
3、海底断層などの緊急調査実施へ
4、主断層と分岐断層動く 産業技術研が解析
5、中越沖地震 震災掲示板…生活・救援情報こちらへ   読売新聞
6、新潟県知事、首相に激甚災害の早期指定など要請  産経新聞
7、社説1 原発安全の駆け込み寺でないIAEA (7/24経済新聞)
8、原発被害調査  「世界の目」でより厳格に [新潟日報7月24日(火)]
9、白波、あふれる水…使用済み核燃料プールの映像公開 朝日新聞
10、柏崎市、水道復旧に遅れ  経済新聞
11、2つ目の断層確認…地面沈下の原因か   読売新聞



1、備蓄医薬品33種類、32種類は期限切れ 柏崎市 朝日新聞
2007年07月24日18時37分
 新潟県中越沖地震で被災した柏崎市で、市が災害用に備蓄していた薬や医療器具などの医療品の大部分が、使用期限切れで使えない状態になっていることが分かった。市は医療品を購入した02年以降、期限の確認を怠っていた。このため今回の地震では、発生時に避難所から受けた要請に対応できなかったという。
 市防災・原子力課によると、市は02年6月までに消毒薬や風邪薬、鎮痛剤など33種類の医薬品を購入し、市健康管理センターに備蓄。うち精神安定剤をのぞく32種類の使用期限が切れていた。聴診器、電子体温計、血圧計など8種類の医療器具のうち、体温計と注射器も使用期限が切れていたという。
 同課の職員が昨年に点検した際、期限切れに気づいていたという。市は医薬品を更新するため今年度予算に80万円を盛り込んでいたが、購入前に地震が発生した。今回の地震を受け、24日朝に業者に発注したという。
 災害時の備蓄品については、市が策定する地域防災計画に定められている。市は更新を怠っていたことについて、「食料品などの防災備蓄品の点検に気がとられ、医薬品まで気が回らず失念してしまった。反省している」と話している。




2、柏崎刈羽原発:天井クレーン部破損 原子炉建屋内で 経済新聞

継ぎ手部分が破断し、本来の位置からずれたクレーンの車軸=東京電力提供 東京電力は24日、新潟県中越沖地震に襲われた柏崎刈羽原発6号機(新潟県刈羽村)で、原子炉の真上にある天井クレーン(重さ約310トン)の鋼鉄製部品が破断していたと発表した。クレーンは原子炉圧力容器のふたの開閉などに使うもので、経済産業省原子力安全・保安院は原子炉等規制法に基づく安全上重要な機器の故障に当たるとしている。地震でこうした重要機器が損傷したと分かったのは初めて。耐震設計上の揺れの想定の甘さや被害の深刻さが改めて浮き彫りになった。

 修復が終わるまで原子炉のふたは開けられないため、6号機の炉心の点検作業開始は大幅に遅れる見通しとなった。

 クレーンは原子炉建屋の4階に設置されている。左右の壁の上部に取り付けられたレールの上を車輪で移動する構造をしており、幅約35メートル、奥行き12メートル、高さ6メートル。

 破断したのは、車輪にモーターからの動力を伝える車軸のつなぎ目にある「継ぎ手」と呼ばれる部品。鋼鉄製で、太さ約5センチ。2本の車軸で継ぎ手が計2個破断した。

 4階の床下には原子炉圧力容器のふた(重さ約90トン)部分や、使用済み核燃料プールがあり、クレーンは核燃料の交換にも使う。

 24日午前10時半ごろ、クレーンの点検準備をしようとした東電と原発メーカーの社員が、継ぎ手の一部が破断し、つなぎ目がずれているのを見つけた。

 国の耐震指針は、クレーンの耐震上の重要度を4段階のうち下から2番目の「Bクラス」とし、建築基準法の定める地震力の1・8倍でも破断などが起きないことを要求。さらに、地震でもクレーン本体が落下しないことを要求している。

 東電は6号機の原子炉建屋について、原子炉圧力容器以外は建屋内の点検をほぼ終え、外観上、機器に異常はないとしていた。しかしこのクレーンは、4階の床が放射能を含んだ水で汚染されていたため、点検できていなかった。6号機以外の原子炉6基の天井クレーンは25日から点検を始めるという。地震時、6号機は定期検査中で、稼働していなかった。

 保安院は「クレーン本体が落下したわけではなく、原発の基本的な安全性は保たれていると考えている」と話している。【高木昭午】

 ◇大事故の可能性

 ▽京都大原子炉実験所の小出裕章助教(原子核工学)の話 使用中に地震が来ていたら、大事故につながった可能性がある。燃料が落下すれば、破損して放射能漏れにつながるし、使用済み核燃料プールに重いものが落下すれば、燃料を納めたラックが破損して、臨界事故になる可能性もある。想定外の危険がどの程度あるのか、国や電力会社は早急に明らかにすべきだ。

毎日新聞 2007年7月24日 21時24分 (最終更新時間 7月24日 22時20分)



3、中越沖地震:海底断層などの緊急調査実施へ
 政府の総合科学技術会議(議長・安倍晋三首相)は24日、新潟県中越沖地震の震源域周辺で、海底断層などの緊急調査を実施することを決めた。今年度の科学技術振興調整費を使い、産業技術総合研究所や東京大など5機関が実施する。
 計画では、音波探査で震源域海底の活断層の分布を調べ、中越沖地震との関係を解明。海域と陸域の地下構造調査や、津波を起こした「波源」の位置などを調査する。今回の地震発生との関係が指摘される日本海東縁部の「ひずみ集中帯」では04年に中越地震も発生しており、ひずみ集中帯の断層の評価手法確立も目指す。【下桐実雅子】
毎日新聞 2007年7月24日 20時54分



4、中越沖地震:主断層と分岐断層動く 産業技術研が解析
 産業技術総合研究所(茨城県つくば市)は24日、新潟県中越沖地震を起こした断層モデル(第1報)の解析結果を発表した。主断層と、それから枝分かれした「分岐断層」の二つが動いたと見られるという。
 現地調査や国土地理院の地殻変動データなどを基に分析した。主断層については、上縁が海面下約5キロにあり、北東−南西方向に延びた長さ約23キロ、幅約11キロの逆断層と推定。陸側の地盤が北西方向に約1.5メートルせり上がったとみられる。
 分岐断層は、上縁が海面下約200メートルにあり、北東−南西方向に延びた長さ約10キロ、幅約10キロの逆断層と推定。海側の地盤が南東方向に約70センチせりあがったとみられるという。【石塚孝志】
毎日新聞 2007年7月24日 21時54分


5、中越沖地震 震災掲示板…生活・救援情報こちらへ   読売新聞
 読売新聞は新潟県中越沖地震の被災者、支援者向けに「震災掲示板」を設けました。生活・救援関連情報などをお寄せ下さい。〒100・8055(住所不要)読売新聞東京本社 震災掲示板取材班へ郵送、ファクス03・5200・1889、電子メールshinsai@yomiuri.comで。必ず住所、氏名、問い合わせ先電話番号を記入してください。なお、掲載した情報は事情により変更される可能性もあります。電話番号がある場合は電話で確認してください。
ライフライン
 
【水道】
 新潟県柏崎市では全体のほぼ半数の約1万8500戸、刈羽村では97%に当たる約1300戸で、それぞれ断水が続いている(24日正午現在)。
 
【ガス】
 柏崎市と刈羽村では、倒壊家屋などを除いた復旧対象の戸数のうち、98%に当たる計約3万戸で、都市ガスの供給が停止している(24日正午現在)。
交通

 【鉄道】
 信越線は柿崎―宮内間で運休が続いている。代行バスは柿崎―柏崎間(上下各12便、うち上下各1便は直江津―柏崎間)、柏崎―長岡間(上下各13便、直行便上下各14便)で運行。信越線の不通区間を通る特急、急行は、今月末まで全区間で運休する。
 越後線は柏崎―吉田間で運休、代行バスは出雲崎―吉田間(上り11便、下り12便)で運行。柏崎―出雲崎間は道路事情で、代行バスは運行していない。
 
【道路】
 国道352号は、柏崎市椎谷―大崎間、同市大湊の2か所で通行止め。国道405号は、長野県栄村で通行止め。村道が迂回(うかい)路となる。国道8号は通行が可能になったが、復旧工事に伴う混雑を避けるため、当面は迂回路として北陸道・能生―関越道・長岡インターチェンジ(IC)間の通行が無料。ただし同区間外のICとの間を通行した場合、無料措置は適用されない。
 北陸道の一般車両は柏崎市内の混雑を避けるため、午前6時〜午後8時は柏崎ICから出られない。
救援
 
【義援金受け付け】
 ▽読売光と愛の事業団=郵便振替00190・8・72319。通信欄に「中越沖地震」と記入。問い合わせは同事業団(03・3216・4921)。物資は受け付けていない。
 ▽新潟県災害対策本部=郵便振替00580・3・7。第四、北越、大光、みずほ、三菱東京UFJ、三井住友、住友信託、みずほ信託の各銀行と新潟県信連、新潟県労働金庫、新潟信用金庫。問い合わせは県出納局管理課(025・280・5484)。
その他
 
【災害状況地図】
 新潟県は、地理情報システム(GIS)を用いて、中越沖地震の被災状況や水道、ガスなどの復旧状況を集約したデジタル地図を作り、県のホームページ上で公開を始めた。被災地域の住民や支援活動にあたるボランティア団体、防災機関などの間で情報共有を図ることが目的。
 京大防災研究所など研究機関と、測量・IT関連企業でつくる「にいがたGIS協議会」などの団体の協力で運営される「復旧・復興GISプロジェクト」の一環。全体図に加え、柏崎市や刈羽村など自治体ごとの市街図の上で、道路の通行規制や下水道、公園、公営住宅や電気通信の被災・復旧支援状況などが一目で確認できる。アドレスは次の通り。http://chuetsu-gis.jp/20070716/
 
【柏崎市の採用試験】
 柏崎市は、今月29日に2008年度4月採用予定職員の採用試験(大学・短大卒程度)を、予定通り市立第一中学校で実施する。試験開始は午前9時15分。対象職種は一般事務、建築、電気技術、保育士で、約180人が受験予定。市人事課(0257・21・2330)。
( 2007年7月24日 聞 読売新)



6、新潟県知事、首相に激甚災害の早期指定など要請  産経新聞
安倍晋三首相は24日午前、首相官邸で新潟県の泉田裕彦知事と面会し、新潟県中越沖地震に関する緊急要望を受けた。
 泉田知事は、(1)被災者に対する復興基金への国の財政支援(2)生活再建支援制度の運用の弾力化(3)激甚災害の早期指定−などの実施を要請。首相は、復興基金への財政支援について「被災の状況や地元の意見をうかがいながら、しっかりと検討し、総務相に早急に検討するよう指示したい」と答えた。
 激甚災害指定についても「スピード感を持って対応する」と伝えた。
(2007/07/24 20:26)



7、社説1 原発安全の駆け込み寺でないIAEA (7/24経済新聞)
 政府が新潟県中越沖地震で被害の出た東京電力柏崎刈羽原子力発電所について国際原子力機関(IAEA)の調査受け入れを決めた。地震で微量ながら放射能が外部環境に出たため、地元は住民の不安や風評被害の沈静化に向け、同機関の調査に期待しているようだ。

 だが、調査は地震の影響情報を世界で共有するのが目的だ。安全確認の“お墨付き”への期待は筋違いだろう。国際機関への妙な期待は裏返せば政府の信用のなさを物語っている。関係者は猛省がいる。

 今回の地震では想定していなかった事象がいくつも起きた。筆頭は同原発にとって地震が直下型に近かったこと。揺れの強さを表す加速度が最大680ガルと想定震動の2倍以上の値だった。さらに使用済み燃料プールの水が漏れて微量の放射性物質を含む水が海に放出され、排気筒から微量ながら放射性物質が放出された。建屋外部の変圧器で火災が発生、消火活動も遅れた。

 同原発は昨年の改定前の耐震設計指針に基づいてつくられているが、すぐ近くの活断層を考慮しなかったミスは言い訳できない。原発は多重防護という考え方で安全性を確保しているが、同原発のほとんどの事象は想定外と言って片づけられるものではない。地元や関連機関への報告の遅れなど、東電の対応にも問題があり、これでは原発の地震防災への疑問は広がるばかりだろう。

 政府は安倍晋三首相が地震後に現地を視察し、経産省に全国の原発の安全性確認を指示するなど、不安の解消に動いている。一方で、安全確保に責任を持つ原子力安全委員会、原子力安全・保安院の存在感は薄く、不安への対応も十分ではない。

 今回の地震では運転中の原発は自動停止し、炉心は健全なようだ。ただ、炉心に損傷がないのかはまだ調べられていない。専門家チームをすぐに組織し、こうした点を含め被害・影響を徹底分析するなど、素早い対応が必要なはずだが、動きは鈍い。旧耐震指針でつくられた既存原発の点検・補強は今回の地震で一刻の猶予も許されなくなった。その期限を早めるなどの対応も遅い。

 原子力は安全性に不安を持たれたら機敏に動き、備えを盤石にする姿勢が何よりも重要だ。政府の関係機関にそれが欠けるからIAEAの調査に過大な期待がかかる。今回の地震被害や問題点を原発国が共有するのは重要であり、極力協力すべきだ。しかし、問題点の分析を国際機関に委ねるようなら、「原子力立国」どころではない。




8、原発被害調査  「世界の目」でより厳格に [新潟日報7月24日(火)]

 稼働中の原子力発電所が、地震で大きなダメージを受けたのは世界でも初めてのケースだ。被害情報を原発保有国間で共有できれば、意義は大きい。
 東京電力柏崎刈羽原発の地震被害調査に国際原子力機関(IAEA)が加わることになった。世界百四十四カ国が加盟し、原子力の軍事利用に待ったをかけるだけでなく、原発事故や放射線による健康被害などを防ぐための安全基準を設定する権限を有している組織だ。
 IAEAは、一九九九年の茨城県東海村の「ジェー・シー・オー」(JCO)臨界事故を受けて、被害状況やずさんな作業管理についての報告書をまとめた経験がある。
 中越沖地震の影響で、柏崎原発からは放射性物質が大気中や海中に放出された。深刻な事態だ。IAEAが調査に加われば、国による調査の妥当性が国際的に問われることになる。
 経済産業省原子力安全・保安院や東電が実態解明に努めるのは当然だ。IAEAと連携し、被災の原因や範囲、影響を徹底的に調べてほしい。結果は、原発保有国はもとより国際社会全体が情報として共有し、原発立地の安全対策などに生かすべきだ。
 それにしても、国の当事者意識の欠如には開いた口がふさがらない。当初、IAEAの調査参加の受け入れを見送る意向を伝えている。泉田裕彦知事は「受け入れを留保すれば、何かおかしいことがあるのではないかとの誤解を生む」と強く反発した。
 一転して受け入れたのは、国際社会に日本が安全対策に後ろ向きと受け取られることへの懸念が広がったため、という。
 IAEAの参加を国が断ったのは、原発の耐震性についての知見は日本が最も豊富だ、という過信が背景にあったからではないか。電力各社のトラブル隠しなどの不正と根っこがつながっている。
 国にも都合の悪いことは隠そうとする体質が根強くあるということだろう。電力業界をチェックすべき立場の国が本来の役割を果たしていない、との不信を抱く国民は多い。
 問題は保安院が二〇〇一年に発足した以降も、原子力行政を推し進める部門と原発の安全性を監視するセクションが経産省内に同居しているという点にある。早急に切り離すことを考えなければならない。
 新しい耐震設計指針に基づき電力各社は耐震性の再評価を進めている。結果が出そろうのは一〇年だ。それまでの間、原発を動かし続けて大丈夫なのか。中越沖地震の被害調査の一方で、保安院の存在が今ほど問われているときはない。


9、白波、あふれる水…使用済み核燃料プールの映像公開 朝日新聞
2007年07月25日03時05分

 東京電力柏崎刈羽原子力発電所は24日、新潟県中越沖地震発生前後の3号機の使用済み核燃料プールの監視ビデオ映像を公開した。

地震の揺れで3号機の使用済み燃料貯蔵プールから、放射性物質を含んだ水があふれる映像が公開された=24日午後7時32分、新潟県柏崎市で
 16日午前10時11分11秒(ビデオの時計による)には静かだったプール表面は、同17秒、白波がたち始め、その後、大波となってプールのへり(約40センチ)を乗り越えて、外にあふれ出した。

 東電によると、同プールには01年3月にベルギーから搬入されたMOX燃料28本が収められていたため、監視ビデオを設置していたという。



10、柏崎市、水道復旧に遅れ  経済新聞
 新潟県中越沖地震で被災した柏崎市は24日、配水管の損傷が予想以上にひどく、当初目標にしていた25日までの全戸の水道復旧は困難になったと明らかにした。月末までの全戸通水を目指す。

 同市ガス水道局によると、23日までの通水率は54.2%。25日には柏崎市役所を含む市中心部で水道が使えるようになる見込み。〔共同〕



11、中越沖地震、2つ目の断層確認…地面沈下の原因か   読売新聞

 新潟県中越沖地震を引き起こした海底断層について、産業技術総合研究所は、主要断層から分岐した新たな断層があることを突き止めた。

 柏崎市の中心部では、地面が沈み込んでいる場所が多数見つかっているが、この沈降は主要断層の動きだけでは説明できず、分岐断層の陸側地盤のずり下がりによって起きた可能性が高いという。
 同研究所の堀川晴央チーム長(地震学)らは、現地調査や全地球測位システム(GPS)による地殻変動のデータに基づいて、主要断層の形状や動き方を解析。主要断層の動きだけでは、柏崎市中心部は隆起するはずで、地面が沈降した観測結果と合わないことに気づいた。このため、沈降を引き起こすモデルを考え、コンピューターで計算した結果、分岐断層の存在が明らかになった。
 分岐断層は、長さ幅とも約10キロ・メートルの大きさ。日本海沿岸に平行して延びる主要断層の南端付近にあり、主要断層面にほぼ垂直に立っているとみられる。
 堀川チーム長らが、分岐断層の動きを含めて今回の地震をコンピューター上で再現したところ、海側から陸側に下がる形状をした主要断層(長さ23キロ・メートル、幅11キロ・メートル)がまず割れ、次に分岐断層が割れると、観測結果と一致することが分かった。堀川チーム長は「揺れによって液状化現象が起き、地面が沈降した場所もあるかもしれないが、分岐断層のずれも大きく影響している」と話している。
(2007年7月25日3時0分 読売新聞)





2007年07月24日(火) 中越沖地震の記録 (14)

以下の記事で一番ばかばかしく思ったのは「高齢者の住宅の耐震補強、政府が新支援策を検討」であった。
「政府は23日、新潟県中越沖地震で家屋が倒壊して高齢者が死亡するケースが相次いだことを受け、高齢者の住宅の耐震補強に関する新たな支援策を策定する方針を固めた。政府系金融機関が、高齢者の持つ不動産を担保に、融資する仕組みなどが検討されている。」〔記事の引用〕
 ただの融資の検討で新支援策といえるか。平均的な高齢者は、生活がやっとで融資の返済能力は無いのである。それなのに、ぬけぬけと「高齢者の住宅の耐震補強に関する新たな支援策を策定」と言っていることは、現状認識が狂っていると言わねばならない。



1、地震で原油パイプライン破断―刈羽 新潟日報
2、エコノミークラス症候群、6人に1人に兆候  朝日新聞
3、中越沖地震:被害総額は1兆5千億円にも…新潟県発表
4、柏崎刈羽原発の水漏れ、建屋に構造欠陥…原子力保安院  読売新聞
5、中越沖地震被害、負傷1800人・避難なお3000人 経済新聞
6、トヨタ、24日生産再開・地震で車減産、業界で10万台以上へ  経済新聞
7、放射能含む水、共振現象起きプール外流出 柏崎刈羽原発 読売新聞
8、高齢者の住宅の耐震補強、政府が新支援策を検討 読売新聞
9、柏崎刈羽原発、再開見通し立たず…検証に相当の時間   読売新聞
10、血栓発症率、通常の3倍にも  新潟日報
11、仮設住宅の入居申し込み開始  新潟日報


1、地震で原油パイプライン破断―刈羽 新潟日報
中越沖地震発生直後、石油資源開発(本社東京)の送油パイプラインが刈羽村で破断して原油が噴き出し、周辺の水田に被害が出ていたことが22日までに分かった。出穂期を前にして水稲は黄色く枯れ、水田所有者は「田んぼは長期間、使えないかもしれない」と不安を漏らしている。

 同社によると、柏崎市吉井で採掘した原油を長岡市雲出町まで送る約24キロのパイプラインが同村大塚地区の1カ所で破断し、原油が飛散。近くの水田約210アールに被害が確認された。飛散した油量は不明だが、同社では吸着マットで水田に浮いた油を吸い取り、水路から油が流れ出ないように対策を実施。さらに被害を受けた水田所有者や耕作者7人に謝罪し、今後、被害範囲を確定した上で補償するという。

 水田約60アールが被害を受けた同村の自営業男性(49)は「現場を見たときはショックだった。果たして今後も米を作れるのかどうか」と、うつむきながら話していた。
2007年07月23日



2、エコノミークラス症候群、6人に1人に兆候  朝日新聞
2007年07月23日20時54分
新潟県中越沖地震で避難生活を送る418人中70人(16.7%)に、ふくらはぎの静脈に血の塊(血栓)ができる「エコノミークラス症候群」(下肢静脈血栓)の兆候があることが23日わかった。うち28人(6.7%)にはすでに血栓ができていた。新潟大医学部と国立病院機構新潟病院などの合同チームが調査した。新潟病院の中島孝副院長は「とにかく体を動かし、適切に水分をとってほしい」と呼びかけている。

 合同チームは18日から調査を開始。23日までに柏崎市内の27カ所の避難所で住民たちに超音波検査をした。ふくらはぎの静脈が広がるなどエコノミークラス症候群の兆候がある人の割合は「通常の生活を送っている場合よりかなり高い」(中島医師)という。

 血栓ができた後も体を動かさない状態が続くと3〜4日で血栓が大きくなり、肺などに詰まると命にかかわるという。予防には静脈の血液を早く心臓に戻すことが重要なため、合同チームは兆候のあった70人に締め付け圧力の高いストッキングを配布。さらに医療機関を受診して経過をみてもらうよう指導した。

 04年秋の中越地震では車中泊をした人が多く、新潟大・榛沢和彦医師らの調査では、小千谷市の避難所で検査を受けた78人中29人(37.2%)に血栓があった。2年後の検査でも血栓が残っていたり、再発を繰り返したりしている人がいた。

 中越地震に比べると今回、血栓の発生率は低い。中島医師は「夏で車中泊の人が少ないことや、保健師や医療チームによって早くから運動指導などが行われていることが影響している可能性がある」としている。


3、中越沖地震:被害総額は1兆5千億円にも…新潟県発表
毎日新聞 2007年7月23日
復旧作業が行われるJR信越本線青海川駅の崖崩れ現場では土砂の上で確認作業をするJR職員の姿も見られた=新潟県柏崎市で23日午後1時50分、兵藤公治撮影 新潟県中越沖地震で、県は23日、被害総額が1兆5000億円に達する可能性があると発表した。泉田裕彦知事は会見で「個人の生活を直撃したのが今回の特徴。基金の設立を国にお願いしたい」と話した。

 県政策課によると、商工業施設の被害や売り上げの減少など商工関係で約3000億円▽住宅など建築物の被害約2000億円▽道路などのインフラで約700億円▽農林水産関係約400億円▽ライフライン約100億円−−などとしているほか、学校など公共施設の被害など「その他」を約8800億円としている。

 試算には宅地や港湾などの直接的な被害のほか、農産物の売り上げ減少や風評被害などの間接被害の見込み額も含まれる。また、その他には、地震で停止した東京電力柏崎刈羽原発の停止による電力の売り上げ減少見込み額7000億円も見込んでいる。【渡辺暢】



4、柏崎刈羽原発の水漏れ、建屋に構造欠陥…原子力保安院  読売新聞
 新潟県中越沖地震で、東京電力柏崎刈羽原子力発電所6号機の使用済み燃料プールの水があふれ、放射性物質を含む水の一部が「非管理区域」に漏れ、海に放出された問題で、経済産業省原子力安全・保安院は23日、プールが設置された原子炉建屋4階の構造に、設計上の問題があるとの見方を示した。

 また、保安院の薦田康久院長は同日、同原発を視察して、「消防体制や放射性物質漏えいの連絡体制など改善すべきことは多い」と地震対策の問題点を指摘、「運転再開を考えるべき時期ではない」と、再開までかなりの時間がかかるとの見通しを示した。
 東電の説明によると、使用済み燃料プールの水は、地震の揺れで建屋4階の「作業フロア」にこぼれ、一部が床下に設置した「給電ボックス」に入った。
 ボックスにはケーブルを通す配管の穴があり、ケーブルの周囲は充てん材で固められていたが、完全な密封状態ではなく、すき間から水が浸入、配管を通って壁の向こう側の中3階にある非管理区域の中継ボックスに到達、床に落ちたとみられる。同社によると、プールから給電ボックスまでは10メートル以上の距離があり、水の浸入は想定していなかったという。
 ただ、6号機以外では、中継ボックスが管理区域にあり、万一水漏れが発生しても、外部に漏れ出す恐れはない。また、1〜5号機については、給電ボックスの開口部が床面よりも上にあるため、水漏れが起きにくい構造という。
 保安院は、こうした点から6号機建屋の構造に、水の漏出を引き起こす欠陥があったと推定、東電に対し改善を促す方針。
 東電は当面、給電ボックスの開口部に充てん材を補充し密封性を高める応急措置を取り、給電ボックスそのものの改良も検討する。
 また、東電は23日、原子炉建屋内の点検計画を国に提出し、来月中旬以降、各号機の圧力容器内部の調査に着手することを発表した。 
(2007年7月24日0時10分 読売新聞)


5、中越沖地震被害、負傷1800人・避難なお3000人 経済新聞
 死者10人を出した新潟県中越沖地震の負傷者は22日午後9時現在、新潟、長野両県などで1800人を超えた。住宅への被害は約9200棟に及び、ガスの供給停止が3万戸に上るなど生活インフラの傷も深く、被害の集中した柏崎市と刈羽村では約3000人が避難生活を続けている。

 新潟県のまとめなどによると、負傷者は柏崎市1339人、長岡市190人、上越市118人、刈羽村47人など。住宅の全壊は960棟で、柏崎市で908棟、同村で35棟が全壊した。

 断水は柏崎市と刈羽村の約2万4000戸で続いており、復旧には25日までかかる見通し。ガスは作業員1200人が復旧作業を続けているが、約3万戸で供給停止のまま。ガスは被災直後からほとんど復旧が進んでいない。電気は18日に復旧した。 (7/23)


6、トヨタ、24日生産再開・地震で車減産、業界で10万台以上へ  経済新聞
 トヨタ自動車は23日、新潟県中越沖地震の影響で生産を休止していた工場を24日から一部再開すると発表した。自動車部品大手リケンが23日午前から製品出荷を再開したため。いすゞ自動車なども生産休止を解除、地震発生から一週間がたち、産業界で影響の大きかった自動車も復旧に向け本格的に動き出した。ただ、自動車各社がフル稼働に戻るまでにはなお時間がかかり、休止に伴う減産は1995年の阪神大震災時の約4万台を上回る合計10万台以上となりそうだ。

 トヨタはグループ会社を含めた28工場の生産を休止しているが、まず元町工場(愛知県豊田市)など12工場で24日朝から通常稼働に戻す。一部の車両工場は24日も休止する予定。  (7/23)



7、放射能含む水、共振現象起きプール外流出 柏崎刈羽原発 読売新聞
                      2007年07月24日03時11分
 柏崎刈羽原発6号機(新潟県)から放射能を含む水が海に流れ出た問題で東京電力は23日、使用済み核燃料プールの水が地震動に共振して大きく波打つ「スロッシング」現象を起こし、プールからあふれたことを明らかにした。同原発全7基のプールで起こったとみられる。04年の中越地震時に同原発で同じ現象が起こっていたこともわかり、今後の対策の焦点になりそうだ。
 東電によると、プールの水が地震で漏れる現象は想定しているが、今回のように放射線管理区域外への水漏れ現象は想定していなかった。
 管理区域外にプールの水が漏れた6号機では、プールの水面から床まで40センチの高さがあったが、水はこれを越えるほどの勢いで揺さぶられた。管理区域外への漏出経路となった電線ケーブルまでは15メートルあった。



 8、高齢者の住宅の耐震補強、政府が新支援策を検討 読売新聞
 政府は23日、新潟県中越沖地震で家屋が倒壊して高齢者が死亡するケースが相次いだことを受け、高齢者の住宅の耐震補強に関する新たな支援策を策定する方針を固めた。
 政府系金融機関が、高齢者の持つ不動産を担保に、融資する仕組みなどが検討されている。
(2007年7月23日22時26分 読売新聞)



9、柏崎刈羽原発、再開見通し立たず…検証に相当の時間   読売新聞
 東京電力柏崎刈羽原発では、これまでに計63件のトラブルや機器の損傷などが見つかった。東電は当初、運転再開に最低数か月かかるとの認識を示したが、被害の深刻さが明らかになるにつれ、ほとんど見通しが立たなくなった。
 一番重要な炉心の点検もこれから。炉心内部は、強烈な放射線のため、遠隔操作のカメラで点検する。修理が必要な場合、作業員は短時間しか活動できず、多数の交代要員が要る。圧力容器のふたを開けて、ウラン燃料を取り出すには、クレーンの健全性の確認も必要。点検着手は早くても来月以降だ。
 点検や修理以上に難題なのが、耐震安全性の再検証だ。地震波データを詳細に分析し、実際に建屋や機器がどの程度揺れたかをコンピューター上で再現。今回を上回る大地震に対しても安全を維持できるかどうかを確認する。東電がこうした報告書をまとめ、経済産業省原子力安全・保安院が専門家の意見を聞きながら再開の可否を判断する。
 2005年8月に、やはり想定を上回る揺れに見舞われた東北電力女川原発の場合、全3基が最終的に運転を再開したのは今月で、約2年かかった。柏崎刈羽原発は、女川原発をかなり上回る激しい揺れだったうえに、海底活断層の調査もやり直すことから、再検証にも、相当の時間がかかることが予想される。
              (2007年7月23日13時35分 読売新聞)


10、血栓発症率、通常の3倍にも  新潟日報
 中越沖地震の被災者の中で、心筋梗塞(こうそく)や肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)などを引き起こす危険がある血栓の発症率が、通常の3倍になっていることが23日、新潟大などの医療チームが柏崎市内の避難所で行ったエコー検査で分かった。また強いストレスで発症するタコつぼ型心筋症も地震後、柏崎市の刈羽郡総合病院で被災者3人に確認された。医療関係者は十分な水分補給や運動、ストレス解消を呼び掛けている。

 同チームの検査は18―22日、市内約10カ所の避難所で400人に実施。そのうち6・5%に当たる26人の足の静脈に血栓が発見された。同大大学院の榛沢和彦医師(呼吸循環外科)によると、平常時の血栓発症率は1・8%で「高齢者に多いが、避難所では20代にも見つかった」という。

 血栓による心筋梗塞や脳梗塞、同症候群は中越地震で発症が相次ぎ、死に至るケースもあった。

 一方、心筋の一部が麻ひして動かなくなるタコつぼ型心筋症は、中越地震で約30人に確認されるなど、災害時に増加するといわれている。被災者の診療に当たる同病院の井田徹内科部長は「息苦しさや胸苦しさを感じたら、軽くても病院で診てもらってほしい」と話す。

 新潟大大学院の相沢義房教授(循環器学)は「血栓は脱水症状になると生じやすい。避難生活のストレスで血圧が上がると、心筋梗塞や脳卒中も起こしやすい」と注意を呼び掛けている。
新潟日報2007年7月23日


11、仮設住宅の入居申し込み開始 新潟日報
 中越沖地震の被災者向け応急仮設住宅の申し込み受付が22日、刈羽村で始まった。村役場と避難所に窓口が設けられ、村民が相談に訪れた。初日は役場の窓口で午後7時までに5件の申し込みがあった。同村の受付期間は31日まで。
 同村は仮設住宅200戸を同村西谷の源土運動広場に建設予定。県によると、完成は8月15日の見込み。住宅の被害調査で全壊に認定された世帯などが対象となる。
 初日は区長を通じて各戸に入居希望調書が配られたほか、自宅を離れて過ごす住民には避難所で書類が手渡された。
 役場の窓口を訪ねた同村刈羽の無職小林栄一さん(67)は「住めるまでに直すにはお金がかかる。この年で借金をするのも大変」と話し、職員から説明を受けていた。
 同村による住宅被害調査の担当者は、県の協力も含め8人。村税務課は「被害認定が長引けば、住民生活に影響が出る」と県に増員を要請した。
 柏崎市は23日から全戸に入居案内を配布し、26日から8月3日まで入居申し込みを受け付ける。
【写真】中越沖地震の被災地で仮設住宅の入居希望受付が始まり、相談に訪れた被災者=22日、刈羽村役場
2007年07月23日

2007年07月23日(月) 中越沖地震の記録 (13) 

1、「町が死ぬ」風評被害に観光地悲鳴 産経新聞
2、<中越沖地震>震源近くは30センチ隆起 「だいち」が観測
3、被災の自動車部品メーカー「リケン」、23日に操業再開 朝日新聞
4、<中越沖地震>原発の水漏れプール写真公表 社民党視察団
5、重軽傷者1812人、住宅被害も拡大 中越沖地震1週間 朝日新聞
6、震源地近い海底に大量の古木 液状化で浮上か 毎日新聞
7、知事、IAEA調査めぐり政府を批判
8、柏崎刈羽原発のIAEA調査、政府が受け入れへ  経済新聞
9、柏崎刈羽原発6号機建屋の最上階に水浸しの跡   読売新聞
10、断水なお2万4000世帯、中越沖地震発生から1週間 読売新聞
11、日報抄
12、日報抄
13、損壊家屋1万棟超える 新潟日報



1、「町が死ぬ」風評被害に観光地悲鳴 産経新聞
7月22日14時23分配信
新潟県中越沖地震の風評被害が夏本番を迎えている観光地を直撃している。新潟県旅館組合によると、地震以降約2万人が宿泊予約を取り消した。深刻なのは柏崎市から30キロほど離れた長岡市寺泊。関東や長野からも海水浴客が訪れる日本海側有数の海水浴場だが、7月の予約の8〜9割がキャンセル。3年前の中越地震から復興した長岡市蓬平温泉でもキャンセルが相次いでいる。柏崎刈羽原発事故の影響を心配する声もあり、風評被害を払拭(ふっしょく)するには時間がかかりそうだ。

 「どうして新潟県中越沖地震なの? 寺泊じゃ棚から物ひとつ落ちてないし、海だって安全なのに…。名前を付けるなら新潟県柏崎沖地震じゃないの」

 こう吐き捨てたのは中央海水浴場の浜茶屋の女性(51)。寺泊にある4つの臨海学校用施設のうち、群馬県の吾妻広域町村圏、伊勢崎市、前橋市が臨海学校の中止を決めた。表向きは長引く余震が理由だが、原発の安全性に保護者が敏感になっている側面もありそうだ。

 この中止で約7000人の宿泊が消える。食事や土産物、水族館見学など地元経済に与える影響は大きい。「被害がなく安全なことを説明していますが、風評が理由の中止なら残念だ」(森山信太郎支所長)

 宿泊施設も深刻だ。海洋深層水を使ったお風呂とカニ食べ放題で人気の「きんぱちの湯」も例年なら8月のお盆まで予約でいっぱいだが、「7月中の予約は9割近くキャンセル。毎日75人のうち60人のキャンセルです。日帰り客も1日400〜450人だったのが100人もない」と納屋富雄支配人は話している。

 寺泊町海岸通り魚商組合の海産物店が軒を連ねる「魚のアメ横」も閑散としている。

 「人出は例年の1割。風評被害は中越地震よりひどい。このままじゃ死んだ町になっちゃう」と山田栄三郎組合長も心配顔だ。

 中越地震から立ち直りかけている長岡市蓬平温泉も「和泉屋」「福引屋」「よもやま館」では7月中のキャンセルが700件に達している。和泉屋は県と市からの3億円の制度資金で建物を再建、経営も軌道に乗り始めた直後で、女将の田崎久子さんは「返済も順調でこれからという時期。450件のキャンセルに血の気がうせました」と頭を抱えている。  (石田征広)



2、<中越沖地震>震源近くは30センチ隆起 「だいち」が観測
(毎日新聞 - 07月21日 11:14)
 新潟県中越沖地震で、沿岸部の最も震源に近い場所では最大約30センチの隆起があった一方、その南側では、西方向への移動や沈降を含む約15センチの地殻変動があったことが、陸域観測技術衛星「だいち」が観測した画像の解析で分かった。宇宙航空研究開発機構と国土地理院がそれぞれ解析した。

 画像で、緑からオレンジ色に表示されているのは衛星と地表の距離が近付く方向(地表の隆起)、青から赤は遠ざかる方向(沈降や西方向へのずれ)の変動を示している。

 今回の地震は、陸側の地殻が海側の地殻の上にせり上がる逆断層型で、地理院宇宙測地研究室の矢来博司・主任研究官は「震源のすぐ東側はせり上がりによって隆起し、震源からやや遠い南側は、西方向に移動した効果が大きいのではないか」と話している。【須田桃子】



3、被災の自動車部品メーカー「リケン」、23日に操業再開 朝日新聞
2007年07月22日19時05分
自動車部品メーカー「リケン」は23日から、新潟県中越沖地震で被災した柏崎市内の工場でエンジン部品ピストンリングなどの生産を再開する。ただ、一部製品は生産機械の再設置などに手間取っており、地震前の生産態勢に戻るのは早くても来週になるという。

 柏崎市内の工場の一部では、なお水道、ガスが復旧しておらず、当面は水をタンクローリーで運んだり、プロパンガスで代替したりしてしのぐ。

 同社からの部品供給が止まった影響で、トヨタ自動車が全工場の操業を停止するなど、自動車メーカー各社に影響が出ていた。各社は24日以降の操業について、リケンからの部品納入状況をみたうえで判断する。



4、<中越沖地震>原発の水漏れプール写真公表 社民党視察団
(毎日新聞 - 07月22日 21:11)

柏崎刈羽原発6号炉の使用済み核燃料プール付近。あふれた水で床が濡れている=社民党柏崎刈羽原発調査団提供


 中越沖地震で放射性物質を含む水が漏れた東京電力柏崎刈羽原発6号機の使用済み燃料プール周辺の写真を、視察した社民党調査団が22日、公表した。プール脇には今も大量の水が残り、損傷の修復が進んでいないことを示している。

 国会議員や弁護士らでつくる調査団は、3号機変圧器の火災現場や6号機4階の使用済み燃料プールをガラス越しに視察した。調査団の海渡雄一弁護士は「(原子炉の入った)建屋内の壁に亀裂が入っていた。原子炉の被災状況を速やかに公表すべきだ」と語った。【関東晋慈】



5、重軽傷者1812人、住宅被害も拡大 中越沖地震1週間 朝日新聞
2007年07月22日22時11分
 死者10人を出した新潟県中越沖地震が発生してから23日で1週間を迎える。重軽傷者は、柏崎市役所の聞き取り調査で新たに判明した約500人が加わって計1812人になった。住宅の被害も調査が進むに伴って増え、全壊960棟、半壊761棟に上る。22日も小学校や体育館など避難所で、2700人余の被災者が過ごした。
 
避難所は、柏崎市の61カ所を始め、刈羽村6カ所、出雲崎町2カ所、燕市1カ所の計70カ所。住宅の周りで土砂崩れの危険が高まっていることなどを理由に、今も避難指示・勧告が多くの地域に出されており、22日には柏崎市西山町五日市などの3世帯12人に避難勧告が新たに出された。避難指示・勧告の対象は計146世帯334人を数える。

 被災して自宅で暮らせない住民のために、新潟県はまず柏崎市民が入居する仮設住宅から建設に着手する。23日に工事を始め、8月15日までに完成させる方針だ。柏崎駅前公園など23カ所に833戸を建設する。

 ライフラインは、柏崎市と刈羽村を合わせて約2万2000戸で断水が続き、ガスも両市村の約3万2000戸で未復旧。一方、大規模な地滑りの発生で路面が崩落した、長岡市大積千本町の国道8号は復旧し、23日午前9時に1週間ぶりに通行止めが解除される。
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6、震源地近い海底に大量の古木 液状化で浮上か 毎日新聞
 中越沖地震の震源地に近い新潟県出雲崎町沖の海底に、大量の古木が堆積(たいせき)していることが分かった。地震の液状化現象で、地中に埋まっていた古木が浮き上がった可能性があるという。網に絡まり漁業に支障があることから、地元漁協が実態調査を進めている。
 出雲崎漁協(坂下甚十郎組合長)によると、古木が見つかったのは19日未明。出雲崎漁港から数キロ沖合でタイ漁をしていた漁船が、水深約70〜100メートルの海底から網を引き揚げたところ、直径30〜50センチの古木がいくつも絡まっていた。古木の多くは角が取れた楕円(だえん)形で、長さ1メートル以上の棒状のものもあった。既に100個以上引き揚げられている。坂下組合長は「50年漁をやっているが初めて。タイが取れずに困っている」と話している。
 県水産課によると、同様の古木は長岡市寺泊地区でも確認されている。小長井一男・東京大学生産技術研究所教授(地震工学)は「詳しい状況は分からないが、アメリカ・ロマプリエタ地震(89年10月)でも海底の液状化が確認されており、液状化現象で浮き上がった可能性がある」と話している。【伊藤直孝】
毎日新聞 2007年7月23日 3時00分


7、知事、IAEA調査めぐり政府を批判
 中越沖地震による東京電力柏崎刈羽原発のトラブルで、泉田裕彦知事は21日、「国民全体が安心できる状況にならなければ運転再開はできない。国際機関から評価を受けることが必要だ」と述べ、同原発への国際原子力機関(IAEA)の調査団派遣を早急に受け入れるべきだとの認識を示した。
 調査団派遣をめぐっては、政府が受け入れを当面見送る意向をIAEA側に伝えているが、泉田知事は「受け入れを留保すれば、何かおかしいことがあるのでは、と誤解を生む」と政府の対応を批判。「一刻も早く受け入れ、世界に現状を見てもらう必要がある」と語った。
 同原発では、2年前にIAEAから安全管理状況の調査で「防火の専門組織がない」と改善を求められながら、専門組織を設置しなかったことが判明している。
2007年07月22日


8、柏崎刈羽原発のIAEA調査、政府が受け入れへ  経済新聞
 政府は22日、新潟県中越沖地震で被害を受けた東京電力の柏崎刈羽原子力発電所への国際原子力機関(IAEA)による調査を受け入れることを決めた。8月初めにも4人の調査団が現地を視察する予定。23日に正式表明する。新潟県は22日、住民の不安や風評被害の解消に向け、政府に調査の受け入れを正式に要請した。
 IAEAは世界的にもまれな原発直近での地震による被害状況を把握するため、19日に日本政府に調査団派遣の意向を伝えていた。原子力安全・保安院によると、IAEAは地震で原子炉が止まり微量な放射能漏れがあったことに強い関心を示しており、地震による原発への影響に関する情報を加盟国間で共有する狙いがあるという。(07:00)



9、柏崎刈羽原発6号機建屋の最上階に水浸しの跡   読売新聞
 新潟県中越沖地震で、外部に放射能が漏れる原因となった東京電力・柏崎刈羽原子力発電所6号機の建屋最上階の様子が22日、初めて明らかになった。
 地震から1週間たった今でも、使用済み核燃料プールから床にあふれた水を吸い込むためのシートが、広範囲に敷き詰められ、水浸しとなった当時の様子をうかがわせている。
 同日、柏崎刈羽原発を視察した社民党調査団が撮影、一部報道陣に公開した。
 東電によると、プール(深さ十数メートル)の水位は、床面から1メートルほど低かったが、大きな揺れで床にあふれ水浸しになった。放射能を含む水が床にあるケーブルなどを伝わって、壁を隔てた「非管理区域」に漏れ出し、海水にも放出された。
(2007年7月22日23時8分 読売新聞)



10、断水なお2万4000世帯、中越沖地震発生から1週間 読売新聞
 新潟県中越沖地震は22日、発生から1週間を迎えた。
 被害の大きかった柏崎市と刈羽村では水道の復旧が遅れ、21日になっても柏崎は4割ほどが開通しただけで約2万2800戸が断水している。刈羽も全戸の1300戸余で水が止まっている。
 避難所にいる人はピーク時の5分の1に減ったが、今も3000人以上いる。断続的に降り続く雨や余震で土砂崩れなどの恐れがあり、柏崎市山本地区の34世帯81人に新たに避難勧告が出されるなど避難指示・勧告は143世帯322人に上る。
 水道については、柏崎市は25日の復旧を目指すが、ダムから浄水場に水を送る最上流部の導水管3本のうち2本が損傷し、応急措置が必要となって作業が遅れている。刈羽村では水道管の破損個所が多く、復旧のめどは立っていない。両市村とも、ガスは一部を除いて止まり、JR信越線も被災地周辺で不通のまま。
(2007年7月22日0時20分 読売新聞)

11、日報抄
 中越地震で被災した東京電力柏崎刈羽原発に対する国際原子力機関(IAEA)の調査団派遣を、日本政府がやんわりと断った。「派遣受け入れを当面見送る」。世界に知られたくないことがあるのだろうか
▼「豆腐の上の原発」という言葉が、十一年前に出版された「原発を考える50話」(岩波ジュニア新書)に出てくる。柏崎原発の地盤が不均質なことを指した言葉だそうだ。国内の他の原発にも当てはまる言葉だ。大量の冷却水と広い敷地を必要とする原発は、海岸地帯など地盤に問題を抱えたところに建てられることが多い
▼「地盤のデータをごまかしたり、都合の悪いデータを隠したりしたことが九州の原発などであった」と「50話」はいう。東電が行った柏崎原発の断層調査についても、疑問が相次いでいる
▼中越沖地震の震源となったと見られる海底の活断層の規模を、東電は八キロと推定していた。広島工業大学の中田高教授は「専門家が地形図をよく見れば二十キロ以上の断層と分かる」と指摘する
▼まだある。柏崎原発近くの長岡平野西縁断層帯を、政府の地震調査委員会は長さ八十三キロとした。だが東電は十七・五キロという調査結果を出したと、名古屋大学の鈴木康弘教授は困惑する。石川県の志賀原発など、断層に対する電力会社の「過小評価」が目に付く
▼地震で原発が大事故を起こせば、震災の様相はこれまで経験しなかった破局的なものになる。その自覚が電力会社にどれだけあるのだろうか。「想定外の地震」「当時の知見では、活断層ではないという判断はやむを得なかった」などと繰り返していると、取り返しのつかない国難を招く。
[新潟日報7月22日(日)]



12、日報抄
 世界のメディアは、激しい揺れに襲われて放射能漏れや火災を起こした東京電力柏崎刈羽原発を大きく報じている。中越沖地震は、日本の原発が地震の巣の上にあることを国際社会に伝えた震災として、人々の記憶に残ることになりそうだ
▼米原子力規制委員会の警告を思い出す。「原発の重大事故の発生確率は故障によるものよりも、地震による方がはるかに大きい」。柏崎原発は最も避けなければならない断層の上に建てられていた可能性が高いことが、気象庁の解析で明らかになった
▼神戸大学の石橋克彦教授はいう。「普通、原発の事故は単一要因故障といって、どこか一つが壊れる。それを多重防護システムや安全装置で守ることになっている。だが突然激しい地震の揺れに襲われると、機器や配管のあちこちに損傷が生じ、多重防護システムでは対応できなくなる恐れがある」
▼地震が原発にとって最大の脅威といわれるゆえんだろう。原発が被害を受ける規模の地震が発生すれば、周辺もライフラインが寸断され、人的被害が出る。死の灰の降る中で救援や原発事故の応急対応は困難を極める
▼二月の衆院委で石橋教授が訴えた「原発震災」のシナリオは悪夢だ。「おびただしい人が被ばくし、土地や水も汚染され、混乱は海外に広がる。大震災の時は世界が同情し救援に来てくれるが、逆に厳しい非難を浴びかねない」
▼柏崎市長は原発の使用停止命令を出した。中越沖地震を詳報した英科学誌ネイチャー(電子版)は「原発が閉鎖になる可能性がある」と論評している。安全性を県民をはじめ全世界に説明できるまで、運転を再開してはならない。



13、損壊家屋1万棟超える 新潟日報
 中越沖地震から6日目となった21日、被災地の損壊家屋が1万棟を超えた。柏崎市は被災以来止まっていたガスの供給を、避難所となった瑞穂中学校など216戸で再開。同市の応急仮設住宅は833戸が、23カ所に建設されることが決まった。
 損壊家屋の調査では、全壊が953、半壊が552、一部損壊が6106などに増え、総被災数は1万170棟となった。
 同市の応急仮設住宅は佐藤池第2野球場などに建設、8月15日までにすべて完成する予定。今月26日から8月3日まで入居申し込みを受け付ける。
 同市は番神2の1世帯2人に出していた避難勧告を、雨によるがけ崩れの危険度が増したことなどから21日、指示に切り替えた。同市山本地区の一部でもがけ崩れなどによる家屋崩壊の危険があるとして、34世帯81人に避難勧告を出した。被災地の避難指示、勧告は、143世帯322人になった。
 同市の水道は1万7450戸で復旧し、復旧率は43・3%となった。給水再開個所では下水も使える。
 刈羽村では被災家屋の危険度を示す応急危険度判定が終了。全1474棟のうち「危険」と判定されたのは291棟、「要注意」は497棟だった。
 避難所生活が困難な被災者に向けた「一時避難所」が開設され同日、上越市の温泉旅館などに17人が入居した。
2007年07月22日



2007年07月22日(日) 中越沖地震の記録 (12)

中越地震の記録(12) 6月22日

1、原発と消防のホットライン使えず 扉ゆがみ部屋に入れず  朝日新聞
2、激震地の家屋3割が赤紙判定  新潟日報
3、中越地震と同タイプ―気象庁  新潟日報
4、被災ストレスか、2人が死亡  新潟日報
5、ガス停止99%、断水62% 中越沖地震1週間(朝日新聞)
6、液状化など多発 砂地層が影響か 学会が報告(朝日新聞)
7、柏崎刈羽原発:水漏れの建物内を初めて公開 (毎日新聞)
8、自動車部品メーカー連鎖休業、影響は全国に拡大  経済新聞
9 地震で罹災証明法分からず、被災家屋「いつ解体」  経済新聞
10、「棚を見ると落ちる」と震え、新潟県教委に被災小中生の声 ( 読売新聞)
11、損壊家屋1万棟を超える 新潟日報




1、原発と消防のホットライン使えず 扉ゆがみ部屋に入れず  朝日新聞
2007年07月21日09時19分
 新潟県中越沖地震による東京電力柏崎刈羽原発の火災で、原発と柏崎市消防本部を結ぶ専用通信回線(ホットライン)が使えなかったことがわかった。ホットラインを設置していた建物が被害を受けて、職員が中に入れなかったという。また、放射性物質を含んだ水が海に漏れた問題では、調査にあたった社員らが放射能汚染の存在を疑い、同じ場所で3回も水を採取し直していたことが判明。結果として大幅な報告遅れにつながっていた。
 東電が20日、経済産業省原子力安全・保安院に報告した。
 3号機の変圧器火災は16日午前10時13分に起きた地震の直後に発生。当直の社員が発見後すぐに119番通報したが、電話がつながらなかった。発電所事務本館1階にある緊急時対策室には、消防へのホットラインがあったが、地震で事務本館の部屋の扉がゆがみ、中に入ることができなかった。119番通報がつながったのは火災発生から12分後だった。
 初期消火は社員ら4人で開始した。しかし、消火配管が地震で破断して消火栓からの放水が少なく、消火できなかった。油による火災とみられ、変圧器が爆発する危険もあったことから、社員らは午前10時半ごろ、安全な場所に避難したという。消火活動が再開できたのは消防が到着した11時半過ぎ。鎮火したのは午後0時10分だった。
 この間、発電所には消火栓の代わりに軽トラックに積んだ小型動力ポンプが備わっていたが、「使用を思い当たらなかった」(東電幹部)という。
 一方、6号機からの放射能漏れでは、午後0時50分ごろ、原子炉建屋内で水たまりが見つかり、水を採取して測定を始めていた。約1時間半後に放射能が検出されたが、放射能が存在しないはずの非管理区域の水だったため、担当者が検査結果を疑い、その後2回にわたって採取と測定を繰り返したという。
 その間、余震で避難したり、放射能測定の専門家が不在になったりする要因も発生。水の漏出経路を調査した後、経路に残った水を改めて採取し、最終的に外部への放射能漏れを確認。国や自治体に報告したのは午後8時半近くになってからだった。



2、激震地の家屋3割が赤紙判定  新潟日報
 中越沖地震でお年寄り2人が亡くなり、柏崎市内で最も被害が大きかったとされる同市西本町2の町内で、倒壊する可能性があるなどの理由から、市が「立ち入り危険」と判断した家屋の割合は3軒に1軒に上り、市平均の2倍以上になったことが20日、新潟日報社の調べで分かった。同町内の被害の大きさがあらためて浮き彫りになった。

 地震が発生した16日以降、被害がひどい地域から実施した「被災建築物応急危険度判定」の結果を、本社が現地で確認した。

 市全体では19日までに集計を終えた8693棟のうち、「危険」と診断されたのは約16%に当たる1375棟。一方、西本町2では194棟の家屋があり(新潟日報社調べ)、張り紙のなかった10棟を除く184棟のうち、約33%の62棟が「危険」とされた。

 「危険」と判定された家屋は、ほぼ町内全域に散らばっており、「要注意」と診断された家も含めると6割を超えている。

 「『赤紙』は覚悟していたが、ショックだった」と話すのは同所の無職大矢哲朗さん(68)。大矢さん宅は基礎が激しく崩れ、建築業者にも修復不可能と言われた。取り壊すことを決めたが、「借家か仮設住宅に入るか、悩んでいる」と漏らす。

 一方、建物自体にあまり損傷はないが「危険」とされたケースもある。「(外付けの)エアコンが落下の恐れがある」と指摘された自営業の五十嵐弘子さん(47)は、「用事を足して帰ってきたら、赤紙が張られていてびっくりした」と話す。

 逆に建物が「使用可能」と判断された家でも、「風呂場の壁が落ち、部屋もめちゃくちゃだった」「部屋のあちこちに亀裂が入り、無事とはいえない」などの声も上がっている。

 判定が進むにつれて市には連日、「どう対応したらよいのか」などの問い合わせが殺到し、20日だけで数百件にも上ったという。

 市建築住宅課は「判定基準は家屋の取りあえずの状態を測る目安にすぎず、全壊や半壊など被害の度合いを調べるものではない」と強調。り災証明のための家屋調査と混同しないよう呼び掛けている。

新潟日報2007年7月21日



3、中越地震と同タイプ―気象庁  新潟日報
 気象庁地震津波監視課の宇平幸一課長は16日の会見で、今回の地震が北西―南東方向の圧力によって断層が上ずれする「逆断層型」との見方を示し、2004年10月の中越地震や今年3月の能登半島地震と同じ型とした。

 今回の震源は、中越地震の震源の北西約40キロとみられる。宇平課長は「発生のメカニズムが中越地震に似ている」と説明。その上で「距離も時間も離れており関連性はない。中越地震が引き金になったというより、個々の活動とみるべきだ」と指摘した。

 すでに最大震度6弱など有感の余震が10回以上発生している。マグニチュード(M)4以上の余震の回数を比べると、中越地震の5分の1ぐらいのペースで、他の同規模の地震より少ないという。「余震活動は相対的に活発でないが、大きな余震が発生する可能性があり、引き続き警戒が必要」とした。17日には、今後余震が発生する確率を発表する。

 この地域での大規模地震の発生に関しては「過去の震央分布図からみて(可能性が)ないわけではなかったが、この程度(M6・8)の予測技術はなく予測されていなかった」と述べた。

 震源から離れた長野県北部で大きな揺れを観測したことについては、地盤の弱さが原因との見方を示した。
新潟日報2007年7月16日



4、被災ストレスか、2人が死亡  新潟日報
 中越沖地震2日目の17日、柏崎市の病院に搬送された被災者2人が心筋梗塞(こうそく)で相次ぎ死亡したことが分かった。中越地震では避難所などでのストレスによる心筋梗塞や心不全などが相次ぎ、地震関連死と認定されたほか、車中泊による肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)もみられた。医療関係者は避難生活の継続による心身へのストレス増大を懸念している。

 亡くなったのは同市の60代男性と90代男性。ともに同日午前、刈羽郡総合病院に搬送され、死亡が確認された。同病院では災害関連死とみているという。しかし柏崎署、市災害対策本部は同日まで関連死と扱わず発表していない。

 中越地震では犠牲者67人のうち、揺れのショックや避難のストレスなどの関連死が51人に上った。新潟大大学院の相沢義房教授(循環器学)は「災害時は心筋梗塞が通常の1・5―2倍に増える。中越地震の避難所調査では六割の被災者が高血圧になった。将来への不安がストレスになる」と懸念する。

 ストレスが強くなると自律神経に作用し、血管を収縮させて血圧を上げるほか、血栓が生じやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞の危険がある。

 中越地震の車中泊で問題となったエコノミークラス症候群について、その要因となる血栓を調査している同大学院の榛沢和彦助手(呼吸循環外科)は「脱水と身動きがとれないことなどが重なると血栓ができやすい。避難所も決して安全なわけではない」と十分な水分補給や運動などを呼び掛けている。
新潟日報2007年7月18日



5、ガス停止99%、断水62% 中越沖地震1週間(朝日新聞)
2007年07月21日23時55分
 新潟県の中越沖地震は22日で発生7日目を迎える。電気はほぼ全面復旧したものの、柏崎市の約6割の世帯が断水し、都市ガスは99%が使えないなど復旧がなかなか進まない。道路の通行止めは徐々に解除されているが一部の道路ではかえって陥没が深刻化し、避難所では体調不良を訴える人たちが増えている。生活が元に戻るにはまだまだ時間がかかりそうだ。
 柏崎市の上水道の復旧率は20日午後9時現在で37.6%。水道管のうち幹線は修理できたが、支線に手間取っている。実際に水を流して破損個所を見つけては取り外し、新品と取り換えるという作業を繰り返す必要があるためだ。
 25日までの全面復旧を目指しているものの、中心部は被害がひどく、市の北部はまだ修理に着手できていない。刈羽村でも水道が供給されていた世帯の96.9%で断水が続いている。
 都市ガスは21日、柏崎市内で216件への供給を再開したが、全体の0.6%にとどまる。柏崎市ガス水道局は、近隣市などの応援を受けて、計1000人体制で復旧を進めている。完全復旧は8月上旬以降になる見通しだ。
 ごみ処理も深刻な問題だ。柏崎市のごみを焼却処理する「クリーンセンターかしわざき」の煙突が地震で折れ、復旧のめどが立たないため、ごみ置き場は19日には満杯になった。暑さで腐敗し、悪臭が漂う。
 このため、柏崎市は21日、新潟市や長岡市などにごみを搬送。この2市を含む近隣9市に計1日最大208トンの処理を委託している。それでも、日々、新たなごみが上積みされるため、前からあったごみはなかなか手がつけられない状態だ。
 道路の復旧も遅れている。ここ数日で、地震発生時には約5センチに過ぎなかった路面の陥没が、15〜25センチまで深くなる現象が相次いでいる。地震の揺れで沈み込んだ土砂に代わって、土壌中の水分が浮上する「液状化」が原因とみられる。
 国道や県道は、通行止めとなっていた40カ所のうち23カ所で21日午前までに通行が可能になった。それでも復旧率は58%。国道8号や352号など地域の「動脈」では通行止めの部分が残る。
 市道は主要道路に限っても復旧率は約15%。作業開始まで数カ月かかるという損傷個所もあり、市外の道路状況は把握すらできていない。
 JRは土砂崩れの影響で信越線の犀潟―宮内間が不通になっている。このうち犀潟―柿崎間は23日朝から運転再開の見通し。列車脱線の影響で、越後線の柏崎―吉田間も開通していない。
 長時間同じ姿勢でいるために血栓ができる「エコノミークラス症候群」は、柏崎市内の避難所で暮らす70歳代の女性に兆候が見つかった。各避難所では、保健師が予防のために簡単な体操を紹介している。また、熱中症を訴えるお年寄りもおり、避難所生活の長期化に伴って健康不安が懸念されている。



6、液状化など多発 砂地層が影響か 学会が報告(朝日新聞)
2007年07月22日02時54分
 新潟県中越沖地震で、被害が集中した柏崎市や刈羽村は、日本海沿岸に発達した砂丘や、浅い地表面を覆う砂の層の影響で液状化や地滑りが多発し、被害を増幅させたことがわかった。被災直後に調査団を派遣した土木学会と地盤工学会が東京都内で報告会を開いた。
 東京大生産技術研究所の小長井一男教授は、柏崎市の中心部を流れる鵜川河口に広がる砂丘沿いで、道路の舗装の亀裂などを約1キロの間に18カ所確認。「全壊家屋は、砂丘周辺に集中している」と指摘した。
 長岡工業高専の尾上篤生教授の調べでは、刈羽村でも砂丘沿いで幅100メートル、長さ500メートルにわたり液状化がみられ、約30軒が損壊していたという。尾上教授は「海岸に近く、もともと地下水位が高い地域。地震で砂が流動し、液状化が起きた」とみる。尾上教授によると、64年の新潟地震、04年の中越地震の際も、この地域では同様の現象が見られたという。
 液状化現象は、京都大防災研究所の後藤浩之助教らの調べでも明らかになった。防災科学技術研究所などの観測データを解析したところ、柏崎市では、液状化特有の地震波が認められたという。後藤助教は「強い揺れに液状化も加わり、弱い建物が壊れた。砂の地層が広がる地域特有の被害だ」という。


7、柏崎刈羽原発:水漏れの建物内を初めて公開 (毎日新聞)

地震直後、火災が発生した3号機原子炉の所内変圧器周辺を調査する東京電力の職員ら=新潟県柏崎市の柏崎刈羽原子力発電所で21日午後2時53分、貝塚太一撮影

制御棒が入り緊急停止したことを示す7号機原子炉・中央制御室の表示板=新潟県柏崎市の柏崎刈羽原子力発電所で21日午後2時24分、貝塚太一撮影 新潟県中越沖地震で放射能漏れや変圧器火災を起こした東京電力柏崎刈羽原子力発電所(柏崎市・刈羽村)の建物内が21日、報道陣に初めて公開された。微量の放射能を帯びた水が原子炉建屋から外部に漏れ出た6号機では、水があふれた床がシートで覆われ、汚染された水をためるバケツが置かれていた。1号機の消火系配管付近では、地盤沈下が1.6メートルに達した場所もあった。

 6号機のタービン建屋の周辺も地盤沈下が激しく、東側の車道にはいくつも亀裂が走っていた。自動停止した7号機の中央制御室のディスプレーには各機器の状態が示され、「重故障」「軽故障」などの文字が並ぶ。

 中越沖地震では、火災を起こした3号機の変圧器の他にも、計4基の変圧器で油漏れが起きた。油漏れはいずれも、まだ止まっていないという。

 一方、新潟県と柏崎市、刈羽村は同日、安全協定に基づく立ち入り検査をしたが、東電の放射能の測定法や分析に問題はなかった。県は、放射能漏れの再発防止を徹底するよう東電を指導する方針だ。
【7月22日関東晋慈、田中泰義】




8、自動車部品メーカー連鎖休業、影響は全国に拡大  経済新聞
 新潟県中越沖地震により自動車全12社が生産の一時休止を決めたことで、全国各地の部品メーカーが連鎖的に生産休止などに追い込まれている。国内自動車産業で製造に携わる人員は約75万人。そのうち54万人強が部品産業で、リケンという1社の被災が広大な産業の隅々に影響を及ぼした。週明け以降、順次再開するとみられるが、今度は減産分を取り戻すための増産に追われることになりそうだ。

 トヨタ車を製造する関東自動車工業の岩手工場(岩手県金ケ崎町)に内装品を納入する関東シート製作所(同・北上市)。関東自動車が19日夜から操業を停止したため、20日は操業を取りやめ管理部門や工場の間接部門のみが出勤した。  
7月22日



9 地震で罹災証明法分からず、被災家屋「いつ解体」  経済新聞
 新潟県中越沖地震で被害が大きかった柏崎市などで「倒壊しかかった家屋を解体してよいか」と悩む被災者の姿が見られる。罹災(りさい)証明を受ける前に解体すると、税の減免などを受けられないと考える人が多いためだ。市は「被害状況がわかる写真などでも証明は受けられる」と説明しているが、市民への周知は進んでいない。

 「通行人に万が一のことがあったら危ないので、早く解体したいのだが……」。同市東本町の主婦、土田富子さん(74)は20日、倒壊寸前の自宅を前にため息をつく。 07月21日 08:17



10、「棚を見ると落ちる」と震え、新潟県教委に被災小中生の声 ( 読売新聞)
 「棚を見ただけで落ちてくるんじゃないかと震える」「少しの物音にもびくっとする」。
 新潟県中越沖地震で被災した小中学生らのこんな声が、県教委が開設した「心の相談室」などに寄せられ始めた。
 心的外傷後ストレス障害(PTSD)の発症にもつながりかねないため、相談室は柏崎市とも協力し、心のケアに力を入れる。
 県教委は18日、ともに避難所となっている柏崎市立柏崎小学校と刈羽村生涯学習センターに「心の相談室」を開設。20日までに8組の親子らが訪れた。
 県教委などによると、母親らと相談に訪れた5歳の女児は震災後、タオルを常に口にくわえていないと落ち着かなくなった。小学2年の女児は、母親が後片づけのために倒壊した自宅に連れて行こうとすると非常に怖がり、自宅へ行けない状態が続いているという。また、中学3年の男子生徒はちょっとした揺れや物音にも身を震わせ、パニック状態になるなど強い不安感を示している。
 柏崎市教委にも、「地震前に比べて無口になった」「ちょっとしたことでパニックに陥る」などの相談が寄せられている。
 鹿児島純心女子大大学院の久留一郎教授(臨床心理学)によると、これらの症状は急性ストレス障害とみられ、放置するとPTSDを発症する可能性がある。久留教授は「カウンセリングなどで、恐怖を感じるのは正常な心の反応だと教え、子供たちを安心させることが大切。PTSDを防ぐには、災害発生後3日から1週間以内に治療を始める必要がある」と指摘する。
 3年前の中越地震では、約1200人の児童がカウンセリングを受けた。しかし、開始した時期が地震から約1週間後となり、対応の遅れが指摘された。このため、県教委は今回、早期の対応を図った。
(2007年7月21日17時4分 読売新聞)


11、損壊家屋1万棟を超える 新潟日報

 中越沖地震から6日目の21日、被災地の損壊家屋が1万棟を超えた。柏崎市は避難所となった瑞穂中学校など216戸でガスの供給を再開。同市は避難所となっていた日吉小学校を、床が抜ける恐れがあるとして閉鎖した。避難者97人はほかの施設へ移った。同市の応急仮設住宅建設場所が決まった。

 地震後に文部科学省が耐震構造を調べた結果、日吉小体育館の床柱を支える支柱が浮き上がっており「要注意」と指摘された。同所以外の避難所に問題はなかった。

 損壊家屋の調査では、全壊が953、半壊が552、一部損壊が6106などに増え、総被災数は1万1070棟となった。

 同市の応急仮設住宅は833戸を佐藤池第2野球場など23カ所に建設、8月15日にまでにすべて完成する予定。今月26日から8月3日まで入居申し込みを受け付ける。

 同市は番神2の1世帯2人に出していた避難勧告を、雨によるがけ崩れの危険度が増したことなどから同日、指示に切り替えた。同市山本地区の一部でもがけ崩れなどによる家屋崩壊の危険があるとして、34世帯81人に避難勧告を出した。被災地の避難指示、勧告は、143世帯322人になった。

 水道は1万7450戸で復旧した。復旧率は43・3%。給水再開個所では下水も使える。

 刈羽村では被災家屋の危険度を示す応急危険度判定が終了。全1474棟のうち「危険」と判定されたのは291棟、「要注意」は497棟だった。

 同日午前2時半すぎから同市北半田などで1150戸が約3時間にわたって停電した。高圧線を支える金物が壊れ、高圧線がほかの金物に触れたことが原因。

 避難所生活が困難な被災者に向けた「一時避難所」が開設され同日、上越市の温泉旅館などに17人が入居した。





2007年07月21日(土) 中越沖地震の記録 (11) 

1、被災損壊家屋が倍増6000棟に  (日報)
2、中越沖地震:短期施設に高齢者が集中、定員超過 柏崎市
3、中越沖地震:観光シーズン大打撃 新潟キャンセル1万件超  毎日新聞
4、中越沖地震:アスベスト対策急務 被災施設で飛散確認
5、東電、夏の電力確保・6電力から融通  日経
6、おにぎりなど救援物資の食料品、大量に余って廃棄処分  読売新聞
7、県外ボランティア殺到で“渋滞”、柏崎市が異例の自粛要請 読売新聞
8、移動式クーラー、ほっとする被災者…米が96台寄贈 読売新聞
9、線路やホームに大きな被害 不通が続く信越線など  産経新聞
10、国道8号線は23日に復旧開通  新潟日報



1、被災損壊家屋が倍増6000棟に  (日報)
 
中越沖地震から4日目となった19日、被災地では住宅損壊など被害状況の調査が進んだ。損壊家屋は6000棟を超え、前日より倍増。柏崎市は市街地や交通の要衝での渋滞が深刻なことから、21、22の両日、同市内での車の移動自粛を呼びかける。

 住宅損壊は全壊が949戸、大規模半壊が16戸、半壊が242戸などそれぞれ増え、施設被害は計6048戸に上った。

 公共施設では学校や福祉施設が被害を受け、小中学校は校舎のガラスが割れるなど195校が被災。福祉施設は165施設で駐車場に段差ができるなどしている。

 柏崎市は市中心部や高速道、国道に通じる各所が連日渋滞し、救援、復旧作業に支障が出ているため、不要不急の車両の乗り入れや移動の自粛を呼びかける。会田洋市長は「地震後初の週末のため多くの車の流入が見込まれる。呼びかけで渋滞が改善しない場合は県警と協議し、規制も考えなければならなくなる」としている。

 同市は21、22の両日に同市を訪れるボランティアには、北陸自動車道米山インターチェンジ近くの柏崎コレクションビレッジに集まってもらい、市が用意するシャトルバスへ乗り換えてもらうことを決めた。

 また同市は19日、倉庫が満杯状態のため食料以外の救援物資の受け入れを停止した。

 刈羽村は新たに100戸の仮設住宅建設を県に要望し、計200戸となった。

 同日午後6時現在の避難者は4069人。
新潟日報2007年7月19日



2、中越沖地震:短期施設に高齢者が集中、定員超過 柏崎市

高齢の被災者のため特設されたベッドがひしめくデイサービスセンター=新潟県柏崎市北園町の特別養護老人ホーム「しおかぜ荘」で20日夜、小川昌宏撮影 新潟県中越沖地震で被害が大きかった同県柏崎市で、一般の避難所暮らしに耐えられない要介護の高齢者が地元の短期入所施設に集中し、定員を大幅に超過する事態になっていることが分かった。定員の3倍という施設もあり、高齢者が廊下にベッドを並べて寝て、職員も人手不足から夜勤のローテーションが組めない状態という。被災地では、避難所生活の長期化による要介護者の増加が懸念されている。

 同市は地震後、市内の特養ホーム併設型7施設などで緊急受け入れを実施。20日現在、7施設で総定員を145人も超える高齢者315人が生活している。

 同市北園町の特養ホーム「しおかぜ荘」(短期入所定員20人)では70人が暮らす。デイサービスに使っている1階フロアには1メートルもない間隔でベッド33床が並び、ベッドは廊下にもはみ出している。

 職員は食事や排せつの介護で手いっぱいで、本来行っているリハビリなどは全くできていない。受け入れが緊急だったため被災者の持病なども把握できず、職員の疲労も限界に達しており、田中哲男理事長は「まるで野戦病院」と話す。

 地震当日の16日に緊急入所した同市新花町の外山辰治さん(78)は脳梗塞(こうそく)の後遺症で車いす生活を送っている。自宅は大きな棚がいくつも倒れて住めず、妻ハルエさん(82)は1人で避難所にいる。2人は地震から3日目に再会したが、外山さんは「早く帰りたい」と涙で訴えた。

 市内の別の施設「なごみ荘」でも16日には硬い床にカーペットを敷き、受け入れた高齢者に寝てもらったという。

 このため、市は19日から小学校の空き教室に簡易ベッド30床を運び込み、市内4カ所で福祉避難所を開設。県は新潟、妙高市など周辺8市町村の旅館やホテルに障害者を含む要援護者の受け入れを要請した。県老人福祉施設協議会も周辺自治体の施設に30人の派遣を要請。ヘルパーなどの募集も始めるなど、対応に追われている。

 柏崎市介護高齢課の担当者は「地震があれば避難所で暮らせない高齢者が出ることは分かっていたが、対策を立てるために全体数を把握する前に人数があふれてしまった。今はその対応に手一杯の状態」と話している。【岡田英】


3、中越沖地震:観光シーズン大打撃 新潟キャンセル1万件超  毎日新聞
 
本格的な夏の観光シーズンを前に、新潟県中越沖地震でほとんど被害がなかった同県内の観光地でも、宿泊予約やキャンプ場のキャンセルが相次いでいる。佐渡市だけでもホテルや旅館のキャンセルは既に3000人以上で、20日までに県内で約1万2000件がキャンセルされた。被災者への遠慮や余震への恐れが原因とみられるが、東京電力柏崎刈羽原発の火災やトラブルによる風評被害の側面もあり、関係者は頭を悩ませている。
 佐渡市観光課によると、18日正午現在で宿泊キャンセルは3148人。伊藤俊之課長は「04年中越地震では新幹線が長く止まったが、今回は何の被害もない。余震や原発のトラブルが理由だろう」と話し、「8月が一番観光客が多いのに、大打撃だ」と悲鳴を上げる。
 瀬波温泉などがある村上市では、既に17日の段階で2000人近くが予約をキャンセル。長岡市の森民夫市長も「蓬平温泉でキャンセルが出始めた。中越地震から復興したばかりなのに。予想外の事態」と漏らす。
 湯沢温泉旅館組合によると、越後湯沢温泉では地震直後からキャンセルが相次ぎ、19日までに100件以上の予約が取り消された。関秋光同町観光係長は「余震を感じたのは1回しかない。新幹線も通常運転しており、夏休みの家族連れをお待ちしています」と話す。
 温泉客でにぎわう南魚沼市の観光協会の調べでも、20日正午までの旅館やレストラン、キャンプ場などを含めたキャンセルは158件に上る。
 「3年前の中越地震でも客が減ったのに悲しいとかしかいいようがない。夏休みが始まりみんな期待しているのに……」(県旅館組合)と関係者は心配する。
 泉田裕彦知事は18日、県庁を訪れた勝俣恒久・東京電力社長に、「まるで県内が放射能に覆われているかのような印象になってしまった」と苦言を呈した。泉田知事は「県内で出ているキャンセルの9割以上は、直接の被害がないところで出ている」と話しており、県観光振興課は「新潟イコール中越という感じで、被害のないところまで混同されてしまっている」とキャンセルの影響拡大を心配している。【渡辺暢、神田順二】
毎日新聞 2007年7月21日 3時00分


4、中越沖地震:アスベスト対策急務 被災施設で飛散確認

マスクを着け解体作業に立ち会う女性=新潟県柏崎市で20日午後1時、川田雅浩撮影 新潟県中越沖地震で被災した同県十日町市の娯楽施設で壁の一部が崩れ、アスベスト(石綿)がむき出しになっていることが分かった。検出量は世界保健機関(WHO)の基準(1リットル当たり10本)未満だったが、今回の地震で石綿の飛散が確認されたのは初めて。今後、倒壊家屋の撤去が本格化することから、解体工事を行う業者に通知を出すなど、石綿飛散防止に乗り出すことにした。

 石綿がむき出しになっていたのは、3階の鉄骨部分。04年10月の中越地震でも石綿飛散が確認されたため、今回、十日町市が調べて分かった。

 県は同県柏崎市と刈羽村、出雲崎町で実施中の2万9000戸の危険度判定調査に合わせ、アスベスト使用の有無も確認するようにしている。また、中越地震では「解体工事などが集中的に行われ、アスベストの飛散が懸念される」として、業者らに通知を出している。散水をしながら解体工事を行い、アスベストをほかの廃棄物と区別し、耐久性の強い繊維を使って二重に梱包(こんぽう)して廃棄するなどの対策を求めており、今回も同様の通知を出すことにしている。

 中越地震で現地調査を行っているNPO法人・中皮腫・じん肺・アスベストセンターの永倉冬史事務局長は「石綿が吹き付けられているか分からないまま、崩れた建物の片付けなどを始めてしまう被災者もいる。木造住宅でも壁や天井の石綿は粉じんになれば有害となりうる」と指摘。「行政は早い段階で危険性を知らせる必要がある」と話す。

 被災建物に倒壊の危険性がある場合は防じん用シートなどの設置が困難な場合も考えられ、永倉事務局長は「行政と業者など関係機関が連携を取り合い、それぞれの現場に合った対策を検討すべきだ」と話す。さらに、大量のがれきが集まることが予想される集積場に石綿が使用された廃材が混入する危険性があるといい、「専門業者やNPOなど、石綿を判別できる者を廃棄物の分別にあたらせるべきだ」と指摘している。【光田宗義】

毎日新聞 2007年7月21日 3時00分 


5、東電、夏の電力確保・6電力から融通  日経
 
新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原子力発電所(柏崎市)が停止した東京電力は20日、夏場の電力需給見通しを発表した。関西など他の電力6社から計135万キロワットの融通を受けるほか、福島第一原発(福島県)の定期検査繰り延べなどで、最大電力見込み(前年比5%増の6110万キロワット)を1.7%上回る6214万キロワットの供給能力を確保する。

 同日記者会見した東電の勝俣恒久社長は「供給力は確保できる見通しだが、追加対策を引き続き検討する」と述べ安定供給確保に努める姿勢を強調した。


6、おにぎりなど救援物資の食料品、大量に余って廃棄処分  読売新聞
 
中越沖地震で、救援物資が全国から集まっている被災地・新潟県柏崎市の市災害対策本部(柏崎市役所)で、おにぎりなど消費期限が短い食料品が大量に余り、廃棄処分されている。
 自衛隊などの炊き出しが充実してきて、その分要望が減ったとみられる。対策本部は「せっかくの善意なのに誠に残念。早く改善したい」と話している。
 救援物資は地震発生直後から寄せられたが、水や食料品の割合が圧倒的。中でも保存の効かないパンやおにぎりが中心で、20日までに計10万食以上が製造会社やスーパーなどから届けられている。
 しかし、自衛隊とボランティアによる炊き出しが充実するに従って、作りたての食事に人気が集まり、出来合いの食品への要望が徐々に減少。18日ごろから倉庫などにおにぎりや弁当が余りだしていた。
 市役所裏の倉庫には20日午前、包装フィルムに「消費期限07・7・18午前3時」「保存温度18度以下」と記したおにぎり数百個が山積みされていた。廃棄されるおにぎりや弁当などは全国から寄せられたもののほか、市が購入したものもあり、数量は「把握できていない」(市担当者)という。
 ただし、対策本部は「余震が続く中、緊急事態などでいつ必要になるか分からない」として、20日以降も食料品の受け入れを継続する。
(2007年7月20日22時34分 読売新聞)

7、県外ボランティア殺到で“渋滞”、柏崎市が異例の自粛要請
 
新潟県中越沖地震で大きな被害を受けた柏崎市には、災害ボランティアを希望する人たちが延べ1000人以上集まり、さばき切れない事態になっている。
 市災害ボランティアセンターは、週末の21、22日、希望者に被災地に入るのを自粛するよう、被災地としては異例の要請をしている。
 センターによると、17〜20日の4日間にボランティアを希望したのは延べ1268人。これに対し、倒壊家屋の片づけ、救援物資配送など被災者らからの作業依頼数は計175件。センターの試算によると、約4割の希望者に仕事が回らないこともあるという。希望者は17日の129人から徐々に増え、20日には336人、週末は1日で1000人を超える人が集まるとみられる。
 このため、センターはホームページに「ボランティアの人数は充足されています」「県外の方のご協力は、受け入れ体制が整うまでお待ち下さい」と記載。混乱している被災地に多くのボランティアが入った場合、渋滞などで逆に救援活動が滞る恐れがあることも考慮したという。
 3年前の中越地震で震度7を記録した新潟県川口町の担当者によると、町内にはピーク時の週末に約800人のボランティア希望者が訪れたが、3分の2は作業が見つからなかったという。
 今年3月の能登半島地震では、輪島市で5月末まで延べ約1万2500人が活動したが、石川県は被災者の要望を見極めるため、ボランティア登録を発生から3日目まで待った。
 柏崎市災害ボランティアセンターは「多くの希望者がおり、大変感謝している。県内の人や、すでに被災地に入った人には支援をお願いするが、県外の人たちはしばらく控えてもらいたい」としている。
(2007年7月20日22時45分 読売新聞)


8、移動式クーラー、ほっとする被災者…米が96台寄贈
 中越沖地震の避難所で使う移動式クーラー96台が米政府から新潟県に寄贈され、20日、被災地・柏崎市で、設置作業が始まった。

 クーラーからひんやりとした空気が流れ出すと、避難所の高齢者らは一様に安堵(あんど)の表情を見せた。

 米政府が、「2005年のハリケーン・カトリーナで日本から多くの寄付をもらったお返しに」(シーファー駐日米大使)と、避難所の蒸し暑さ解消のため寄贈した。

 在日米軍横田基地(東京都)に保管されていたもので、室外機と一体型になったタイプ。

 20日は、避難所2か所に計10台が取り付けられた。約50人が避難している荒浜コミュニティセンターでは、午前11時前から作業開始。在日米軍所属の米兵や自衛隊の隊員ら約40人が木製の台に置いたクーラーを施設の窓に次々と取り付けていった。

 地震初日から避難している中川文江さん(74)は、「虫が入るので、夜は窓が開けられなかった。本当にありがたいです」と話した。ただ、効き過ぎて寒くなり、一時使用を止めるところもあった。

(2007年7月21日0時22分 読売新聞)

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9、線路やホームに大きな被害 不通が続く信越線など  産経新聞

 JR東日本新潟支社は20日、新潟県中越沖地震による管内の被害状況をまとめた。不通区間のうち信越線犀潟〜柿崎間は23日始発から運転を再開するが、同線柿崎〜宮内間、越後線柏崎〜吉田間は線路やホームなどの被害が大きく、復旧の見通しが立っていない。
 同支社によると、幅約80メートルにわたり斜面が崩れた青海川駅付近は、線路や駅ホームに約1万3000立方メートルの土砂が積もった。第1米山トンネルなど3つのトンネルで天井や側壁にひび割れができ、柏崎駅や信越線安田〜北条間では線路がわん曲するように変形。
 越後線荒浜駅ではホームが崩落、架線の切断や電柱の倒壊も各地であった。
 余震で二次災害の恐れがあるため、柏崎駅で脱線した普通電車は傾いたままの状態。トンネル内で動けなくなった貨物列車は、週明け以降にディーゼル機関車で牽引(けんいん)するという。

10、国道8号線は23日に復旧開通

 中越沖地震から5日目となった20日、国土交通省北陸地方整備局は、不通となっている国道8号の長岡市大積千本町の土砂崩れ現場を23日に片側交互通行で復旧させることを決めた。国道8号は被災以来、7日ぶりに開通する。また柏崎市は25日の水道の完全復旧に向けて試験通水を進めており、これまでに鯨波、中浜など同市の4分の1で復旧した。梅雨前線の影響で、被災地では大雨によるがけ崩れなどの危険性が高まっていることから、国などは危険個所の緊急点検を行い、23日までに3000カ所を点検する。

 新潟地方気象台によると21、22日は県内全域で雨となり、21日夕方までの24時間降水量は上中越の多いところで60ミリに達する見込み。

 国交省と県は震度5強以上を記録し、土砂災害が発生する危険性がある人家の裏山や急斜面、土石流が発生しやすい沢などを緊急点検する。

 一方、崩壊や落下物など、被災家屋の危険度を示す応急危険度判定で、同市は郊外の被害が明らかになってきたことから、対象を市内家屋の9割にあたる2万7000棟に拡大。刈羽村は全棟を対象に実施する。

 両市村で調査を終えた9772棟のうち、「危険」と判定されたのは1579棟、「要注意」は2470棟となっている。

 県警などは、同市内の渋滞緩和のために実施していた北陸道柏崎ICの一般車両流出規制を20日から緩和。午後8時から翌朝の午前6時まで解除する。

 同市内の避難所では体調不良を訴える人が増えており、地震が発生した16日から20日までに、60歳以上の高齢者を中心に、45人が病院に搬送された。

 同市西山町五日市の4世帯18人に19日夜、避難勧告が出され、被災地の避難指示、勧告は108世帯、239人となった。

 同市内では20日午後7時半ごろ、北園町、栄町、安政町などで一時、最大313戸が停電した。原因は調査中。
新潟日報2007年7月20日



 


2007年07月20日(金) 中越沖地震の記録 (10)

1、お粗末、原発消防力 消火栓使えず職員傍観 朝日新聞
2、クボタ4工場停止・中越地震で 朝日新聞
3、中越沖地震、原発安全対策で日米協力・米、調査団を検討  (日経)
4、ヨウ素放出、発覚後も・柏崎刈羽原発、操作手順ミスか  (日経)
5、中越沖地震、被災地の暑さ対策急務   (日経)
6、東電、今夏の電力の安定供給は維持――原発停止で需給見通し  (日経)
7、地震被災地にボランティア続々、累計で1000人に   読売新聞
8、地震復興のシンボルまた被災、柏崎の高野メーン球場に亀裂   読売新聞
9、コンビニはもう一つのライフライン 産経新聞
10、原発トラブル、新たに10件  新潟日報
11、えんま通り商店街が存続危機 新潟日報


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1、お粗末、原発消防力 消火栓使えず職員傍観 朝日新聞
2007年07月20日18時22分 
 新潟県中越沖地震で、火災が起きた東京電力柏崎刈羽原子力発電所の自衛消防態勢が極めてお粗末だったことが次第に明らかになってきた。同原発の職員は火災の際、自治体消防が到着するまで手を施せず、傍観するばかりだった。これまで相次いだ火災で市から指導を受けていたのに、教訓を生かせなかった。今回の事態を受け、経済産業省は電力各社に自衛消防態勢の整備を指示する。
 地震が発生した16日は休日。柏崎市消防本部は当直の17人態勢だった。
 17人は地震の対応に追われ、原発に向かうことができたのは、非番で同本部に駆けつけた隊員5人。防火服をかぶり線量計を首にかけて、化学消防車で飛び出した。
 出火元は、変圧器脇の送電ケーブルを支える地上2.5メートルほどの橋脚部。隊員らが現場についた午前11時半には、橋脚からもうもうと黒煙が上がり、周囲の金属は溶け出していた。
 足元には、原発職員4人が消防が到着する前につないだ屋外消火栓のホースが4本あった。うち水が出たのはわずか2本。水はボトボトと1メートルほど先でこぼれる勢いしかなかった。「消火にはほど遠く、職員4人は傍観するばかりだった」という。
 原発の自衛消防隊は自治体消防が到着するまでの間、初期消火に当たることになっている。だが実際には鎮火までの2時間、機能しなかった。法的な義務づけはないものの「大事に備えて大きな消火器を敷地内に配備するなどの策も考えられたはずだ」と、市消防本部は指摘する。
 同発電所では4月には定期検査中にビニールシートが焼ける火事があった。この際も通報が発見から3時間後だったことから、消防本部が「発生時点での速やかな通報を」と厳重注意をしていた。そのほか今年に入り少なくとも3回、火災があったという。
 「ボヤが相次いでも、安全神話によりかかってしまう体質があったのではないか。法に従ってさえいればいいとの意識が、この事態を招いたと言える」。鎮火活動を指揮した消防隊員はそう話した。
 柏崎市長は18日、発電所内の危険物施設について、消防法に基づく緊急使用停止命令を東京電力に出した。東電は消防態勢の見直しを進める予定で、原発再開のめどが立たない中、これまで敷地内に配備していなかった自前の消防車1台を新たに準備するという。
 原発を抱える他の自治体も、原発の自衛消防力を不安視し始めた。
 福井県の西川一誠知事は18日、甘利経済産業相と面会。柏崎刈羽原発の変圧器火災の原因究明など7項目の要望書を渡し、こう訴えた。「地震のときに電力事業者による実効的な消火活動ができるような体制の整備を指導してほしい」
 中国電力島根原発を抱える松江市も「原発の消火態勢について、中国電力から国に出される報告をもとに、市としても実効性を確認したい」と話している。
 甘利経産相は20日夕、東京電力など各社から自主的な消防態勢についての報告を受け、各社の社長を呼んで、態勢整備などを改めて指示する。

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2、クボタ4工場停止・中越地震で 朝日新聞

新潟県中越沖地震で被災した自動車部品大手リケンの操業停止を受け、クボタは20日、油圧ショベルなどを生産する国内4工場を23日から最長3日間停止することを決めた。リケンは建設機械向けのエンジン部品などでも大きなシェアを握っており、部品調達が困難になった。リケンの操業停止の影響が、自動車業界以外にも広がってきた。
 クボタが生産を停止するのは枚方製造所(大阪府枚方市)と堺臨海工場(堺市)、堺製造所(堺市)、筑波工場(茨城県つくばみらい市)の4工場。(17:12)

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3、中越沖地震、原発安全対策で日米協力・米、調査団を検討  (日経)
 
【ワシントン=藤井一明】新潟県中越沖地震で被害を受けた東京電力の柏崎刈羽原子力発電所について、日米両政府は事故情報の共有化や専門家による安全対策の立案に乗り出す。原発新設の動きが世界的に活発になっていることに対応、安全対策の先例づくりで協力する。国際原子力機関(IAEA)も同原発の事故に強い関心を寄せており、今回の日米協力が国際機関との広範な連携に発展する可能性もある。

 米原子力規制委員会(NRC)が19日、日本経済新聞の取材に当面の対応を明らかにした。米政府は柏崎刈羽原発で火災が発生し、放射能を含む水が漏れる被害が起きた点を重視。日本政府からの要請を待って専門家を派遣、共同で調査する方針だ。当局者は「NRCと日本の規制当局の合意に基づいて対応する用意がある」と表明した。合意には情報共有と専門家による技術協力の促進などが含まれる。

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4、ヨウ素放出、発覚後も・柏崎刈羽原発、操作手順ミスか  (日経)
 
柏崎刈羽原子力発電所7号機の排気筒からヨウ素などの放射性物質が検出された問題で、東京電力は19日、問題発覚後もヨウ素の外部放出が続いていたことを明らかにした。新潟県中越沖地震で原子炉が自動停止した後も、操作の手順ミスで排気筒に通じる排風機(換気扇)が止まらず、そこから放射性物質が放出されたとみられる。

 同社は17日、微量の放射性物質が7号機の排気筒から検出されたと発表。18日午後9時に排気筒のフィルターを調べたところ、再びヨウ素を検出した。放射線量は被ばく限度の500万分の1程度と微量だが、16日の地震発生後から18日夜にかけて漏れていた可能性がある。

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5、中越沖地震、被災地の暑さ対策急務   (日経)
 新潟県中越沖地震後、中越地方では初めて長時間にわたる晴れ間が広がり、被害の大きかった柏崎市などでこの夏1番の暑さを記録した。被災者が密集する避難所では扇風機の設置などの暑さ対策が始まったが、医師ら専門家は皮膚疾患や熱中症といった夏に悪化しやすい健康被害への注意を呼びかけている。

 19日の新潟県上・中越地方では、30度を超える「真夏日」となった地域が続出。柏崎では最高気温28.9度を観測し、この夏1番の暑さを記録した。災害対策本部では避難所の暑さ対策に、扇風機やエアコンの設置計画を進めるが、エアコンは当面、コミュニティーセンター内の個室などに限り、効き目が薄い体育館への設置は後回しになる予定。

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6、東電、今夏の電力の安定供給は維持――原発停止で需給見通し (日経)
 
東京電力は20日、新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原子力発電所の運転を停止したことを受け、今夏の需給見通しを発表した。予想最大電力6110万キロワット(8月)に対し、供給力は6214万キロワットで安定供給は維持される見通しだとしている。

 柏崎刈羽原発の停止による不足分は、電力各社からの融通や自社発電所の出力増強などで補う計画。追加電力は8月で413万キロワットになる見通し。

 もっとも、猛暑で電力供給が不足する可能性もあり、顧客に節電を呼びかけるなど安定確保に向けて今後も取り組む。電力供給力の確保に向けた追加対策を検討するほか、緊急時には「需給調整契約」に基づいて法人などの契約者に需要削減を要請する。〔NQN〕

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7、地震被災地にボランティア続々、累計で1000人に   読売新聞
場所や支援内容の打ち合わせをするボランティアたち(新潟県柏崎市で) 新潟県中越沖地震の被災地に、続々とボランティアが駆けつけている。
 21日からは週末を利用したボランティアの急増が予想されるため、県が新潟市や長岡市などから被災地までのバス運行を計画するなど、地元では受け入れ準備を急いでいる。

 県、県社会福祉協議会などで作る災害救援ボランティア本部によると、17〜19日に、柏崎市などの被災地に入ったボランティアは累計で約1000人に上る。
 柏崎市ボランティアセンターには19日現在で約1000人が登録しており、週末にその多くが現地入りすると予想。刈羽村は200人程度と見込む。
 過去に大地震を経験した人たちも、「あの時の恩返しを」と動き出した。
 神戸市垂水区のNPO法人「ひまわりの夢企画」代表、荒井勣(いさお)さん(61)は18日朝からトラックで被災地に入り、「神戸ウオーターはおいしいよ」と飲料水を配る。1995年の阪神大震災で被災した荒井さんは、「水のありがたさは被災しないとわからない」と、神戸から運んできた飲料水を配った。
(2007年7月20日12時12分 読売新聞)

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8、地震復興のシンボルまた被災、柏崎の高野メーン球場に亀裂 読売新聞
 
新潟県中越沖地震で、3年前の中越地震の被害から復旧したばかりの柏崎市佐藤池(さとうがいけ)球場が、再び大きなダメージを受けた。
 “復興のシンボル”として、今夏の高校野球新潟大会のメーン会場にもなっていたが、中断している大会が再開されても、球場は当面使えそうにないという。
 球場は、中越地震でグラウンドや練習場が約1・5メートル陥没した。地下排水溝の補修や芝の全面張り替えなど、総工費2億円をかけた改修工事は、今年6月に終了。今月13日に高校野球新潟大会の開会式が行われ、25日には決勝戦も予定されていた。
 しかし、16日に震度6強の揺れに襲われた。試合中の選手たちはグラウンドにしゃがみ込み、スタンドからは悲鳴が上がった。けが人はなかったものの、一塁側ベンチが40センチほど沈み、グラウンドにも無数の亀裂が入った。ネット裏の通路でも天井の一部が崩れかけており、県高校野球連盟は安全上の問題を考慮して使用中止を決めた。予定された22試合のうち、3試合を消化しただけだった。
 柏崎市は被災者の支援に追われているため、復旧工事までは手が回らない。グラウンドキーパーの吉野公浩さん(40)は「復旧してからまだ1か月半しかたっていないのに……。夏の高校野球のメーン会場になるので、手間をかけて面倒をみてきただけに残念です」と肩を落としていた。
 県高野連は20日、新潟大会を23日に再開することを決めた。
(2007年7月20日14時39分 読売新聞)

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9、コンビニはもう一つのライフライン 産経新聞

地震当夜の停電下、非常灯とろうそくを頼りに営業を続けるコンビニもあった=16日夜、新潟県柏崎市西本町電気やガス、水道とともに、今やわが国の「もう一つのライフライン」ともいえるコンビニエンスストア。新潟県中越沖地震では、過去の震災の教訓を生かし、迅速に対応したコンビニの姿が目立った。平成16年10月の中越地震、今年3月の能登半島地震でも現地取材を担当した目で今回の被災地を見ると、その存在が年々大きくなっていることがわかる。(徳光一輝)

 
普段通り営業

 地震発生から約7時間後の16日午後5時すぎ、震度6強に見舞われた柏崎市中心部へ入り、避難所の小学校を回った。市内へ入る前に買ったチョコレートや柿の種をかじって空腹をしのいでいたら、市内のコンビニは軒並み営業していた。

 ただ、「セブン−イレブン」の一軒に入ると、弁当やおにぎりはすべて売り切れ。飲み物の棚も、ビールや缶入りチューハイといった酒類以外は空っぽで、水やお茶などは即座に売り切れたらしい。

 それでも、スナック菓子やチョコレートなどは普段通りにあり、男性副店長は「弁当などの商品も通常の1時間半遅れで届きました。道路の混雑以外は、それほどの影響はなかったと思う」。

 2日目以降は本部から特別物資としておにぎりや水の「送り込み」があったといい、その夜に再び訪れると棚いっぱいに弁当とおにぎりが置いてあった。ただ、おにぎりの種類は梅とツナ、明太子くらいと少なかった。

 3年前の中越地震では停電でレジが動かず、店先に「屋外売り場」を設けたセブン−イレブンもあったが、今回はほぼ通常通り営業。被災者は食料品だけでなく、携帯電話の充電池なども群がるようにして買っていた。

 
他県から回す

 今回は、大手だけでなく地元のコンビニも対応が早かった。新潟県内に121店ある「セーブオン」(前橋市)の経営企画部長、羽鳥豊さん(34)は「3年前の教訓が生きた」。

 中越地震では、断水のため店のトイレが使えず仮設トイレを手配したが「くみ取りまで頭が回らず困った」。今回はそれも手配した上、停電した柏崎市内の3店には自家発電機を持ち込んだ。

 また、新潟の弁当工場が被災したため他県の工場から品物を回し、輸送についても先遣隊が道路状況を伝えるなどしてスムーズに運んだという。

 一方、能登半島地震で震度6強だった石川県輪島市門前町の場合は、過疎地域でコンビニそのものがほとんどなかった。被災者向けには支援物資のおにぎりが配布され、避難所で炊き出しが行われたが、食料不足の感は否めなかった。

 わが国に初めてコンビニができて三十数年。全国の総数は約4万3000店と世界一のコンビニ大国となった。ふだん何げなく食べている弁当やおにぎりが、もしも姿を消したら…。「もう一つのライフライン」であることが、被災地で身に染みた。

 
貯水タンク

 地震2日目の17日夜、柏崎市内で車を走らせていたら、見慣れたファミリーレストラン「バーミヤン」のネオンを見つけた。店内では何組かが食事をしている。この日夕から再開したという。店から出てきた男性客2人は「やってるよ。すごいよ」と弾んだ声で話した。

 3年前、最大の被害に見舞われた小千谷市で飲食店が再開したのは発生から10日目。水道もガスも復旧しないままカセットコンロで肉を焼き始めた焼き肉店だった。

 柏崎のバーミヤンは、貯水タンクに水が1・5日分残っており、隣接する長岡市の系列店からも水を運んだ。本部によると、万一に備え、全国の大半の店で貯水タンクを持っているという。

 コンビニ同様、夜間でもこうこうとともる明かりを見ると、本当にほっとする。心身ともに疲労が重なる被災地ではなおさらだ。

 メニューはチャーハン(スープなし)と焼きギョーザのみ。皿はプラスチック。店先に置かれたワープロ打ちの紙には、こう書かれていた。

 「震災のためご迷惑をかけながらも何とか営業にこぎ着けることができました。本日は2品しか準備できませんが、ごゆっくりお過ごし下さい」

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10、原発トラブル、新たに10件  新潟日報
 中越沖地震で東京電力柏崎刈羽原発に発生したトラブルが、10件増えて計63件になったと19日、同電力が発表した。

 同電力によると、使用済み燃料プール内で水中作業台が、使用済み燃料を入れたラック上に落ちているのが4号機と7号機で見つかった。東電によると、この作業台は重さ約200キロ、長さ3―5メートル、奥行きが0・7メートル。

 これが地震で落下した例はこれまでなかったという。プール水の分析の結果、燃料は傷ついていないとみられるという。

 また1号機の原子炉建屋で消火系配管が損傷し、地下5階に約1670トンの水がたまっていたが、この水が放射能を帯びていることが新たに判明した。

 一方、6号機で放射性物質を含む水が海に放出された件について、原子炉建屋の使用済み燃料プールからあふれた水が、燃料交換機のケーブルや、それを通すための電線管を伝って、外部に漏れた可能性が高いとした。
新潟日報2007年7月20日

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11、えんま通り商店街が存続危機 新潟日報
 中越沖地震で、店舗の倒壊が相次いだ柏崎市東本町2の通称「えんま通り」商店街の存続が危ぶまれている。家屋倒壊で犠牲者も出るなど一帯は壊滅的被害を受け、再開の見通しが立たない店舗が多いためだ。柏崎市初のアーケード街としてかつては多くの客を集めた商店街。「このままでは商店街が消滅する」と店主らは表情を曇らせる。

 200メートルほどの通りに約40軒の商店が並ぶえんま通り。住宅や店舗6棟が倒壊し、店舗のほとんどが被害を受けた。40年ほど前、柏崎で最初に完成したと地域が誇るアーケードは波打ち、いずれ撤去される方向だ。

 現在は車両通行止めとなっており、時折被害調査に当たる技術者が行き来するだけ。地震から4日目の19日も、各店舗の大半はシャッターが下り、復旧はほとんど手つかずのままだ。

 「これからこの町はどうなるんだろう」。生花店を営む小島吉貴さん(33)はガラスが粉々に散った店内でつぶやく。「生まれ育った場所だしここで店を再開したい。けれど何から手を付けていいやら」と困惑した様子だ。

 夫婦で瀬戸物店を営む矢代直子さん(61)は「商品のほとんどが割れて売り物にならない。もうちょっと若かったら頑張れるんだろうけど、跡取りもいないし」。まだ再開は決めていない。

 かつて100軒近くの店舗がひしめいていたという商店街。通りの一角にある地域のシンボル「閻魔(えんま)堂」にちなんで10年ほど前に「えんま通り」と名付け、各店舗に看板を取り付けた。さまざまな町おこしイベントも仕掛けてきたが、ここ30年ほどで店舗は半数以下に。そこへ地震が追い打ちをかけた。

 133年続く呉服屋の10代目店主で、東本町2丁目振興会会長の中村康夫さん(47)は「被災をきっかけに(閉店の)腹を決める人も出るだろう。アーケードも撤去されれば商店街として成り立たなくなる。なんとか維持する方法を考えなければ」と、復興へ思いを巡らせている。
新潟日報2007年7月20日
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2007年07月19日(木) 中越沖地震の記録 (9)


本  文 1、原発の放射能心配」新潟のホテル、キャンセル続出     朝日新聞
2、中越沖地震:柏崎市などで今年一番の暑さ 体調崩す人も  毎日新聞
3、柏崎刈羽原発:地震計63台で揺れの詳細データを消失   毎日新聞
4、柏崎刈羽原発、全7基で設計時の想定超える揺れ…東電発表 読売新聞
5、自動車の生産停止、全社に広がる             産経新聞
6、柏崎市で高齢者用避難所設置               新潟日報
7、政府が被災地へ無償支援物資               新潟日報
8、被災地企業の6割操業できず               新潟日報
9、地場企業の設備、被害深刻                新潟日報
 

1、原発の放射能心配」新潟のホテル、キャンセル続出
                          2007年07月19日18時16分朝日新聞

 新潟県中越沖地震の発生直後から県内のホテルや旅館で、予約客のキャンセルが相次いでいる。その理由の多くが、東京電力柏崎刈羽原子力発電所のトラブルによるものだ。夏のかき入れ時だけに一日も早い「安全宣言」を望んでいる。

 「放射能が海に流れて心配」

 柏崎市から約140キロ離れた村上市瀬波温泉。旅館「汐美荘」では7、8月で1000人がキャンセルした。その際、複数の予約客が原発のトラブルを理由にあげた。

 「これには困りました。放射能の風評被害は日本海全域に及びます」と斎藤憲夫総支配人。

 温泉リゾートとして知られる湯沢町の湯沢温泉。大型ホテル「ナスパニューオータニ」は、7月中だけで780人のキャンセルを受けた。

 広報担当の小野塚敏之さん(30)も「心配しているのは原発のトラブル。県全域に影響を及ぼしかねない」。町の観光協会長の白井彬起(よしき)さん(65)も「原発事故は、影響が目に見えないので不安を招く。情報を小出しにするからなおさらだ」と東電を批判する。

 海外からの問い合わせもあった。

 「インターネットで原発の事故のニュースを見た。状況を報告してほしい」。佐渡島のホテルには発生後、取引のある中国やロシアの旅行会社から原発の影響について問い合わせが相次いだ。「大丈夫だ」と即答し、キャンセルはどうにか回避したという。

 柏崎市から40キロほど離れた長岡市の蓬平温泉では20日、地元関係者が森民夫市長に風評被害対策を要請する予定だ。

 同温泉は04年の中越地震で被害を受けた。今回は無事だったにもかかわらずキャンセルが止まらない。「原発も一因」と蓬平観光協会会長の中村忠夫さん(61)。

 こうした事態を受けて、新潟県観光協会は18日、「一部に『新潟県』や『中越地域』をひとくくりにとらえたキャンセルなど過剰な反応も見られる」として、ホームページを通じ、宿泊やイベント、交通機関に関する情報提供を始めた。地域ごとに「宿泊施設に地震の影響はなく、通常通り営業しています」などと明記している。

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2、中越沖地震:柏崎市などで今年一番の暑さ 体調崩す人も

氷で冷やされる飲料水=新潟県柏崎市の柏崎小学校で19日午後4時22分、西本勝撮影 中越沖地震で大きな被害が出た柏崎市や刈羽村では19日、最高気温が28度を超えた。今年一番の暑さになり、室温が30度を超える避難所もあった。両市村では扇風機を避難所に入れたが、体調不良を訴える人も出始めた。避難所生活の疲労に加え、暑さが被災者を悩ませている。

 新潟地方気象台によると、市の最高気温は前日より約4度高い28.9度に。市は19日から、扇風機650台を順次、避難所に設置するが、体育館などではうちわを使う被災者も多く「暑さを何とかしてほしい」「気分が悪い」という訴えが続出した。

 柏崎小に避難している同市西港町の浜ヨシさん(91)は「扇風機だけでは暑さはしのげない。トイレにできるだけ行かなくていいようにと思い、水をあまり飲まないので余計につらい」と話していた。刈羽村の第2体育館に避難している同村井岡の伊藤エミ子さん(80)は「夜になれば寝泊まりのために人が増えてもっと暑くなる。扇風機を増やせないだろうか」とため息をついた。

 同気象台によると、柏崎地方は20日も気温が30度近くになり、蒸し暑い1日になる見通し。【津久井達、山田毅】
毎日新聞 2007年7月19日 20時15分

3、柏崎刈羽原発:地震計63台で揺れの詳細データを消失
 東京電力は19日、中越沖地震で柏崎刈羽原発6号機の使用済み燃料プールの水があふれ、放射能を帯びた水が海に排出された原因について、「プールのある管理区域と非管理区域との壁を通るケーブルと電線管を伝って水が漏れたと推定される」と発表した。

 また、同原発に設置されていた地震計97台のうち63台で地震の揺れの詳細データが消失したことも明らかにした。古い型でデータ容量が小さく、余震の揺れが本震データを上書きした。安全性確認は可能というが、揺れの強さを模擬計算した結果を実測値で確認できない部分が増えるという。

 同様のデータ消失は、3月に能登半島地震に見舞われた北陸電力志賀原発でも発生。東電は来年度までに新型地震計にする計画だったという。

 さらに、同原発1号機から7号機までの地下最深部での揺れの加速度を発表した。全号機で設計上の想定を上回り、2号機では606ガルと設計値の3・6倍に達した。最大値は1号機の680ガルだった。

 一方、東電は中越沖地震の震央から同原発までの距離を、従来の9キロから13キロに修正した。【高木昭午、永山悦子】

毎日新聞 2007年7月19日 19時59分 (最終更新時間 7月19日 20時38分)
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4、柏崎刈羽原発、全7基で設計時の想定超える揺れ…東電発表

 東京電力は19日、柏崎刈羽原発の全7基の原子炉で、設計時の想定を超える揺れを記録していたことを明らかにした。

 1号機の最大加速度は680ガル(想定273ガル)で同原発の原子炉の中で最も揺れが大きかった。そのほかの揺れは、2号機606ガル(同167ガル)、3号機384ガル(同193ガル)、4号機492ガル(同194ガル)、5号機442ガル(同254ガル)、6号機322ガル(同263ガル)、7号機356ガル(同263ガル)だった。

 また、東電は、原発から震源地までの距離も、これまで発表していた9キロから16キロに訂正した。気象庁による正確な震源地の特定に伴うもので、東電内の連絡体制の不備で公表が遅れた。

(2007年7月19日20時46分 読売新聞)

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5、自動車の生産停止、全社に広がる
                                     19日産経新聞

 新潟県中越沖地震で部品メーカーが被災したことで自動車各社の生産に影響が出ている問題でホンダ、マツダ、三菱ふそう、日野自動車、日産ディーゼル工業、いすゞ自動車の6社が19日、新たに生産を一時停止することを決めた。すでにトヨタ自動車など6社は18日に生産の一時停止を決めており、地震による生産への影響は国内自動車メーカーすべてに拡大した。

 ホンダは20日に三重県内の工場の操業を停止。マツダは広島、山口両県の工場で21日の休日出勤を取りやめ、23日の操業停止も決めた。日野自動車、三菱ふそう、日産ディーゼルもそれぞれトラックの生産を停止。いすゞは21日に予定していた休日出勤を取りやめ、栃木工場で大型エンジンの生産ラインを止める。

 各社が生産を停止するのは、エンジン内の摩擦を少なくする「ピストンリング」で5割のシェアを持つリケンの工場が被災し、部品の供給がストップしていることが原因だ。自動車各社はコスト削減を狙いに部品在庫を最低限に抑えており、高いシェアを持つリケンの生産停止が短期間で業界全体に影響を与えた。
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6、柏崎市で高齢者用避難所設置

 中越沖地震の被災者が蒸し暑い避難所で集団生活を強いられる中、柏崎市は19日、体調を崩しがちな高齢者らを対象とした福祉避難所を市内2カ所に設置した。トイレなどに見守りの必要な高齢者らが利用を開始、家族からは「ここは涼しくて快適」とあんどの声が寄せられた。

 福祉避難所が設置されたのは、同市学校町の柏崎小内のコミュニティデイホームはまなすと、同市佐水の特別養護老人ホームいこいの里の一角。同日までに市がベッドや洋式のポータブルトイレなどを搬入、運営は県老人福祉施設協議会の加盟施設に委託した。

 はまなすの避難所では開設初日、保健師らに利用を促された高齢者が相次いで訪れ、ベッドで体を休めていた。歩行が困難だという同市東本町1の名塚節郎さん(89)は「和式の仮設トイレはつかまるところがないので、立ち上がれなくなって倒れてしまった。娘が迎えに来るまで数日間利用したい」と話していた。

 福祉避難所は、刈羽村が同地震直後から福祉複合施設きらら(同村刈羽)に設けているほか、同市がさらに1カ所開設する予定。

                              新潟日報2007年7月19日
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7、政府が被災地へ無償支援物資

 政府は19日、本県からの要請を受け、大型扇風機やブルーシートなど、中越沖地震の被災者への支援物資を無償提供することを決めた。同日中に業界団体などを通じ、被災地に向け発送する。

 提供物資は、暑さ対策が課題になっている避難所で利用する大型扇風機350台や、ブルーシート1万枚以上、ウエットティッシュ2万3500個、消毒液1万2000本。また、老人、子供用の紙おむつも提供する。

 内閣府は「被災地で物資が過剰にならないよう調整しながら、今後もニーズに合わせて早急な対応をしていきたい」と話している。


                                  新潟日報2007年7月19日

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8、被災地企業の6割操業できず

 県は19日、主要製造業の中越沖地震の被災状況をまとめた。柏崎市で実施した調査企業76社のうち、6割程度が建物の崩壊で操業できなくなるなどの大きな被害を受けていることが分かった。刈羽村では、調査企業数は6社と少ないものの、全企業が大きな被害を受けている。

 調査は揺れが大きかった柏崎市や刈羽村、長岡市などの299社を対象に、電話や現地を訪問して実施した。トヨタ自動車などへエンジン部品を供給しており、柏崎市に工場があるリケンは、同市などにある子会社、下請け会社などにも大きな被害を受けている。

 リケン柏崎営業所と子会社を合わせた9社と同下請け11社を合わせた従業員数は約2800人で、合計売上高は約1000億円になるという。

 また、柏崎市や周辺の酒造会社9社も製品が割れるなどの大きな被害を受けた。瓶詰めなどに水が必要なため、各社とも復旧を待っている。

 県産業振興課は「電話や現地調査を続けて、被害額などを算定していきたい」としている。

新潟日報2007年7月19日

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9、地場企業の設備、被害深刻

 中越沖地震は、被災地の地場中小製造業者にも大きな被害をもたらした。柏崎市の工業団地の一つ柏崎機械金属団地(約30社)などでは、生産設備の被害が深刻で、操業停止に追い込まれている企業が相次いでいる。金属部品など製品納入の遅れは避けられず、企業からは「納期に間に合わなければ取引先は別の企業に発注する」と不安の声が漏れる。また、ガスや水道の供給停止が、操業再開の障害となっている企業も多い。

 工作機械部品製造の吉田鉄工所では、部品を加工する工作機械約30台がずれたり、傾いたりした。20日以降、機械の位置を元に戻し、機械調整を急ぐ。月末までの操業再開を目指すが、吉田隆社長は「納期がいつになるか返事ができない。急いでいる取引先には他社に振り替えてもらっている」と話す。

 産業用機械ユニット製造の拓英は、部材を切断する加工機が地震で土台から持ち上げられよじれた。正確な切断ができないばかりか、停電で自動制御のコンピューターも使えない状態。発電機を導入し設備の作動状況を確認、操業再開を急ぐが、小林茂雄社長も「納期に間に合わなければ取引先は別の企業に発注する。一度移った仕事を取り戻すのは難しい」と表情を曇らせ、生産規模縮小も覚悟する。

 ガスや水道などライフラインの早期復旧を願う切実な声があちこちで上がる。自動車部品のシャフトを加工するヤマテックは週内には一部操業再開のめどが立った。しかし、「シャフト加工には水が必要だが水道が使えない。生産が遅れるばかりだ」とため息を漏らす。また別の業者も「ガス、水道の早期復旧が操業再開の鍵。ライフラインが復旧しなければ完全復旧にはほど遠い」と話した。

新潟日報2007年7月19日



2007年07月18日(水) 中越沖地震の記録 (8)


1、柏崎市内墓地で76歳男性遺体発見 10人目の死者 朝日新聞
2、原発変圧器、地盤沈下で出火 土の上に建設、傾く 朝日新聞
3、公営住宅への被災者受け入れ、全自治体に要請 国交省 朝日新聞
4、中越沖地震:トヨタ国内全工場、停止 部品工場復旧せず 毎日新聞 
5、車6社が一時生産停止へ、部品メーカーの地震被災受け 読売新聞
6、被災者半数「備えなし」…中越沖地震で読売調査   読売新聞
7、柏崎原発の火災対策、IAEAが2年前に不備指摘 読売新聞
8、柏崎刈羽原発、東電が安全点検に数か月の見通し  読売新聞
9、水道は25日までに復旧目指す  新潟日報
10、漏れた放射能量は1・5倍 新潟日報
11、避難所警戒「ゆきつばき隊」

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1、柏崎市内墓地で76歳男性遺体発見 10人目の死者
(07月18日 21:52朝日新聞)
 新潟県柏崎市内の墓地で18日夜、行方不明になっていた無職猪俣孝さん(76)(柏崎市鏡町)が、地震で倒れた墓石などの下敷きになって死亡しているのが見つかった。
 中越沖地震の犠牲者は10人目。
 避難所への避難者は18日午後5時現在、4743人。断水は同9時現在、約4万1000戸で続いているが、停電は18日夜、すべて解消された。北陸自動車道は18日夕、全面開通した。
 一方、柏崎市は18日夜までに、土砂崩れの危険があるなどとして82世帯154人に避難指示を出した。
          ◇
 18日午後4時53分ごろ、中越沖地震の余震があり、新潟県出雲崎町で震度4を観測した。震度4以上の余震は16日夜以来。これで余震は、19日午前1時までに計104回となった。

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2、原発変圧器、地盤沈下で出火 土の上に建設、傾く  
2007年07月19日朝日新聞

 新潟県中越沖地震で、東京電力柏崎刈羽原子力発電所3号機の建屋脇の変圧器で発生した火災は、地震で変圧器周辺が地盤沈下し、変圧器内にある電気を流す銅帯が周辺の金属と接触したために発生した可能性が高いことが、新潟県の調査などで分かった。東電と結ぶ安全協定に基づいて県が現地調査をして確認した。この地盤沈下によって地下の消火設備も損壊し、消火活動ができなくなった可能性もあるという。

 原子炉やタービンが収納されている建屋は、国の指針で固い地盤の上に建てるよう定められているが、付帯施設にはそこまでの耐震性は求められていない。大きな地震にあった場合は変圧器などの一般設備の損傷や出火よりも原子炉の安全確保を最優先に考えているためだが、消火体制などの不備があれば、想定外の被害に発展する可能性が浮かび上がった。

 建屋内で作られた電気はケーブルを通じて変圧器内に送られる。県によると、岩盤の上に直接建屋を建てる際に、周囲の土はいったん取り除かれ、建設後に再び埋め戻された。今回火災が発生した変圧器とケーブルを支える橋脚は、建屋周辺の軟弱な地盤の上に建設されていた。

 今回の地震では、想定の倍以上の揺れが観測され、ケーブルを支える橋脚部分が地面に沈み込んだ。変圧器内では、電気を通す銅帯が、直接触れない形で金属に覆われている。ケーブルが傾いたことでこの銅帯と金属が接触。ショートして火花が出るか、金属が高温になり、変圧器内の絶縁油に引火し、火災が起きた可能性が高いという。

 ケーブルを支える橋脚の下には消火栓の水道管が通っていたが、沈み込んだ橋脚の重さで圧迫されて損壊し、水圧が低下するなど初期消火活動に影響を与えた可能性もあるという。

 県は「東電側が15人くらいのチームで原因などを調査中と聞いている。時間がかかるようであれば、今後は専門家の意見を聞きながら、どう対応していくかを決めたい」としている。
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3、公営住宅への被災者受け入れ、全自治体に要請 国交省
2007年07月19日06時17分朝日新聞

 国土交通省は18日、新潟県中越沖地震の被災者を公営住宅の空き部屋へ家賃を減免するなどして優先的に受け入れるよう都道府県を通じて全自治体に要請した。

 被災者が入居を希望する場合、(1)収入の上限を設けない(2)公募手続きを免除する(3)家賃・敷金を免除、減額、猶予する――など「最大限の配慮」を要請。入居期間は1年間を基本に、必要に応じて更新したり正式入居として扱ったりするよう求めている。
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4、中越沖地震:トヨタ国内全工場、停止 部品工場復旧せず 

19日から操業が止まるトヨタ自動車の生産ライン=愛知県田原市の工場で6月、山田一晶撮影 中越沖地震で被災した自動車部品メーカー、リケンの新潟県柏崎市内の工場復旧が遅れている影響で、トヨタ自動車は18日、部品確保のめどが立たないとして国内12の全自社工場の操業を19日夕から21日未明まで停止すると発表した。ダイハツ工業も国内全4工場の操業を同期間停止する。日産自動車や三菱自動車、スズキ、富士重工業も生産の一部停止を決めた。復旧が遅れれば、自動車業界への影響拡大は避けられない情勢だ。

 リケンはエンジン用ピストンリングで50%、変速機用のシールリングで70%超の国内シェアを持ち、多くの自動車メーカーに供給している。自動車各社からの応援を受け、生産設備の復旧を急いでいるが、水道、ガスが復旧せず、操業再開のめどは立っていない。

 トヨタは、子会社による福岡、宮城県、北海道の4工場や関東自動車など系列メーカーの工場も停止。週末の休業をはさんだ23日以降に関しては、リケンの状況をみて判断する。

 富士重は、群馬県太田市の工場の軽自動車全5車種の生産を、19日夕から21日まで停止。スズキも静岡、愛知両県の5工場で19日から3日間一部のラインを止め、三菱自も最大3日間、3工場を止める。

 変速機大手のジヤトコはリケンの部品を使っているため18日夜から、静岡県内の3地区の工場を一部停止。その変速機の供給を受けている日産自動車は20、21両日、2工場を一部停止する。ホンダは「19日中に解決策が見つからなければ来週には生産が止まる可能性がある」(福井威夫社長)としている。

 国内自動車メーカーは、極力部品在庫を持たない「カンバン方式」と呼ばれる生産スタイルで効率化を追求している。そのために、短期間でも部品が止まれば生産が止まるという弱点が、露呈した形だ。【谷川貴史、山田一晶、森有正】

毎日新聞 2007年7月18日 21時
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5、車6社が一時生産停止へ、部品メーカーの地震被災受け
 トヨタ自動車は18日、新潟県中越沖地震の影響で、19日夕から21日未明まで、国内の全工場の生産を停止することを明らかにした。
 同県柏崎市に工場がある部品メーカー「リケン」(東京都千代田区)の工場が被災し、部品供給が止まったことで、エンジンや変速機などに必要な主要部品が確保できなくなったためだ。子会社のダイハツ工業も同期間、国内全工場で生産を休止する。日産自動車、三菱自動車、富士重工業、スズキの4社も18日、一部工場の生産ラインを停止すると発表した。業界全体の生産体制に影響が広がっている。
 三菱自は、岡山県倉敷市の水島製作所のラインを20日から停止し、21日から23日までは国内全工場のラインを停止する。日産は小型車を作る神奈川県横須賀市の追浜工場など2工場の一部、スズキは「ワゴンR」などを生産する静岡県湖西市の湖西工場など5工場の大半、富士重工は群馬県太田市の群馬製作所の軽自動車のラインを今週末まで停止する。
 ホンダやマツダなどもリケンから部品供給を受けており、ラインの停止について「検討中」としている。リケンは、エンジン部品のピストンリングなどを生産している。
(2007年7月19日3時3分 読売新聞)

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6、被災者半数「備えなし」…中越沖地震で読売調査
 新潟県中越沖地震で避難所生活を続ける被災者130人を対象に、読売新聞が18日、アンケート調査を実施したところ、2004年の中越地震の教訓を生かした備えができていなかったと回答した人が半数以上にのぼった。
 中越地震を経験した地域だが、9割近くは「その後の大規模地震を想定していなかった」とした。また、自宅で元の生活に戻る見通しを持てない人は4割に達している。
 調査は、柏崎市内の避難所12か所で、本紙記者の聞き取りで実施した。
 回答者は男性61人、女性69人。年齢別は30代26人、40代24人、50代18人、60代31人、70代以上31人。中越地震を経験した人は、93%にあたる121人だった。
 しかし、再び大きな地震があると思っていなかったと答えたのは、全体の87%にあたる113人。「今すぐにあると思わなかった」「前回は被害が少なく、『人ごと』と甘く見ていた」といった声が上がった。
 中越地震を教訓に食料備蓄などの備えをしていたかどうかを質問したところ、72人(55%)が「備えていなかった」と回答した。いったん備蓄したにもかかわらず、その後に飲食したまま補給せず、今回の地震に見舞われたケースもあった。
 現在の避難所生活での不満(複数回答)については、仮設トイレを中心とした「衛生状態」が最も多く38人。入浴や洗面、洗濯などの「生活用水」(27人)、「飲料水・食料不足」(12人)、「(隣の人の話し声など)騒音」(8人)、「プライバシー」(6人)などが続いた。「ない」と答えたのは29人だった。
 ボランティアに対する要望(自由回答)では、「自宅などの片づけ」の32人が最多。回答者の大半は、2人暮らしの老夫婦など、人手が足りない世帯だった。
 被災した自宅の再建のメドについては、58人が「たっている」「ある程度たっている」と回答。しかし、54人は「まったくたっていない」と答えた。
(2007年7月19日3時1分 読売新聞)
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7、柏崎原発の火災対策、IAEAが2年前に不備指摘
 新潟県中越沖地震で火災が起きた東京電力の柏崎刈羽原子力発電所に対し、国際原子力機関(IAEA)が2005年6月、火災対策の不備を指摘していたことがわかった。
 東電は指摘を受けて対策を見直したが、今回は消火に約2時間かかっており、改善が不十分だった可能性が出てきた。
 指摘したのはIAEAの運転管理評価チームで、世界13か国の原子力専門家とIAEA職員ら計16人で構成。04年11月に同原発で職員への聞き取りや現場の状況視察などを行ったうえで安全管理体制を評価した。
 05年6月に公表された評価報告書は、〈1〉火災対策を専門に担当する組織が存在しない〈2〉消防団はあるが、訓練を受けていない団員や、定期的な所内巡回をしていない団員がいる〈3〉火災対策を話し合う委員会が2年間開かれていない――などと指摘。「火災対策の組織や火災訓練を強化する必要がある」と改善を求めた。
 東電によれば、IAEAの評価後、消防署と合同で消火訓練を実施し、所内に「防火管理者」を選任するなどの改善に着手。昨年5月にIAEAの再評価を受け、「課題は解決した」との評価を得たというが、今回、実際には、初期消火に手間取るなどしていた。
(2007年7月19日3時5分 読売新聞
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8、柏崎刈羽原発、東電が安全点検に数か月の見通し
 東京電力は18日、新潟県中越沖地震でトラブルの多発した柏崎刈羽原子力発電所について、安全性の点検に数か月はかかるとの見通しを示した。また、地震を起こした海底の断層の独自調査にも乗り出すことを明らかにした。
 会見で東電原子力・立地本部の上津原勉・立地地域部長は、現在停止中の7基の発電設備をそれぞれ調べ、評価していくには、人員の手当てもあって数か月かかる見込みで、現状で運転再開のめどは立っていないと説明した。
 また、海底の断層調査開始は早くても8月下旬で、調査、分析に約半年かけ、年度内には結果が出る見込み。
 原発の被災調査は18日も引き続き行われ、建屋のパネルが外れるなど、新たに3件が見つかった。
(2007年7月18日22時42分 読売新聞)
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9、水道は25日までに復旧目指す
 最大で震度6強を記録した中越沖地震から3日目となった18日、柏崎市で不明の男性が、崩壊した寺院の下から遺体で発見された。これで中越沖地震による死者は10人となった。高速道は北陸道が2日ぶりに全通した一方、確認された損壊家屋は3000棟以上となった。

 高速道は北陸道が18日午後6時、柿崎IC―米山ICが対面通行で復旧。これにより通行料金無料区間が北陸道能生IC―関越道長岡ICに延長された。国道8号は土砂崩れで不通となっている長岡市大積千本町で復旧作業が本格化し、一週間後をめどに片側交互通行ができるようにする。柏崎市は25日をめどに水道を復旧させる方針だが、飲用できるのは数日後からになる。ガスは8月15日を目標に復旧作業に当たる。

 仮設住宅は同市が250戸をJR柏崎駅前の「ふれあい広場」、刈羽村が100戸を源土運動広場に建設する。いずれもお盆前の8月12日の完成、引き渡しを予定。また県は長岡市で空き家となっている中越地震の仮設住宅163戸に、避難所生活が困難な高齢者らに優先的に入居してもらうことを検討している。

 一方、柏崎市西本町2では高台にひび割れが見つかり、同市は63世帯91人に避難指示を出した。

 家屋の被害は、住宅が全壊944棟を含め2633棟に上り、事業所など非住宅を合わせると3005棟となった。同市で半壊などが確認されれば被害はさらに増える。

 また県が企業250社にヒアリング調査したところ、29社が「操業に影響があった」と答えた。
新潟日報2007年7月19日
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10、漏れた放射能量は1・5倍 新潟日報

 東京電力は18日、中越沖地震により柏崎刈羽原子力発電所6号機から放射能を含む水が海に流出した問題で、流出した水の放射能量に誤りがあったと発表した。訂正後の放射能量は当初発表の1・5倍となる約9万ベクレル。計算ミスが原因とみられ、同日報告を受けた経済産業省原子力安全・保安院は同社に厳重注意した。

 同社によると、訂正後の放射能量でも法定限度量の10億分の1以下で、環境への影響はないという。

 ミスは、放射能量算定の基となる放射能濃度を計算する際に発生。担当者が分析表を読み違え、本来より低い濃度を算出した。同社は17日に地震に関連した一連のトラブルを公表したが、その後、再点検した本社担当者が誤りに気付き、18日に現地担当者と確認を取り、ミスが明らかになった。

 保安院の根井寿規原子力発電検査課長は会見で、「こうしたことが繰り返されるたびに、国民の不安が募る。緊張感を持って仕事をしてほしい」と不快感を示した。

 県はこの問題で同日、6号機の放水口などで採取した海水から、放射性物質は検出されなかったと発表した。

 一方、東電は同日、地震によるトラブルについて、避雷鉄塔の一部損壊など3件を追加し、計53件になったことを明らかにした。また中越沖地震で設計時の想定を超える揺れを観測したことを受け、8月下旬にも海底の地質調査を独自に行う方針を示した。

 調査は、船上から音波探知装置を使う。震源断層の特定や、より広く詳細に周辺の地質を把握する目的。同原発の半径30キロの範囲を想定している。データの解析と合わせ、年内いっぱいはかかる見込み。

 低レベル放射性廃棄物を詰めたドラム缶の転倒は、前日までと合わせて約400本に増えた。そのうち40本のふたが開いていたが、新たな放射能漏れはなかった。
新潟日報2007年7月18日
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11、避難所警戒「ゆきつばき隊」

 県警が中越沖地震の避難所をパトロールする「ゆきつばき隊」が18日、結成された。隊員らは避難所での防犯指導や避難生活が続く住民の心のケアにあたる。

 同隊は親しみやすいように女性警察官を中心に34人で編成。3年前の中越地震でも結成された。隊員らは早速、柏崎小体育館を巡回。「避難所で盗難事件が起こっている。出掛けるときは貴重品を身につけて」と語りかけていた。

 同市西本町3の主婦岩船峰子さん(65)は「女性だと相談しやすいこともある。心強く思います」と話していた。
新潟日報2007年7月18日

2007年07月17日(火) 中越沖地震の記録 (2)(3)(4)(5)(6)

中越沖地震の記録 (2)

中越にまた大地震 3年前の教訓生かそう(日報社説)

 震度6強の強烈な地震がまた県内を襲った。震源地は柏崎沖で、被害地域は二〇〇四年十月の中越地震の被災地と重なる。度重なる大地震に現地の恐怖と不安はいかばかりか。余震に十分注意し、身の安全を図ってほしい。
 柏崎市などで七人が亡くなったのをはじめ、三百棟以上が全壊するなど甚大な被害が出ている。電気、ガス、水道のライフラインは寸断されたままだ。被災地とを結ぶ道路網も各地で途切れている。国、県の総力を挙げた救援活動が求められる。
 けが人は八百人以上に達している。重傷者もいる。病院の連携に万全を期し、治療や救助を進めてもらいたい。

◆避難所の整備急ごう

 政府は官邸に対策室を設けた。県や柏崎市は災害対策本部を設置し、救援に当たっている。急がなければならないのは、避難所の整備である。柏崎市を中心に百カ所以上が開設され、約一万一千人が避難している。
 しかし、水やトイレなどが足りないと悲鳴が上がっている。夏のこの時期、飲料水の不足は脱水症状など重大な健康被害を招く恐れがある。早急な対応が必要だ。
 蒸し暑さも大敵だ。学校の体育館は空調設備がない。避難している人はお年寄りが多い。避難所で病気になるような事態は避けなければならない。大型扇風機の設置が急がれる。
 地震は十六日午前十時十三分、柏崎沖で起きた。柏崎市、刈羽村、長岡市で震度6強を記録した。震源の深さは一七キロほどと浅く、マグニチュード(M)は中越地震と同規模の6・8と推定される。
 午後三時半すぎには震度6弱の大きな余震が起きた。その後も震度3前後の余震が続いている。気象庁は、今後一週間ほどは震度5弱から震度6弱クラスの強い余震が起きる可能性があると警告している。

◆まずライフラインだ

 二回の強い揺れで、地盤や建物が不安定になっている恐れがある。棚などからの落下物にも要注意だ。
 ライフラインは各所で寸断された。停電は柏崎市を中心に長岡市、三条市などにも及んだ。柏崎市では一時、三万五千世帯が停電した。ガス漏れや断水もあちこちで起きている。
 地元自治体や電力・ガス会社はライフラインの復旧に全力を挙げてほしい。電気、ガス、水道が不通のままでは、被災者の不安は高まる一方だ。
 泉田裕彦知事は自衛隊に災害派遣を要請した。上越市の自衛隊高田駐屯地から直ちに救援隊が入った。各県の緊急消防援助隊、広域緊急援助隊もいち早く駆けつけ、救助活動に当たった。政府の対応を含め即応態勢が整備されてきたのは心強い。
 亡くなった人は倒壊した家屋の下敷きになったケースが多い。お年寄りが目立つのも気に掛かる。古い木造住宅で暮らす老人世帯が、地震の際に最も危険度が高いということをあらためて証明してしまった。
 中越地震では、狭いマイカーでの車中泊を余儀なくされた人が多かった。体を動かせず、手足を伸ばすこともできない。血行障害を起こす「エコノミークラス症候群」で亡くなる災害弱者が相次いだ。同じ悲劇を繰り返してはならない。避難所を活用してほしい。
 迅速な復旧の鍵を握るのは、ずたずたになった道路網の回復だ。高速道路や国・県道など幹線道路でも路面にひびが入り、段差ができた。
 通行止めが長期にわたれば救援活動も思うに任せない。応急措置を急ぐ必要がある。
 梅雨末期は県内に大雨が降る時季だ。地盤が緩んでいるところに豪雨が襲えば、土砂崩れや地滑りの危険性が増す。危険個所の点検をこまめに行う必要があろう。急斜面や崖(がけ)の近くにある家屋などは、特に警戒を要する。[新潟日報7月17日(火)]

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中越沖地震の記録(3)

1、住宅損壊1300棟超、余震続く
2、原発トラブル50件 首相「報告遅い」と東電を批判 中越沖地震
3、「補強する金なく」高齢者の家に犠牲集中…中越沖地震
4、新潟県、仮設1100戸建設へ 柏崎市街地2割「危険」
5、原発火災、消火に2時間 「想定外」の対応に課題
6、原発直下に断層か、建設の前提に疑問 中越沖地震
7、柏崎中心部で「液状化」発生、地面横滑り被害拡大か


1、住宅損壊1300棟超、余震続く

 柏崎市などで震度6強を記録し、死者が9人となった中越沖地震では17日、重軽傷者は約1100人に上り、損壊住宅は1300棟を超えた。同市は応急仮設住宅1000戸、刈羽村は100戸の建設を県に要請。県は同市に250戸を23日に着工し、8月12日の完成、引き渡しを目指す。
17日は日中から雨模様となり、同市は土砂崩れの恐れが高まったとして西山町別山と西山町中央台団地の計11世帯に避難指示を出した。同市高柳町磯之辺では集落に通じる県道2カ所で土砂崩れが発生、3世帯4人が孤立状態にある。
現地では余震が続いており、発生回数は本震以降同日午後9時までに92回を数えた。
県によると午後8時半現在の重軽傷者は1091人。住宅の損壊は全壊343棟を含め、1299棟に上る。

 県警は広域緊急援助隊とともに倒壊家屋など72カ所を捜索したが、取り残された人は見つからなかった。

 柏崎市などの避難所では午後8時半現在、8995人が避難。自衛隊が炊き出しをしている。また自衛隊が設置した仮設風呂は、雨の中、傘を差して並ぶ被災者約200人が列を作った。

 同市、刈羽村が落下物など被災した家屋の危険性を示す建物危険度判定を進めており、17日には1009戸を判定。18日はさらに体制を強化して実施する。

 国道8号は通行止めになっていた上越市長浜が片側交互通行で開通したが、全面復旧には数カ月かかる見通し。長岡市大積千本町の通行止めは続いている。

 JR信越線は青海川駅近くの土砂崩れ現場を調査したが、復旧には相当期間を要する見通しだ。

新潟日報2007年7月17日
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2、原発トラブル50件 首相「報告遅い」と東電を批判 中越沖地震
産経新聞

柏崎刈羽原発のトラブルについて記者会見する、東京電力の鈴木良男原子力運営管理部部長(左)=17日午後、東京都千代田区
 新潟県中越沖地震で、東京電力は17日、自動停止した柏崎刈羽原子力発電所7号機の主排気筒から放射性物質が検出されたと発表した。同社は「周辺環境への影響はない」としている。5基で主排気筒につながるダクトにズレが生じている。ほかにも計50件の被害が相次いで判明。安倍晋三首相が「報告が遅かった」と述べるなど、トラブル多発と報告の遅れについて東電を批判する声が政府から強まり、新潟県原子力安全対策課は立ち入り調査した。

 東電によると、検出されたのはヨウ素131、同133、クロム51、コバルト60。放出された放射性物質の量はごくわずかで、これによる放射線線量は国の基準(年間限度1ミリシーベルト)よりはるかに少ないという。

 主排気筒の放射性物質の汚染濃度は定期的に測定しており、今回は検査用フィルターから検出された。通常、この検査用フィルターから放射性物質は検出されることはない。同社の鈴木良男・原子力運営管理部部長は「地震の影響の可能性が高いが、なんともいえない」と述べた。

 一方、今回の地震で7基のうち5基で主排気筒につながっているダクトにズレが生じていた。同社は「破損ではなく機能は失われていない」としているが、放射能漏れの有無について調べを進めている。

 さらに1、2、3号機の変圧器で施設を固定している基礎ボルトが折損し、油漏れを起こしていることも判明。16日に出火した3号機の変圧器は、こうして漏れた油に引火したものとみられている。

 会見で同社の上津原勉・原子力立地本部立地地域部部長は「基本的に漏れてはいけないものが漏れた。設計上の地震動などを考えなければならない」と述べた。

 さらに、使用済み工具など低レベルの廃棄物を貯蔵している棟内のドラム缶約100本が転倒しているのも見つかった。このうち数本は上蓋が開いているという。貯蔵庫内が微量の放射能で汚染されていることも確認された。

 今回の同原発でのトラブル多発や同社からの報告の遅れをめぐり、安倍首相は17日午後、「(国への)報告が遅かった。直ちに報告するよう厳しく指示した。今回のことは厳しく反省してもらわないといけない」と述べ、東電の対応を強く批判した。

 経済産業省原子力安全・保安院は同日、職員4人を新たに現地に派遣。各機の変圧器で発生した油漏れや、放射線管理区域外への放射性物質の漏洩(ろうえい)など、被害状況について確認を進めている。

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3、「補強する金なく」高齢者の家に犠牲集中…中越沖地震
中越沖地震

 新潟県中越沖地震では、70歳以上の高齢者ばかり9人が犠牲となった。このうち、7人は倒壊した建物の下敷きとなった。

 崩れたのは、いずれも老朽化した瓦ぶきの木造建築で、専門家は「大きな揺れに瓦などの重みが加わり、瞬時に全壊した可能性が高い」と指摘する。同県では3年前に中越地震があったが、その後、住宅の耐震診断は進んでいない。診断を受けても改築費用がかかるため、高齢者宅を中心に建て替えや補強も進んでいない。

 「ほぼ即死だった。苦しまなかったのがせめてもの救い……」。下條克一さん(76)、保子さん(72)の兄夫婦を亡くした下條修さん(60)は声を絞り出した。克一さん宅は、築35年以上。震度6強の揺れで1階部分がつぶれて下敷きになった。

 死亡した中村エツ子さん(81)方も60年以上前に建てられた木造瓦ぶき住宅で地震で崩れた。同じように古い木造住宅に住むエツ子さんの友人女性(83)は「年金暮らしでお金のかかる耐震工事には踏み切れない」と、高齢者の事情を説明する。

 被災地では、老朽化した瓦ぶきの2階建て木造住宅の被害が目立つ。一方、同じ木造でもトタン屋根の古い住宅は倒壊を免れ、明暗が大きく分かれた。

 耐震構造に詳しい信州大の五十田博准教授は17日、家屋倒壊で家人が下敷きになった4か所の現場を視察し、「重い屋根瓦や積雪に耐えられるようハリなどで上部が重いことに加え、窓が大きく、建物を支える壁の面積が小さい。老朽化もあって建物は瞬時に全壊したとみられ、逃げる余裕はなかっただろう」と話す。

 倒壊した住宅の多くは、現在の耐震基準が導入された1981年以前に建築された。柏崎市では、2004年の中越地震で老朽化した木造住宅を中心に27棟が全壊した。これを受けて、06年4月に住宅建て替えを促進する計画を立て、耐震基準を満たす住宅の割合を15年までに85%にする取り組みを始めた。

 81年以前に建築された一般木造住宅を対象に、1万円の負担で耐震診断を行える事業を開始。市の広報やFMラジオで繰り返し、利用を呼びかけたが、06年度の申請は17件にとどまった。今年度から、診断を受けた一般住宅を対象に、60万円を上限に耐震補強工事費用の3分の1を補助する制度を始めたが、現在のところ申請は1件もない。

 市建築住宅課は「耐震補強工事も、経済的事情から尻込みする人が多い」と言う。柏崎市の65歳以上の割合は、10年前は20%だったのに、現在は4分の1の26%にまで上昇した。

 犠牲者が高齢者ばかりだったことについて、総務省消防庁幹部は「独居や夫婦だけで暮らす高齢者世帯では、後継ぎがいなければあえて耐震補強や建て替えをする必要もないと考えるのでは」とみている。

(2007年7月18日3時4分 読売新聞)
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4、新潟県、仮設1100戸建設へ 柏崎市街地2割「危険」
2007年07月18日03時02分   朝日新聞

 新潟県中越地方を中心に震度6強を観測した新潟県中越沖地震で、被害の集中した柏崎市は17日午後、雨により付近で土砂崩れの危険性が高まったとして、西山町の2地区、計11世帯に避難を指示した。余震も続く中、同様に帰宅できない同市と刈羽村の住民約9000人は同夜も、避難所にとどまった。

雨の中、倒壊した家屋を避けて歩く被災者ら=17日午後5時すぎ、新潟県柏崎市東本町で
 新潟県は17日、多くの住民が避難所生活を余儀なくされている柏崎市と刈羽村からの要請を受け、計1100戸の仮設住宅を建設する方針を固めた。計1000戸の要請があった同市には8月中旬までに、JR柏崎駅前の公園や駐車場に250戸の仮設住宅を完成させる。残りは随時、場所を見つけて建設する。

 一方、犠牲者9人のうち8人が集中した同市は同日、余震などによる建物の倒壊で新たな被害者を出さないため、建物の「応急危険度判定」を本格化させた。16、17の両日に市街地で878戸を調べた結果、約2割にあたる180戸が「危険」、151戸が「要注意」と判定された。

 柱の傾きや地盤の状態、瓦などの落下物の有無などを確認し、危険度に応じて「危険」「要注意」「調査済み」の3段階に判定する。壁に落下の恐れがあるほか、高さ2メートルごとに10センチ以上の傾きがあるなどすれば「危険」と判定される。

 危険度ごとに赤、黄、青色の紙を見えやすい場所にはって建物の状態を知らせ、付近を通る歩行者らに危険性を知らせることなどが目的だ。

 17日は福島、宮城両県からも危険度判定士の資格を持つ職員計52人が訪れて調査した。2人1組で民家を回り、建物を目視しながら調査票にチェックを入れた。

 同市によると、調査班は18日に70班、19日には150班に増やし、22日までに市内の対象3万〜4万戸を調べる。また、「全壊」や「半壊」を分ける家屋の被害調査は別の調査で、約2週間かけて取り組む予定だ。

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5、原発火災、消火に2時間 「想定外」の対応に課題
2007年07月17日23時58分 朝日新聞

 新潟県中越沖地震の影響で変圧器から出火した柏崎刈羽原発の火災は、消火まで約2時間を要した。消防はほかの対応に追われてなかなか現場に到着できず、東京電力側も当初、消火活動にあたったのは4人だけ。経済産業省によると、地震に伴って原発で火災が起きたのは初めてといい、想定外の事態への対応に大きな課題を残した。

 「火災の状況が国民の目にさらされ、原子力の安全に対する不安を増大させた」。甘利経産相は17日未明、東電の勝俣恒久社長を呼び、不満をぶちまけた。

 原発敷地内で黒煙が上がったのは、地震発生直後。隣の2号機で当直勤務中の従業員が見つけ、連絡を受けた3号機の社員が119番通報を試みたが、すぐにはつながらなかった。火災発見から12分後の16日午前10時27分、連絡がとれたが、柏崎市消防署は人命救助などに追われ、全隊が出払っていた。

 東電社員2人と協力会社員2人が現場に駆けつけた。油類が燃えている可能性が高いため直接放水ができず、化学消火剤の準備を急ぐ一方、変圧器の周囲に水をかけた。

 一方、消防は隊員4人を緊急招集し、同11時ごろに化学消防車で出動。通報から1時間後の同11時27分に到着し、鎮火は午後0時10分だった。

 同署と東電は年1回、放射線防護服などを着込んでの訓練を実施。同署の萩野義一警防第2消防主幹は「原発で火災が起きるなんて想定外中の想定外」といい、同原発内で消火活動をしたのは初めてという。

 また、同原発では約1000人の職員のうち約3割にあたる当直勤務のある職員が、消火活動の研修を受けている。これら職員を中心に「自衛消防隊」を組織している。だが、16日の火災で現場に居合わせた中には、こうしたメンバーはいなかったという。
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6、原発直下に断層か、建設の前提に疑問 中越沖地震
2007年07月18日03時03分朝日新聞
 新潟県中越沖地震(マグニチュード〈M〉6.8)を起こした海底の断層は、東京電力柏崎刈羽原発のある陸地直下にまで及んでいるとみられることが、気象庁などによる余震分布の解析でわかった。同原発建設時の想定(M6.5程度)を超える地震を起こした断層が直下にあるとはっきりしてきたことで、運転再開に慎重な判断が求められるだけでなく、昨年改定されたばかりの原発耐震指針で十分かも論議を呼びそうだ。

 今回の震源は原発の9キロ北の深さ17キロに位置する。地震は実際には、震源から始まった破壊が断層面に沿って広がって起きる。余震の多くは本震でずれ残った部分で起きるため、分布は、本震を起こした断層面を表している。

 気象庁、防災科学技術研究所、東京大地震研究所がそれぞれ独自に求めた余震の震源は主に本震の震源から南西に延び、一部が海岸付近にかかっている。16日午後に震度6弱を記録した余震の震源も、陸地の地下にあった。断層面は日本海側から陸側に下がる形で傾いているとみられている。

 陸側は深さ20キロ以上と深いため、原発の直下部分よりも、直下でない浅い部分のほうが揺れに大きく影響した可能性はある。「直下にあるから一概に危ないとはいえない」と防災科学技術研究所の小原一成・地震観測データセンター長は指摘する。

 ただ、原発建設は直下に活断層がないことを大前提にしてきた。同原発は未知の断層が直下にあったとしてもM6.5程度までの地震しか起こさないとの想定で設計されていた。建設の前提が揺らいだことになる。

 新潟大の立石雅昭教授は「設置許可申請時は想定外だったと思われる。早急に耐震性の評価をし直す必要がある」と話している。

 東京電力広報部は「指摘されているような見解があることは承知しており、今後、今回の地震に関する研究結果が明らかになってくれば独自の調査をすることも考えたい」としている。

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中越沖地震の記録 (4) 新聞社の論説

中越沖地震 「災害弱者」の支えを第一に (毎日社説)
中越沖地震―原発の耐震力が心配だ (朝日社説)
いつどこでも起きる大地震に備えを(7/17)  (日経社説)
中越沖地震 状況把握と救援に全力を挙げよ(7月17日付・読売社説)
新潟・中越沖地震 原発の耐震性の再点検を     (産経社説)
本文はSNSふたみ資料室
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中越沖地震の記録 (5)中越沖地震被害の概要
本文はSNSふたみ資料室
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中越沖地震の記録 (6)17日18時までのニュース
・中越沖地震の死者9人に 不明1人、負傷者は1089人 朝日新聞
・中越沖地震:雨が追い打ち 対応に追われる住民     毎日
・余震警戒で鉄道・道路の復旧難航、高速道の一部は開通  日経
・避難所の高齢者夫婦ら 暑い体育館、病身つらく      産経
・避難者、余震に耐え眠れぬ夜              日報
本文はSNSふたみ資料室
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2007年07月16日(月) 中越沖地震の記録 (1 )

 中越沖地震の記録(1) 柏崎に巨大地震

地震に関する問題点をあらゆる角度から迫って見たい。
以下はその資料のために保管するものです。


原発耐震設計大幅上回る揺れ [2007/7/17]
【地震速報】死者9人に、倒壊店舗に下敷きの女性死亡 [2007/7/17]
8人死亡、1万1000人が避難 [2007/7/17]
「中越並み」の支援策を決定 [2007/7/17]
余震と大雨に警戒を呼びかけ [2007/7/16]
原発で水漏れ、微量の放射線 [2007/7/16]
柏崎で10数センチの地殻変動 [2007/7/16]
7人死亡、700人がけが [2007/7/16]
鉄道事故調が調査官4人派遣 [2007/7/16]
生死分けた被災現場にぼう然 [2007/7/16]

原発耐震設計大幅上回る揺れ

 東京電力は16日、柏崎刈羽原発(沸騰水型、同県柏崎市・刈羽村)で検知した新潟県中越沖地震の揺れが、機器や施設の安全性が保たれる耐震設計の基準である「限界地震」を大幅に上回り、原子炉が緊急停止、微量の放射性物質を含む水が海に放出されたと発表した。甘利明経済産業相は17日未明、東電の勝俣恒久社長を呼び、安全を確保するまで同原発を運転しないよう指示した。

 緊急停止したのは全7基のうち停止中の炉を除く4基。3号機ではタービン建屋外にある変圧器で火災が発生した。経済産業省原子力安全・保安院によると、地震に伴い原発で火災が起きたのは国内で初めて。地震発生後、間もなく火災が確認されたが、119番が掛かりにくく、消防隊の到着も遅れて鎮火は正午すぎとなった。

 6号機では微量の放射性物質を含む水漏れが見つかり、1・2立方メートルが海に放出されたことが判明。使用済み核燃料貯蔵プールの水とみられるが、国の安全基準を下回るレベルで、東電は環境に影響はないとしている。

 3号機原子炉建屋では圧力を逃がすパネルが外れ、余震後には1、2、3号機で使用済み燃料プールの水位が低下した。

 保安院によると、同原発で検知されたのは、国内原発では過去最大の揺れとみられる。保安院は16日、データ分析と重要設備の安全性の確認、報告を東電に指示した。

 東電によると1、5、6号機の最深部での地震の揺れの強さを示す加速度は、1号機の東西方向で限界地震の設計値273ガルの2倍を超える680ガル。3基の南北、東西、垂直方向のほとんどで設計を上回った。


新潟日報2007年7月17日
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【地震速報】死者9人に、倒壊店舗に下敷きの女性死亡

 県警は、同県柏崎市で倒壊した呉服店の下敷きになっていた同市の無職飯野昌子さん(71)の死亡を確認した。中越沖地震の死者は9人に。


新潟日報2007年7月17日
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8人死亡、1万1000人が避難

 16日午前10時13分、上中越沖を震源とする地震が発生。柏崎市、長岡市、刈羽村、長野県飯綱町で震度6強、上越市、小千谷市、出雲崎町で震度6弱を記録した。マグニチュード(M)は6・8、震源の深さは17キロ。柏崎市などで倒壊家屋の下敷きになるなどして8人が死亡。柏崎市によると、同市の男性が刈羽郡総合病院に運ばれたが心肺停止状態と確認された。また、柏崎市内の呉服店で1人が下敷きになっており、県警が救出中。340棟を超える家屋が倒壊した。刈羽郡総合病院などで875人が手当てを受け、避難した人たちは約1万1000人にのぼった。

 県によると柏崎市、刈羽村、三条市で住宅342棟が全壊。余震が続いており、午後3時37分にはM5・8の強い余震で長岡市、出雲崎町で震度6弱を記録した。県は災害対策本部を設置し、自衛隊に災害派遣を要請。柏崎市、長岡市、小千谷市、上越市、出雲崎町、刈羽村の6市町村に災害救助法の適用を決めた。県警も災害警備対策本部を設置した。

 死亡したのは柏崎市新花町の中村エツ子さん(81)、同市西本町2の下條克一さん(76)と保子さん(72)夫妻、同所、飛田利夫さん(82)、同市茨目2の中村典子さん(78)、同市下大新田の高橋三作さん(83)、刈羽村井岡の五十嵐キヨさん(79)、同市藤井、元井元さん(77)。

 心肺停止が確認された男性は植木茂さん(74)。柏崎市荒浜3の自宅で人工呼吸器を使っていた。

 県警によると柏崎市で加茂市の女児(7才)が倒れた石塀に挟まれ頭の骨を折る重傷を負ったほか、柏崎市東本町1の女性(75)が自宅の下敷きになり下半身を挟まれた。

 消防庁などによると、長野、富山両県で27人が重軽傷を負った。

 柏崎市はがけ崩れが発生した同市青海川の8世帯38人に避難指示を出した。午後10時現在、同市、刈羽村、出雲崎町などで避難所127カ所に1万1000人が避難している。

 柏崎市中心部など4万1500戸で給水が停止。上越市でも柿崎、大潟、吉川区の約八千七百戸と頸城区の一部が断水した。2万5000戸が停電し、ガスは同市、刈羽村の3万5000戸で止まっている。復旧のめどは立っていない。

 JR上越新幹線は越後湯沢―東京で折り返し運転をしていたが、午後9時半ごろ全線で運転を再開した。信越線の米山第1トンネルで貨物列車が脱線、柏崎駅でも停車中の普通列車が脱線した。青海川駅わきでがけ崩れが発生し土砂が線路を埋めた。

 高速道路は北陸道上越IC―長岡JCTなどで通行止めになった。

 県によると、柏崎市、糸魚川市などの6カ所で地滑りや土砂崩れが発生。国道8号など24カ所で通行止めが続いている。柏崎市でごみ焼却場の煙突が倒壊した。

 県教委によると、17日は小、中、高校など64校が臨時休校する。

 安倍晋三首相は16日、柏崎市を視察した。


新潟日報2007年7月17日

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「中越並み」の支援策を決定

 中越沖地震被災者の住宅再建支援について県は16日、国の被災者住宅再建支援法による最大300万円の支給に、中越地震並みに最大100万円を上乗せする県独自の再建支援策を導入する方針を決定した。仮設住宅の建設も決めた。

 16日午後10時半前、県庁で会見した泉田裕彦知事は「住宅再建支援は中越地震と同じスキームを適用したい。1人も見捨てることなく生活再建できるよう万全を尽くしたい」と述べた。

 さらに17日から天候悪化が予想されるため、落雷や土砂崩れに注意するように呼び掛けた。


新潟日報2007年7月17
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余震と大雨に警戒を呼びかけ

 気象庁は16日に本県と長野県で震度6強を観測した地震名を「新潟県中越沖地震」と命名。同庁地震津波監視課の宇平幸一課長は同日会見し、「中越沖地震に関して今後も1週間程度、最大で震度6弱の余震が起きる恐れがある」との見解を示し、警戒を呼び掛けた。震度1以上を観測した余震は同日午後11時現在、75回に上った。

 新潟地方気象台によると、県内は17日、各地で大雨となる見込み。地震の被害が大きい柏崎市を含む中越地方では同日昼すぎから、所により雷を伴った1時間当たり20―30ミリの強い雨になると予想している。

 同庁は、揺れの強かった地域は地盤が緩み、今後の雨で土砂災害や洪水の危険性が高まっているとして、本県と長野県の大雨警報と注意報は暫定的に雨量の基準を現在の5―8割に下げて運用すると同日夜、発表した。


新潟日報2007年7月16日
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原発で水漏れ、微量の放射線

 東京電力は16日、柏崎刈羽原子力発電所6号機の原子炉建屋で水漏れがあり、微量の放射線が検出されたと発表した。中越沖地震が原因。同発電所で地震のため放射能物質が漏れたのは初めて。

 漏れた水の一部は放水口を経由して海に排出された。同発電所によると、放射能量は法律で定められた限度量の10億分の1。「海水の放射能モニターでも検出されず、環境への影響はない」としている。

 水漏れがあったのは6号機原子炉建屋の3階と中3階の2カ所。漏れた場所は不明だが、使用済み燃料プールの水とみられる。本県の泉田裕彦知事はトラブルについて、同日夜の会見で「午前中の段階から(火災で)原発から煙が上がっている状況の中で、(漏れた水を)封じ込められずに海水まで流れ込んだことは極めて遺憾だ」と強調。「何が原因だったのかを含めて今後対応していく必要がある」と語った。


新潟日報2007年7月16日
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柏崎で10数センチの地殻変動

 国土地理院は16日、中越沖地震のため震源に近い柏崎市沿岸部で北西方向に最大16センチ、出雲崎町立石で北東方向に約15センチの地殻変動が起きたと発表した。

 全地球測位システム(GPS)を使った緊急解析で分かった。2004年10月に起きた中越地震では小千谷市や魚沼市で最大約22センチ移動した。


新潟日報2007年7月16日
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7人死亡、700人がけが

 16日午前10時13分、上中越沖を震源とする地震が発生。柏崎市、長岡市、刈羽村、長野県飯綱町で震度6強、上越市、小千谷市、出雲崎町で震度6弱を記録した。マグニチュード(M)は6・8、震源の深さは17キロ。この地震で柏崎市、刈羽村で倒壊家屋の下敷きになり7人が死亡したほか、同市の70歳代後半の男性が行方不明。300棟を超える家屋が倒壊した。刈羽郡総合病院などで730人を超える人が手当を受けた。

 県によると柏崎市、刈羽村、三条市で住宅323棟が全壊。余震が続いており、午後3時37分にはM5・8の強い余震があり長岡市、出雲崎町で震度6弱を記録した。県は災害対策本部を設置し、自衛隊に災害派遣を要請。柏崎市、長岡市、小千谷市、上越市、出雲崎町、刈羽村の6市町村に災害救助法の適用を決めた。県警も災害警備対策本部を設置した。

 死亡したのは柏崎市新花町の中村エツ子さん(81)、同市西本町2の下條克一さん(76)と保子さん(72)夫妻、同所、飛田利夫さん(82)、同市茨目2の中村典子さん(78)、同市下大新田の高橋三作さん(83)、刈羽村井岡の五十嵐キヨさん(79)。

 県警によると柏崎市で加茂市の女児(7才)が倒れた石塀に挟まれ頭の骨を折る重傷を負ったほか、倒壊家屋から助け出された柏崎市春日1の住民1人が意識不明の重体。同市東本町1の女性(75)が自宅の下敷きになり下半身を挟まれた。

 柏崎市はがけ崩れが発生した同市青海川の8世帯38人に避難指示を出した。午後8時現在、同市、刈羽村、出雲崎町などで避難所266カ所に8515人が避難している。同市中心部など4万戸で給水が停止。2万5200戸が停電し、ガスは同市、刈羽村の3万5000戸で止まっている。復旧のめどは立っていない。

 JRは上越新幹線が越後湯沢―東京で折り返し運転をしているほか、六日町トンネル内でコンクリート片が落ちているのが見つかった。信越線の米山第一トンネルで貨物列車が脱線、柏崎駅でも停車中の普通列車が脱線した。

 高速道路は北陸道上越IC―長岡JCT、関越道長岡JCT―長岡IC、上信越道上越JCT―上越高田ICの各区間が通行止めになった。

 柏崎刈羽原発は起動中の2号機と、運転中の3、4、7号機が緊急停止。変圧器から一時火災が発生したが放射能漏れはない。

 県によると、柏崎市、糸魚川市で土砂崩れが発生。柏崎市でごみ焼却場の煙突が倒壊した。長岡市消防本部によると、同市大積の国道8号で土砂崩れが起きた。

 県教委によると、17日は小、中、高校など66校が休校する。


新潟日報2007年7月16日
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鉄道事故調が調査官4人派遣

 国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は16日、脱線事故が起きた柏崎駅構内と信越線・米山―笠島間の第1米山トンネル(柏崎市)内に鉄道事故調査官4人を派遣した。柏崎駅構内では停車中の2両編成の先頭車両が、第一米山トンネル内では走行中の17両編成の貨物列車の機関車が脱線した。


新潟日報2007年7月16日
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生死分けた被災現場にぼう然

 亡くなった刈羽村井岡の五十嵐キヨさん(79)は、1階部分が押しつぶされた木造住宅の下敷きになった。キヨさんは地震が起きた時、ナスやトマトを育てている近くの畑から戻ったばかり。戻るのを見かけていた近所の人らが壁をはがし、10分ほどでこたつの辺りで体を縮めていたキヨさんを救出したが、既に意識はなかった。

 同居している長女の敏子さん(57)は16日から柏崎市でパートを始めたため、家にいたのはキヨさん1人。中越地震直前に飼い始め、キヨさんもかわいがっていたビーグル犬も下敷きになった。駆けつけた敏子さん(57)はキヨさん死亡の知らせに「一瞬だったんでしょうね。畑から戻るのがもう少し遅ければ…。運が悪かった」とぼう然とした表情だった。

 地震発生直後の混乱で警察や消防にも出動を断られ、キヨさんの搬送先は長岡市と柏崎市で二転三転した。近所の女性(41)は「キヨさんは明るくて優しく、笑顔が仏様のようだった。(消防なども)大変なのは分かるが、もっと早く救出に来てくれていれば…。中越地震の教訓が生かされていない」と目を赤くしていた。

 崩れ落ち粉々になった土壁の粉じんがもうもうと立ち上る中、怒声を上げながら救助に奔走する住民。柏崎市新花町の住宅倒壊現場ではがれきの中から3人が運び出されたが、中村エツ子さん(81)は周囲の願いもむなしく亡くなった。

 近所の住民によると、エツ子さんは家主としてぺしゃんこになった住宅の1階に1人暮らし、貸家にした2階に2世帯2人が居住。地震当時3人とも家にいた。

 電話が通じず救急車も呼べない中、付近の住民約20人が自宅の被害も顧みず救助を始めた。声を掛け合い「痛い」などと声が返ってきたところから、のこぎりを使うなどして懸命にがれきを取り除いた。

 1時間以上たってから、3人は順次運び出され病院に搬送された。病院で遺体と対面したエツ子さんの親類の女性は「急なことで気が動転している。いろんなところに連絡しないと」と話し、足早に立ち去った。

 倒壊現場で救助を見守った同所の品田秋夫さん(71)は「救急車も来ないから布団を担架代わりにして運び出していた。2時間以上埋まっていて助け出された人もいた」と話し、ドアにぶつかり流血した額をさすった。

 エツ子さんをよく知る付近の女性(76)は「カラオケが趣味で、会えば元気にあいさつする明るい人だった。本当に気の毒」と言葉を詰まらせた。

 亡くなった柏崎市茨目2、中村典子さん(78)は1人暮らし。倒壊した家屋に挟まれて身動きが取れずにいたところを近所の住民数人が抱きかかえて救出し、乗用車で病院に運んだ。住民によると救出時、典子さんは「痛い痛い」とつぶやきながらも、意識ははっきりしていたという。

 近所に住む主婦村田鈴子さん(63)は「よく家の前で世間話をしたが、にこやかで気丈な人だった」と無念そうに話した。


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2007年07月15日(日) 歌声にいがたコンサートに参加

12月15日のスピーチの会で岩井聡美ミニコンサートを開くことになっている。正式名は「歌声にいがたコンサート」である。今日は歌声にいがたコンサートに参加するとともに、このグループを率いる 米田俊哉さんと懇談してくる。
1
2月の前の生涯青春の会会合の出席してもらう事ことにする。コンサートの模様は妻の日記で記入されると思うのでここでは割愛します。「歌を愛する人は、心清き人」という歌がある通り米田俊哉さんを中心とする約10人余りに人たちはまさに心清き人たちである。
 

2007年12月15日(土) 1部  第19回スピーチの会       (40分)
13:30開始        岩井聡美ミニコンサート(計画)   (40分)
              2部  コミュニケーションセミナー    (40分) 


2007年07月14日(土) 第17回スピーチの会

今日は第17回のスピーチの会である。
PRの意味で今日の概要を紹介させていただきます。


生涯青春の会主催
第17回スピーチの会
第2回コミュニケーションセミナーのご案内

・日時 2007年7月14日(土) 
・1部 スピーチの会            15時00分〜16時30分
・2部 コミュニケーションセミナー     17時00分〜17時40分
・会場 北陽ビル5階 堀の内南3-1-21番地  (結婚式場デュオのとなり)
・参加定員 60名 ・スピーチ参加費 1000円(会場費・会報他運営費)
・問い合わせ   090-9630-5245 (石田道子まで)


1、スピーチをする人(案)司会進行 石田道子・時間60分        
・ 川上隆広さん  セラフスローカフェ代表  
         「青春の詩」の朗読とスピーチ
・ 本間 博さん  株式会社本間工務店社長 初スピーチ
          演題「家作りも心から」
・浮須ひろみさん 教育委員会豊栄教育事務所勤務  初スピーチ
         「新川郷川の環境を守る会」の紹介
・ 伊藤茂樹さん  80歳 古町在住 
          演題「取り留めにない話し」
・ 真島 一さん  NPO法人 Made in 越後理事長 
          演題「ネットワークでつなぐ」
・ 近藤良子さん   寺尾在住 初スピーチ
          演題 「有害物質の怖さを知ろう」
・ 松岡長考さん   内野町在住 初スピーチ
          演題「桜の時期(4/15日前後)は我が家にどうぞ」
・ 渋井保之さん  元家庭裁判所家事首席書記官 初スピーチ  
          演題「自分と愛する家族を不幸にしないための初歩的な法          律知識」
・ 月岡哲郎さん  専門学校講師・似顔絵師 
          演題「第二の人生をいかに生きるか」              
              (持ち時間5分・演題自由)       


2、 講演    川嶋宣彦さん 金属造形家  (時間30分)    
       
              演題「還暦からがスタートだ」



3、コミュニケーションセミナーでスピーチする人 時間40分
               司会進行 坂井奈穂子さん

森山裕児さん  28歳  株式会社フタバ営業部長
青木 洋之 さん 29歳  株式会社したみちオフィス営業部長
星 智也さん  29歳  株式会社アクアリゾート 代表   欠席
浅賀忠晴さん  36歳  ストリート三味線弾き
中村篤史さん  30歳  ナカムラ瓦工事業
宮入正陽 さん  32歳  アリコジャパンに勤務
宗村友之さん  30歳  リンク・サポート代表
加藤 寛明さん  30歳  スローコミュニケーション塾・塾長
土田修堂さん  28歳  株式会社フタバ代表

      (持ち時間3分・演題 コミュニケーション)



2007年07月14日 ふたみ の 書き込み

 予定の参加人員でスピーチの会を開く。
常に反省点があるが、確実に内容が充実して来ている。
40代以上のスピーチは、ほぼ時間5分が守られ、司会の話を含めて1時間で終わる。

 講演のことはここでは省略

 若者の演題コミュニケーションセミナーも、持ち時間3分が守られ予定の時間内の30分で終わる。一人仕事で欠席もあったが、飛び入りで青木 洋之 さんがスピーチに参加したので、予定通り8人のスピーチとなった。

 終わって若者とオフ会を開いた。
コミュケーションセミナーの効用を明確に理解するメンバーが増えてきたので、月を重ねるつど参加者・内容ともに充実してくるとの確信を深めた。



2007年07月15日 ふたみの書き込み

スピーチの会のルールを紹介しておきたい

1、スピーチ
・年齢の制限はありません。
・スピーチは7人です。
・演題は自由です。
・自分のお仕事の紹介でも結構です。
・持ち時間は5分です。4分であと1分の表示が出ます。
・5分を越えると鈴がなります。時間内で必ず終わってください。

2、コミュニケーションセミナーのスピーチ
・年齢は20代・30代の人です。スピーチは10人です。
・演題は「コミュニケーション」
・持ち時間は3分です。2分30秒であと30秒の表示がでます。
・3分を越えると鈴がなります。時間内で終わってください。

3、脳いきいきセミナーのスピーチ
・年齢制限はありません。スピーチは7人です。
・持ち持間は5分です。
・演題のテーマが与えられます。
・9月のテーマは「死をどう認識するか」です。




2007年07月15日 ふたみの書き込み

会の時間配分

会合は正味2時間以内(交流の時間を除く)で終了する方針を明確にする。基本的には以下の時間配分で進める

1、スピーチの会 開催日 土曜日  開始時間 季節により変わる。  
 (1)スピーチ(演題自由)     40分
 (2)ミニ講演            40分
    交流の時間
 (3)コミュニケーションセミナー  40分

2、脳いきいきセミナー 開催日 日曜日 13:30分開始・・年間変わらず
 (1)スピーチ(演題指定)    40分
 (2)ミニ講演           40分
    交流の時間
 (3)コミュニケーションセミナー 40分



2007年07月15日 ふたみの書き込み

生涯青春の会の活動が3年目に入った。
この間一番観感じることは「情報は分かりやすくないと伝わらない」ということである。

生涯青春の会の会合を彩るメンバーを再度整理したい
 受付        2名
 設営        2名
 1部スピーチ   7名
 講演         1名
 2部スピーチ   10名   合計22名





2007年07月12日(木) 生涯青春の会の行事(7月12日現在の計画)

年間計画の新規は、新潟で人気のお笑い集団NAMARA代表江口歩氏から2008年4月に講演を頂ことになったことである。 


2007年 7月14日(土) 1部 第17回スピーチの会       (60分)
15:00開始        講演 金属造形家 川嶋宣彦さん      (30分)
              交流の時間
             2部 コミュニケーションセミナー    (40分)


2007年 9月9日 (日)1部 第6回脳いきいきセミナー     (40分)  
13:30開始       近藤まどか(95歳)トークショー  (50分)
              交流の時間           
             2部 コミュニケーションセミナー   (40分)


2007年10月20日 (土) 1部 第18回スピーチの会       (40分)  
13;30開始      講 演 渋井安之さん元裁判所1等書記官 (30分)
           交流の時間
           2部 コミュニケーションセミナー   (40分)


2007年11月18日 (日) 1部  第7回脳いきいきセミナー    (40分)  
13:30開始          梅田千代(92歳)トークショー   (40分)
                 交流の時間
             2部 コミュニケーションセミナー   (40分)


2007年12月15日(土) 1部  第19回スピーチの会       (40分)
13:30開始        岩井聡美ミニコンサート(計画)   (40分)
               交流の時間
             2部 コミュニケーションセミナー    (40分)


2007年12月23日(日) 忘年会  12 :00分〜15:00 分(予定)
             場所   新潟駅前「日本海」参加費 2000円 


2008年1月20日 (日) 1部  第8回脳いきいきセミナー     (40分)
13:30開始          講演 まとう恵子さん      (40分)
                演題「今昔の住民」
                交流の時間
              2部コミュニケーションセミナー    (40分)


2008年2月23日 (土) コミュニケーションセミナー
13:30開始       1、 基調講演  鈴木秀一郎さん    (20分)
            2、 スピーチ 15人〜 20人  (90分)



2008年3月22日 (土) 1部  第20回スピーチの会       (40分)
 13:30開始      詩人 醍醐千里さんを迎えての朗読会   (50分)
交流の時間
           2部  コミュニケーションセミナー   (30分)


2008年4月20日 (日)   1部  第9回脳いきいきセミナー   (40分)
13:30開始       ミニ講演 NAMARA代表江口歩   (40分)
            2部  コミュニケーションセミナー (40分)



2008年5月17日 (土) 1部  第21回スピーチの会     (40分)
 15:00開始       ミニ講演           (40分)
            2部 コミュニケーションセミナー  (40分)


2008年6月18日 (水)  ほたる観賞会と第10回脳いきいきセミナー   
             巻町福井佐藤家  定員25名
             食事と懇談       5時20分〜6時00分
       1部 脳いきいきセミナー 6時00分〜7時00分
       2部 お楽しみ会     7時00分〜7時40分
       ほたる観賞        7時50分〜流れ解散
        

2007年07月08日(日) レスター・R・ブラウンの環境革命

環境革命
レスター・R・ブラウン

http://www.earthpolicy.org/Books/Seg/PB2ch12_ss7.htm


エコロジーの原則に従って世界経済を再構築する。このことは史上最大の投資機会を意味する。「環境革命」は、規模について言えば先の農業革命、産業革命にも匹敵するものだ。

農業革命は、狩猟・採集を中心とした遊牧生活から土地を耕す定住生活へと移行することで、食糧経済を再構築するものであった。農業は狩猟や採集を補う手段として始まったのだが、やがてほぼ完全にそれらに取って代わった。耕作・作付けができる状態にするため、農業革命によって草木が一掃された土地は、ついには地球上の陸地の1/10にも達した。地球への影響がほとんどなかった狩猟・採集時代とは異なり、この新しい農業文化は、文字通り地表の姿を一変させていったのだ。

産業革命は――国によっては、まだ初期段階というところもあるが――2世紀にわたって進行中である。産業革命の土台となったのは、薪から化石燃料への移行であり、これにより経済活動の大規模な拡大が始まった。事実、産業革命の際立った特徴は、化石燃料として地下に蓄えられた莫大な太陽エネルギーを利用したことである。農業革命が地球の表面を一変させたのに対し、産業革命は地球の大気を大きく変えつつある。

産業革命がもたらした生産性の向上によって、モノを作るためのすさまじいエネルギーが生み出されていった。また新しい生活スタイルが生み出され、人類史上最大の環境破壊時代も幕を開けた。世界は確実に、経済衰退へと向かう道を歩み始めたのだった。

環境革命は、新しいエネルギー源への移行があって初めて成立するという点で、
産業革命に似ている。また、先の2つの革命と同様、環境革命の影響も全世界に及ぶだろう。

一方、3つの革命の規模、タイミング、起源にはそれぞれ違いがある。環境革命が最初の2つの革命と違うのは、数十年で勝負をつけなければならない点だ。また、他の革命を推し進めたのが新発見や技術の進歩であったのに対し、この革命は、新技術によって促進されるものの、自然との和解を迫られた私たちのニーズによって突き動かされている。

ここには、かつてないほどの投資環境が広がっている。現在世界では、主要なエネルギー源である石油のために年間1.7兆ドルが費やされているが、これは、エコ・エコノミーにおいてエネルギーに投入され得る資本の大きさを示唆している。化石燃料への投資と、風力・太陽電池・地熱エネルギーへの投資の違いの一つは、後者が枯渇しないという点だ。

輸入石油に依存している開発途上国では、こうした新たなエネルギー源によって、資本を国内エネルギー源への投資に振り向かせることができる。自国に油田を抱える国は多くないが、風力や太陽エネルギーはどの国にもあり、活用されるのを待ちわびている。経済成長や雇用創出の面からも、こうした新エネルギー技術は天の恵みといえよう。

エネルギー効率関連の投資は急速に伸びていくだろう。理由は簡単、儲かるからである。効率化によって浮いたエネルギーは、ほとんどすべての国において最も安価な新エネルギー源だ。

環境革命の影響は、世界経済のあらゆる分野に及ぶだろう。この新しい経済において、ある企業は勝者となり、またある企業は敗者となるだろう。新経済の構築に身を投じる者は勝ち残り、過去にしがみつく者は前時代に取り残されるというリスクを背負うのである。


出典:レスター・R・ブラウン著『プランB2.0』第12章「新経済の構築」
2006年、W・W・ノートン社(ニューヨーク)より刊行
www.earthpolicy.org/Books/PB2/index.htmにてオンライン閲覧可
さらに詳しい情報はwww.earthpolicy.orgを参照


(翻訳:山本 夕佳、佐野 真紀)

2007年07月04日(水) 病気の母を飢餓状態にして死なす

今日ラジオ番組を放送しているUさんとトークショーをお願いしている近藤まどかさん(95歳)を尋ねる。内容は妻の日記に記述されるのでここでは割愛したい。終わって昼食を共にしながら懇談した。話は高齢者の生活苦も話題の中にあった。多くの高齢者は、厳しい生活状況に追い込まれていることは確かである。

 新潟で信濃川を横切る地下トンネルが出来ている。このような巨大公共施設を利用するたびに、日本の社会の深刻なゆがみを感ずる。こんな巨大な公共投資より、生活苦にあえぐ高齢者をどうするかを選挙に焦点にしてほしいものだ。日本国憲法 第25条では「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とあるが、文化的で最低限度の生活ができない人が多いのである。

 熊本県警玉名署は3日、病気の母の世話をせず、飢餓状態にして死なせたとして、同県玉名市秋丸、無職城戸静一容疑者(51)を保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕した。(7月3日・読売から)詳しい内容は報道されていないが生活苦が背景にあることは確かであろう。国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利があると憲法で宣言しているが餓死が後を絶たない。政治家はこのような事例のどう答えるのだ。





2007年07月03日(火) 参院選自民が惨敗するか

本 文 7月2日の毎日のネット調査によると
民主の好感    66%
自民の好感    33%
であるという。

参院選後に政権の枠組みが変わることを期待しますかの質問に対しては
期待する     70%
期待しない    29%

年金記録漏れ問題で、政府の説明通り、1年以内に照合できると思いますか。
思う         8%
思わない     92%

この調査インターネット利用者に限られ、全国の有権者の縮図とはなっていない。協力依頼に応じた特定の人を対象にした「アンケート」であり、国民の平均値を映し出す「世論調査」とは異なる。しかし、同一モニターに継続的に意見を聞くことで民意の傾向をある程度把握できるのである。

 今回のような年金問題がフランスで起これが、わかった時点で政権が崩壊すると思う。日本の場合は有権者の自立判断により投票行動が弱いので、選挙結果は大きな変化は無いと思う。ゆえに政治は変わらないと思わざるを得ない。

http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/senkyo/news/20070703k0000m010024000c.html



2007年07月02日(月) 3グループの協力で

2008年年4月からNPO法人生涯青春の会で65歳以上を対象として「脳いきいき教室」を開く計画がある。算数を中心とした「脳いきいき教室」である。パソコンも一部で活用する形式などの細部をこれから検討することになっている。会場はNPO法人新潟県高度情報社会生活支援センターのパソコン教室を使用する。高齢者の認知症予防のための「脳いきいき教室」もそれなりに意味もあるが、ここのところ考えさせられることが多い。

 ここ3日間で5人余りと懇談したが、その相手が総て独身なのである。30代の独身はまだ良いとしても、40歳前後の独身女性、50歳前後の独身男性に会うと激励の言葉が即座に出てこない。

NPO法人新潟県高度情報社会生活支援センターで30代のフリーターを中心とした就職講座を開いている。一方知人がアクセツ・ネットワークを運営している。ホテルで毎週多数が参加する出会いパーティーを開催している。詳しくは省略するが、この3グループが協力することで、より効果的な何かが生まれると思った。

・就職の指導をするNPO法人新潟県高度情報社会生活支援センター
http://www.npo-niigata.com/
・結婚の機会を作ろうとするアクセツ・ネットワーク
http://www.ec-access.com/
・コミュテーセミナーを開いている生涯青春の会
http://www.shougai-seishun.com/




2007年07月01日(日) 醍醐千里さんの朗読会

癒しの森の王子こと櫻井 秀真さんの7月1日の日記
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=483511198&owner_id=1660788
に醍醐千里さんの朗読会が 8月26日に横浜の神奈川近代文学館ホールにて開催されることが出ていた。
チケットのお申し込みは以下である。
http://www.kakusenryu.jp/ivent/roudoku2.htm
 開場PM 12:00  開演PM 13:00
参加出来るかどうか検討したいと思っている。




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石田ふたみ