『日々の映像』

2002年10月31日(木) 余    録

 9月に記述しようとして、取り止めたテーマがあった。それは、国民年金の未納者に対して、場合によっては、強制徴収をしようとする報道だった。

 数百万人の未納者1人1人を掌握して、督促状を送りどうしても納付しない場合は、差し押さえなどの強制徴収も行うという。「悪質な未納者に対して、国民年金法に基づき、預金などの財産を差し押さえる強制徴収も実施。硬軟取り混ぜた対応で加入者の1割を超えた未納を防止し、『年金の空洞化』に歯止めをかける方針だ」(毎日HPから)

 厚生労働省は、今ある年金システムをあくまでも守ろうとする姿勢だ。組織・システムが主役で国民は従という印象をうけた。

 厚生労働省は、年金に関して、国民にプレッシャーのかけ過ぎであると思う。たとえば、公的年金の積立て残高は「180兆円」もある。この額は、現在の年金の5年分も保有している。こんな国はどこにもないのだ。

 米国・フランスなどの先進国の年金積立残高は、総べて1年分程度しかない。この積立金を少しずつ取り崩していけば厚生年金の料率(16.1%)は、2040年まで16.1%に抑えられるのだ。しかし、1度貯め込んだ180兆円を取り崩して国民に戻そうなどという発想は、厚生官僚には出てこないだろう。

       ◇       ◇       ◇       ◇
 企業の危機がいつ訪れるか分からない。社員の不祥事といえばそれまでであるが、その背景に誤った収益意識、認識不足、コストダウンのための法令違反などがある。ただ共通していることは、企業の危機は外よりの風より内部であることが多いのだ。なかでも企業活動の過程における事故の防止は、企業を守る意味では極めて重要だ。どこに危機が潜んでいるかを常にチェックする必要があるのだ。

 今月上旬に起った世界最大級豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」(113.000トン・全長290メートル・最大幅41.5メートル・船底からの高さ約62メートルで18階建てのビルに相当)の火災事故は、大変なものである。

 「出火場所は全部で14デッキ(甲板)あるうち下から5番目の船体中央部付近。火は最上部まで燃え広がった」(10月1日 毎日HPから)この出火原因、三菱重工長崎造船所が受けた損害などの詳細は知らないが、当日ここで働いていた作業員約1000人の内、1人のミスによって起った火災である。

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 高齢者にもパソコンの利用者が広がっている。博報堂が10月21日に発表した「エルダー・パソコン使用状況」調査によると、65歳〜84歳のパソコン使用率は17.7%と前回調査(00年)に比べて2.7倍に急上昇したという。パソコンの使用率の上昇に伴いインターネットも普及しており、65歳以上の約1割の人がネットやメールを使用している。私もネットを利用している1人であるが、洪水のような情報の中で何に関心を持つかという的を絞る必要がある。

       ◇        ◇       ◇       ◇
 ある日突然刺し殺される・・・信じられない事件が起るのもだ。民主党の石井紘基衆院議員(61)が、25日正午自宅前で殺害された。「男は逃げた石井氏を執拗(しつように)追い、最後は馬乗りになって左胸などを刺した」という。白昼堂々としかも目撃者の目の前で平然と石井議員を刺殺したというからなんとふてぶてしい蛮行であろう。

 その後の報道によると、10月26日早朝伊藤容疑者が警視庁に出頭逮捕された。思想的な背景はなく、ただ、個人的なトラブルが原因で、しかも犯人は石井議員を殺して逃げようなどという気持ちを全く持っていない確信犯である。「血が凍りつくような恐怖を禁じ得ない」(10月25日 毎日社説から)と言う表現も大げさではない。

 石井議員のことはよく知らなかったが、税金の無駄遣いを追求する民主党の第1人者だったのだ。官僚主導の経済体制を批判する「日本を食い尽くす寄生虫」「利権列島」「官僚天国・日本破産」などの著書があった。

2002年10月30日(水) 忙しい人たち660万人

 29日総務省が労働力調査を発表した。9月の完全失業者は、5.8%と過去最悪を記録している。

 このような中で、首を傾げたくなるようなデーターがある。こちらも、前記の総務省のデーターであるが「過去最悪の雇用状況が続く中、1ヶ月当たりの時間外労働時間(残業)が80時間を超える男性社員の割合がこの10年間で最も多い21.4%となった」と言うから考えさせられる。

 フルタイムで働く男性会社員は「3119万人」であるので、この21.4%、すなわち、666万人もの人たちが、1ヶ月80時間を超える残業をしている。1日平均3.5時間前後の残業は大変なものである。これだけの残業で、死亡すれば過労死の認定をもらえる水準に当たる。

 リストラのしわ寄せでハードな仕事をしている人が出ているとの指摘もある。鉄鋼業界は、今年に入って、中国・韓国向けの輸出が拡大してフル操業となっている。この業界は人員を削減し過ぎているとの見方もある。大手5社の連結での従業員は「01年3月末18万9382人だったが、02年3月末には16万4367人」とわずか1年で25000人もの人員削減を進めている。そのためか死亡事故が多発しているのだ。

2002年10月29日(火) タバコの喫煙率

 以前にタバコの税金のことを詳しく書いたことがある。なにしろ、タバコは国のタバコ税・地方のタバコ税、タバコ特別税、消費税で60%が税金なのだ。マイルドセブン1日1箱を吸う人は、年間で54750円(250円×0.6×365日)の税金を払うことになる。日本タバコ産業の推定喫煙人口は3152万人(男性2414万人・女性738万人)であるので、タバコ愛煙家の皆さんが1兆円(54000円×3152万人)以上の税金を負担している。

以前にタバコの税金のことを詳しく書いたことがある。なにしろ、タバコは国のタバコ税・地方のタバコ税、タバコ特別税、消費税で60%が税金なのだ。マイルドセブン1日1箱を吸う人は、年間で54750円(250円×0.6×365日)の税金を払うことになる。日本タバコ産業の推定喫煙人口は3152万人(男性2414万人・女性738万人)であるので、タバコ愛煙家の皆さんが1兆円(54000円×3152万人)以上の税金を負担している。

 最近は、禁煙の場所が多くなった。これは喫煙と健康の関係が大きくクローズアップしていることが背景にある。日本タバコ産業の調査によると、男女合わせた喫煙率が過去最低の30.9%になったという。過去最高だった喫煙率を66年と比較すると次のとおりだ。男女の年代別では男性の30\代が59.6%、20代の女性24.3%が最も多い。社会の趨勢からいってこの喫煙率は減少の一途を辿っていくと思う。

        66年    011年       
    男  83.7%   49.1%     
    女  15.1%   12.7%
    計  49.4%   30.9% 

        66年    011年       
    男  83.7%   49.1%      
    女  15.1%   12.7%
    計  49.4%   30.9% 

2002年10月28日(月) 日立グループ300社削減

 「バフルを作ったのは銀行だった」という見方をする人が多い。事実土地を多く持つ企業は元を辿れば銀行の勧めによって取得した例が余りにも多くあったのだ。

 土地は値上がりする・・・輸入が増加する時代背景の中ではあり得ないことだったのだ。この誤った価値観のしっぺ返しを受けて大手行の中にも破産寸前の所が出ている。これら社会のマクロの流れを目前にすると、時代を捉える目がいかに重要かを痛感する。

 厳しい経営環境にあるのは別に銀行だけでない。すべての企業が優勝劣敗の構図の中に戦っている。10年前と比較して、どこの企業が優れ、どこの企業が劣って来たのか・・・これは市場が評価する株価によって表われる。

 昨日の電気関連の主な企業の株価は、ソニー 5370円、京セラ 7730円、キャノン 4180円、日立 512円だった。

 日立は、この株価を裏付けるような経営計画を発表している。「グループ全体で1200社ある企業を今後3年間で300社減らし、900社とするなど組織の見直しを進める。」(10月23日 毎日)という。大きすぎることは、1つの恐怖かも知れない。


2002年10月27日(日) 繰り延べ税金資産

 3日前に大手行と竹中氏との全面対決のテーマで書いたが、最大の焦点は繰り延べ税金資産をどこまで認めるかという基準なのである。

 一般的にはなじみのないことであるが、少々会計の世界に首を突っ込んでみたい。会計のルールの中に、繰延資産というものがある。本来は経費なのだが、資産として扱うという擬制(ぎせい・違うのに同じとみなす)資産で、商法上は創立費・開業費などの7項目を3〜5年で償却する。本来は経費なのであるが、擬制すなわち資産とみなそうとする概念である。よって、株式会社のB/Sの借方に表示されていても、資産としての実体はないのである。

 今問題になっている銀行の繰り延べ税金資産の計上のイロハの例題のように示すと、次のようになる。銀行の会計上の利益が20億円であったとする。しかし、税務上は貸倒れ引当金計上の2億円の先がまだ倒産していない。よって、課税上の所得は22億円になる。この22億円に対して50%(ここでは分かりやすく50%とする)の税金であるので法人税等は11億円になる。

さて、ここで、怪しげな擬制資産処理が行なわれる。少々専門用語になるが、借方(資産)繰り延べ税金資産1億円、貸方(利益)法人税等調整額1億円という仕訳を起こして、下記のとおり当期の純利益は10億円であったと表示する。20億円の利益に対して、9億円しか残っていないのに10億円の利益だとするから、1億円が繰り延べという名の擬制資産となるのだ。

             損益計算書
      税引き前当期純利益・・・・ 20億円
        法人税等   ・・・・−11億円
       法人税等調整額 ・・・・+ 1億円 
        当期純利益  ・・・・ 10億円    

 問題は、このような繰り延べ税金資産の計上額だ。「大手行の繰り延べ税金資産は、中核的な自己資本の半分近くになっている」(10月26日 読売HP)のである。

 仮に2兆円の自己資本の銀行があったとする。このB/Sの借方を見ると実態のない繰り延べ税金資産が約1兆円も計上されているのだ。

 竹中プロジェクトチームでは、この繰り延べ税金資産を10%に制限しようという原案だ。これが仮に実行されると、大手行で国際基準の自己資本を下回るところが出て来る。よって、金融界や与党からも強い反発が出ている。

 しかし、擬制とは違うのに同じと見なす概念である。自己資本の実体はないのにあるように見せかける繰り延べ税金資産というごまかしも限界に来ているのだろう。

2002年10月26日(土) モスクワの劇場での戦争

 昨日の夜、毎日のHPで劇場占拠から丸1日過ぎた状況のニュースを読んだ。約700人の人質は、武装勢力が食糧の差し入れを拒否しているために、何も食べることが出来ずにいるのだ。この報告は25日21時20分のものだった。

 今朝早くインターネットで検索したが、新しい報道は載っていなかった。やむなくインターネットで「チェチェン戦争が育んだプーチンの権力」(2000年1月21日 田中 守国際ニュース解説)を読んだ。このリポートの印象からして、強行突破での解決が行なわれるのだろうと思った。

 もとより、このイスラム武装勢力の犯行グループは「生きるためでなく、死ぬためにモスクワに来た」という決死隊なのだ。

 今日午前2時35分ロシア保安部の特殊部隊が強行突入、武装勢力34人を殺害して劇場を制圧した。突入した特殊部隊100人の死者は1人も出なかった。なにしろ「突入の数分前から強いガスがエアコンなどから注入され、武装勢力を動けなくした。」というのだ。この催眠ガスは意識を失うほどの強力なものであったようだ。このガスによって、100人以上の人質が犠牲になった。まさに劇場での戦争である。

2002年10月25日(金) 大手12行、竹中氏と全面対決

 9月30日の小泉改造内閣発足以来、毎日のように竹中金融・経済財政担当大臣の発言及びこれらに関する報道が続いている。

 これらの報道の見出しを少々拾ってみると「メガバンク破綻も視野」「不良債権処理できぬ銀行は事実上国有化も」「銀行資産査定を米国式で厳格化」「銀行経営陣に退職勧告も」「不良債権処理加速案中間報告断念」「諮問査定基準見直し反対」「大手12行トップが抗議へ、竹中氏と全面対決」(毎日、朝日から)などである。

 大手12行の抗議の最大のテーマは、一般には馴染みの少ない「繰り延べ税金資産」の扱いのようだ。これは、払った税金が将来返って来ることを見込んで自己資本に算入しているものだ。この繰り延べ税金資産の計算式を米国並みに改めると、資本不足となって事実上の破綻宣告となってしまう大手銀行が出て来る。

 竹中氏と銀行の対立軸は、同氏の「(4つのメガバンクを)大きすぎて潰せないとは思わない」との発言であった。大手行は「大き過ぎて潰せない」と言う不沈神話を作るために合併に走ったように感じられる。大きすぎて救えないという見方もあるのだ。

2002年10月24日(木) さわやかな励ましの風

 スウェーデンの化学アカデミーは、良い人をノーベル化学賞に選んでくれた。何と言っても、田中さんがサラリーマンエンジニアであったことが、日本の研究者に計り知れない好影響を与えることになった。

 田中さんのように企業の研究室で、一定のテーマに取り組んでいるエンジニアは膨大な数になる。これらの人たちに田中さんは、大いなる励ましの風を送ったことになる。

 田中さんが、テレビなどに登場すると、ほとんどの人は微笑む。栄誉や昇進などは毛頭考えずに仕事一筋の人柄が強力なパンチを与えているようだ。

 田中さんは、係長より下の主任だった。それが、今回の受賞で係長・課長・部長を飛び越して、役員待遇の「フェロー」への昇格が濃厚のようだ。ただし、これは13日付けの報道だ。15日の報道によると、島津製作所は研究環境を整えるために「田中ノーベル賞祈念研究所(仮称)」を年内に設置するという。

 田中さんは、東北大学工学部電気工学科の卒業だ。東北大学は「15日の評議会で、田中さんに名誉博士号を授与する事を決めた」(10月16日 毎日から)という。これだけ、全国の学生や研究者に励みを与えたのだから、この決定は当然のことだろう。

 田中さんは「この分野は面白い事がどんどん増えて、やりたいことがいっぱいあります。このままずっと、仕事を続けたい。やる気が衰えず、会社が必要としてくれる限りは」(10月17日毎日)と言っている。

 昨日まで日本国内で全くと言ってよいほど評価されていなかった人がノーベル賞を受賞する。・・・慌てて日本国内で大評価の動きが出る。・・・日本という国は何か根本的に反省しなければならない側面があるような気がする。文部化学省は田中さんに文化勲章授与の検討を始めている。

 島津製作所にとって、田中さんを中心とするエンジニアは、まさに宝だ。シャープが厚さ10数ミリのノートパソコンから数ミリの厚さに出来る先端技術を発表している。「文字や動画を表示する極薄(1ミリ弱)のディスプレー(の裏)に、コンピューターの頭脳部(中央演算処理装置)を組み込むことに成功した」(10月20日 朝日から)という。

 日本のメーカーが世界のパソコン市場をリードすることになる。これらは総べて、宝のような人材によって開発されているのだ。

2002年10月23日(水) 無登録の農薬

 今年は多くの食品のスキャンダルが起り、報道された。無認可添加物、食肉類の偽装や不正、ミスタードーナツの肉まん、多数の魚介類の産地の偽装、中国産野菜の農薬の残留などなどであった。

 そして、9月に入ると発ガン性が指摘されている無登録の農薬の騒動が明らかになった。白根市の梨などもこの無登録農薬を使用したので、収穫をしない(出荷をしない)措置が取られた。

 10月20日の朝日新聞の集計によると、問題の輸入農薬が、43の都道府県で170の業者から2800戸の農家に販売されたという。何でこのような違法の農薬が、堂々と使われるのかと思っていた。

 この理由は簡単で、法律はあっても罰則がないに等しいのである。現在の農薬取締法では、登録された農薬以外の販売が禁止されている。ただし、違法に輸入販売しても最高で5万円の罰金を支払えば良いのである。違法な農薬を使用する農家に至っては、法的な罰則はなにもない。

 さすがの農林省もこれでは消費者の信頼回復を図ることが出来ないと罰則を大幅に強化する「業者への罰金を現行の最高5万円から最高1億円に引き上げ、使用者には3年以下の懲役または100万円以下の罰金」に改めるとのこと。

2002年10月22日(火) 物と心の豊かさ         

 激しいデフレが続いている。何に人生の価値を置くのか。社会全体にとっても、個人にとっても重要な課題だと思う。

 GDPの指標を重要視することは、すなわち経済の成長こそ人々を豊かにするとの思想に基づいている。定常型社会(ゼロ成長社会)という言葉が提唱されているように社会全体としては環境などに大きな価値観を置く時代にならざるを得ないと思う。

 10月14日の毎日の社説は内閣府の世論調査結果を引用して「70年代には『物の豊かさ』に重点を置く人と『心の豊かさ』に重きを置く人がほぼ同率だったが、最近では、心重視は物重視の2倍近くになっている」と豊かさの再定義が必要との論を展開していた。

 一番難しいテーマは心の豊かさとは何かである。この日々の映像を書き始めた1997年にこのテーマを何回となく書いた。私の認識は一流の良書を読まなければ心の豊かさは育まれないと思っている。一流の良書とは100年以上読みつづけられているか、または、世界の10カ国以上の言語に翻訳されている書籍だ。一流の書籍が家に1冊もないとすれば、古代ローマの格言「書物なき部屋は、魂なき肉体の如し」となる。

2002年10月21日(月) 週別のニューストップテン  

 毎日新聞のホームページに「編集部が選ぶ今週のニューストップテン」という欄がある。これを見て多少参考になることもある。

 10月5日〜10日までのトップニュースは、社会党のホームページに載っていた「拉致事件は根拠がない」との論文の削除であった。この中で横田めぐみさん拉致事件は「日本政府に北朝鮮の食糧支援をさせないことを狙いとして考え出された」でっちあげだとの見方を示したのだ。今ごろになって「個人論文で党の見解ではない」(10月4日 毎日から)などと言ってもどうにもならない。

 10月11日(金)から10月17日(木)のニュースのトップは、拉致被害者生存5人の一時帰国であることは当然だ。

 ニュースの第2位が、小泉首相の「(北朝鮮は)拉致して殺してしまう」との発言だった。これは山形鶴岡市内の街頭演説で思わず首相自身の認識を言ったようだ。「北朝鮮は確かにけしからん国だ。拉致して殺してしまう。日本社会を不安にさせるような工作員を送り込んでいる。・・・」この発言はその後記者団に「拉致して殺してしまう・・・そういっている人がいる」と釈明した。北朝鮮は拉致は認めたが、まだ殺害したとは言っていない。

2002年10月20日(日) 北朝鮮の核兵器の開発

 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は、拉致を認め、今度は核兵器の開発を認めた。「ケリー国防次官補が今月初め、朝鮮民主主義共和国を訪問して行なった米朝高官協議の際、北朝鮮側が核兵器用の濃縮ウラン計画を認めた」(10月17日 毎日)との声明を発表した。

 北朝鮮側が核開発を凍結する見返りに軽水炉を提供するとの米朝の合意は「無効」であると米側に通告したという。今日の報道によれば、米国は既に北朝鮮が1、2個の核兵器を保有していると認識している。

 2200万人の国民に満足な食糧の供給が出来ない国家が、核兵器の開発とミサイルの開発に巨額の資金を投じる・・・どう考えても正常な国家指導者が進めることではない。

 北朝鮮が核拡散防止条約や米朝合意などに違反したことで米国や日本、韓国などによる北朝鮮への援助などが困難になったと表明している。これは当然の成り行きだろう。

 今月29日に始まる日朝正常化交渉は、日本人の拉致問題と核兵器開発の2大課題に取り組むことになる。しかし、将軍様以外は、何も決めることが出来ない北朝鮮であるから、この交渉は何の成果もないままだらだらと続くだけだろう。

2002年10月19日(土) 禁煙の次は肥満の解消

 毎日新聞で毎週木曜日に1年余り連載されたらくらく健康術の最後の9回は強力な説得力を持つ内容であった。筆者は京都大学大学院の人間・環境学研究科教授の森谷敏夫教授(52歳)であった。

 同教授の専門は応用生理学とスポーツ医学で、この学問をそのまま実践しているようで、写真を見ると40代前半の雰囲気である。この人が書き残した9回分を改めてインターネットより打ち出して読みたいと思っている。

 この人の記述が動機と言うわけではないが、会社を退職したことを契機として、8月1日より禁煙に取り組み2ヵ月半となった。40年余りも吸って来たタバコを本当にやめられるだろうかと自信はなかった。ところが、意外なことに禁煙パッチを活用すると、いとも簡単に禁煙に成功するのである。

 森谷教授の記述から少々引用しよう「ガンの発生の約35%は食生活、約30%はタバコという調査結果が得られています。実にガンの六割以上が口から入るわけです。」(9月12日)その他のことは機会を見て引用しよう。次の私の目標は、少々ではあるが肥満の解消である。答えは単純で、筋肉を落とさずに体重を落とすしかないのだ。

2002年10月18日(金) インドネシア爆弾テロ事件

 世界の各地でテロと思われる事件が続発している。大きい事件では、仏タンカー爆発事件とインドネシア爆弾テロだ。

 カタールの衛星テレビ「アル・ジャジーラ」は14日、国際テロ組織「アル・カイダ」の指導者ウサマ・ビンラディンの声明書を入手したという。同氏は仏タンカー爆破やクウェートの米海兵隊銃撃事件を「英雄的なジハード(聖戦)作戦」と賞賛すると共に、イスラム教徒に対して「米国人とユダヤ人に対する戦いを優先せよ」と呼びかけているのである。何の実もないただの原始的な殺し合いだ。
 
 インドネシア・バリ島での爆弾テロの威力には驚いた。187人が死亡、309人が負傷と報じられ、この死傷者はさらに増えるようだ。

 なにしろ、乗用車に仕掛けられた爆弾の威力はものすごい。この爆発地点から50メートル以内の店舗20軒が損壊するほどの威力なのだ。これほどの威力のある特殊爆弾を準備で来るのは、それなりの組織がなければ不可能だ。

 米政府は数週間前からインドネシア政府に「アルカイダとつながるグループが米国人など西洋人を殺そうと攻撃を計画している」(10月16日 毎日)と警告していたのだ。

2002年10月17日(木) 5人が郷里に帰る

 今日の日本のテレビは、5人が郷里に帰ったニュースで溢れていた。曽我ひとみさん(43)は午後佐渡に到着「夢を見ているようです。人々の心、山、川、谷。みんな暖かく、美しく見えます」(要旨)という詩的な挨拶をしていた。同級生の出迎えを受けて涙を流し、午後4時30分自宅前で父親の茂さんと感激の対面をした。

 柏崎の蓮池薫さん(45)奥土裕木子さん(46歳)も今日の午後2時に柏崎に到着した。蓮池さんは「24年ぶりに古里の土を踏み、本当に感無量」と挨拶した。蓮池・奥土夫妻には21歳の長女と18歳の長男がいる。この子供達にはどう言って来たのだろう。お父さんの薫さんは「出張」お母さんの奥土さんは「旅行」(10月15日 朝日)と伝えてきたと言う。2人の子供達は両親が日本に来ていることを知らないでいるのだ。

 福井県小浜市の地村保志さん(47歳)と浜本富貴恵さん(47歳)も17日午後四時に地元に帰った。この夫妻には3人の子供がいる。この子供達の両親が日本人である事も知らないと言う。真実が明らかになる都度、北朝鮮に対する日本の世論は悪化の一途を辿ると思われる。

2002年10月16日(水) 24年ぶりに祖国に帰国

 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)という国家の鉄の扉が少し開いた。そこに拉致された生存者が5人いた。そして、昨日24年ぶりに故国の土を踏み、家族と劇的な再会を果たした。昨日の羽田での再会のドラマを日本人のほとんどが、さまざまな思いで凝視した。

「拉致」なんという暴力的な言葉だ。今回の拉致は北朝鮮による日本の主権の侵害であり、本来は再発防止のために交渉を行なうなどと言うレベルの問題ではないのだ。今回帰国した5人は、拉致された人達の中では、生き残る事が出来たのだから幸運の人たちだ。それでも表情に刻まれた雰囲気から、彼ら、彼女たちの人生がいかに過酷で苦悩に満ちたものであったか明らかだ。

 都内のホテルで、曽我ひとみさん(43歳)はにこりともせず「とても会いたかったです」の一言は実に重い響きがあった。日本の一時帰国のニュースは、韓国各紙が大きく報道していた。韓国人の拉致被害者は「今も486人」(10月15日 読売から)もいるのだ。北朝鮮当局は北の地で「うめき声さえ上げられない」(10月15日 朝鮮日報社説から)韓国人被害者をどうしようというのだ。

2002年10月15日(火) 個人投資家いじめの税制

 昨日の日経平均株安は8529円であった。この株価がどうなって行くのだろう。私の印象は「もっと下落する」である。理由は単純で、株式を買い増そうとしている処がないことである。株価も安くなったことだし、個人投資家の資金がこの株式市場へ向かうだろうか。私の印象は「限りなくゼロ」である。このような印象を持つ理由を少々述べることにしよう。

 先ず、その第1は、ここ10年来の株価の下落で個人投資家が傷ついていることである。株式を一定額保有してきた。元商社マンの知人と懇談したが、それなりの銘柄を持っていた人でも、株価は75%下落した。すなわち、4000万円投資した人は、おおよそ1000万円の時価になっている。これらの個人投資家の実態を踏まえての税制にならなければ、個人の資金が株式市場に回ることはほとんど考えられない。

 10月8日に引用したケチむさい新証券税制では、個人の投資が株式市場に回ることは考えられない。この程度の税制改革を国会で成立させる国会議員の先生方は何を勉強しているのだろうと思うことがある。その1例をここで記述してみよう。それは配当課税の実態である。昨年11月の新証券税制の時、この配当課税が全く改定されなかったので激しい批判の一文を書いた。

 株式の配当は、企業が20%源泉徴収した上で株主に支払う。Aさんが配当を10万円貰ったとしよう。20万円源泉徴収されて80万円が送られてくる。現在の税制では、この80万円を他の所得に合算して申告しなければならない。中堅のサラリーマンであれば、この80万円が累進税率となっていくのでかなりの追加課税となる。

 税務署で申告の手続きをする暇のない人は、分離課税でもよいことになっている。この場合は配当額の35%を別に納付しなければならない。 
 
 1、 企業は、利益が上がると42%の税金を払う。
 2、 残った利益の58%の内20%を配当するとまた20%の税金がかかる。
 3、 株主が分離課税すると配当額の55%(20%+35%)の税金となる。

 こんな税制をそのままにして、個人投資家の参入を促そうという証券税制などは、お笑い種(ぐさ)である。10月10日の報道によると、この個人投資家を痛みつけるような35の税金はなしにしようとの議論がやっとテーブルの上に載るようだ。


2002年10月14日(月) インターネット

 時折、友人に新聞社のホームページを見ることを薦めることがある。新聞より桁外れの生活情報の収集が出来る。例を1つ挙げてみると、毎日新聞のホームページの多くの見出しの中に女性クリニックという場所がある。ここをクリックすると婦人の疾患に関することがほとんど出ている。その他新聞に報道される質問と回答をいつでも読むことが出来る。

 8月の特集は月経、9月はセックスの悩みだった。(ちなみに10月の特集は避妊)9月の質問5題の内1つは、独身女性(40歳)の「セックスの経験がありません」だった。

 質問は「年齢を重ねるにしたがって挿入時の痛みなどが余計怖くて、今に至ってしまいました。本などを読み、年齢を重ねるにしたがって、益々挿入が困難になるとか・・・。頭でっかちのままずーとためらっています。もし今後そういう機会があればどのような点に注意をすれば良いのでしょうか?また、このような場合でも、機会があれば子供は授かれるのでしょうか。お答えいただければ嬉しいです」

 メールアドレスでこのような質問をして、一流の先生の回答に接することが出来るのだから結構な時代だと思う。この回答は、国立千葉病院産婦人科の大川医長さんであった。この回答を読んで、なるほど、何事もその道の専門家の話を聞くべきだと思った。回答は次のとおりだ。

 「初めて性交する時の痛みとか出血という話は、ほとんど神話と言っていいものです。本来セックスをするときは、性的に興奮しているはずです。そうなれば、膣は潤い、膣の入口は開き気味になり、挿入しやすくなるのです。

 女性が性交痛を感じるのは、自分は興奮してもいないのに、相手の興奮で挿入を受け入れたり、初めはどんなに痛いだろうと不安と緊張でいっぱいの状態で受け入れるからです。抱擁や愛撫にウットリした状態が性的興奮状態です。十分な触れ合いを楽しみ、体が興奮してから挿入すれば大丈夫です。

 また膣は赤ちゃんが通過するほどに伸びる臓器だということを忘れずに。閉経すると、膣に潤いがなくなりますが、ホルモン補充療法などの対策があります。妊娠する能力は年齢と共に低下します。排卵があれば妊娠する可能性はありますが、40代になると、妊娠しにくく、流産もしやすくなります。」であった。

 この回答を読む男性諸氏は、多分自分のイメージにない話があると思う。私がなるほどと思ったのは「膣は赤ちゃんが通過するほどに伸びる臓器だということを忘れずに」という激励であった。

2002年10月13日(日) ノーベル平和賞

 アメリカの上下両院で、イラク武力行使容認決議が約75%の賛成で可決している。ブッシュ大統領は、いつでもイラク攻撃の断を下すことが出来る。このイラク攻撃にどれだけのリスクが潜んでいるのだろう。

 イラク攻撃に対する独・仏の反発は生半可のものではない。イギリスのブレア首相だけは、アメリカの単独攻撃に異を唱えていないようであるが、世論となると、簡単に是認するものではない。

 アメリカはたしかに巨大な国家である。しかし、その中味は、国内消費物資の30%以上を輸入して膨大な貿易赤字を出している。これを補ってあまりあるのが、日本、EUなどからの資金の流入である。

 アメリカ企業は、業績が下降して株価も下落している。ここにイラク攻撃があれば、世界の経済を揺さぶる可能性は十分にあると思う。ブッシュ大統領は、はたして単独の武力行使の決断をするのだろうか。

 ノルウェーのノーベル賞委員会は、ノーベル平和賞をカーター元大統領に授与すると発表した。同氏は、創立20周年を迎えるカーター・センター(NGO)の会長として「いくつかの大陸の広域的かつ粘り強い紛争解決に取り組んだ。氏は人権に対し、際立った取り組みを示し、世界中の数え切れないほど多くの選挙で選挙監視員を務めた・・・」(10月11日毎日から)などが受賞の理由になっている。

 カーター前大統領は次のように述べている。「ノーベル賞委員会が私を選んだ事をとても感謝している。・・・これまで最も偉大な国の元大統領としての影響力を利用して活動してきた」と語っている。すなわち、カーター元大統領がアメリカ社会の世論に与える影響がまだまだ大きいのである。

 カーター氏は、前記した武力行使には反対を言明している。国連の重要性を強調して「米国の単独行動ではなく、すべては国連を通じて行なわれなければならない」」(10月12日 毎日から)との姿勢だ。

 よって、武力行使を単独でも行なおうとしているブッシュ大統領にとって、カーター氏のノーベル平和賞の受賞は、頭痛の種になるようだ。すでに「カーター氏のノーベル平和賞受賞で、ブッシュ大統領が受ける心理的圧力は更に強まる」などの報道がある。最後は、アメリカの世論がどのように形成されていくかで決まると思う。


2002年10月12日(土) 驚くような幼稚な事件

 日本は1年間に300万件もの刑法犯が発生する社会だ。よって、少々の事件では驚かない免疫が出来ている。それでもなお、今までに聞いたことのないような事件が起きる。

 毎日新聞のホームページにわざわざ「警察官の不祥事」という欄がある。ここを開くと1999年から毎月起こる警察官の不祥事が載っている。日本の警察組織はたしか20万人余りだ。これだけの人数がおれば、少々悪い事をする人間が出ても止むを得ないと思っている。

 しかし、10月11日警察官の不祥事にはさすがに驚いた。滋賀県の事件であるが、泥棒を逮捕してみると「男は草津署刑事一課の巡査部長、古沢澄容疑者(49)で、主に窃盗事件を担当していた。県警は古沢容疑者を同日付で懲戒免職処分にした」(10月11日 毎日から)というからどうにもならない。

 これよりガッカリする事件が秋田で起った。こちらは中学の校長がパチンコ中に財布を盗むという事件だ。「秋田県教委は、安田泰公校長を同日付で懲戒免職にした」(10月10日 同)このように信じられない事件が起ると日本の落日論者に肩入れしたくなる。
 

 アメリカの上下両院で、イラク武力行使容認決議が約75%の賛成で可決している。ブッシュ大統領は、いつでもイラク攻撃の断を下すことが出来る。このイラク攻撃にどれだけのリスクが潜んでいるのだろう。

 イラク攻撃に対する独・仏の反発は生半可のものではない。イギリスのブレア首相だけは、アメリカの単独攻撃に異を唱えていないようであるが、世論となると、簡単に是認するものではない。

 アメリカはたしかに巨大な国家である。しかし、その中味は、国内消費物資の30%以上を輸入して膨大な貿易赤字を出している。これを補ってあまりあるのが、日本、EUなどからの資金の流入である。

 アメリカ企業は、業績が下降して株価も下落している。ここにイラク攻撃があれば、世界の経済を揺さぶる可能性は十分にあると思う。ブッシュ大統領は、はたして単独の武力行使の決断をするのだろうか。

 ノルウェーのノーベル賞委員会は、ノーベル平和賞をカーター元大統領に授与すると発表した。同氏は、創立20周年を迎えるカーター・センター(NGO)の会長として「いくつかの大陸の広域的かつ粘り強い紛争解決に取り組んだ。氏は人権に対し、際立った取り組みを示し、世界中の数え切れないほど多くの選挙で選挙監視員を務めた・・・」(10月11日毎日から)などが受賞の理由になっている。

 カーター前大統領は次のように述べている。「ノーベル賞委員会が私を選んだ事をとても感謝している。・・・これまで最も偉大な国の元大統領としての影響力を利用して活動してきた」と語っている。すなわち、カーター元大統領がアメリカ社会の世論に与える影響がまだまだ大きいのである。

 カーター氏は、前記した武力行使には反対を言明している。国連の重要性を強調して「米国の単独行動ではなく、すべては国連を通じて行なわれなければならない」」(10月12日 毎日から)との姿勢だ。

 よって、武力行使を単独でも行なおうとしているブッシュ大統領にとって、カーター氏のノーベル平和賞の受賞は、頭痛の種になるようだ。すでに「カーター氏のノーベル平和賞受賞で、ブッシュ大統領が受ける心理的圧力は更に強まる」などの報道がある。最後は、アメリカの世論がどのように形成されていくかで決まると思う。


2002年10月11日(金) ノーベル化学賞 

 昨日のノーベル賞に続いて、島津製作所(京都・計測機器メーカー)の研究者である田中耕一氏が、ノーベル化学賞を受賞した。2人のノーベル賞受賞者が出ることも歴史初であるが、企業の一研究者が受賞したことは大きな喜びと驚きを持って迎えられた。

 日本国内の学術界では、ほとんど無名の研究者が、実はノーベル賞を受賞するに価する内容であるとスウェーデンの化学アカデミーが評価したのだ。功績を正当に評価しなかった国内の学術界は何をしていたのだ!・・・と言う声が出るような気がする。

 田中耕一氏の受賞理由は「質量分析法のための脱離イオン化法」(同社のホームページから)と言うものだ。この装置でたんぱく質の質量を精密に計測する道が開かれたのだ。これがノーベル賞になる背景は「ヒトゲノムの解析が終わり、生命科学の焦点は、遺伝子が作り出すたんぱく質の解析に移っている。田中氏の手法はこのために欠かせない技術だ」(毎日から)ゲノムが生物の設計図だとすれば、たんぱく質は生命を支えるミクロの部品に当たる。この分析は、田中氏が開発した装置を使わないと成り立たないという。この技術は、新薬の開発などにも生かされているという。

2002年10月10日(木) ノーベル物理学賞

 以前は、宇宙に興味を持つ中学生のような気分になって、毎年のように宇宙のことを記述してきた。なにしろ、見上げる宇宙はいくら考えても実感するのが不可能なほど広い。私達の太陽のある銀河は、渦巻き銀河でその直径は10光年もある。

 宇宙に詳しい友人がいるが、その人の計算によると秒速10キロのスペースシャトルのスピードであると、この銀河の端から端まで横断するに30億年もかかるとのこと。

 有名なマゼランが発見したと言うマゼラン星雲(星が多くて雲のように見える)は、地球から16万光年(光のスピードで16万年もかかる先にある)もある。この膨大な数の星の中には、ガスが集って誕生する赤ちゃんの星から老いて超新星爆発に至る星もある。

 星が寿命を終える時の大爆発を超新星爆発といっている。この爆発の時にニュートリノと言う謎の素粒子が放出される。東大の小柴名誉教授は「大マゼラン星雲で起きた超新星爆発で放出されたニュートリノの観測に成功した」ことが、ノーベル賞につながった。

 限りなく神秘を湛える宇宙の実像に時には心の目を走らせることも必要だ

2002年10月09日(水) 溺死・事故死・中毒死・自殺

 北朝鮮は、アメリカ流の呼び方をすれば「ならず者国家」なのである。1つ1つの行為は、ただの権力による幼稚な暴力だ。北朝鮮の一連の記事に接して、ソ連のスターリン時代を思い出した。

 ともかく、体制を批判する人は次々に逮捕され、粛清されていった。最後は粛清の人数の割り当てまであった。この粛清された人数が最終的に2000万人に達したのである。この粛清された家族が我が父の遺骨はどこにある・・・などと言っても分からないのが実態である。

 10月3日にも少々触れたが、8名の死亡は目次のとおり溺死・交通事故死・石炭ガス中毒で親子3人共死亡、そして最後は精神病院に入院していての自殺、カルテなし、遺骨不明・・・扉が開かれると、日本中がショックを受ける内容ばかりだ。

 この問題の処理に当たって、北朝鮮当局が一番困ったのは遺骨だったのだろう。前段にソ連の暗黒時代のことを書いたが8名の遺体の行方が分からない・・・これが実態なのだろう。北朝鮮に対する不審観を最も強くしたのは、墓は洪水で流されたと言う子供だましみたいな説明だ。こんな説明より遺骨はどこにあるのか分からないと言ってもらったほうがましだった。

2002年10月08日(火) 日経平均株価最安値を更新

 7日の東京株式市場は、前面安となって、前週末比339円55銭安の8688円と急落した。それにしても、この株価は、1983年6月以来というから約20年ぶりの安値の記録である。

 なぜ、こんなに株が下落していくのであろう。新聞などの報道によれば、おおよそ左記の理由であるという。

1、 不良債権処理の加速に伴う景気悪化の懸念が広がっている。
2、 不良債権処理が加速された後のデフレを和らげる具体策がない。
3、 銀行が危険水域に入っていることが景気に大きな影響を与える。
などなどである。

 しかし、この株安を一番簡単に説明すれば、売りだけあって買い手が少ないのである。小泉首相が今月4日、東京証券取引所を訪れて「貯蓄から投資への流れを作るための税制改革、簡素で分かりやすい税制を作る」と表明した。しかし、この表明は少々滑稽なのである。と言うのは、昨年11月に証券税制は、大幅に改定(?)されたのである。

 個人の貯蓄が株式に投資されるようにとのことであったが、株式市場に冷めた目を持つ大衆を引き付けるには、あまりにもケチ臭い税制改革なのである。この程度の税制改革で個人の資金が市場に流れ込むと思っていたのだろうか。この税制が成立してから11ヶ月も経過したが、個人の株式投資が増えたなどという情報は全くない。

 このけち臭い税制を一々説明出来ない。1つだけ指摘すれば、3年間に限って譲渡益を10%にしますなどと言う税制に大衆は魅力を感じると思っているのだろうか。大衆の心理が分からない税制では、個人が株式市場に向かう可能性は限りなく少ない。よって、株式市場が上昇に向かうことは当分の間ないと考えるのが妥当のようだ。


2002年10月07日(月) 北朝鮮の工作船

 個人も国家も時代遅れになることは計り知れない悲劇を招くと思う。世界のリーダーの中で時代遅れを感じさせるのは、イラクのフセイン大統領だ。町中に張ってあるライフルを掲げた写真はいったい何なんだろう。このライフルを掲げた大きな写真で強さを表そうとしているのだろうか。写真の目的は分からないが、こんな写真を掲げること自体が時代遅れを象徴していると思う。

 政府はやっと正式に不審船を北朝鮮の工作船と発表した。海上保安庁は、武器や装備品を700点以上も回収したという。なかでも航空機を攻撃する地対空ミサイルや対戦車無反動砲なども装備していたというから首を傾げたくなる。こんな小船で、いざとなったら戦闘機と戦争でもしようというのだろうか。

 この小船のエンジンはアメリカ製・通信機器は日本製である。こんな小船1艘でも自国の技術だけでは造れないのだ。北朝鮮にとって、平和こそがこの国が生き残っていける道であるはずなのに、小船を送り出して人を拉致したり、何かの工作をしようとする・・・これらの行動は、時代遅れも甚だしい。主体思想(将軍様が頂点の支配体制)なるものもあまりにも時代遅れだ。

2002年10月06日(日) 大手行の特別検査再実施

 昨日書いた竹中金融担当相の「一刻も早く損切りをしないと経済の発展はない」との発言をしたことを書くことにする。

 金融庁は昨年10月から今年3月にかけて特別検査を実施した。その結果は以前にも記述したが、不良債権35兆円(全国の銀行)要注意債権100兆円という内容であった。この特別検査はまだ甘いものであったらしい。

 「政府は四日、資産査定を厳格化する新基準を導入し、大手行を対象に再度特別検査に入る検討に入った」という。特に大口問題企業の再建計画の実現性を厳しく問う方針であるという。「銀行は引当金の大幅な積み増しが必要になる見込みで、結果的に自己資金が目減りし、公的資金投入につながる」とのシナリオが強力に展開されるようだ。

 この新たな特別検査では、米国で広く行なわれている「融資企業の将来の収益予測から引当金を決める『割引現在価値』(ディスカウント・キャッシュフロー)を導入する方向」(同)という。焦点は決まっているのだ。銀行から債権放棄を受けたゼネコン、流通の大口問題企業が厳しくチェックされることになる。

2002年10月05日(土) 株価九年ぶりの安値

 10月3日の日経平均株価がとうとう9000円を割り込んで8936円43銭となった。この安値は1982年8月12日以来というから記録に留める必要がある。

 史上最高値がついたのは、1989年12月29日の3万8915円87銭(日経HPから)であった。よって、単純計算では、3万8915円から8936円の下落であるから、23%の株価になった。しかし、実際は、82年当時と比べたらホンダ・キャノンのように株価が数倍に上昇している処もある。これら上昇した株価を加えて平均してもなお、89年比で23%になっているのである。

 この株価では、大手行に数兆円単位の株式含み損が出ることになり、株安に追い立てられるように動きは急のようだ。ニュースの目次だけを拾ってみよう。「金融安定化の行動計画来月中に決定」「大手銀行公的資金注入、8.7七兆円必要」「竹中氏、不良債権処理、一刻も早く損切りを」(以上日経HPから)この竹中平蔵経済財政・金融担当相の「一刻も早く損切りをしないと経済は発展しない」(同)という発言の波紋は大きい。

2002年10月04日(金) 偽装者

 9月8日に偽(ギ・いつわる)に関して偽証・虚偽・偽物の3つを記述した。この偽りを使った文字はまだ多くある。偽称・偽善・偽造・偽名・偽装などだ。一般に不祥事が起こると、雪印乳業のように世論の猛反発を受けて危機に陥る。それでは一般の大衆が偽装の行動を取ったらどういう顛末が待っているのだろう。

 後味の悪いニュースが報道されていた。西友が札幌店他1店で豚ロースと牛タンを国産と偽って販売したことが発覚した。西友がお詫びにと代金を返すことにしたら「次々と客が詰め掛けた。パトカーが出動する騒ぎになった札幌店の返金額・・・販売額1400万円の約3・6倍の約5000万円に達した」(10月2日 毎日)という。

 豚ロース肉と牛タンを1400万円弱しか売っていないのに「俺は(私は)ロース肉、牛タンを〇〇円買った。代金を返してくれ」と偽装の客が大挙西友札幌店に押し寄せたのだ。憂えるべきは、平気でウソを言って、数万円も西友から受け取っていた消費者が多数いたという事実だ。

 日本の江戸時代からあった恥の文化はもう日本の社会には残っていないのだろうか。牛タンを買ってもいないのに買ったとうそを言う。・・・何と恥さらしな風景だ。


2002年10月02日(水) 小泉改造内閣が発足

 9月30日、6人の閣僚が交代して改造内閣が発足した。当初から焦点だった柳沢金融担当相が交代した。これで構造改革と不良債権の処理を加速させることが出来るだろうか。政治の世界は分からないが、今回の改造も小泉首相の基本方針が貫かれているようだ。

 小泉内閣を支えるそうそうたるメンバーに敬意を表する意味で少々記述したい。先ず、筆頭は塩川正十郎財務相だろう。80歳とご高齢にもかかわらず政権を支える屋台骨になっている。次は、女性の切れ者を代表しているような雰囲気の森山真弓法務相だ。女性の年齢を言うのは一般的には悪いとされるが、この人は74歳の現役だ。

 3人目は、日本の文化を体現しているような扇千景国土交通相だ。既に、69歳におなりになっているが、認証式での和服姿は、超一流の日本の女性を形作っていた。この人の国土交通相の在任期間は2年を超える。常に卒直な発言で人気が高い。小泉内閣高支持率の一翼を担っているようだ。

2002年10月01日(火) Qちゃんベストでなくとも6連覇

 以前は、この日々の映像でスポーツのことを書く機会がかなりあった。最近は、1日1題の中で記述したいことが多くあって、スポーツに関することを書く機会が少なくなった。それでも、何回も書いてきたマラソンの高橋尚子さんのことは、これからも書いていきたいと思っている。

 ベルリンマラソンで高橋尚子は、2時間21分の高記録で2連覇を果たした。高橋尚子は9月に入ってから足のふくらはぎを痛めるなど、ベストの状態ではなかった。それでも2位を2分以上はなしての完全優勝である。98年の名古屋大会から出場するたびに勝ち続けているから、この人をどう賛嘆したらいいのか分からない。この人の6回に渡る優勝に敬意を込めてその足跡をメモしよう。

   98年  名古屋国際  2時間25分48秒  第1位
   98年  アジア大会   2時間21分47秒  第1位
   00年  名古屋国際  2時間22分19秒  第1位
   00年  シドニー五輪  2時間23分14秒  第1位
   01年  ベルリン    2時間19分46秒  第1位
   02年  ベルリン    2時間21分49秒  第1位

 11月17日の東京国際女子マラソンに高橋尚子は出場すると言う。ベルリンマラソンからわずか1ヶ月半後の挑戦となる。この人はどれだけ記録を伸ばすだろう。シドニーとアテネ五輪の連覇という前人未到の記録を打ち立てる可能性がある。

 今年の春プロスポーツ部門で高額納税者の上位に高橋尚子が、7社とのCM契約中心の収入で一躍4位に入っていた。毎日のホームページで確認すると次のとおりだ。

                    所得税額     推定の所得
  1位  松井秀喜  (野球)  2億3815万円  6億5000万円
  2位  丸山茂樹  (ゴルフ) 1億6596万円  4億5500万円
  3位  清原和博  (野球)  1億5493万円  4億2300万円
  4位  高橋尚子  (陸上)  1億4147万円  3億8900万円


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石田ふたみ