乳がんなんてやっつけろ!!

2005年05月22日(日) ☆ニュースから☆「末期がん」介護保険適用 余命告知を前提 患者に強いる恐れ

「末期がん」介護保険適用 余命告知を前提 患者に強いる恐れ

 厚生労働省は二十日、四十−六十四歳の末期がん患者を介護保険の給付対象に加えることに関連し、介護保険を利用する場合には、患者本人が余命期間を含めた病状の告知を受けていることを前提とする考えを明らかにした。厚労省は「介護保険は自己申請制度。本人が病状を知らないことは考えづらく、問題はない」と説明しているが、患者ががん告知を強いられる恐れもある。患者の精神面へのケアを求める声が上がっており、今後波紋を広げそうだ。
 民主党の中根康浩衆院議員の質問主意書に対する答弁で明らかにした。答弁書は「ターミナルケア(終末期医療)においては、患者本人の終末期における生き方についての意思を尊重しつつ行うことが何よりも重要」と指摘した上で「患者に対し、罹患(りかん)している疾病、余命の期間などの告知を行うことが前提となると考えている」と、がんという病名告知だけでなく、余命期間という極めて深刻な事柄まで告知を受けていることを条件とした。
 厚労省老健局は「今回末期がん患者を加えることになったのは、残りの人生を家族と自宅で一緒に暮らしたいとの要望に応えるもので、本人が病状を知らないことは考えにくい。制度論としても、介護保険は本人の申請で給付され、認定には医師の意見書が必要なので、利用者はがんであることを知っているはずだ」と説明している。
 病名告知を前提とすることについて、終末期の介護問題に詳しい聖路加国際病院訪問看護師の押川真喜子さんは「自宅で死にたいとの希望を持つ人はだいたい告知を受けていて、ある程度の覚悟をしている人が多い」と理解を示すが、広島県尾道市の乳がん患者を支援する「のぞみの会」の浜中和子会長は「病名告知は年々進んできているが、余命告知については患者の心理に十分配慮しなければ、絶望させてしまうこともあり、慎重な対応が必要だ」と指摘。「家族が介護保険を利用したいがために、本人が望まない告知を受ける恐れもある」(終末期医療専門家)といった懸念も広がっている。
 末期がん患者の介護保険適用については、現在六十五歳未満は認められていないが、若年でがんを患った人の中には、終末期を家族と自宅などで過ごしたいとの要望も多く、厚労省は例外的に四十−六十四歳にも介護保険が適用されている十五種類の病気に末期がんを加える方針を決定。同省の推計によると年間約二千人が対象となる見通し。同省は平成十八年四月からの適用開始を目指している。
     ◇
 ≪本人認知に関係なく介護サービス提供を≫
 山崎章郎・聖ヨハネ会桜町病院ホスピス科部長「在宅での療養や死を望む患者や家族、医療やケアを提供するものにとって、末期がんが介護保険の特定疾患に加えられることは歓迎すべきことだ。ただし、医学的診断が明確であれば、患者が病名や余命を認知しているかどうかにかかわらず、介護サービスが提供されることが望ましい。主体的に生きるためには、自分の病名や病状を知っていることが前提と考えるが、患者によっては真実を知ることは望まないこともある。その人たちにも介護サービスは提供されるべきだ」
(産経新聞)


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