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それでも空に溶け込めるならば 2003年02月28日(金)

そんな私は
半身半魚

彼は立派な男だった

それでも私は
半身半魚

彼は美しい男だった

船が嘶き
岩は喚いた
空が砕け
星は降り続いた

島に行く
島に降る

私は私は
半身半魚

彼はただの
人間だった

私は半身半魚
人間にはなりきれない

私は彼を愛していた




始業式 2003年02月27日(木)

とりあえず笑っておけば
友達ができる
なんて思ったのは
いつからだったっけ

つまらないことにも
嘘っぱちの笑顔
振りまいておけば
いいんだって

そんなこと
いつから思ってしまっただろう

きっと
素直でなくて
捻くれてて
だれをも受け入れられないんだ

ただの少しの我慢と
柔らかい笑いだけでいい

友達をつくるのは苦手だ
友達なんていない

また一年が終わるんだ

また
よそよそしい教室へと
入っていかねばならない




さよならの合図 2003年02月26日(水)

チャリンコをふっ飛ばして
君に会いに行くけれど
果たしてこれに
深い意味はあんのか?

澄んだ青空を見て
寒いと思うけれど
君を見れば
あたたかくなれる
なんて思うのは馬鹿か?

チャリンコを降りて
鍵をかけて
一息ついて

最後の日だとわかっているけれど
君は笑ってくれる
と思ってしまうなんて
やっぱり僕は
馬鹿か?

さよならは言わないよ
もうバイバイね

君の細い肩とか首とか
僕の手が絡まる腕とか
頼りなさそうなのに強い
背中とか

僕は君の名前をつけた
愛用チャリンコに乗って
ベルを二回鳴らす

さよならの合図




マフラーをご一緒に。 2003年02月25日(火)

黙ればいいのに、
と私が思うと、
君はふと口を塞ぐ。

ああ。
と私は思うと、
おもむろに君にしがみつく。

君は少し、赤い顔をするので、
とてもいとおしく思う。

言ってはいけない、
と思いながら、

私は、
「可愛い」
と口にする。

不貞腐れた君が、
またいとおしくなる。

そんな寒い日の午後です。




ゴミの王冠 2003年02月24日(月)

気付いたら
私はまるでゴミのようで

気付いたら
彼女は私を踏んづけていた

私はたぶん
彼女の綺麗な靴でもなくて
彼女の踏む高級絨毯でもなくて

ただの
ただの
この下のゴミ

知らなかった
知らないふりしてた

彼女は得意な顔で
こっちを見てる

ああ
また
私を踏み殺すのか

認めるのは嫌だった
認めるのは怖かった
成り下がるのはごめんだった

それでも
私はわかり始めていた

ゴミです
そうです
私はゴミです

生きてる私はゴミのようです

だったら
死んだら私は
お姫様にでもなれると言うの

彼女を踏み返せると言うの

私の爪先には
まだ王冠が
引っかかっている




冷たい体温 2003年02月22日(土)

私がもっと強かったなら
君を守れただろうに

私がもっと素直だったなら
弱音を吐いただろうに

私がもっと優しかったなら
あんなことは言わなかっただろうに

私がもっと
もっとね?

君は
強くて
素直で
優しかった

一番
ずるかったよ

私はそのまま
弱くて
捻くれて
意地っ張りなまま
生きられた

君の体温
冷たかったの
本当は知っていたよ




耳もとにキス 2003年02月19日(水)

君の言葉はどこへいった?

とあなたが尋ねるので
私はしばらく黙っていた

少しだけ見つめあった

私の言葉はどこへいった?

私はあなたの耳もとに口をよせて
そっとキスをした

あなたは耳をおさえた

言葉よりも
私はあなたに
そう伝えたかった

あなたの言葉はどこへいった?




もう一度 2003年02月17日(月)

確かにあなたを愛するのは
怖いけれども
確かにあなたはいつも
私の腕からすり抜けるけれども
確かにあなたのすべては
私のものではないけれども

私の心は思っていたより
強いのかもしれない

私の手のひらは思っていたより
大きいのかもしれない

あなたを受け止められる

だから
もう一度

私はあなたのものです




雪道 2003年02月16日(日)

「寒いね」
と君が言うので

「そうだね」
と私は言った

「雪が降るね」
と君が言うので

「そうかな」
と私は言った

「息が白いね」
と君が言うので

「寒いからね」
と私は言った

「雪が降ってきたよ」
と君が言うので

「ほんとだ」
と私は言って
空を見上げた

「帰ろうか」
と君が言うので

「そうだね」
と私は言った

そうして
手をつないで
雪道を歩いた




ツメエリたち 2003年02月15日(土)

けんかは日常茶飯事であります
君と僕は短気であります

短気は損気
怒鳴りあいで
かすれ声あげるけれど

どっちも損しております
どっちも阿呆であります

君と僕は親友らしいです
教室じゃあ
二人セットで扱われてるらしいです

ええと
親友なんですか
これがですか

とりあえず
友達とは思ってません
勿論親友だなんて

嫌いではありません
好きでもありません

微妙な感覚で
君と僕は繋がっているみたいです

いてほしいときは
君はいつも隣にいます
いてほしくないときは
君はいつも離れていきます

それは僕も同じです

会話はくだらないです
そんなもんです
深刻な話なんて
ただの一度きりです

それもまあ
過去の思い出ですが

とにかく
今日は大げんかをしてきたわけです
僕は腹を立てているわけです

まったくもって
あれは君が悪いのです
君も自分で気付いているはずです

ああほら
足音が聞こえてきた
君のあの壊れそうな
スニーカーの音です

謝ったりは決してしません
君と僕は

それでも
こうやってまた
馬鹿な話をしだせば
けんかは終わるわけです

そしておんなじこと
繰り返すわけですけど

それはそれで

今日も僕は
君と帰ってゆくのです




ワンカットワンシーン 2003年02月13日(木)

何が基準なのでしょうか
知りませぬ
知りませぬ
知りませぬ

けれど
私は世間一般
あの子より可愛くないって

けれど
私は世間一般
あの子より頭が悪いって

けれど
私は世間一般
あの子よりくだらないって

私は世間一般
いじめられる役だって

ああ
私は脇役ですか
それも
あの子が主役で
あの子の映画の
たったのワンシーンに映る
そんな脇役ですか

ああ
世間一般
みんながそう言うんですか

なり切ってあげましょうか
なり切ってみせましょうか

私は
陰から
あの子をひき立ててあげましょうか

ねえ

本当に脇役ですか
それしか価値がありませんか
ねえ
誰も私を見ませんか




雑草を飼ってみよう。 2003年02月11日(火)

たとえばの話は
大嫌いだ
もしも
なんて

ありえないこと願うなんて

だから私
雑草を飼い始めたの

だって
咲くかもわからない
あの手の届かない花を
どうして無償の愛で
包んであげられると言うの

だったら
目の前にある
この現実の雑草を
愛して可愛がったほうが

今が
どんどん膨れ上がる
勝手に伸びてゆく

ねえ
現実には
栄養がいらないのかしら

でも
期待も膨れ上がるの
私の手によってね

無償の愛は
やはりないけれど
あの綺麗な花に
栄養剤を与えてあげようか

ほらきっと
って思えるから




太陽のウタ 2003年02月10日(月)

忘れかけていた
ウタを
紡ぐんだ

たとえば
ウタを忘れた鳥のように
もし僕に
声がなかったのなら!

忘れかけていた
ウタを
口ずさむんだ

そろそろ
胸に刻まれる頃だ

録音なんてしないよ

僕の心にやき付ける
君の心にやき付けろ!

さあさ
ウタウタイの時間だ

夕暮れやら朝陽やら
僕にはそれとわからないが

僕は今から
太陽のウタ
鳥とウタうんだ




ベルを鳴らそう 2003年02月09日(日)

君がもっともっと
優しくなければ
私はすぐにでもばれる
簡単な嘘をついてあげるのに

君がとてもとても
優しすぎるから
私は上手に
嘘をつかなくちゃいけない

君が私を
優しく叱るから
私はしっかり聴かなきゃいけない
私は黙って言うこときかなきゃ
って我慢しなくちゃいけない

君が私を
怒鳴り散らしてくれるなら
私は泣いて困らせることができるのに
私は顔を手で隠して
君を黙らせることができるのに

君は優しすぎたんだ
私も甘すぎたのかもね

私たち
遠慮しがちに抱き合うの

ほら
もう終わりが近いこと
ベルが教えてる




梅干し一個 2003年02月08日(土)

さあさ
おにぎり
半分こ
君と半分こ

ああ
具は一個
梅干し一個

どうしようか
どうしようか
君にあげよか

僕の大好物
梅干し一個

そろりそろりと
君の目を見れば
梅干し一個
その大きな目で見つめてる

欲しいかな
欲しいよね

ああ
僕の梅干し一個

あげる
あげる
あげるよ

僕の梅干し一個

でも君
泣きながら
言った

うめぼしきらい

どうしようか
どうしようか
僕の手のひらの梅干し一個

しょうがないから
空中一メートル
おっきく投げて
僕の口の中にポロリ

ああ
すっぱい
ああ
すっぱい

ああ
涙がでてきたよ




色の世界 2003年02月05日(水)

春になる
春に追われる
花は咲く

窓際に腰掛けて
揺れる木々を見る
それは生きてるかのように

風が吹くのは
僕をいじめるためか
植物があるのは
僕を蔑むためか

花は色を放つ
鮮やかな強いその色
僕を襲う

窓の外は明るくなる
光を遮断する僕がいる

窓の中は暗いまま
僕はごろんと寝そべる

天井の固さとか
床の冷たさとか
その無機物の様子は
まるで僕を引きずりこむ

カーテンの隙間から
光はセメテクル

手を伸ばす

中指からまっすぐに
光が線を作る

一本の道ができる

外はどんなだろう
と不思議な気持ちが
湧いてくる




さよならスウィートハニージャム 2003年02月03日(月)

ああ
もうお腹いっぱい
もう食べられない

だけど
目の前には甘いお菓子

きっと食べられない

それでも食べる

食べる
食べる
食べる

ムサボリタベル

全部噛み砕いてしまえ
全部飲み込んでしまえ
全部消化してしまえ

全部吐き出してしまえ!!

はあ
もうお腹いっぱい
もう食べられない

でもでも
まだまだ
お菓子の列はつづく

泣いてでも食べきってやる

さよならショートケーキ
さよならチョコクッキー
さよならシュークリーム
さよならバターサンド

さよならスウィートハニージャム




電車は走り出した。 2003年02月01日(土)

どうでもいいから
幸せだ
と笑ってあげればよかった

泣いたあの子に
君は必要ない
と言えばよかった

走る電車を追いかけようと
必死な顔のあの子に
追いつけるわけない
と突き放せばよかった

なんで泣いてしまったのだろう

プラットホームに
電車の音よりも深く
あの子の泣き声が響いたから

走り出す電車の中
泣かずにはいられなかった

あの子を
嫌い
だなんて
言えるわけなかった

つよがりも見せられなくて
ごめんね

もう笑って
君を抱きとめてあげられないんだ





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熊野ポーラ
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