私はこの漫画が好きで雑誌を立ち読みして、単行本を買ってはいるけれど、何回も読んでいたわけではなかった。連載があんなことになって、思い返すたびに鬱々とした気分になって、それでも気になってコミックスを読み返してみた。事にいたる直前まで、千花ちゃんと六花ちゃんと（きっと空美ちゃんの）成長物語だと信じて疑わなかったけれど、改めて読み返すと、現在の状況にいたる伏線が周到に張り巡らされている。そうしてオセロの白と黒があっという間に入れ替わるように、前向きなエピソードと思っていたものが、違った風に見えてくる。これはすごいと素直に思わされた。鬱々とした気分にさせられたことは置いておいて、こういう作品を読むことができるのは幸せなことだと思う。そしてまた物語がすすんでいくうちに、もう一度オセロの駒がひっくり返るだろうとも思う。巻末の付録の記事に恩師を亡くしたあと自立したバレリーナの方の談話が載っていたけれど、きっとそういうことなんだろうな、と。そしてクララを踊る六花ちゃんと千花ちゃんが重なる場面が、先のことを暗示しているようにも見える。ただ、そんなに簡単にはハッピーエンドにしてはもらえないだろうけれど。今から思えば、アラベスク第二部のラストというのは、少女漫画の枠の中だったんだなあと、しみじみしてしまうのだった。
|
