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漫画関連ファイル


2004年10月29日(金)
よしながふみ『大奥』第二回

メロディ12月号掲載。大奥二回目。極端に男子人口が減ったパラレルお江戸の大奥には、美男が3000人。上様(女)のお成りを待つ男だけの世界の中で、主人公の水野だけが、いわゆる普通の男という設定。そこへ上様がやってきてどんな展開になるのかしら?来月号がすごく楽しみ。読んでいて、私の常識とか既成概念のあちこちが、ぎしぎし揺さぶられる。読む快楽。ほんとに、よしながさんは上手い。



2004年10月23日(土)
今市子『百鬼夜行抄』第十二巻

私は好きなんですけどね、こういう話。ついに次女が言った。「一回読んだだけじゃわからない。」ここのところ一読しただけでは、わかりにくい複雑な話が増えています。メインのストーリーの途中から、違うエピソードにつながったり、たとえ話や過去話が挿入されたりして、無関係かと思ったら最後には全部関連させて終わる構成。話を把握してから再読すると、ああなるほど、と納得できるんだけれど。も少しわかりやすかったら、もっといいかもね。それにしても12巻を数えるほど長く続いているのに、さほどテンションが落ちないのは、すごい。今回もおもしろかった。雪女の話と、律と司ちゃんのお話。青嵐は面白いけれど、お父さんはかわいそうだなあ・・・律と司ちゃんの話が載ったときに、ファンサイトではついにその方向に話がすすむのか?と一瞬話題になったんですけれど、結局うやむやに、どちらが結婚しても助け合うなんて言葉が出てました。そんなことを言っていると律のところにはいつまでたっても嫁が来ないのでは・・・・



2004年10月22日(金)
こうの史代『夕凪の街桜の国』

これは広島の話です。ヒロシマの話ですが、漢字をカタカナにしてしまう時に働くいろいろなものを、できるだけ働かさずに広島に起きたことを語った話です。人がいきて行く上で本当に支えになるのは、この本に描かれているような日常の風景や気持ちじゃないか、そんなことを思いました。短い物語の中に、切り取ることのできるものは、まだまだたくさんあるんだな、ということも思いました。



2004年10月12日(火)
青池保子『ブラックジャックALIVE』

ブラック・ジャックのアニメ化を記念して、「ヤング・チャンピオン」で『ブラックジャックALIVE』と題した読みきり連載が始まりました。これは現役漫画家さんが自分の漫画の中にブラック・ジャックを登場させるというもので、第一弾は青池保子さんでした。伯爵と少佐とジェイムズ君がBJと並んでいます。ちょっと違和感ありますが、楽しい企画です。お話もちゃんと作りこんだものだったし。でもね、やっぱりBJはメスさばきを見せないと物足りないかも。気がつかないうちに切って縫って取り出すくらいの芸当をしてくれなくっちゃー
しかし、この雑誌買うのは恥ずかしかったよ。表紙裏向けにしてレジに出したら、顔なじみの店員さんは、そのまま袋に入れてくれました。私が買ったのが最後の一冊だったから、結構売れてるのかも。

ところで、私は『ブラックジャック』が大好きで、コミックスの一桁台の頃から、初版で買っていました。いったいどこが好きだったのかちゃんと考えたことはないけれど、いろんな病気やいろんな外科手術をコンスタントに描いていく手塚さんのプロの仕事の合間に、時々本気とか本音とか真情みたいなものが見え隠れする瞬間もあった作品だったからかもしれないと思います。実家から持ってきて読み直してみようかな。

作者のコメント
http://hpcgi3.nifty.com/sachlichkeit/diary1/diary1.cgi





2004年10月10日(日)
いしかわの絆プログラムで森川久美さんがスピーチ

「日本・親子の絆プロジェクト いしかわの絆プログラム」の中で「まんが・アニメが育てる物語力」というテーマのイベントが行われました。10日の10時から。パネルディスカッションは1時半から。場所は石川県地場産業振興センターコンベンションホール(駅西新県庁舎のすぐそば)。森川さんのスピーチがありました。10月5日の北國新聞朝刊に、見開き二面のお知らせが載っていて、かなり大きいイラスト(歌舞伎の本の表紙かな)と、文章が写真入りで掲載されていました。

http://www.tvkanazawa.co.jp/kizuna/event.html

以下はレポート


一応メモはとってきたんですが、森川さんのスピーチだけ以下要約。

「漫画の物語ができるまで」
午前中のアニメ教室は楽しかったですか?絵を描くこと、ものを作ることはおもしろいです。私は絵を描くことが好きです。好きなことをやると幸せで嬉しい。だから絵を描きます。それがだんだん、人に見せたいと思うようになります。読んでもらって人にほめてもらいたい。人を楽しませたい。周りの人をまきこんで、何かしたい。そんなふうに自分の言いたいことを他の人に伝えるにはテクニックが必要になります。漫画の場合は絵を描く訓練と、物語を作る訓練が必要です。好きじゃないと訓練ができません。そうして漫画を職業として食べていけることは幸せなことですが、つらいこともあります。趣味であれば、行き詰ったら放り出せますが、プロには締め切りがあって、できなくても放り出すことができません。好きなことをやっているから幸せか?というと、好きなことをやっているから苦しむこともあります。
皆さんの作られたアニメは大人になったら作れなくなるものばかりです。大人になるとつまらないこともあるけれど、今の心を持ち続けてほしいと思います。

パネルディスカッションの最後に会場からの質問を募ったところ、年配の男性が手をあげました。曰く。「私は森川先生の上海シリーズの大ファンです。歴史に興味があって、当時の史料を集めて研究していますが、大変よく調べられて描かれた作品だと思います。どうしてこの時代のこの場所に興味を持たれたのかお伺いしたい。」これに対して森川さんは「私の親戚の方かと思いました」と笑って受けて「母方の祖父が中国で戦死して、祖母は戦争未亡人でした。そういう記憶があるので戦前の日本史がとても大事だと思うんです。」と答えました。「また上海を舞台にした作品を描かれることがありましたら、是非史料を提供したいと思っています。」と質問者の方がおっしゃいました。このやり取りを聞いて、司会者が「個人的な体験は原動力になりますか?」と聞きました。「物語は全て個人的な体験です。それがなければ、物語はできません。」と、森川さんが答えました。

以上、簡単なレポートでした。



2004年10月05日(火)
おたく:人格=空間=都市 フィギュア付きカタログ

ヴェネチア・ビエンナーレ第9回国際建築展に出展された「おたく空間」の、フィギュア付きカタログを買いました。思っていたより小さな本で「新横浜ありな」のフィギュアを入れる箱の方が大きい。でも、英、伊、日で併記されている、おたくに関する文章は、短いながらも必要十分な内容で要約するのも難しいくらいです。個人的な空間の中ではぐくまれた個人的な思い入れの産物が、部屋の外へ出て一つの潮流になっていく様子を、俯瞰した内容になっています。コミケに集い、秋葉原という街を変えるほどの力を持ったこの流れがこの先どこへいくのか、ネットを利用することによって、国境をも越えて広がっていくのではないか?というところで終わっています。
私自身もこの流れの中にいるので、ここに書かれている内容はとても身近なことなんですが、書かれている内容と自分の間には距離があります。「おたく」は、流れの中にいても個をたもとうとするからかも。でも、面白かった。このカタログを読んだ外国人の感想を聞きたいと思いました。