+--- Cinema Memo ---+


■ チャーリーズ・エンジェル フルスロットル 2003年07月16日(水)
米国政府の機密情報にアクセスするための指輪を持った要人、レイ・カーターが誘拐され、救出を命じられたエンジェルたち。任務は成功するものの、それはさらなる難事件へのプロローグだった…!

監督-----McG 出演----キャメロン・ディアス ルーシー・リュー ドリュー・バリモア

音楽☆☆☆☆☆ ストーリー☆☆☆ 映像・演出☆☆☆☆ 俳優☆☆☆.5 総合評 ☆☆☆☆

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なんたってフルスロットルですよ。あらすじ?そんなものラフでいーんです。キューティーハニーばりに(変身じゃないけど)セクシーな変装を繰り広げる美女それも複数、眼福じゃないですか。脳天気ロック全開、MTV感覚、懐かしくていいじゃありませんか(これがけっこう、あの往年のテーマソングに合ってたりするんだよね!)。ロック、そしてハリウッド、私のだーい好きなものばっかりが集合した本作は1作目よりパワーアップしたイカレっぷり、最高でした。これって安野モヨコさんが漫画化したらすっごく合いそう。

個人的にはパロディのシーンが抱腹絶倒。ランディの元カレはレッド・ドラゴンだし、溶接工に扮してるシーンでは「フラッシュダンス」のテーマ。そしてなんとCSI科学捜査班…もう笑った、笑った!(しかもキャメロン・ディアスしっかり主役のオジさんのモノマネ入ってます。やるねえ〜)ここでも音楽がとても上手く使われてました。
アクションはものすごくハードなはずだし、下品でキワドイ台詞や扮装も、サラッとお茶目にこなしてしまう女優魂! カッコイイですね!ま、女優魂という点ではデミ・ムーアの腹筋にかなうものなしかもしれんが!!(ちなみに元旦那のブルース・ウィリスがカメオ出演してます)

アクション、ストーリーともに荒唐無稽なぶん、彼女たちの個性は共感性たっぷり(そりゃあの映画だから度合は度合だが)。例えば任務(仕事)のためには男たちに下手にでなきゃいけない必要もある。これって女性なら一度ならずとも経験したことあるはずだし、だからその後、野郎どもを手玉にとってブチのめす爽快感があったりして。
恋愛についても他の二人の彼氏はわりと平凡な顔立ち&性格のいい人なんだけど、ランディだけはいつも問題アリな男に惹かれるからフリーのまま。最後のシーンで微妙な表情、こういう役はドリュー・バリモア本当に上手いですよね。ランディって元ロック少女でとても他人とは思えないわ(おいおい)AC/DCのTシャツ着てるシーン(MCハマーのダンスのとこ)では、バンドボーカルのボン・スコットと同じファッションにしてるなど、かなり細かい監督の拘り度。わかる私もどうなの、おたくなのね、お互いに…



■ ディナー・ラッシュ ←おすすめ!!! 2003年07月15日(火)
天才シェフとして業界の寵児と扱われるウード、その父で店の方針についてウードと対立しているオーナーのルイ。公私ともにウードのライバルでギャンブル中毒の副シェフ、ダンカン。そこにルイの長年のビジネスパートナーを殺し、店を乗っ取ろうとしているギャングが現れて…ニューヨークのトライベッカで超人気のイタリアンレストラン「ジジーノ」を舞台に、様々な人間関係とドラマを洗練されたタッチで描く監督の半自伝的作品。

監督-----ボブ・ジラルディ 出演----ダニー・アイエロ エドアルド・バレリーニ サマー・フェニックス

音楽☆☆☆ ストーリー☆☆☆☆.5 映像・演出☆☆☆☆ 俳優☆☆☆☆.5 総合評 ☆☆☆☆.5

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久々にこの手の(アルトマン系?)面白映画を観た、という感じで超興奮! あらすじからだとちょっと地味な印象を与えてしまうかもしれませんが、これはまさに「レストラン版ER」!最後まで息が抜けません!!! 人間ドラマに程よく振りかけられたサスペンスのスパイスの絶妙さ。あっと驚く最後の展開、騙されたと思ってぜひ見てみて下さい!!!!(いや、私も今頃沸騰して遅れてるんですが)

監督はイタリア系の渋いおぢさま(美食家兼毒舌家)、もとはCMとかミュージックビデオがご専門(M・ジャクソンのBEAT ITを撮っているそう)。今回は14年ぶりのメガホンとか。それにしても趣味の良さがもうあちこちにバシバシ出ていて素敵だ。何軒かある自分の持ちレストラン(!)で撮影しただけあってスピード感のある調理のシーンはスタイリッシュかつ生々しい(超忙しい時に停電が起こり、コンロの炎だけを頼りに調理を続けたり、まさに戦場)。
ウード役のエドアルド・バレリーニ(こんな姓があるんですね)は個人的にはイチローと荻原聖人と足して2で割った感じ?(笑)しかしなんと言ってもいいのはルイ役のダニー・アイエロです(よくギャング映画に出てましたね)! もうこれぞイタリアのオヤジさん像!って感じで、惚れたわ〜。他にもクールなウェイトレスを演じるサマー・フェニックスや、辛口の評論家やらなんやら、いかにもNYっぽいシニカルで濃い人たちばかり出てきてあっという間にエンディング、という傑作。

雑誌をめくったら監督のインタヴューを発見(PREMIERE 02/10)。
「ハリウッドの映画会社の幹部気取りの若造にとってのいい映画とは、観客が繰り返し見に行くような映画だろう。それが儲けに繋がるからだ。私にとっていい映画とは、自分が満足できる映画だ。つまり監督仲間や映画評論家や友達が気に入ってくれて、口コミで人気が出るような映画。だから私に言わせれば、いい映画のレシピとは誇りにできるまっとうな映画を作ること。今回はそれを達成できたと思っている」

クー!しびれるぅ!


■ ハリー・ポッターと秘密の部屋 2003年07月14日(月)

ホグワーツ魔法魔術学校での1年を終えた夏休み。ハリーのもとに妖精ドビーが現れ、ホグワーツで恐ろしいことが起こると警告をしてきた。そして、新学期を迎えたホグワーツには次々と不気味な事件が起こる。ハリー、ロン、ハーマイオニーの3人は謎の真相を調べようとするが…

監督-----クリス・コロンバス 出演----ダニエル・ラドクリフ エマ・ワトソン ケネス・ブラナー


音楽☆☆☆ ストーリー☆☆☆ 映像・演出☆☆☆ 俳優☆☆☆ 総合評 ☆☆☆

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映画館で観そびれて、DVDで観たんですけどやっぱり大きな画面の方が迫力があったんだろうな〜とちょっと残念。

ストーリーは賢者の石に比べるとやや物足りなく、金田一少年の事件簿とか名探偵コナン的な印象。原作通りに描く制約があるぶん、かなり長く感じてしまったし…もっとも、原作読んだ方曰く、面白くなってくるのは3、4巻あたりだそうなので次作に期待!
映像もキレイなんだけれど、私のようなマニア?にはやや健全過ぎるといいますか。もっと「ゴーメンガースト」みたなオドロゴシック色が欲しい(でも子供が泣いちゃうか…)

私がこの映画で楽しみなのは、英国舞台系俳優さんの美しいイントネーションと独特の台詞まわし。ケネス・ブラナー、かなり楽しそうに演じてましたよねー。3作目は校長先生と監督、4作目は子役キャスト一新(囚人?役をゲイリー・オールドマンが演じるらしい。怖そう。笑)、とシリーズ映画は大変ですね。でも本当、7作完結の映画なんてすごいことだ。
個人的にはマルフォイ父と、日記を持ってた上級生がヒットでしたね(病)やっぱり悪は美しいのかしら〜。


■ ★番外★テレプシコーラとバルバラ異界 2003年07月04日(金)
「テレプシコーラ」は雑誌ダヴィンチで連載中の山岸涼子先生のバレエもの(現在4巻まで刊行)。
主人公は小学生の篠原六花(ゆき)という女の子で、母親がバレエ教室を開き、姉の千花はかなりの実力を持っている…というところはかの名作「アラベスク」を彷彿とさせるのですが、六花は180度開脚が難しい体型で、バレエには向いていないと諦めかけたところで、須藤空美という転校生に出会う。空美は酒乱の父のせいで壮絶な困窮生活の中にあるのだけれど、(やや精神に異常を来していると思われる)車椅子の元天才プリマの叔母の指導と血によって、ズバ抜けた技量を持っている。

この二人が出会って…という物語なのですが、単行本1〜2巻は、空美にまつわる残酷な環境がけっこう出てきていてううっ…と辛いのですが、3〜4巻からは六花と千花の対照的な姉妹がコンクールに挑んでいったり、ぐっとバレエ度がupしていきます。
 六花はコンプレックスに悩まされ、人の前に出るのが苦手(アラベスクのノンナと似ている)。母親も姉の千花に比べてあまり期待はしていないし、それを六花もよく知っている。しかし、教室に金子先生という女性が現れてから、六花はどんどん自分に自信をつけていく。人は指導者や周囲の言動によって、いかに暗示に左右されてしまうかがよくわかる。
 バレエの知識や楽しみもしっかり押さえつつ、なぜこんなにサスペンスタッチにできるの!? という場面もあるし、子供が主人公であるにもかかわらず心理ドラマには手に汗握る緊迫感もあり、思わず六花を自分に重ねてしまうし、応援せずにはいられない。


「バルバラ異界」は月刊フラワーズで連載中の萩尾望都先生のSF?もので、1巻が発売されたところ(タイトル間違えてました。スミマセン)。
 人の夢の中に入るのが職業の渡会時夫は、ある事件から眠り続けている少女の夢を探る仕事を依頼される。彼女の夢の中にのみ存在する幻の島「バルバラ」が、時夫の息子キリヤが作ったものと同一だと気づいた彼の周囲で、様々な事件が起こり始める。

実は私は「残酷な神が支配する」がまだ読める心境ではなくて(たぶん相当の勇気を必要とする)やっと萩尾先生の新作が手に取れて嬉しかったりするのですが、うーん、面白い。すっごく面白い。複雑な人間関係、同じくらい複雑に重なり合う異界とメタファーたちに翻弄され、謎を探る頭の働きの気持ちよさ。
萩尾先生の作品には台詞も画面もリズムに溢れていて、どんどん世界に引き込まれる。早く続きが読みたいよう!





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Written by S.A. 
映画好きへの100の質問



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