+--- Cinema Memo ---+


■ WHAT WOMAN WANT<ハート・オブ・ウーマン><☆☆☆> 2002年07月20日(土)
ニックはシカゴの広告代理店のプロデューサーだが、男らしさを勘違いした典型的な自己中男。昇進を目前にしていたある日、やり手の女性、ダーシーがライバル会社から引き抜かれて上司に。背水の陣となったニックは渋々女性向けの広告を考えるハメになるが上手くいかない。ところがある事故を期に、彼には女性の心の声を聞く能力が……!

監督-----ナンシー・メイヤーズ 出演----メル・ギブソン ヘレン・ハント マリサ・トメイ

音楽☆☆☆ ストーリー☆☆☆ 映像・演出☆☆☆ 俳優☆☆☆ 総合評 ☆☆☆

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ストーリー---定番コメディ恋愛ものとしては面白いし、笑いどころも多々ある安定したつくり。マッチョな勘違い男が、女性の本音を聞いてうろたえるところがオカシイ。ただ恋愛以外にも会社の孤独な部下の女性や、娘との関係などのネタを盛り込み過ぎて中途半端な印象になってしまったような(って、書いてて耳が痛い……)。あとラストに向けての構成も、ややまだるっこしかった?

キャスト---メル・ギブソンの恋愛コメディは珍しい(マーヴェリック程度?)と思うんだけど強引でイキのいい掛け合いが上手かったなあ。ヘレン・ハントもそれなりに魅力ある役なのかもしれないけど(けっこうこっちも自己中女?って感じがしたけど……)個人的にはマリサ・トメイのコメディエンヌぶりが好感度高し! 思いっきりハジけていて女優魂を見た。

私見---女性向けらしく華やかな雰囲気で楽しめます。作中での恋愛と仕事の絡めかたとか、けっこう参考になったような気がする。

■ Nora<ノーラ・ジョイス/ある小説家の妻><☆☆☆> 2002年07月10日(水)
1904年、アイルランドの田舎で育った情熱的で奔放な娘ノーラは、自由を求め都会ダブリンへ飛び出し、ホテルのメイドの仕事につく。そして出会ったのが、貧乏な若い作家ジェイムズ・ジョイスだった。恋に落ちた2人は、閉鎖的なアイルランドをあとに、太陽の輝くイタリアのトリエステへ。だがジェイムズの書く小説は一向に売れず、酒にひたる日々が多くなる。1度は自分を抑えても彼に従おうとしたノーラだが、個性の強い2人は衝突を繰り返し、やがて…。

監督-----パット・マーフィー 出演-----ユアン・マクレガー スーザン・リンチ

音楽☆☆☆ ストーリー☆☆☆ 映像・演出☆☆☆ 俳優☆☆☆ 総合評 ☆☆☆

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映像---落ち着いた映像で、いかにもヨーロッパの映画という感じ。自然の美しさがふんだんのアイボリー作品などと違って、屋内の撮影が多い密室性が、なんかBBCで放映してしまいそうな淫靡な雰囲気(笑)

ストーリー---芸術家で不安定な夫を支えるのは逞しくしっかりものの妻、というのは日本だけのパターンなのか、このノーラという奥さん、かなり夫のジェイムズに負けないほどエキセントリック。当時の世相からしたら、かなり過激な夫婦と言えそうです。母や妻としてでなく、あくまで女としてジェイムズに接する激しいノーラの魂の根源にあるものはなんなのだろう。もっと自由な時代に生まれていたら、伸び伸び生きられたのかも?

キャスト---たぶん役者バカなら誰もがやってみたい役であろう複雑な性格のジェイムズ・ジョイスをユアンが熱演。エロティックでダーティな面もありつつ、やはり母性本能を刺激してしまう弱さが魅力か…この作品でも、美声を披露しております。

私見---二人の情念は、ある種の男女の間では現代も変わらず繰り返されているっぽい普遍的なものでもある。なんかけっこうドロドロしてるはずなんだけど、淡々と時間の流れや人間関係が描かれてるので見やすかった。ちなみに私は「ユリシーズ」挫折者なんですが――「タブリン市民」は短編だから読めるかなあ。今度チャレンジしてみます。

■ NINTH GATE<ナインス・ゲイト><☆☆☆> 2002年07月01日(月)
貴重な書物を探し出す本の探偵、ディーン・コルソは、書物愛好家のボリスから17世紀の悪魔の書『ナインスゲート』を手渡された。世界に存在する残りの2冊を探し出し、本物を見極めるという依頼だ。コルソは世界各地を飛び回り、本の持ち主を探し出すが、その度に怪事件が発生していく。命を狙われながらも、いつしかコルソは邪悪なものに支配された悪魔の書に魅了されていく…。

監督-----ロマン・ポランスキー 出演-----ジョニー・デップ フランク・ランジェラ

音楽☆☆☆ ストーリー☆☆☆ 映像・演出☆☆☆ 俳優☆☆☆ 総合評 ☆☆☆

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映像---どこか翳りを帯びた陰影濃い映像が美しい。欧州の街並みや、たちこめるエロティックな香りなどを見事に描写しており、深く印象に残る。

ストーリー---いわくのある本に魅せられていく収集家たちの情念が、本そのもの自体のパワーと絡み合っていく。前半は散りばめられた謎に惹きつけられるものの、ラストあたりはやや監督個人の解釈に入り込み過ぎたのか、難解+唐突な感があり。原作を読み直すと、放り出されたままの謎などがある程度解決するので、原作の併読をお勧めします。

キャスト---ジョニー・デップはこういった事件に巻き込まれつつ&自身も謎を秘めた役がとても似合う! 女性キャストが皆怖いタイプなのが、フランスっぽい〜。

私見---もっとホラーで怖いかと思ってずっと見るのを躊躇ってたのですが、全然怖くなくて良質のダーク・サスペンスという感じ。なんとなく「エンゼル・ハート」を彷彿とさせる世界が魅惑的でした



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Written by S.A. 
映画好きへの100の質問



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