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■■ ねた
父は、子に興味を示さなかった。
妹は、不器量ゆえに披露もされず、齢十にして格下の遠戚へと嫁がされた。 末の弟など、母親の腹に宿ったその時に行く末を決められ、一度も父に見られぬままに他家の養子に出されていった。 初めての娘であったわたくしとて、跡継ぎである兄だとて、父に興味を示されたことはない。
父はまた、政にも興味を示さなかった。 母にも。その他の女にも。むろん男にも。 食にも、芸術にも、学問にも、遊戯にも。
ただひとつ、父が耽溺したのは――
己が命を賭けて、刹那の生死のはざまを味わい、流れる血潮に身を染む、その行為のみ。
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ちょっとどうしようかと思っている騎士の番外編的な話の入口部分。 番外編というか、メインの人物の世代が違うので、なかみはずいぶん前から固まってるんだけど、書こうという踏ん切りがつきませぬ。重いし。
このまえヤ○ーニュースで嫌な感じの偶然の一致を発見し、このネタの根本部分がリアルに実現しうるものだと再確認してしまって軽く落ち込んだんですが、ゆえに却って頻繁に考えてしまい、気になって仕方なくなるのでガス抜き的に書いてみました。
2008年06月23日(月)
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