17番の日記...17番

 

 

松井大輔に望むこと - 2003年09月17日(水)

U−22の日本代表対韓国代表の試合を高田馬場のスポーツバーに友人と観に行った。スポーツバーで観戦するのはこれで2回目だ。

今回、日本はアウェー。レッドデビルズが埋め尽くすオリンピックスタジアムで日本イレブンの真価が問われた。そろそろ大久保の代表戦でのゴールが見てみたい。

日本はスタメン、フォーメンションをいじってきた。まず、2トップから1トップへ。DFの青木を那須に、MFに山瀬を入れた。果たしてこの戦略が吉と出るか、凶と出るか。

試合が始まった。大久保は最初からDFの裏を狙う動きに徹し、走りまくる。うまく中盤から大久保にパスがつながらないため、頼りの右サイドの石川にボールを託す。しかし、石川は思うようにサイド突破をすることができない。やはり、韓国は日本の攻撃パターンをよく研究していた。日本が中盤でボールを持ち、右サイドの石川に預け、石川が苦し紛れに真ん中に突破を図り、そこを韓国DFにカットされ、韓国のカウンターをくらう。このようなパターンがこの試合では繰り返された。

逆に日本は前半にゴール前の競り合いから2点を献上してしまう。2点とも日本DFがズタズタにされて取られた得点ではないが、取られるべくして取られたといった感じだった。

日本と韓国の差は歴然だった。

韓国は持ち前の強力な精神力と体力で「この試合に負けたら帰る場所はない」といった位の気持ちで日本ゴールに襲い掛かってきた。中盤の選手がうまくボールをため、サイドにタイミングよく散らし、センタリングを上げ、ゴール前に詰めた選手がシュートを放つ。中盤の選手がサイド攻撃が無理と判断した場合、自ら突破をはかったり、その場でキープし、相手DFを引き付け、臨機応変にパスを繰り出す。一方、日本は攻撃パターンの主軸である大久保と石川が封じられ、行き当たりばったりの攻撃を繰り返す。攻撃が封じられたのは韓国のプレスが速かったというのもあるが、後半に高松が投入されるまで、攻撃の意図というのが全く感じられなかった。

サッカーはある程度チームの攻撃パターンというものが決まっているが、最終的には選手のひらめき、創造性に任される。

僕が思うに、日本の中盤において、「こいつにボールを預けておけばなんとかしてくれる」といった絶対的な信頼を置ける選手がいないということが痛い。なかなか、そのような選手は現れるものではないが、96年アトランタ五輪でいう前園、00年シドニー五輪でいう中田英のような中盤の要の選手が今の五輪代表には必要だ。僕が高校3年の時に見た冬の選手権決勝戦・鹿児島実業対市立船橋。僕と同年代の松井大輔を見て、「自分たちの世代の日本サッカーは松井が支えるんだな」と感じさせられた。松井が五輪日本代表チームから絶対的な信頼を得る日が来ることを望んでいる。

サッカーは、自分たちの攻撃パターンが封じられてからが、本当の勝負である。松井の「ひらめきと創造性」が最大限に開花した日、五輪日本代表は強くなる。


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トップリーグ開幕 - 2003年09月13日(土)

ラグビーのトップリーグ開幕戦・サントリー対神戸製鋼を観に行った。以前のリーグ戦では東日本と西日本に別れており、リーグ戦でサントリーと神戸製鋼が対戦するっていうことは有り得なかったが、今回のリーグ戦からは福岡から群馬までの12チームによる一回戦総当りで行われる。

トップリーグを開催するにあたり、大まかに4つの目標が掲げられている。

1、日本ラグビーのトッププレーヤーを強化する。
2、日本ラグビーの水準向上に貢献する。
3、ラグビーファン拡大への牽引役となる。
4、企業のスポーツ振興への貢献、地域との協働によるスポーツ振興を達成する。

以上の4点を目標にこれからトップリーグは進められていく。僕もトップリーグ化については賛成である。トップリーグと同時に、トップイーストリーグ10、トップウエストAリーグ、トップキュウシュウAリーグという3つの下部リーグを設けることで、トップリーグが最高峰のリーグと認知され、下部リーグのチームのモチベーションは上がる。トップリーグのチームも下部リーグに降格しないようにと危機感を持ちながらリーグ戦に臨む。選手達の意識改革を促すことによって、全体のレベルアップを望める。

試合開始30分前に国立競技場に到着。入り口付近ではすでに人がたくさんいたが、並ばずにすんなりとチケットが買え、入場することができた。会場前では、サントリーと神戸製鋼のスタッフの人達がチームのパンフレットと旗を無料で配布しており、僕は神戸製鋼のチームカラーである鮮やかな赤色に目を奪われ、神戸製鋼の旗をもらい、スタンドに入った。

スタンドは満員とはいかないが、それなりに観客は入っている。僕は神戸製鋼側の自由席。別に神戸製鋼のファンではないが、なんか流れでこの席に来てしまったという感じ。

試合前のセレモニーは非常に地味だった。強いて良かった点を言うならば、最後の鳴り物くらい。やはり、照明を活用できない日中のセレモニーとなると、どうしても限界がある。そう考えると、開幕戦くらい夜にやっても良かったのではと思う。そうすれば、Jリーグの開幕戦のセレモニーのように観る人に強いインパクトを残すことが出来たと思う。

続いてスターティリングメンバーの発表。神戸製鋼には斎藤裕也、サントリーには山下大悟の名前がなかった。僕は事前に両チームの情報を何も入手してなかったので理由はわからなかったが、この二人を観れないのは非常に残念だった。

そして、選手の入場。僕はラグビーの選手入場の瞬間がとても好きだ。闘志剥き出しでダッシュでグラウンドに駆け上がってくるこの瞬間。が、しかし、この試合の選手入場はサッカーの試合のように両チーム2列に並んでゆっくりと入場してきた。こんなとこまでサッカーを真似しなくていいのに。なにか、ラグビーの魅力の一つを失ったような気がして残念だった。

試合中に、上田昭夫氏によるプレーインフォメーションが導入されていた。プレーが止まる度に、そのプレーに対して随時解説してくれるというこの制度。ラグビーが分かりきってない僕にとってはうれしい試みである。上田氏は頭の切れる方で臨機応変にうまく解説してくれる。さすがキャスターである。

試合の方は見応えのあるシーソーゲームとなった。サントリーは小野澤の快速を生かし、得点を重ねる。神戸製鋼も大畑や苑田のトライで得点をあげる。それにしても小野澤はすごいと思った。体格的には決して恵まれている方ではないが、面白いようにグラウンドを駆け回る。20分に見せたディフェンス二人を振り切ってのトライは圧巻だった。結局、終盤に相手の疲れを突き、得点を重ねたサントリーが54−31で神戸製鋼を振り切った。小野澤は4トライを決め、MVP級の働きを見せた。

試合の終了10分前くらいから帰る観客が目立った。試合の流れ的にサントリーの勝利が濃厚になり始めた時間帯だったが、僕は本当に残念に思った。試合を最後まで見届けて、試合終了と共に両チームの選手達に大きな拍手を送る。このような姿勢が観客に根付かない限り、日本におけるラグビー界発展は有り得ないと思うのだが。







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戦力分析・TOKYO - 2003年09月12日(金)

・東京大学

前季成績
⇒0勝10敗 勝ち点0 勝率・000 6位


投手力
⇒春は開幕戦でいきなり早大相手に大量失点を喫するなど、投手陣の脆さが顕になった。そんな中で奮闘したのが、外野手から再コンバートされた山下(広島学院・4年)。貴重な左腕である2年の木村(川越東)とともに中心を担った。それでもシーズン通してのチーム防御率は8・89。ゲームメークに苦しんだ。だが、秋は毎季エースとして期待がかかる松家(高松・3年)が右肩痛からなんとか間に合いそうだ。この松家を軸に、最後のシーズンとなる山下、経験を積んだ木村が続く。さらに鈴木(聖光学院)、近藤(都武蔵)の3年生、2年生では松岡(東大寺学園)、高橋(仙台一)か。他の投手も力の差はないだけに、新戦力が出てきそうな予感もある。

攻撃力
⇒春は河原(私武蔵)、細川(高松)、越智(浅野)ら最上級生が本来の力を出すに至らなかった。また、安打数や盗塁数では相手を上回っても、残塁が多い試合が目立った。その中で嬉しい誤算だったのが杉岡(木更津・3年)。もともと打撃センスの評価は高かったが、後一歩で首位打者という大活躍だった。また、太田(長野・3年)、藤熊(東大寺学園・3年)、松尾(筑波大付・3年)も同学年の杉岡の台頭に刺激を受けているようだ。下級生では北野(熊本・2年)、前原(開成・2年)に加え野村(私武蔵・2年)も力をつけてきている。

総合力
⇒打では杉岡が出てきた。あとは誰が続くかだ。一方、投手ではやはり松家だろう。春は山下、木村がよく投げたが、他校からも特別な存在として見られている松家の復帰が待たれる。俊足そろいの攻撃陣は足を絡めた攻撃も得意だ。走塁担当コーチの指導で走る意欲や意識も高まっている。あとはここぞの1本で、本塁を駆け抜けることができるかどうかだ。昨秋は勝ち点をゲットしたが春は勝ち星なし。だが、例年春よりも秋のほうが調子がいいだけに、再び勝ち点を奪いたい。


なんといっても、今の東大は松家なしでは語れない。高松高校時代、「東大志望のMAX150キロ右腕」として四国で有名だった松家。見事現役で東大合格を果たし、入学後、赤門エースに名乗りを上げた。しかし、2年生になり肩の故障に悩まされた。秋は東大の絶対的なエースとして他校の野球エリート集団に果敢に挑むことだろう。打者では杉岡。春に結果を残し、秋は相手校から徹底マークが予想される。杉岡にとっては真価が問われる秋となる。


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戦力分析・RIKKIO - 2003年09月11日(木)

・立教大学

前季成績
⇒3勝8敗 勝ち点1 勝率・273 5位

投手力
⇒投手陣は大川(船橋東)、小林(富岡)、三浦(青森)、日野(日向)という2年生が主体。四人とも140キロを超えるストレートを持つ。中でも今春6試合に登板も勝ち星を上げることができなかった未完の大器、本格派右腕・大川にかかる期待は大きい。さらに今春1年生ながら規定投球回数をクリア(防御率1・90)した左腕・本田(埼玉栄)も先発候補。抜群のコントロールで大崩れしないタイプだけに安定した活躍が期待される。

攻撃力
⇒チーム打率・265.今春は湿りがちだった攻撃陣だが破壊力は十分。中心はやはり四番を張る多幡(星陵・3年)。セカンドへコンバートされ、心機一転臨んだ今春のリーグ戦だったが、打率・317と相手チームの徹底マークもあり、期待以上の成績は残せなかった。それだけに秋の奮起に注目したい。一番候補は主将の阪長(新潟明訓・4年)と加藤(国学院久我山・3年)。中軸は今春打率・400をマークした高橋泰(八千代松陰・2年)、長打力のある比嘉(首里・3年)という布陣。今秋も徹底マークが予想される多幡の前後を打つ打者がいかに活躍できるかがポイントとなりそうだ。

総合力
⇒勝ち点1の5位と低迷した今春。課題は明確である。まずは攻撃面での「打線のつながり」。バントを絡め機動力を使ったつなぎの攻撃ができるか。二つ目は捕手も含めた「投手力の強化」。経験の少ない投手陣ではあるが、ベンチに入る以上は、全員完投能力を付けることを意識してもらいたい。三つ目は外野の守備範囲の強化も含めた「内外野の中継プレー」。打球へ対する一歩目のスタート、スローイングなど、基本的な部分の強化も必要。秋はチーム一丸となり、春の課題をどれだけ克服して戦えるか注目したい。


打者ではやはり多幡に注目。173cmと小柄ながらリーグ戦通算本塁打数9本とパワーは折紙付き。神宮の周辺で立大の選手が練習中に多幡を至近距離で見たががっしりとした体格に圧倒された。相手投手にとって恐い存在となるに違いない。投手では甲子園での活躍が記憶に新しい池田(小山西・1年)に注目。左から繰り出す変化球主体のタイプだが、その変化球を有効的に活用するためにストレートの球速アップが求められる。アイドル顔負けのルックスで神宮のアイドルになることができるか。


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戦力分析・HOSEI - 2003年09月10日(水)

・法政大学

前季成績
⇒4勝7敗 勝ち点2 勝率・364 4位

投手力
⇒入学時から注目された松本祥(桐蔭学園・4年)がいよいよラストシーズンを迎える。ここ数シーズン、肩の調子が万全でないため結果がだせていないが最後の最後に意地をみせてもらいたい。下級生では、春季孤軍奮闘の感があった下敷領(上宮・2年)、猪子(百合丘・2年)、福山(高知・2年)の2年生トリオに期待。リリーフとして、春季に登板機会に恵まれた1年生の荒瀬(新湊)、鶴岡(多々良学園)も貴重な経験を活かし、ステップアップが待たれる。貴重な左腕・中野(北筑・3年)にも、上級生として安定したピッチングが求められる。

攻撃力
⇒軸となるのは昨秋からの好調を維持する四番の佐々木(智弁和歌山・4年)。そして春は主将で捕手という責任の重さからかやや不調だった新里(浪速・4年)の両4年生になる。一方、本来の力を発揮していない藤田(大成・3年)、田中(創価・3年)、山下(日大三・3年)。来年の主軸になる3人なので、この秋に結果を出し、自信を付けたいところだ。さらにシーズン途中に左に転向した普久原(桐蔭学園・3年)は秘めている潜在能力を見せ付けてもらいたい。下級生では春季に出場機会を多く与えられた村上(桐蔭学園・2年)、大引(浪速・1年)、須藤(武相・1年)、西川(三重・1年)の若い勢いに注目。そして、まだリーグ戦デビューを果たしていない期待の松浦(横浜・2年)。松浦のスイングスピードはおそらく六大屈指を誇る。守備面での不安があるため、起用されないらしいが、秋は代打での出場が期待される。

総合力
⇒守備重視の野球を謳う金光監督にとって、まずは勝利を計算できる絶対的なエース確立が必須となる。春季、エース格として登板した下敷領に金光監督が寄せる期待は大きい。そのため、夏の練習では投手のレベルアップに主眼を置き、社会人の強豪チームと数多くオープン戦を組んだ。またメンタル面を鍛えるため、あえて遠征試合を増やした。春季よりは技術面、精神面で数段レベルアップした法大。試合では接戦に持ち込み、勝利をもぎ取りたい。


投手では松本祥、打者では1年生の大引に注目したい。松本祥については、2年生秋に東大戦でみせた18奪三振のピッチングが強烈に印象に残っている。法大ファンなら誰もが唱え続けている松本祥待望論。最後の最後に勇姿を見せることができるか。大引については、僕自身春にインタビューしたということもあり、個人的に明大の岡本と同じくらい応援している選手。人間的にも本当にいい人で野球に取り組む姿勢が素晴らしい。守備面はほぼ完璧なので、課題はバッティング。適応力に長けている大引であれば、秋には木製バットに慣れてくるはず。三冠王最速獲得記録(2年春)更新も夢ではない。


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戦力分析・KEIO - 2003年09月09日(火)

・慶應義塾大学

前季成績
⇒7勝4敗 勝ち点3 勝率・636 3位

投手力
⇒2年生右腕・小林康(豊田西)がいよいよ頭角を現してきたことで先発陣には厚みが出てきた。140キロ後半の速球を武器に力で押すタイプで、その真っ直ぐにもナチュラルに変化し、高速のムービングボールのようになる。そして、春季、チームの7勝のうち、5勝を挙げた4年生の清見(慶應志木)はもちろん健在だ。3番手に期待されるのは素質抜群の身長193cm右腕・小林基(岡山城東・4年)。中継ぎには4年生の参鍋(甲陽学院)、3年生の鴛海(修猷館)、2年生の川口(湘南)が控える。先発が崩れた時の試合をいかにものにするか。それが課題になる。

攻撃力
⇒春季は三番・池辺(智弁和歌山・3年)、五番・中村(大宮・3年)が好調だったものの、四番・早川(慶應・3年)がブレーキになり、得点を逃す場面が多かった。そのため、クリーンアップは多少入れ替わるかもしれないが、その他は春とほぼ同じオーダーになりそうだ。その中でも最も注目したいのはようやくその才能の片鱗を見せ始めた池辺だ。1,2年の通算打率は・178だったが、この春は・317で本塁打も2本打った。六大学を代表するバッターに成長しつつある。打線に大砲はいないが、持ち味であるつなぐ野球が復活すれば手ごわい打線になる。

総合力
⇒打倒・早稲田。慶應は常にリーグ優勝と共にこのテーマを掲げている。そのためには投手陣の整備が必須条件だ。2番手投手として予想される小林康に寄せる期待は大きい。またこの夏はオープン戦の数を減らし、腰を据えて練習をするとともに、オープン戦も早慶戦と同じくらいの緊張感を持って戦うようにしてきた。今春は経験を積ませるためにも、野手は8人中6人までが3年生と、3年生中心のオーダーをほとんど変えずに戦った。それだけに「最強世代」と言われるこの3年生たちがそろそろ本領を発揮してほしいところだ。


打者では池辺、そして投手では参鍋に注目したい。池辺についてはこの日記でもこれまでに度々書いているので、今更書くまでもないのだが、秋季ではぜひ個人タイトルを獲ってもらいたい。三冠王も現実視できる程のポテンシャルは持っている。参鍋については、今春の早慶戦第一戦でみせた好リリーフが印象に残っている。4年生となった今春、リーグ戦デビューを果たし、結果も残し、チームの信頼も獲得した。秋季は自信を持ってマウンドに上がることだろう。


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戦力分析・MEIJI - 2003年09月08日(月)

・明治大学

前季成績
⇒9勝3敗 勝ち点4 勝率・750 2位

投手力
⇒投手力はリーグ一と言っていい。プロ注目の三本柱が今季も健在。今春、防御率リーグ1位だった3年生エースの一場(桐生第一)はMAX151キロの球威に加え、制球力にも磨きがかかってきた。将来性豊かな牛田(徳島商業・4年)は、フォークと真っ直ぐに加え、カットボールをマスターし、投球に幅が出てきた。安定感ピカ一の岡本(三重海星・4年)は、いよいよ完成の域に近づきつつある。そして後ろにはロング救援も可能な左横手の佐藤賢(羽黒・4年)。エースが不調でもそれをカバーするだけの、先発が倒れてもゲームを作るだけの人材がいる。隙は見当たらない。

攻撃力
⇒今春、打率・326、2本塁打とその才能を徐々に開花させ始めた2年生の原島(日大三)と、主将も務める不動の四番打者・呉本(松商学園・4年)が打線の軸。下位は今春打率チームトップだった小林真(浦和学院・4年)が支える。課題はトップバッターと、原島、呉本に続く打者の出現。一番候補は3年生の倉持(水戸商業)と西谷(鷲宮)。特に西谷は、昨春こそ故障で出られなかったが、1年時から試合に出ていたほどの巧打者だけに復活に期待がかかる。1年生の松下(報徳学園)と今浪(平安)にも注目したい。松下はこの春、代打の切り札として、2本のタイムリー二塁打を放つなどその勝負強さは実証済み。今浪はまだ実績こそないものの、打撃センスは抜群だ。

総合力
⇒投高打低。今のチームカラーを一言で表現すればこうなる。機動力を使おうにも走れる打者がほとんどいないだけに、打力アップが優勝の絶対条件となる。病気療養中の斎藤監督は今秋も復帰が微妙。スタッフ、選手間がうまくコミュニケーションをとり、呉本主将を中心にチームを一つにまとめることができるかも大きなポイントになってくる。

今秋、僕が優勝候補に挙げているのが明治大学。というか、優勝してほしいという願望も少し入っている。個人的に応援している岡本にとってラストシーズンとなる秋季リーグ戦。ぜひ先発としてフル回転してもらいたい。4年生の山口晃(三重海星)にも注目している。高校時代にすでにバッティングは完成された選手と言われ、大学に入学してからは伸び悩み3年生まで出場機会に恵まれなかったが、4年生となった今年、ようやくメンバー入り。春には目立った活躍はできなかったが、ぜひ意地を見せてもらいたい。何気に、高校3年時に出場したセンバツで選手宣誓を経験している山口晃。ある意味、強運の持ち主なので、秋はその強運を活かして活躍するはずだ。


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戦力分析・WASEDA - 2003年09月07日(日)

13日に東京六大学秋季リーグ戦が開幕する。そこで、資料を参考にしながら各大学の戦力分析をしていきたいと思う。

・早稲田大学

前季成績
⇒10勝1敗 勝ち点5 勝率・909 優勝

投手力
⇒今春、リーグ最多の6勝をマークした左腕・清水(柏陵・4年)と、2勝を挙げた2年生・越智(新田高)が先発を形成していく。どちらが1回戦に起用されるかは流動的。清水はリーグ戦では入学以来11勝負けなしではあるが、失点を与えるが、打線の援護に恵まれているといった印象。失点を最小に抑える安定感が求められる。一方、越智については未知数な部分はあるが、粗削りながら球威は素晴らしいものを持っている。さらに戦力として期待できそうなのが、安定感抜群の吉井(姫路西・3年)、大学選手権で自信を付けた佐竹(土庄・2年)に、大谷(報徳学園・1年)、井上(尽誠学園・1年)と層は厚い。

攻撃力
⇒100得点、チーム打率・347と今春二つのリーグ記録を塗り替えた強力打線は今秋も健在。アマ球界ナンバーワンスラッガー・鳥谷(聖望学園・4年)の打棒が目立つ中、一番・田中(尽誠学園・3年)、二番・青木(日向・4年)の超攻撃型ツートップの働きも見逃せない。クリーンアップには先述の鳥谷に比嘉(沖縄尚学・4年)、武内(智弁和歌山・2年)と役者ぞろい。武内は柔らかい打撃に磨きがかかり、比嘉の調子次第では四番も有り得る。さらに今春、首位打者を獲得した由田(桐蔭学園・4年)は実力とともに自信もつけ、相手にとっては恐い存在となっている。

総合力
⇒52年ぶりのリーグ戦3連覇を達成し、今秋は未知の領域となる4連覇への挑戦となる。課題を挙げるとすれば守備力。大学選手権準々決勝(対日本文理大)では、守備の破綻と小刻みな継投の前に敗退。打線にはやはり波があり、投手を含めた守りが悪いと攻撃にも影響が出てしまう。夏場は原点に帰ったディフェンス強化に時間を割いた。これには来季を見据えたチーム作りも見え隠れする。鳥谷ら主力野手が相次いで卒業するため、今秋は若い投手陣を一本立ちさせる意味が込められている。4連覇のカギは投手陣が握っていると言える。

個人的には打者では武内、投手では吉井に注目している。武内は打席に立つだけで相手を圧倒する雰囲気を持っている。スイングスピードはリーグ随一。高校時代に見せていた爆発的なバッティングを秋には見せて欲しい。吉井については、僕の中で、春に見せた早慶戦でのピッチングが印象に残っている。スピードは決して速い方ではないが、どっしりとしたフォームから投げる重いストレートは迫力満点。リリーフとして主に働くと思うが、投手陣のキーマンとなることは間違いない。


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都市対抗野球と地域密着性 - 2003年09月02日(火)

都市対抗野球の決勝戦・シダックス対三菱ふそう川崎を観に行った。

今回の都市対抗野球の話題を独占したシダックス。2月から野村監督が本格的に指揮をとり、投打の軸を確立させ東京第一代表として都市対抗出場を決め、破竹の勢いで決勝戦まで勝ち進んだ。投の軸であるエース野間口は20歳の本格派右腕。関西創価高では2001年センバツ4強入り。140キロ台後半の速球と曲がりの大きいカーブ、鋭いスライダーが武器。顔も結構イケメン。スター性を感じさせる投手だ。一方、打の軸はバルセロナ、アトランタ両オリンピックで金メダルを獲得したキューバの主軸、キンデランとパチェコ。長嶋茂雄氏が巨人監督時代に喉から手が出るほど欲しがっていたキンデランがシダックスの4番に座る。

迎え撃つ三菱ふそう川崎は打線が充実したチーム。木製バットを苦にしない西郷、梶山、桑元ら、勝ち方を熟知しているベテラン勢に加え、俊足巧打で走塁センスも光る新保と、新人・渡辺の1,2番コンビが、つながりとリズムを作り、層の厚みを感じさせる打線となっている。

東京ドーム周辺には、今大会に出場した32チームのチーム名の入った旗とチーム紹介パネル、都市対抗に出場した歴代の名選手を紹介したパネルがズラ〜と並んでいた。日本生命時代の福留孝介を紹介したものがあったのだが、名前が「福留浩介」となっており、ちょっとかわいそうだった。

バルコニー席券を買い、一塁側に座った。試合前のセレモニーが行われており、都市対抗野球・決勝戦の独特の緊張感がドーム内には広がっていた。周りを見渡していると、バックネット裏のバルコニー席に長嶋茂雄氏がいた。クリーム色のスーツが鮮やかだった。

試合が始まった。シダックスの先発はエース野間口。三菱ふそう川崎の先頭バッター伊藤を空振り三振に打ち取り、上々のスタートを切った。最後の球の146キロストレートはキレも抜群でなかなかとらえられそうもない。一方、三菱ふそう川崎の先発は7年目の右腕エース佐藤。MAX136キロ程だが、制球力で勝負する技巧派ピッチャー。1回のキンデランとの対決ではデッドボールを与えてしまったが、なかなか強気のピッチングを見せる。野間口、佐藤共に落ち着いた立ち上がりを見せた。

試合が動いたのは3回のシダックスの攻撃。一番・庄田はショートゴロに倒れたが、続く二番・藤澤がしぶとくセンター前に運ぶヒット。三番・入江の時に一塁ランナー藤澤がすかさずスチールを決める。入江が三振に倒れ、続く四番・キンデラン。三球目の、おそらく外しに行った高めのストレートを豪快に振り抜く。打った瞬間それと分かる弾丸ライナーの2ラン本塁打。今大会の勢いを象徴するかのように、シダックスが2点を先制した。

2点をもらった野間口は、5回まで相手打線を2安打に抑え危なげないピッチングを披露していた。しかし、僕が気になっていたのは野間口の球数。1回・25球、2回・36球、3回・18球、4回・18球、5回・18球と5回までにすでに115球を投げていた。試合巧者の三菱ふそう川崎打線は前半、野間口に多く球数を投げさせ、野間口が疲れを見せる後半に一気に攻めようという意図が感じられた。

5回裏のシダックスの攻撃。二番・藤澤が内野安打で出塁。三番・入江が送りバント。そして、前打席に本塁打を放った四番・キンデラン。左中間を破る2ベースヒットで二塁ランナー藤澤が生還。一点を追加し、シダックスのリードは3点となった。しかし、僕には今にも捕まりそうな雰囲気を出していた野間口を見て、このまま試合が終わるようには思えなかった。

その予感が的中したのは、7回表の三菱ふそう川崎の攻撃。九番・佐々木がレフトオーバーの2塁打を放つ。疲れの見える野間口は続く一番・伊藤にデッドボールを与えてしまう。そして、二番・根岸、三番・渡部に連続フォアボール。押し出しで三菱ふそう川崎は1点を返す。野間口の疲れは誰の目から見ても明らかだった。続く四番・西郷がセンター前にヒットを放つ。二人が生還し、遂に3−3の同点とした。

野村監督はここで遂に野間口をあきらめた。昨日の準決勝で野間口を温存したとはいえ、やはりこれまでの疲れを無視することができなかったエース野間口。しかし、彼はまだ伸び盛りの20歳。この経験は野間口にとって大きな財産となるに違いない。

その後も三菱ふそう川崎は2点を追加し、3−5とした。三菱ふそう川崎の「ここぞ」という集中打は見事だった。3塁側観客席にぎっしり埋まった三菱ふそう川崎の応援は最高潮に達していた。

3−5のまま、九回裏のシダックスの攻撃を迎える。バッターは七番・キャプテン松岡。PL学園ー青山学院大ープリンスホテルと野球エリート街道を歩んできた松岡。このままで終わるわけにはいかないという想いがバッターボックスから僕の座っているバルコニー席までひしひしと伝わってきた。

佐藤からリリーフした谷村が投げた6球目。松岡はそのボールを思いっきり叩いた。レフトスタンドに飛び込むソロホームラン。僕は久々に鳥肌が立つ思いをした。野球にはこれがあるのだ。本当に最後の最後まで勝負は分からない。

しかし、最後のバッター庄田が倒れ、4−5で三菱ふそう川崎が勝ち、3年ぶり2度目の優勝を飾った。三菱ふそう川崎が6安打に対し、シダックスは12安打。安打数ではシダックスが上回ったが、要所要所で安打を効果的に放った三菱ふそう川崎に軍配が上がった。それと、この試合は両チームノーエラー。決勝戦にふさわしい、高レベルの、好試合を展開してくれた。

都市対抗野球を生で初めて観たわけだが、一言で、「地域密着性」を非常に強く感じた。試合中、両チームの応援でシダックス側では「がんばれ!がんばれ!調布!!」という掛け声を何度も聞いたし、三菱ふそう川崎側では「フレー!フレー!川崎!!」という掛け声を何度も耳にした。こういった、一企業に対する応援にとどまらず、「都市対抗」という名の通り、その都市に対する応援もやはりこの大会の魅力なんだなと感じた。地域をあげて応援し、結果、そのチームは勝ち進み、その地域に活気を与え、そのスポーツ、企業が地域に密着する。僕はこの大会でスポーツと地域の関係性のあり方の原点を垣間見たような気がした。

社会人野球を取り巻く環境は今も厳しく、楽観はできないが、この都市対抗野球は日本のスポーツ界において、非常に重要な位置を占めていることは間違いない。






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