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  2001年10月20日(土)   「キャスパー」  

☆ハロウィーンの映画; 「キャスパー」

ハロウィーンが舞台の映画、
というわけではありませんが、
映画のクライマックスがハロウィーンのパーティになるので。

それでも、
ハロウィーンとお化けは付きものなのか、
ハロウィーンサイトで、
キャスパーのグリーティング・メールや
映画の紹介を見かけます。

映画版キャスパーは
「アダムス・ファミリー」の、
あるいは、「スリーピー・ホロウ」の、
クリスティーナ・リッチと
かわいい子供のお化けキャスパーのお話です。

まだまだ、子役時代のC・リッチ。
(最近は、たとえば、「チャーリーズ・エンジェル」など
すっかりセクシーな大人になっていますが。)
こうやって、彼女の出演映画をあげてみると、
「アダムス・ファミリー」も
「スリーピー・ホロウ」も、
ハロウィーンを楽しむ映画として、
このサイトで紹介したものです。
彼女こそ、ハロウィーン推奨映画、最多出演女優?
(シィアル)

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"Casper" (1995 / 米)
人を怖がらせるより、仲良しになってしまう
12歳の可愛いオバケ・キャスパーと少女キャットのふれあいを描く。
監督 ブラッド・シルバーリング
出演 クリスティーナ・リッチ / ビル・プルマン

  2001年10月12日(金)   「14日の土曜日」(未見ながら。。)  

☆ハロウィーンの映画; 「14日の土曜日」

ハロウィーン関連の映画を探していました。
YahooのU.S.A.サイトのハロウィーン特集で、
"Saturday the 14th" (1981) が紹介されていました。

確かに。
13日の金曜日の翌日は、
14日の土曜日!

もちろん、未見ですが、
疑うまでもなく、ホラーの王道映画のパロディなのでしょう。

内容は、
遺言で警告されていたにもかかわらず、
「呪われている家」の相続を決めた家族の
サスペンス・コメディ。
主演は、「ドラキュラ都へ行く」の
リチャード・ベンジャミンだそうです。 (シィアル)

  2001年10月10日(水)   「コレリ大尉のマンドリン」  

といいながら、原作はまだ読んでいない。
英国で20人に1人が読んだというベストセラーなのだから、
読み応えのある作品にはちがいないだろう。
本格的な文学作品で、今秋、邦訳も出ている。
だから、ここでは映画についてだけ言いたい放題。
(ときどき、こういう日もある)

傷付き、涙でうるんだ上目づかいの瞳。
「俺ぁどうしてこんなことに…」
打ちのめされた猫背の歩き方をさせれば天下一品。
出る映画出る映画、ジャンルに合わせて
「そういう人」になってしまう役者といえば、
ニコラス・ケイジ。

舞台となったギリシアのケファロニア島。
イタリア軍の行進のはしっこに登場したと思ったら、
開口一番、「2時の方向に美女発見!!」と叫ぶ。
ニコラス・ケイジ隊長である。

本人は音楽の才能がないと謙遜しているらしいが、
このために猛練習したというマンドリンはいっぱしのもの、
指先から奏でられるのは、とぼけたジョークとは裏腹に
涙を誘う繊細な雅歌。
さすがのプレイボーイ、ニコラス・ケイジである。

ちょこんと被った兵隊帽を取ればやっぱり額が薄くて、
それもやっぱりセクシーな、
要するに、これはニコラス・ケイジの映画である。

なつかしい顔にも会える。
「エイリアン」でまっ先に寄生された乗員役のジョン・ハート。
(エレファント・マンでもおなじみ)
ヒロイン、ペラギアの父親の医者役で、
ひたすら動じず渋く決めている。

ペラギアの幼なじみで、
コレリ大尉の恋敵になる漁師の青年マンドラスは
「太陽の帝国」で主役の少年を演じたクリスチャン・ベール。
その母親役で、強烈に脇を固めるギリシャ人女優イレーネ・パパス。

コレリ大尉と恋をするヒロインは、LUXの黒髪CMでおなじみの
ハリウッドスター、ペネロペ・クルス。
彼女の家がコレリ大尉の宿舎になるのだから、
親しくなるなというほうが無理。
個人的に少し消化不良だったのは、彼女の描き方。
もう少し深入りして欲しかったところもある。
友人との関係や、医者をめざす田舎のインテリ娘なのに、
勉強しているところは見たことが無いとか。
…そんなことも思うのだが、そこはそれ、
ニコラス・ケイジの映画なのだから。
原作ではそのあたりの掘り下げも深いのだろう。


そして映画の後半、場面は一転する。
耳に突き刺さるような爆撃の鋭い金属音。
牧歌的な前半とは対称的に、戦争の悲劇と大地の怒り(大地震)が、
情け容赦なく、ギリシア・イタリア・ドイツの民族を、
風光明媚な地中海の島を引き裂いてゆく。

ムッソリーニの亡き後、イタリアは連合国に降伏。
イタリア軍の武器が、もしパルチザンに渡ったら?
それを怖れた同盟国ヒトラー・ドイツとの戦闘で
生き残った兵士は、わずか34人。
ギリシャに駐留した9,000人のイタリア軍のうち、
たった34人だった。
コレリ大尉のように、それまでの生活で
銃を持ったこともないような兵士たちが経験した地獄。

この映画の撮影はすべてケファロニア島で行われた。
戦争が残した傷や影を、映画に重ね見るうちに、
音楽を愛し、人生を楽しんでいたコレリ大尉も変わってゆく。
一触即発の平和が放つもろい輝き、犠牲のうえに成り立つ自由、
歴史が繰りかえしてきた悪意を、今の現実と絡め、
私たちは暗い側でただ眼を見張り、密かにたじろぐ。

あれやこれや考えると、やはり原作が読みたくなった。
映画を観たあとウェブサイトに行って、マンドリンを弾いてみた。

なお、早目に行けば、ロードショー会場には
「コレリ大尉のマンドリンハンドブック」なる
フリーペーパーが置いてあるので、
実話にもとづいたこの島での戦争悲劇の詳細や、
映画の逸話が読める。(マーズ)

「コレリ大尉のマンドリン」
著者:ルイ・ド・ベルニエール / 出版社:東京創元社


「コレリ大尉のマンドリン」(2001年・米) 
監督:ジョン・マッデン
出演:ニコラス・ケイジ / ペネロペ・クルス / ジョン・ハート
http://www.movies.co.jp/corellis/top.html


  2001年10月08日(月)   「トラフィック」  

現代アメリカの麻薬戦争を多面的に描いた映画、
「トラフィック」の脚本が文庫になった。
巻末に若手脚本家ギャガンとソダーバーグ監督の
対談もついていて、それを読むために買う。

映画自体は今年の5月に観た。
脚本がすばらしかったのでぜひ観て欲しいと
信頼のおける知人にすすめられたのがきっかけ。

予告編では、緊迫した場面が小気味よく続くアクション大作
というイメージだった。
実際に映画を観て、売るための予告編とはいえ、まったく
ちがう切り口の作品だったのに驚く。

「トラフィック」は第73回の2001年アカデミー賞では
監督賞、助演男優賞(ベニチオ・デル・トロ)、脚色賞、編集賞を
受賞している。

監督のソダーバーグは、「セックスと嘘とビデオテープ」で
カンヌ国際映画祭グランプリデビューを飾り、
近作「エリン・ブロコビッチ」が「トラフィック」と
ともにアカデミー賞でダブルノミネートされている。

麻薬を供給するメキシコ側、追う側、持ち込まれる側。
3つの場面で画面のトーンを変え、同時進行してラストに収束する
アイデアと脚本の秀逸さ。
麻薬戦争の本音を描いた傑作と評価された反面、
同じその脚本が物議をかもしている映画でもある。

脚本を書いたギャガン自身が、麻薬体験に苦しんだという。
麻薬によって社会が崩壊する前に、家族が崩壊してゆくという
アメリカの日常描写に役立っているらしい。

私が興味深く感じたのは、麻薬を売りさばくサラサール将軍や
娘が麻薬中毒の全米麻薬対策本部長、
麻薬と闘うメキシコ人の刑事ハビエールや二人組みの刑事など、
ステレオタイプな人物像でありながら、
観客を飽きさせない点。
改めて、小手先の洒脱さよりも、
ステレオタイプ強し、との思いに打たれた。
膨大な資料をもとに、圧縮され、削ぎ落とされたという脚本は、
ギャガンが語るように、確かに断片のすべてが全体を
象徴している。

製作側の裏話では、善人として出てきたハビエール刑事は、
当初の予定では悪人だったという。
若いハビエールが、これから一生善人でいられるのかどうか、
そのあたりの不確実性はあるのだが、もし悪人として
登場したら、彼の魅力は半減しただろう。
なんといっても、多くの人が感情移入してしまうのは
ハビエールだろうから。

エンディングに向けて、ひろがる風呂敷のゆくえは。
この戦争に勝つのは誰か?麻薬コネクションの解明は?

映画を観たあと、脚本を読みたくなる人が多いからこそ、
この文庫本が今ここにある。(マーズ)

「トラフィック」 著者:スティーブン・ギャガン / 出版社:新潮文庫

 「トラフィック」(2000年・米)
  監督:スティーブン・ソダーバーグ
  出演:マイケル・ダグラス / ドン・チード / ベニチオ・デル・トロ
  http://www.trafficmovie.net/

  2001年10月01日(月)   「天使のくれた時間」  

ニコラス・ケイジの涙をためたような瞳に会いたくて、
 映画「天使のくれた時間」を観にいきました。

 ニューヨークの「リッチな白人」になった彼が、
 クリスマスの夜、帰り道で魔法をかけられてしまう─誰に?
 きっと、天使かなにか、そんな存在に。

 出会ったのは、コンビニのような店。
 黒人のチンピラの姿をしてあらわれる天使は、彼を、
 もうひとつの人生へ、選ばなかった人生へ─まばたきのあいだに─
 ほんのひとねむりの間に─放り込むのです。

 そこで経験した、別れた彼女との幸福で平凡な結婚生活。
 魔法がとけるとき、彼の望んだ人生は?彼女の答えは?
 人生でほんとうに大切なものは何でしょう?

 というお話なのですが、
 わたしがとてもひかれたのは、
 コンビニでの恐喝事件を仲裁した
 主人公が魔法をかけられる前に、天使がひとりごとのように
 つぶやく、いくつかの言葉です。

 「天界でもなかなか見ない裁き方だ」とか、
 「今、お前の輝きが見えた」
 「めったに見ないくらいだ」
 というようなことを、ブツブツと。

 そして、主人公はチャンスを与えられます。

 わたしは、そういう「裏の世界」とでもいうのか、
 それを天使といってもいいし、別の呼び方でもいいのですが、
 そうした世界の存在たちが、上下関係入り乱れて、
 複雑きわまる人間たちの運命を後押ししたり、
 気付かれないままに、世界をあるべき姿に保とうとして
 いまこの瞬間も、さまざまな働きかけをしている──というような
 映画を、生きているあいだに観たいと切に願っています。

 わたしたちが偶然としてかたづけることの
 裏側に、何があるのか、
 特定の宗教にかたよらず、非難することもなく、
 いかにもこれが「世界」なのだと納得してしまうような、
 それでいて娯楽としての映画が、観たいのです。
 その映画にも、ニコラス・ケイジには、涙っぽい瞳で、
 出ていてほしいかな。(マーズ)

「天使のくれた時間」
主演:ニコラス・ケイジ ティア・レオーニ
監督:ブレット・ラトナー 
2000年/アメリカ