ずっと夢を見るように
生きていた　
今が仮住まいだと
いつもどこかで思っていた

今が仮住まいだと
思っていたから生きていた
泣いて怒って電池が切れるまで
笑い　そしてあなたを愛した

ずっと夢を見るように
生きてきた
あなたを愛して今
途方に暮れている

大きくてごつごつの
あなたの手を見ていると
手をつなぎたくなる

少し丸めた広い背中を
見ているといつも
ぎゅっとしたくなる

伸びをする袖まくりの腕を
見ているとどきどきする
その腕に抱き寄せられたくて

眉間にしわを寄せているあなたに
珈琲を差し出す　いい口実はないかな
悩んでいること　知るはずもないけど

あなたが其処にいる
それだけで胸がいっぱいになる
毎朝あなたの顔を見るたび
やっぱりどうしても好きだと悟る

どうしてもあなたじゃなきゃ駄目
あなたにとって　何番目でもいいから
わたしを　そばにおいて　
この願いに気づいて

いつのまにか
ずいぶん遠くへ行っちゃったんだね
会わなくなってもう１０年になる
　
私の知らない場所でたくさんのものを見て
たくさん痛い思いをして
たくさんのことを乗り越えて
角をたわめ　新しい角をたくわえた

実らなかった恋のかわりに
こうして今のあなたを見届けられる
運命の皮肉

どんどん先へ行ってしまうあなたが
少し口惜しくて　すごくうれしい


会ったらきっとあの頃より好きになってしまう
だから
これからも遠くで見守っていて