真夜中　
飛び出した街は
知る人もなく
ただひとつの想いだけを
頼みに飛び込んだ街

遠くで犬の
必死な声がする
無防備な　こんなあたしに
吠えることなどないのにね

まだ寒いね
春は遠いね
家に帰りたい
狭い部屋に布団並べて
ただ眠りたいだけ

あてどなく
歩いてみても結局
足は戻りゆく
むくれた顔を作りながら
心配してる人がいる部屋

歩道橋に上り
眺める月も道も
何もかもがせつないほど
遠くて泣きそうだけど

ここで生きてゆく
ただそばで生きる
いつかそんなふうに
腹をくくって強くなれるかな

まだ春は遠いね
でも今年はきっと
寒いねと一緒に
愚痴れる人がいるから

狭い部屋に帰ろう
布団並べて眠ろう
あたしの居場所に戻ろう