う た う ひ と 

2001年12月28日(金) Station

後ろ姿があっけなく
改札の向こうに消えた
反対側のホームから
走り出す電車 速すぎて

多分ドアに額もたせて
見送ってくれている
いつもそうだったように
願ってしまうけれど

あの日から駅は
さよならの場所になった
あの日から二度と
戻れない時が過ぎた

ありふれた暮らしの中
またすれ違う偶然を
願う位ならなぜ
あの手を離したんだろう

人波に押されて
改札を通るたび
振り返ってしまう癖
直りそうになくて

あの日から駅は
さよならの場所になった
もう待たなくていい
自分に言い聞かせた

あの日からどれだけ
戻れない時が過ぎても
あの日から駅は
さよならの場所になった

ドアの向こうに
優しいまなざしを
探しながら 痛みながら
迷いながら 歩く

そんな場所になった
いつもの駅






2001年12月22日(土) みぞれ

痛みさえ力に変えてゆけると
歌声がきりきりと街に流れる冬
今朝から止まないみぞれをさくさくと
踏みながら素直に聴けない
わたしがここにいる

傷を負うたびに忘れてゆく
蹴られるために生きている人間などいないと

痛みを生きてゆく力に変えるには
余力が必要なこと 知っていますか
そっと呟きながら
人ごみをすり抜けてゆく

生きてく力 それはきっと
時間だけが握っている
安直な「がんばれ」の声
魂が削られてゆく

生きてく力 それは
無為としか思えない日々にも眠っている
自分に言い聞かせ今日をやり過ごす
祈るように そう ひたすら祈るように

雪はいつしか雨に変わった
春までどのくらい 歩くのだろう



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あかり [MAIL]

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