なべて世はこともなし
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2004年08月29日(日) Tesco、嫌いです(その3)

この日記を書き始める前に、自分の数日分の日記を読み返してみました。


誤字が多いですねえ。


たまにメール等でも指摘されるのですが、うーん、誤字が多いぞっと。これ、私の性格にもろ由来してます。中学のときなんかもテストのときに、「見直し」をしていればもっと点がよかったとおもわれたこと実に多数。でも、一度書いてしまうと見直したりする気にならず、さっさとアップロードしたくなっちゃうんですよね。しかも、間違いに気がついても面倒くさくて直さない。まあ、誤字も愛嬌のうち…などと見事に開き直ってしまうわけです。


そうそう、掲示板にありましたオリンピックの話、ついにとうとうようやくアイルランドがメダルを取りました。しかも金メダル。種目はまあある意味「お家芸」ともいえる馬術。金曜日の各新聞の一面の写真はこの選手の満面の笑顔でした。…でも巷では悲しいくらい話の種になっていないようです。


さて、Tescoの話です。久々のヒットだったらしく、掲示板やメールに感想をいただきました。ありがとうございます。ここでまとめてレスさせていただきます。


M&S を忘れてるよ(Chizさん)


…そうでした。Marks & Spencer。御存知イギリスのスーパーです。ここ、衣料品から食料品、生花まで幅広く扱ってますが、特徴としては一つ残らずすべての商品が自社ブランドです。確かに、素晴らしい品質のものばかり。ここでスーツケースを買いましたが、今までで最高の品質のもので満足してます。


でも高い。


で、さらに食料品コーナーはとにかく、加工済み食品に力を入れてます。チンするだけ、あるいはオーブンに入れるだけであーら不思議おいしい食事になるというものばかり。実際そこそこおいしいですが高い。私にはあまり縁のないスーパーです。ちなみにダブリンに数件ある以外は地方では一部の主要都市以外では見ることができません。


DUNNESもあやしい。買った鶏肉、次の日に腐った!期限までまだ程遠いのに!(えりこさん)


推理なんですけど、どっか冷蔵庫以外のところに放置されていた商品を無理矢理売場の冷蔵庫に戻したのではないでしょうか。よくツナ缶といっしょに鶏肉がぽつねんと放置されていたり、牛乳がシリアルといっしょに放置されていたりするのを見ます。こういうのをすぐに気がついて売場に戻すならまだいいですが、下手すると半日とか放置されたのを売場に戻してそうな気がする。この推理が正しければえりこさんの鶏肉がくさっても何も驚くに値しないかも。


このミョーなところで商品を発見するというので思い出したのですが、アイルランドのスーパー、よく売り物の残骸を見かけます。空になったポテトチップスの袋とか、空になったコーラの缶とか。この原因…。大分前にアイルランド人とスーパーに行って分かりました。


このアイルランド人。スーパーに入るなり、コーラの缶を冷蔵庫から取り出して、ショッピングカートに入れるのではなしに、そのままプシュッ。


スカっとさわやかコカコーラ。


野菜売場で私が野菜を吟味しているうちも悠然と飲んでます。で、飲み終わると彼はその缶をレタスの脇に放置。


「それって万引きじゃないの?」


と私が突っ込むと彼は


「スーパーは儲けてるからいいんだよ」


…とのことです。


ここまで書いてふっと思い出しましたが、私が語学学校なるところに行っていたころ…つまり下手をするとほとんど10年も前の話なのですが、同じクラスのスペイン人とスーパーに行ったことがあります。彼、スーパーの冷蔵庫からハムを取り出しむしゃむしゃむしゃ。


彼:「食べる?」
私:「…いらない」



で、彼はその空になったハムのパックをレジに持っていって会計をしていました。彼いわく


「お金払うんだからいいじゃん」


…だそうです(二度目の伝聞系)。


この二つの出来事のときに思ったのですが、別に店員がすっ飛んでくるわけでもなく、はたまた他の客が非難めいた目線で見るわけでもなく、二人とも悠然としていました。去年だったか、日本で万引きをした中学生が店員から逃げようとして列車に惹かれ死亡する痛ましい事故(事件)がありましたよね。あの時も私は「万引きする方が悪い」と思ったのですが、どうやら世間はそうではないらしく、「たかが万引きくらい見逃せ」という論調が強くあったことを思い出します(正直に言って驚きましたが)。


私はその意見に真っ向から反対するわけですが、アイルランドでは、まさに「たかが万引き」といった感じがします。念のために申し添えますが、万引きを推奨しているわけではありませんので。ちなみに私のアイルランド人の友人には万引きをして裁判所にまで出頭する羽目になったアホタレがいます。


ところで、こっちの卵の賞味期限、ミョーに長いですよね。生食をしなければ卵は1ヶ月くらいのものでも食べられるということに気がつきました。


配達、頼まないほうがいいですよ(えりこさん)。


これは同じ体験をしました。アホタレTescoの配達。玄関先に乱暴に置くものだから、24本あったビールの1本が割れました。で、ジャージ姿の彼のひとこと


「たった1本だからいいよね」


そういう問題か!


苦情の電話を入れると、


Tesco:「配達は委託業者がやってるから私たちの責任じゃないけんね」


だそうです。怒る気力もなくなりました。


Dunnesは(中略)地場企業であることをウリにしている


はい。The difference is we are Irishというのが売りですが、あのキャッチフレーズを聞くたびにアイルランド人でない私は「だから何?」と思ってしまいます。よく、Quality Guaranteed Irish Beefなーんて書いてますけど、私には「アイルランド産」というのは安心のしるしでもなんでもありません。アイルランド人には安心できるしるしになるんですかねえ。


…本題に入る前に長くなりすぎたので、まだ続く。


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2004年08月23日(月) Tesco、嫌いです(その2)

前回の日記でアイルランドのスーパーのおおよそについて書きましたが、今日からが本題。Tescoがいかにどうしようもないスーパーかについて、熱く語らせてもらいます。よろしければおつきあいくださいませ。


最近、一部のTescoが24時間営業を始めました。…と言っても正確には日本のコンビニのように24時間365日開いているわけではありません。土曜日の夜と日曜日の夜は確か午後10時あたりで閉まります。ただし、平日は終夜営業。夜中の3時に、ショッピングカートを引いた親子連れの姿…そんなのを想像するのはほとんど真夏の夜の怪談の世界です。近い将来夜中の3時に潜入してやろうと思っているのですが、「夜は眠い」という当たり前の真理の前に挫折しています。


ともあれ、午後7時まで働かなくてはならないことも多い私にとって、Tescoの終夜営業は便利です。会社の帰りにまだスーパーが開いている。まさにセブンイレブンよろしく「開いてて良かったわ」の世界。ゆえに、Superquiinから浮気して、Tescoに行きはじめたのが間違いの始まり。


話は去年の秋頃にさかのぼります。うちの近所のTesco。今でこそ平日終夜営業してますが、去年の秋頃、終夜営業をしているTescoは限られていて、会社の帰り道にちょっと遠回りして立ち寄れるClearwaterというところにあったTescoに数回行きました。で、以下に述べる事件で完全にキレました。


件のClearwaterのTesco。ありていに言えば、あまりガラのよくない地域に立地してます。客層も、客なんだか、単に光の集まるところにやってきたガなんだかよくわからないジャージ軍団も多数います。ゆえに入口には警備員が数名立ってます(それにしては所在なげに立っている印象は拭えませんが)。


基本的に、あまり多くを買う予定のなかった私は、ショッピングカートではなく、カゴで買い物をしてレジへ。前には若くしてお歳暮のハムのような曲線美を称えたジャージ姿の女性。


で、この地元民とおもわれるジャージ姿の女性、どうやらレジのこれまたお歳暮系ハム姉さんと知り合いらしく、あーだこーだくっちゃべっている。


別にくっちゃべっているのはいいですが(良くないとおもった方はあまりアイルランドに染まっていない方とお見受けしますがどうでしょう)、誰がどう見ても、商品をスキャンしている振りをして実はスキャンしていないんですけど…。で、10点以上のお買い上げ(推定15ユーロ以上)で、


レジ係:「3.12ユーロです」


…んなわけねーだろ!


どうやら店員も共犯といえる万引きがこの店では当たり前に行われているようです。言うまでもないことですが、こういう不正行為は利益の圧縮につながります(ギョーカイ用語で「品減り」と言うようですが)。で、この利益の圧縮は、当然のようにまともな値段を払っている私たちに跳ね返ってくるわけです。


で、「特別な」値引きを受けたハムの次は私の番。当然といえば当然、すべての商品はスキャンされまして、しめて14点で32ユーロなり。ちゃんと払って出てきました。


で、おおよそ25分かけて帰宅。


うちに帰ってきて、買い物袋を見てどうもおかしいと思いはじめた私。レシートをチェックしてみて唖然。


今まで買ったこともないようなチキンウィング(半額じゃなきゃ、見向きもしない)



ポップ:半額!ひとつ1.68ユーロ。
レシート:3.19ユーロ(二つ買ったので3ユーロ余計に払った計算)



で、チキン。



ポップ:二つで5ユーロ。
レシート:3.42ユーロ。(これまた二つ買ったので、1.84ユーロ余計に払った計算)



ヨーグルト(残念ながら証拠写真はありませんが)
ポップ:特価1.69ユーロ
レシート:2.49ユーロ(80セント余計に払った計算)




つまり、本来払うべき値段は25.26ユーロで、それに対し7.24ユーロ余計にこいつらは請求して涼しい顔をしている訳です。おおよそ3割増…なんですよね、別の言い方をすると。


ちなみに、数年前にアイルランドの日刊紙、Irish Independent上で、Tescoたたきが行われました。こんな感じで余計にお客に支払わせていたのがバレて、紙面上でこれでもかというくらい叩かれたわけ。で、その直後は、さすがのくされTescoをして殊勝にも


「万が一、高い値段を請求した場合には、その商品は無料で差し上げます」


なんて掲示をしていたけど、喉元過ぎれば何とやら、はたまた人の噂も75日、この騒動が落ち着くやいなや、目立たぬようにちゃっかりとこの掲示は店から撤去され、で、懲りもせずにこういう不当な値段を涼しい顔して請求してきたわけ。


とにもかくにも、さすがに7ユーロの超過請求、あるいは3割増の不当請求には黙っていられない。Tescoに電話します。


日本だったら、強い口調でヘビークレームにしたら、たぶん店の幹部あたりがすっ飛んできますよね。実際、私も某店に勤めていた頃、客先訪問を何度かしたことがあります。言うまでもなく私はくされTescoの店員が私の家まですっ飛んでくる姿なんて想像してませんよ。ともあれ、電話して、担当者の名前を取って、後日店に行って返金してもらおうと思った次第。ところが…


電話、出やしない。


やむなく、疲れ果てた体に鞭打って、25分の道のりを再びTescoに戻る。


で、ようやくたどり着いたTescoのカスタマーサービス。


ここにいたのは、こういうことを言うのはよくないとは思うが、いかにも頭の悪そうなお姉さん。いかにも面倒くさそうな口調で


店員:「なんか用?」


用があるからここに来たに決まってるだろうが、ボケッ


と言いたくなるのを必死にこらえて事情を説明。すると、マイクを使って、別の店員を呼び出す。で、別の店員が売場までのそのそと歩き(店員時代の私なら走るが)、値段が間違っていることが確認される。


店員:「で、どうしてほしいわけ」


…ここまで来ると、私ももうキレるを通り越して心の底から呆れ果てる。こっちもぶっきらぼうに


私:「返金」


で、結局これらの商品を返品してその分返金をするということになった。信じられないことには、このうちへの往復での小1時間のうちにとけてしまった冷凍食品を当たり前の顔をして売場に戻してましたが。


ご存知かとは思いますが、冷凍食品、一度とけたものを再冷凍するのは御法度です。食中毒の原因になります。これまた私が別の店で店員だった頃、店頭のアイスクリームの冷凍庫が故障して20分ほど冷凍庫の電源が切れるというちょっとした事故に見舞われたことがあります。で、これらのアイスクリーム、とけはじめていただけなのですが、すべて廃棄処分となりました。


私の言いたいことは、もうお分かりと思いますが、一度とけた冷凍食品を売場に戻すなど論外なのです。客の目に見えるところで商品をこういうふうに扱う店、客の目の届かないところでは一体どういう商品の扱いをしているのか想像もつきません。あまりのひどさに呆れ返った私は思わず上で紹介した証拠写真を撮って帰ってきたわけです。


これを読んで、あなたはまだくされTescoで買い物をしたいですか?


ちなみにこの話には後日談がありまして、この一連の出来事、私は正式なクレームとして去年の10月にTescoの本部に送りました。それからかれこれ1年近くが経とうとしていますが、未だに返事は受け取ってません。そう、Tescoは客のクレームにもまともに対応できない会社です。Tescoはくされエアフランスと並びクレームの手紙を完全に無視した数少ない会社の一つです。


敢えて言わせて下さい。


ざけんな。Tesco。月夜ばかりじゃないからな。

で、くされTescoの話はまだ次回に続きます。ともあれ、それでもTescoで買い物をされるという方レシートの確認はお忘れなく。

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2004年08月21日(土) Tesco、嫌いです(その1)

アイルランドのスーパーマーケット。三強は、TescoとDunnes StoreとSuperquiin。それから、以下、Roches StoreだのSupervalueだのが続きます。さらには、ここ数年、LidlだのAldiが台頭してきてます。


…名前だけじゃ分からないでしょうから、もう少し説明します。ネットサーフィンをして、各スーパーの市場占有率を調べようと思ったのですが、なかなか見つからなかったので以下、客観的とは言えない私の主観がかなり入った論評です。


Tesco…90年代後半にそれまであったスーパーのチェーンを買収して殴り込みをかけてきたイギリス発祥のスーパーマーケット。多分市場占有率はたぶんDunnes Storeと同じくらい。最近新たに出店してきたものは、ショッピングセンター併設など大規模なものが多い。


Dunnes Store…コマーシャルのキャッチフレーズは"The difference is we are Irish"(私たちは地場スーパーです)というもので、イギリスからモノを大量に買っているTescoとの違いを際立たせようとしている。Tescoの多くが食品に特化されているのに対し、Dunnes Storeの多くは衣料品や家庭用品も扱っている。


Superquiin…イギリスでいえばSainsburys。若干値段は高いが生鮮食品の鮮度の良さや店員の質の良さに定評がある。


Roches Store・Supervalue…私が正しく理解していれば、Roches Storeは衣料品や食料品を扱っているのに対し、Supervalueは食料品に特化されたスーパーながら元は同じ。地方の町や村で圧倒的な市場占有率を誇る。キャッチフレーズは"Shopping as it should be"(買い物は、こうあるべき)。ちなみに私は"Shopping as it shouldn't be"だと思っている。ありていに言えば、ぱっとしないイナカのスーパー。ただし、鳴り物入りで改装されたダブリンはHenry Streetのoches Storeは例外的。


Lidl・Aldi…急速にシェアを延ばしているドイツ系のスーパー。限られた売場面積でかつ簡素化されたサービスながら、価格ではどこにも引けを取らない。ちなみに、この二つの店、ライバルどうしなのだが、創業者は兄弟の関係だとかいう噂を聞きましたが本当なのでしょうか。


…という感じです。私は一昔前まで、一番近所にあるという理由でTescoを利用してましたが、最近は車で自由に行動できるようになり、安いものが必要なときはLidlに、生鮮食品が必要なときはSuperquiinと使い分けてます。特に、アイルランドに住みはじめたときに比べ金銭的に若干の余裕があるのでSuperquiinで少し余計に払っても良いものを買い、良いサービスを受けたいというのが私の本音。でも、たまにはお金をセーブするためにLidlに行くという。


Superquiinに行ったことがないというアイルランドに在住の皆様。騙されたと思ってSuperquiinに行ってみてください。まず入口にあるベーカリーのいい匂いに誘われて、Tescoではお目にかかれない新鮮な野菜を見、Supervalueには真似のできないチーズなどの品揃えに目を見張り、殺伐としたLidlなどでは見られないレジ係の親切な対応を受け、気持ちよく買い物できます。


他方安いものを求めてたまに行くLidl。ここの生鮮食品の鮮度の悪さは特筆ものです。店で陳列している段階で2割くらいの野菜はすでにしなびているか下手すると腐っているし、売場面積もイナカのスーパー並みだから品揃えも当然悪い。ゆえに、Lidlに行くだけではほしいものが揃わず、他のスーパーにはしごをしなければならないことも多い。二度手間。


なのにこのスーパーの人気が急上昇しているのはとにもかくにも値段。作業効率を上げるために、ダンボール箱のまま商品を陳列できる工夫をしているし、棚が乱れていても、商品が欠品(品切れ)していても気にしない。店員は人件費が安い(と思われる)中国人がほとんど。レジ係を見ると全員中国人ということもしばしば。一部アイルランド人には「Lidlは中国のスーパーである」と思い込んでいる人もいる。


その証拠に、私がLidlに買い物に行くたびに笑えない体験をする。私が買い物に行くのはそのほとんどが会社帰り。で、しがないリーマンの私はいつもスーツを着て買い物に行くわけですが、良く聞かれるんですよ。


客:「あなた、この店のマネージャー?」

…どこの国で、店のマネージャーがショッピングカートを持って店を徘徊してるんだ?


仮にスーツを着てなくても状況は同じ。


客:「ちょっとこれいくら?」


ちなみに一度キレた私はねちっこく


"Ah, can I tell you something? Not all Chinese people in this store are not working here. Moreover, I'm not Chinese.”

お言葉ですが、この店にいるすべての中国人が従業員と思ったら大間違いだよ。ちなみに、私は中国人じゃないけんね)



と言ってしまったこともあります。ちなみに同じ目に遭ったひでかすはゆっくりと、しかりいやみったらしい声で


"I don't know."
(知るか!)



と言ったそうです。店員も店員で


"(&k*6%^l%^"


と中国語で話しかけてきます。どうも「30.21ユーロです」というのを中国語で言ったらしいです。こっちが"I beg your pardon?"(ちなみにこの表現、アイルランド人は使いません)というと慌てて英語で返してきますが。


…話の前提だけですでに長くなりました。本題は次回にて。


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2004年08月16日(月) 次は緊急着陸?トホホSAS事件簿(下)

書いた本人ですら覚えていない前編はこちら(とりあえず先にお読み下さい)。


そう、行きはまさかの引き返し。…帰りは…フツー何も起こらないですよね。行きにそんな事件が起これば。ところが、起こるんだなっ。これが。


まずはハノーバーの空港にて。最近自動チェックイン機の便利さに目覚めた私はSASの自動チェックイン機を探す。何せ、自動チェックイン機など誰も使っていないからカウンターの混雑を横目にスルーできるし、席も選べるし、言うことなし。


だけど、ハノーバーの空港には誰も使っちゃいないルフトハンサのは多数あれどSASの自動チェックイン機はなし。「同じ(スター)アライアンスだから」という単純な理由で試しにルフトハンサのチェックイン機を使ってみると…ををっ、ちゃんと動く。ただし、原因不明ながらコペンハーゲン=ダブリン間の席の選択の余地はなし。推定最後尾と思われる34Aなる席の搭乗券が勝手に出てくる。だからといって席を替えてもらうべく有人のカウンターに行くのもアホらしいと思い放置。


ハノーバー=コペンハーゲンは定刻通りで隣りの席も空いていて、完全にいい感じのフライトでした。特に思うところなしに、たった数日前に一日に4度の離発着を体験したコペンハーゲン着。


ハノーバーからダブリンに行く乗り継ぎ客などいないようで、接続は悪く3時間待ち。電車で15分ほどの市内に行こうかとも思ったが、前日太陽の下にかなり長い時間晒されながら泳いでいたことと、夜はビアガーデンで飲みすぎたこととで頭が痛く(世間では「二日酔い」とも言うようですが)市内に行くことは断念。空港の隠れたQuiet zoneというソファーのある静かなエリアで待つ。


出発時刻の15分前に搭乗ゲートに行くと、もう搭乗を開始している。定刻通りの運行の予感。昼間から出来上がっているアイルランド人の一団が、緑色の帽子をかぶって昼間から雄叫びを上げている。…あいつらの席からできるだけ離れていることを願う。


で、乗ってみると34Aなる席は、やはり最後部。長いMD90というちょっと乗りなれないヒコーキの一番後ろ。翼の上にエンジンがないこのヒコーキのエンジンはまさに私の真横にある。大げさでなく、窓さえなければエンジンに席から手が届く。考えてみるとちょっと怖い感じがする。機内誌には「同サイズのヒコーキの中でいちばん静か」とか自慢げに書いてるけど、要は、ビジネスクラスなどのある前のほうに乗れば静か…というだけの話のような気がする。


で、出発時刻を過ぎてもいっこうに出発する気配のないヒコーキ。出発時刻を10分かそれ以上過ぎた頃、機長が


機長:「約2名のお客さんが行方不明です。少々お待ちください」


きっとアイルランド人が空港のパブで出来上がって登場時間を忘れたに違いない(根拠なき推測)。でさらに10分後


機長:「行方不明のお客さんの荷物を降ろします。降ろし次第の出発となります」


その荷物に爆弾が入っていないとも限らないので、乗れなかったお客の荷物は降ろします。たとえ荷物室の一番奥に入っていようとも。まあ、「自爆テロ」なんていうカミカゼのようなことをやる輩もいる世の中ですが、乗らない人の荷物を降ろすのはまあ妥当な措置ではないかと。ただ、荷物はなかなか見つからず、ヒコーキがゲートを離れたのは、出発予定時刻から40分後のことでした。


…ま、ここまでは割によくある話。これだけなら日記のネタにも何もならない。このあと、まさかの事態に遭遇するわけです。…と言っても「続く」なんて言って引っ張りませんのでご安心ください。


ともあれ、40分遅れてようやくヒコーキはゲートを離れ、誘導路へ。機長が時間を稼ぐためか誘導路でスピードを上げようとすると…やはり手の届くところにあるエンジンがうるさい。そして、ほぼ満席の(満席マイナスさっきのアホの2席)ヒコーキはいよいよ滑走路に達し、いざ離陸しようとしている。


機長がエンジンの回転を上げるとものすごい爆音が私の真横のエンジンから発せられる。


きぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいーーーー


…やっぱりうるさい!こんな席を選んだルフトハンサの自動チェックイン機、今度見かけたら壊す!などと思っていると、さらにエンジンは回転数を上げいよいよ離陸のための滑走を開始する。


いいいいいいいいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃん


機内が突如静かになった。ヒコーキは地面を蹴ったわけではなく、未だに滑走路にタイヤをつけている。そして、静止している。もしかして、私の人生初となる


離陸中止


というやつですか。


機長:「機長です。今日の私たちはどうやら運に見放されています。機材トラブルのため、ゲートに戻ります」


と滑走路を離れるオンボロM90。


だ、脱力。

このあとはだらだらとは書きませんが、ヒコーキは結局2時間30分遅れでダブリンに到着。2度目の離陸のときは気が気じゃなくてトラブルのあった字分析から手の届きそうなエンジンをじっと見てましたね。いやー、(マイレージの特典旅行券で)タダなのにここまで体験させてもらえて感激です。SASさん(ちょっと顔が引きつっている)。


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2004年08月10日(火) リフィー川など埋めてしまえ

この日記、タイトルを読まれている方ってどのくらいいらっしゃるんでしょう。ちなみに、作者はタイトルは書き終わった後にテキトーにつけるのが常ですが、たまにはじめにタイトルありきのときもあります。今日がそうです。


読んでいない方のためにタイトルをもう一度書きます。


「リフィー川など埋めてしまえ」


そう、ダブリンのシンボルともいえるリフィー川。あれを埋めてしまえというのが今日の私の提案です。まったく荒唐無稽とも思える案ですが、それなりの根拠があります。


この案の根拠は、ダブリンの慢性的な交通渋滞解消の解決策になり得るからです。よくわからないと思われますのでもうちょっと突っ込んで説明します。


ダブリンの「南側」「北側」を移動するのには例外なくリフィー川を渡る必要があります。そりゃそうだ。北と南の境界がリフィー川なんだから。で、手許に地図がある方は見てほしい。この、北と南をつなぐ橋が何本あるかと。


数えてみます。以下、車が通れるEastlinkとWestlinkの間の橋です。


Eastlink Bridge(有料)
Talbot Memorial Bridge (南行のみ)
Butt Bridge (北行のみ)
O'Connell Bridge
Grattan Bridge (南行のみ)
O'Donovan Rossa Bridge (北行のみ。北側は直進すると路地裏になる)
Fr. Matthew Bridge(常時大渋滞してるN2とN4の交点)
Mellowes Bridge (南行のみ)
James Joyce Bridge (橋の南詰はT字路=通過のためにはあまり役に立たない)
Rory O'More Bridge (南行のみ)
Frank Sherwin Bridge (北行のみ=ヒューストン駅の脇のN4の橋)
Sarah Bridge(関係ないけどSnigelが抜け道として毎日使う橋)
Chaperizod Bridge (狭小な橋で、特に朝夕は大渋滞)
Westlink Bridge (有料)



つまり、EastlinkとWestlinkの間の10キロ超の間にある橋の数はたったの 14。しかも、一方通行の橋が多く、例えば、北から南へは11。南から北へは10。しかもそのうちの2つは有料。


橋は交通が集中し、交通阻害(いわゆるボトルネック)になる要素のひとつです。で、その橋が100万人超の住む街の南北の境界にたった14しかないんだから、渋滞しないほうが不思議なわけです。さらにはヨーロッパ1の広さを誇るPhoenix Parkがででんと横たわっているから、さらに状況は悪くなります。


しかも、です。このリフィー川の北と南にはダブリンからアイルランドの南部と西部を結ぶ交通の要衝N4がリフィー川の河口のダブリン港からごていねいに走ってます。ゆえに、橋のたもとは必ず大きな交差点になっていて、最悪なことには、信号のサイクルはN4に優先権が与えられています。これで、さらに渋滞が悪化するわけです。


ここまで書けば、おおよそ私の言いたいことは理解してもらえたと思います。そう、リフィー川にかかる橋のたもとで東西方向と南北方向の交通が交差するのがダブリン市内の交通渋滞の根本原因なわけです。


なら、東西方向と南北方向の交通を立体交差で交わらなくしちゃえばいいじゃないか。


…というのが、私がリフィー川など埋めてしまえという根拠なわけです。例えば、パリ。セーヌ側の両側に大通りがありますが、地下を走っていて直接交差しません(ダイアナ妃が衝撃的な交通事故で亡くなったあそこ)。ダブリンも同じようにリフィー川を埋めてN4を地下に通せば交通渋滞が一気に改善されると思われるわけです。


市内を歩いていておかしいと思いませんか?なんで、一国の首都の市中心を大型のトラックが排気ガスを撒き散らしながら通過交通として走ってるんだって。あのトラックとついでに乗用車がいなくなればどんなに市内は安全になるだろうって思いませんか。リフィー川を埋めてしまえば問題は解決に向かうわけです。


実はですね、ご存知の方も多いと思いますが、アイルランド政府も一応同じような危機意識はあるようで、リフィー川を埋める代わりに、この東西方向の通過交通をダブリン港からM1(高速1号線)、M50(高速50号線=ダブリン市の郊外をC字状に結ぶ半環状高速道路)を経由させるべくて、ダブリン港からM1までのおよそ5キロ間に「ダブリン港トンネル」を現在建設中です。


5キロの地下トンネルはまさに国家プロジェクトなのですが、問題はこのトンネル、トラックの通行は無料ですが、乗用車の利用料金は5ユーロ程度になるのではないかという話。…私なら使いませんね。さらには、高さ制限が4.5メートルに設定されており、1割以上のトラックが利用できないとのこと。これらの原因は、その巨額な建設費。建設費の関係で、どうしても利用料を高めに設定せざるをえないわけ(ついでに言うと、トンネルの高さもそうだと思うのが、これはトンネルを掘るシールドの機械がその大きさだからかもしれないのでちょっと自信がない)。


ともあれ、かくしてダブリン港トンネルがダブリン市内の渋滞の特効薬になるかどうかは疑問。それをするくらいなら、リフィー川を埋めて、排気ガス防止のためにフタをつけて(つまりトンネル状にして)道路にして、南北方向の交通に道路の主権を渡せば、ダブリンの交通渋滞はかなり解消されたと思うのですが。しかも、私はその筋の専門家じゃありませんが、リフィー川を埋めるほうが、建設費ははるかに安上がりな気がする。


確かに、リフィー川はどんな気に汚くてもダブリンのシンボルだし、そんなことを企画したら猛反対をされそうな気がします。ただ、ある程度の水を残すとか、緑あふれる遊歩道にするとか工夫によっては何とかなったような気もするんですがねえ。


アホな与太ばなしはこれくらいにして、SASの後編の話は次回です。


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2004年08月06日(金) ドイツ北部最高峰の山the Brocken。その山頂で見たものとは?

Harz National Parkという国立公園がドイツ北部のLower Saxony県(「州」と訳す方が正しいんですか?)にあります。私はかねがね一度行きたいと思っていた。なぜなら、そこには山があり、山の上からの風景は息を呑むような絶景に違いないと思ったから。…それだけです。


バカと煙は高いところが好き…などと馬鹿にされても気にしません。私は「そこに山があるから」登るのです(そう書くとかっこいい)。ただ、なーんの事前情報も得ずに、お気楽に山登りに出かけたわけです。


今回目指すのは、the Brockenというお山。高さ1141メートルって、全然高くないじゃん。…ただそれでも、ドイツ北部としては最高の高さなんだそうな。Mausi(御存知のない方のために注:Snigelの奇特な彼女の名前=仮名)の物知りお父さんによると、このthe Brockenという山、その昔は旧東ドイツに属してたとかで、旧ソ連が建てた、監視用の塔とか訳のわからん遺構があるとのこと。私が知っていたのはこれだけ。


で、高速を飛ばし、ふもとのBad Harzburgから一気に車で山を駆け上り、たどり着いたのはTorfhaus。ここからトレッキングは始まるわけです。Mausi父によれば、「なーに、ものの2時間もあれば着くよ」とのことで、まあ、私としてもお気楽な山登りの感覚だったわけです。ちなみに、山頂には売店もあるとかないとか。




Torfhausに着いてみると、目的地となる、旧ソ連の遺構が見える山は確かに遠いですが、すでに見えてます。しかも、どう見ても「丘」レベルで、難易度の高い山登りにはまったく見えません。うん、確かに2時間あれば余裕で攻略できるわ。


かくして、てくてくと歩き始めたはいいが、私は致命的なミスを犯していることに気がついた。それは、。某私の嫌いなRoches Storeで投げ売りをしていた靴、使わないからとMausi宅に放置しておいて完全に存在すら忘れてました。今回タンスの肥やしから晴れて復活したはいいが、山登りの鉄則「履きなれた靴を履け」というのを全く無視してしまっていた。数歩歩いただけですでに靴擦れの予感。




こんな感じの森の中の小道をじわじわと標高を稼ぎながら進みます。ハイキング感覚としてはもう最高。自然と鼻歌も出てきます(なぜか出てきたのは山本コータローの「岬めぐり」…本当になぜだろうというか、Snigelのトシはいくつだ?)。ただ、慣れない靴を履かされた足はすでに悲鳴を上げてましたが。




途中、こんな感じの「死の森」を抜けます。ここthe Brockenはさっきも書いた通りドイツ北部で最も高い山。この山にぶつかって工場からの排煙だの車からの排気ガスだのそういう汚染物資が酸性雨となって降ってくるわけ。そして森は死んでいきます。


ああ、なんて素晴らしい休日なんだろうと思う。私がこうやって山歩きをしても、地球環境には何らの悪影響を及ぼさない。暑けりゃエアコンをすぐにつけ、ちょっとの外出にも車を使う。こんなんじゃ、環境は悪くなるばかり。たとえ公共交通機関があったとしても歩くくらいの反骨精神があってもいいと思う。




へっぽこ写真で何も伝わってきませんが、ここ、かなりの急坂です。ちなみにこのコンクリートは、冷戦時代に戦車が通れるように設置されたものだそうな。現在は、皮肉にも格好のハイキングルートになってますが。




この急坂を登ると、突然出てくる、線路。聞けば、山頂までこの線路は延びているとのこと。


そんな楽なもんがあるなら、なんでそう最初に言わん!


…って自分で突っ込みますが、さっきの反骨精神うんぬん発言はどこに収めるんですかね。批判とか、偉そうなことを言うのはすごく簡単なんですが、「じゃあお前はどうやねん」と突っ込まれると、たいがい黙るしかないんですよね。


で、線路に沿ってしばらく歩いていると、地響きのような音が背後から聞こえてくる。




ん?これはもしかしてSL


後でひでかすに聞いたところによあると、ここ、the Brockenはけっこう有名なSLに乗れる観光名所らしい。




なるほど。やたらと長編成の客車、デッキまで人があふれてます。


途中でT字路になり、山頂方面は左折。ただ、この左右の道のほうが本線らしく、クルマでも十分行き来できそうな舗装されたきれいな道。舗装の上を歩くと、靴擦れした足がかなり本気で痛い。




ひとり八甲田山を演じつつ、足を引きつつ1100メートル地点を通過。山頂まであと少しだ。事前情報によると、山頂には売店もあるらしい。うまくすれば伴創膏のひとつでも売っているかもしれない。それがあれば少しは楽に歩けるかも。何せ、行ったからには引き返さなければならない。ちなみに、SLに乗ると、麓の全く別の方向に降りるので、乗れない。ゆえに意地でも歩かねばならない。


そして、出発から2時間45分後についに山頂到着。




って別に、息を呑むほどの絶景というわけじゃあないなあ。


それにしてもここはなんですか。あれだけ、自然あふれる森の中を歩いてきたのに、山頂にはなんと、



博物館はあるは、





ホテルはあるは、挙げ句の果てには



ビアガーデンまであるわ。

要は、金に物言わせたブルジョワジーどもが、SLで大挙してやって来て、山頂付近を1周して、それだけじゃ物足りないから、博物館に行き、ついでにビアガーデンでのどを潤すというわけですか。ちなみに「ブルジョワジーども」と侮蔑ともとれるようなひがんだ言い方をするのには理由がありまして、このSLの運賃、ただ山を登るというだけで、片道14ユーロ、往復22ユーロもするのだ。高い。足元見過ぎだよ。これは。


そんなことはともかく、足が痛くてたまらない私は、売店に行き、伴創膏を売っているか尋ねるが、…売ってない。救護室があるからそこに行けと言われるが、…開いてない。自棄になった私は、博物館の入場券売りのオバサンに聞くと、どうやら、私のようなアホタレは他にもいるらしく、缶入りの巨大な伴創膏をタダでくれた(ありがとう)。こうして、楽に歩けるかと思いきや、すでに皮が完全に剥けてしまっており、焼け石に水。結局、足を引きずりつつ、下山。


今日の教訓:登山のときは、履きなれた靴で


常識だと言われそうですが、常識ゆえに、それを外すとえらいことになるというお話でした。というか、すべてを靴のせいにして、自分がオッサン体になりつつあることを隠そうとしているフシもあるような…。


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2004年08月03日(火) 次は緊急着陸?トホホSAS事件簿(上)

掲示板、および、メール、完全放置プレー入ってます。お返事、メールにいたっては1ヶ月経ってます。お返事は必ず書きますが申し訳ない限りです。理由(言い訳):ドイツに行っていたから。


…まあ月に一度のペースで行っているから言い訳にもならないんですけど、いやー今回はネタ的にはおいしかった。


ちょっと、「指さし」の編集者さんが書いた 著者紹介…つまり、Snigel紹介を引用させてもらいましょう。


「彼が通るところにはかならず笑いが湧き起こる、陽気な28歳」


もう29歳になった…とかいうのは置いておいて、ともあれ、私がヒコーキに乗るたびに「かならず笑いが湧き起こる」のです。もう、ネタにするまでもないと思い書いてませんが、前回の結婚式でドイツに行ったときも事件は起こりました。詳しくは書きませんが、ロンドンからハノーバーまでのヒコーキ、最初30分「技術的理由により」遅れました。で、ようやく機長が「お待たせしました離陸します」と言った直後、機長は…


「申しあげづらいのですが、離陸のための書類に不備があり、離陸できないことが分かりました。ただいま会社より書類を取り寄せております」


という意味不明なアナウンス。結局フライトは意味不明に2時間遅れました。


そう、これくらいは日記のネタにするまでもない話なのです(←充分ネタになるような気もするが)。


ここからが本題。


今回、生まれて初めてAward Travelと言うものを使ってみました。そう、マイレージカードのマイレージを使う無料の旅行。「無料」と言っても税金は自己負担なので、4000円程度払いましたが。ともあれ、私が大好きなSASでコペンハーゲン経由でハノーバーに行ったわけ。SAS、いいですよ。特に、コペンハーゲン=ハノーバー間はいわゆるコミューター機(デハビラントQ400>マニア向け)を使ってまして、個人的にはプロペラ機って大好きなんですよ。飛ぶ高度が低いから下界の様子が良く分かるし、プロペラを見てると、「ああ、飛んでるんだなあ」とわくわくするわけです。


ともあれ、ダブリン=コペンハーゲンは定時運行。1時間の待ち合わせの後、コペンハーゲンからハノーバーまでプロペラ機での飛行。これまた定刻通りに運行されまして、しかもヒコーキは乗客20人以下とほとんど空。かくして私は窓からの風景を楽しんでました。すると機長のアナウンス。ただし、この機長、ぼそぼそ話す人で、プロペラからの雑音も手伝ってほとんど聞き取れない。


機長:「………無線…………コペンハーゲン……………」


そう聞き取れたのはこれだけ。なんだか妙なことを言っていた気もするが、とりあえず、気にしない。


ヒコーキは定刻通り、ハノーバーへの最終の着陸体勢に入る。…と思ったら、何かが変。ハノーバーは内陸のはずなのに、なぜか海が見える。きっとハンブルグあたりを飛んでいるんだろう…と自分を無理矢理納得させるが、今度はコペンハーゲンとマルメを結ぶÖresund Bridgeとしか思えない橋か私の視界に入る。で、着陸すると見えるヒコーキはぜーんぶSAS。目に入るロゴもぜーんぶSAS。


あのー、ここってもしかすると出発地のコペンハーゲンじゃあないですか?


そう、1時間飛んだ挙げ句にコペンハーゲンに戻ってきたわけ。引き返しというやつです。この引き返しの理由がまたふるっている。


機長の無線のヘッドフォンが片方聞こえなくなったから。

そう、それだけの理由で引き返したのです。まあこの事実を好意的に捉えると、少しでも安全運行に不安があるなら引き返しも辞さない…というのは非常に正しい選択だと思います。ヒコーキの事故が車に比べてはるかに低いのは、少しでも問題があったら無理をしない…という点に尽きると思う。たかがヘッドフォンされどヘッドフォンというのは本当に正しい選択だと思う。ただねえ、素朴な疑問として、


コペンハーゲンに戻れるならどうしてハノーバーに飛べないのよ?


この理由はまあ明らかなんですよね。コペンハーゲンはSASのハブ空港。つまり、SASの整備士がいる。それに対してハノーバーには整備士がいない。だからコペンハーゲンに戻るというのはとても正しい選択だと思います。


で、コペンハーゲンに着陸して、整備士が乗り込んできて、30分後に再び離陸。日もとっぷりと暮れて、下界に見えたのはハンブルグの花火大会。そう、花火大会を空から見るというこの上ない贅沢な体験をしたわけです。しかも、この辺が私をしてSASの大ファンな理由なのですが、普段コペンハーゲン=ハノーバーでは提供しない酒も提供してくれまして、酒を飲みながら花火大会を鑑賞した訳です。


で、帰りにも事件が起こるのですが、これは次回に続く。


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