馨絵詞〜かおるのえことば
楽しいことも、そうではないことも。

2003年04月19日(土) 後輩への接し方を決定的に変えてくれた一言

いろんな所でいろんな人が新生活を送ってる春。
いかがお過ごしですか。
新生活ではなくても、後輩が入ってきたりして環境は少なからず変わっているはず。
いかがお過ごしですか。

3年前の今ごろ、大学で初めての後輩を迎えた頃を思い出してしまったので書きとめます。

   ◆

後輩ってさ、怖くないですか?
なんか。
なんとなく。
なにも、獲って喰われたりはしないのに。
向こうもこちらを怖がっているに違いないのに。
ねえ。

大学で所属していたべディックで後輩を迎えたとき、そりゃあ嫌でした。
当時のべディックは人が少なくて、他の学内の映画サークルに押され気味でね。
なんとかして1年生の心を放すまいと密かに必死でした。
その必死さを見抜かれるのがすんごく怖かった。
そう、後輩への恐怖の正体って、大抵これです。

   ◆

日芸の所沢校舎でその日も新入生の勧誘活動を終え、西武線の航空公園駅へ向かいます。
1年生を交えた学バス組と2年生のみの自転車組とに分かれて帰ります。
稲葉は自転車組で、1年生と別れて少しほっとした気持ちで、馴染みの同輩と駅へ向けて走っていました。
当時は自転車で通ってたんですね。
学バス代をケチるために。

自転車組の同輩の携帯に、学バス組の同輩から電話がきました。
後輩と盛り上がってしまったので一緒に食事行くけどどう? って。
電話をもらった同輩は快諾。
稲葉は一旦断りました。
おうちが遠いってのもありまして。

したらね、電話の向こうで1年生のひとりが
「ええ〜稲葉さん来ないんですかぁ」って言ったの。
稲葉に直接言った言葉じゃないんですけどね。
なんかね、もう行くしかなくなってました。
それくらい揺り動かされた一言でした。

   ◆

馬鹿だと思われるでしょうねえ。
自分でも思います。
なんて単純なんでしょう、稲葉は。
たぶんあの言葉だって1年生なりに気を使ってくれたに違いないんでしょうけどね。

でも当時の稲葉は純粋に単純に嬉しかったの。
後輩を怖がってたのが、電話の奥のたった一言によって可愛いと思えるようになりました。

あの電話の後、みんなで所沢プロぺ通りの道頓堀(お好み焼き・もんじゃ焼き屋)で仲良くお食事。
接待の感覚を抜きにして接したら、後輩の可愛いこと可愛いこと。

それからも毎年後輩を迎えるわけですが、
怖れのようなものは殆ど持たなくなりました。
そしたら、とても良い後輩が集まってくれました。
残ってくれました。
おかげで大学生活はとてもとても楽しいものになりました。

稲葉の心を絶妙のタイミングで揺さぶってくれた彼女も
今では現役を引退し、後輩を温かく見守る立場になっています。

まあ稲葉のケースは特殊かもしれません。
なんせ本当に単純なヤツだから、自分。
でも稲葉ほど単純でなくても、変わるきっかけはどこかにあるはず。
付き合い方を変えるきっかけを早めに掴み、
接待の感覚抜きにして、普通の先輩と後輩になれたら、楽しい生活が送れます。
そうするのが自分のためであり、また後輩のためでもあると思いますよ。

   ◆

以上、先輩として最初の年の春のおはなしでした。

上に出てくる道頓堀さん、とても良い雰囲気のお店でお薦め度高し。
日芸生ならいちどは行ってみてはどうすか?


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稲葉 馨

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