馨絵詞〜かおるのえことば
楽しいことも、そうではないことも。

2002年05月17日(金) 『のんびり日報』〜母には頭が上がらない

稽古第2週、第6回。

ともき担当/発声・滑舌・あめんぼ多ヴァージョン・ストレッチ・ステップレッスン
稲葉担当/100の質問・役者陣の作、演出によるフリー演技・売り込みスピーチ

   ◆

フリー演技は筋書き、それぞれのキャラ、オチなど10分間ですべて役者に相談させてやらせた。

これまでの稽古を通して稲葉が想定していた各役者の感情の最高ラインを皆、超えてきてくれた。
演出家としていちばん嬉しい瞬間だ。
多少の間延びはあったものの充分に観られるものを持ってきたくれた。
いや、これは予想以上であった。
けっこう。

売り込みスピーチでは平居殿のパワーに賛辞を述べる。

   ◆

これまでこの日記が『会長音頭』を名乗っていた頃から、毎日のタイトルの頭には稲葉の2字が付いていた。
日記をつけ始めて10カ月目にして稲葉の2字を取った。
どーでもいいことかもしれんが、稲葉にはけっこうな決断。
……ほんと、どーでもいいね。

   ◆

母が祖母を連れて韓国に旅行に行っている。
別にワールドカップは何の関わりもない。
約1週間、稲葉家は母なしで毎日を過ごすことになった。
父と弟は多少は料理もできるし掃除などもするので問題はない。

問題はないが、やはり母親がいない家というのは実に心許ない。
母は偉大なのだとあらためて思い知らされる。

のんびり企画の中にあって母親を務めているのは舞台監督のともき殿である。

彼女は稲葉を父と言ってくる。
ま、普段はそれでいいのだが、芝居企画になると彼女は娘から母に化ける。
知っている人は知っていることだが、実は稲葉は妻なくしては下着の場所も判らないような、完全なダメ親父なのである。

今回、裏方から事務に関すること、スケジュール管理までの一切はともき殿にすべて委任している。
舞台監督だから当然ではあるのだが、それにしても演出として肩身の狭いほどに稲葉は何もしていない。
台本を書き上げるまで頭が回らない…こんな言い訳は、言っちゃったが言っちゃいけない。

稲葉が稽古場で好き勝手言っていられるのは、偉大な母あってのことなのだ。
すくなくともそれは自覚している。
それに気付かないほど、まだ稲葉はダメになりきってはいない……つもり…だが。

とにかくも、稲葉は本当に彼女に救われている。
稲葉の立てた企画に、稲葉以上に時間と心を割いてくれている。
言葉にならないほどありがたい。

昨日、彼女にチケット用の稲葉と役者の顔写真を撮ってもらった。
そのあと集合写真のようなものも撮ったが、なぜ、一言「お前も入れ」を言ってやれなかったのかと激しく悔いている。

ああ、こんな稲葉だが、今後も見捨てずに支えてやってほしい。
必ず芝居を通して報いて見せるから。
それだけは約束するから。

にしても、会長やってたときは物井殿、企画長のときはともき殿。
稲葉は秘書や妻がいないと何もできない真性の甘えん坊である。

ところで最近、稲葉が注目をしているのが母・ともきの長女である由梨殿だ。
新歓プロをやっていた頃から、実はすごい子なんじゃないだろうか…と思うようになった。
芝居の方でも制作として、その潜在能力、というか熱さをひしひしと感じずにはいられない。

教室の舞台上に役者がいて、その前に稲葉がいる。
稲葉の後ろにはともき殿や由梨殿、さらに千里殿はじめ素晴らしい裏方衆が控えている。
彼らが後ろにいれば、稲葉はとても頑張れる。
すくなくとも稲葉は、裏方衆と役者衆の間にあれば、ダメ親父でなくいられるのである。

   ◆

次回、日曜日の稽古ではいよいよ「板上孤軍(1人芝居)」の本番である。
役者衆はいつも以上に気合いを入れて臨んでほしい。

本番まであと49日。


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稲葉 馨

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