| 2002年01月30日(水) |
吉田司「誰も書かないから、僕が書くしかない」 |
吉田司「誰も書かないから、僕が書くしかない」と鈴木英治「飢狼の剣」のつづき。 前者は「編集者の学校」の第30講である。わずか6ページほどの文章の中に胸をうつものが詰まっている。「差別と対決するには、涙の悲劇だけでは決定的に足りない。どす黒いファルス、つまり最高の喜劇を書く以外、他に手だてはないのではないでしょうか。」(329ページ)という結びの言葉まで見事な日本批評になっている。 どんな立場になっても自分の権利を守るためには戦い・行動が不可欠であることも改めて指摘されたような気がする。 吉田司という作家は人に勇気を与える文章を書く、あるいは述べる。 この「編集者の学校」は一人一人の割り当てが少ない。だから小説で言うところのショート・ショートを読むように退屈せずにどんどん読破することができる。短い中に核心をついた文章や言葉が誠実に込められ、実に面白い一種のエッセイ集になっている。 「飢狼の剣」は50ページまで進んだ。三人称の文章の中に主人公の独白や心情が融け込む形の文章が自然で読みやすい。
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