| 2001年12月22日(土) |
「黄金」読了。語り手の観察力や洞察力に基づく |
「黄金」読了。語り手の観察力や洞察力に基づく一見謙虚に見える痛烈な言葉が魅力である。犯人を罠にかける点では独創性はないが、犯人の動機や過去への遡及性で「驚き」を用意している点で創造的な物語である。 競馬シリーズの最上の部類に入る読みごたえのある作品だった。最近遠ざかっていたことを反省した。 ディック・フランシス(訳=菊池光)「黄金 HOT MONEY」(ハヤカワ・ミステリ文庫1993.10) 今月も世間よりも1週間ほど遅れて書店から届いた「本の雑誌2002.1」(本の雑誌が選ぶ2001年度ベスト10)をまた拾い読み。 ベスト10の中で読んだのは「25時」一冊。この作品を高く評価している北上次郎の「このラストのどこがいけないのか」(80ページ)が注目。結末が夢想なのか現実なのかどちらにしても眠たい頭を醒ますほどインパクトのあるものだった。どちらでもいいのかもしれないが、題名が「自由な時間」を象徴するならあれはさりげなく「現実」ととって主人公の「自由」な「その後」をめでて豊かな気分になる道もある。
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