とうとう、この日が来る。 今日は、歌謡ショウの千秋楽だ。 朝、急用で呼び出されて、いきなり予定が狂う。 ったく、後30分遅かったら行かなかったぞ。 雨の中、開場くらいに、劇場近くに着く。 9日の間で、7日も通った劇場だ。
祭りというものは、始まるまでが一番ワクワクするものなのだと思う。 文字通り指折り数えてみたり、それがあるから何かを頑張れる。 何かを作ろうって気も起きる。 馬鹿馬鹿しいことをやってみたりする。でも、本人は本気だ。 そうして、祭りが来るのを、もっと楽しみにするのだ。 時は過ぎていく。 遠かった出来事は、目前に迫っている。
祭りは、始まってしまえば、まるで日常に感じる。 楽しいのは確かだ。毎日、楽しんだ。 でも渦中にいると、その実感が、湧いてこない。 時は、過ぎていく。 実感が湧かない自分に、少し呆れる。
祭りはクライマックスをむかえる。 その直前は、どんなことがあっても、どう平静でいようとしても、 何故か鼓動が速まるのを、抑えられない。 千秋楽は、特別だ。きっと、普通の人は入れない空間。 だからこそ、笑えるところがある。 そんなことが、あってもいいじゃないか。 だから、この空気を今、思う存分楽しむんだ。 時は過ぎていく。 もう、頭の中に入ってるシナリオも残り少なくなってくる。
そして、祭りは終わる。 言葉では、言い表せないことがたくさんたくさんある。
歌謡ショウが終わったら、たくさんひとりごちようと思ってた。 たくさん笑った。感動した。 そして、劇中劇のラストのマリアとさくらは、 どんな絵よりも、美しかった。 今、祭りが終わったら言おうとしていた言葉は、効力を失う。 ただ、千秋楽は特別なのだと、その想いだけが残っている。
終わりよければ全て良しという。 良かったんだろう。 色々なコトが。 そう、その前に何を葛藤しようと全てもう、どうでもいいこと。
祭りは終わった。 場の空気に感動して、劇場で涙を流したのは、もしかしたら 初めてだったのかもしれない。 それほど、あの空間は異様だった。 そうとしか表現できない。 それほど2200人の気持ちが、「どこか」で微妙に繋がっていた。
言いたい事は、たくさんあった。 でも、残った言葉は、たった一言。 至極平凡な言葉。 「ありがとう」と。
自分にとっての、胸が高鳴るその空間。 自分が好きだから、だから、良い。 劇中劇、海神別荘の公子の言葉を借りれば 人は自己、自分で満足すればいいのだから。 そこには愛する者がいれば、いい、と。 願わくばまたあの空間を、感じたいと思う。
いやァ、それにしても、今日最前列。ど真ん中近く。 って、なんでステージにカメラが(^^;; アレがDVDに使われてたら、映るぞ、オイ(==)
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