| 2003年09月13日(土) |
熱射病のニュースを読んで |
今日は土曜日恒例となっている男子ラクロスの面倒を 朝からみました。やっぱりあまり好きになれません。
さて今日はこの日記で恐らく初めてトレーナーらしい 話を。昨日インターネット上で少し気になる記事を 読みました。以下抜粋(クリック) 。
>愛媛県立今治工業高校レスリング部の2年生男子生徒(17)が、 >練習中に意識を失い、搬送先の病院で熱射病で死亡したことが13日、 >分かった。 >同校によると、レスリング部は10日午後4時ごろ、練習を開始。 >午後7時ごろ、終了前の整理運動を始める際、足元がふらついていた >男子生徒に顧問の教諭が気付き、水を飲ませたが男子生徒は吐き出し >て意識を失った。生徒は病院に運ばれたが高熱が下がらず、11日 >未明に熱射病による臓器不全で死亡した。 >教諭は練習中、部員に随時水分補給させており、生徒は練習前の授業 >でも異常なかったという。松山地方気象台によると、10日の今治市 >の最高気温は27.1度だった。
大きな問題は水を飲ませたこと。熱射病の症状と対処の仕方を 知っていればこんなことはしない。水分補給をして休ませるの が重要なのは熱疲労(Heat exhaustion)で、この生徒の場合は 間違いなく熱射病(Heat Stroke)で、重要なのは水分補給では なく体温を下げること。つまり服を脱がせ、氷や氷タオルなど でひたすら体温を下げながら、とにかく一番早い方法(救急車 もしくは誰かの車)で病院につれていくことであった。熱疲労 は多くの場合緊急でないが、熱射病は1秒を争う緊急(medical emergency)だ。
熱疲労、熱射病と言葉はややこしく、一見起こりうる状況は似て いるが症状はきちんと理解していれば全然違う。
熱疲労の場合は体温が上昇しても39度以下だが、熱射病は39度 以上になる。また前者の場合、顔を見ると大量に汗をかき蒼白の はずだが、後者は体温調整が出来ないため汗がかけずにほてって いるはず。また脈はどちらも早くなりうるが、その強度は前者 が普段と同じか幾分弱くなるのに対し、後者は力強いものとなる。
あえて強引にまとめると、この教諭は残念ながらこれらを理解 していないことになる。日本で部活の教員が生徒の健康について どれほど責任を負うかはわからないが、アメリカの基準でいえ ばこの教諭は十分に訴えられるだけの過失がある。
また記事もおかしい。記者も熱射病と熱疲労の区別がついて いないんだと思う。最初に熱射病の内容を書いておきながら、 最後の段落では熱疲労に関する生徒、そして周りの環境のこと を書いている。
そもそも外気温は参考にならず、室内でどういう状況で練習し (気温と湿度、きっと体育館かどこかで締め切りでやったで あろう。)、きちんと汗を拭いたり、服をこまめに着替えたり したかどうかが問題だ。何故なら汗をかいた後に、その汗が蒸発 もしくは皮膚から離れて体温調整できるのであって、ただ汗を かいただけでは状況は変わらない。さらにつっこめば熱疲労の 場合練習前の状況(食事、体調)が重要な要因だが、熱射病の 場合、そもそも何の前触れもなく起こりうるものなのだ。
日本の状況を知っているので、これだけで日本にもきちんと した教育を受けたアスレティックトレーナーの導入を、とは いわないけど、せめて部活の顧問になる人には最低限赤十字など の救急蘇生法の資格をとらせるべきであろう。(アメリカで はコーチはみなこの資格をとって維持する義務がある。)
久しぶりにまじめな内容で書きました。はぁ、疲れた。
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