風の行方...深真珠

 

 

約1年ぶりの再会 - 2001年08月25日(土)

去年の夏、僕はまた一つ大人になれた気がした。
SEXという行為を覚えたからだ。
彼女はとても落ち着いていて、僕のことはなんでもわかってしまっているような雰囲気で・・・。
「落ち着いてるね」と言われる僕でさえ幼稚に見えるような感じようで、
なんとなく恥ずかしかったりして・・・。
あのとき、僕が苦しんでいたことを全部吐き出したときに、
何も言わずにただ、ただ僕を抱きしめてくれて・・・それがあの時の僕にはとても幸せだった。
居心地が良すぎて僕がちょっとだけときめいてしまったので、
彼女は僕を一旦自分から引き離した。
僕は恋をしていた訳ではない。憧れていた。
知識も豊富で話し方も丁寧だったし聞き上手で・・・
こんな人間になりたいな。なんて彼女が聞いたら嫌な顔しそうだけど。
先月、いきなり電話があって会う予定だったのだけど、
その後連絡がなくて・・・ちょっと子供みたいに陽気にはしゃいでみたりしたんだけどな。
もう会うこともないだろう。と、僕はこの記憶を深いところに大切にしまいこんでいた。

町中で偶然会った彼女はちょっと雰囲気が違った。
彼の前ではこうなんだ。とちょっと思ったけど、
僕はなにか腫れ物でも触るような思いに囚われて、急に汗が噴き出してきた。
心臓の鼓動が早くなってその場にいることが苦痛になった。
周りで鳴っていた路上ライブの音は聞こえないし、指を動かすことも辛くなった。
僕だけその場からちょっと距離をとって、壁に寄りかかっていた。
気づいたとき、彼女たちはこっち向かって手を振っていた。
最後に彼女はちゃんと僕を見て手を振った。
僕はなんだか照れくさくてちょっとだけ手を挙げてみたが、
その笑顔に対して無表情では失礼だろうと思い
ちょっとだけにやっとしてみたが、それは目線がすでにそれた時だった。
やっちゃった・・・僕はそう思った。
彼女はやっぱり大人だ。
人間としての出来が違う。なんかそう思った。
そんなこと考えてるうちに彼女は人混みに消えていった。

彼女とは2度と話せなくても、ずっと僕は覚えているだろう。
たった数回しか会っていないけど、死ぬまで忘れないだろう。
彼女はそれだけのものを僕に残した。




...




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