DAY BY DAY
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2002年01月17日(木) 忘れたくないこと


1月17日の朝・・・
地球は身体がくすぐったくて、ちょっと動いた。
ほんとは「んんん〜」ってのびをしたかったんだけどね。
それをしちゃ大変なことになるから、ずっと我慢してたんだ・・・


1月17日の朝・・・
地球はいきているんだなぁ〜 私達はそんなところにちょっこと住まわせてもらっていたんだ ・・・なんてつくづく思った。誰のものでもないこの地球の上に 草も花も木も動物たちも魚も昆虫も、そして私達人間もね・・・


1月17日の朝・・・
まだ真っ暗な家の外にそろそろと出てきた人はみんな静か。
「ゆれたね?」「じしんやんね?」「どうなん?」
「だいじょうぶやった?」「こわかったね〜」
ぼそぼそと、少し惚けたようにゆっくりとした話し声・・・
暗闇がその声を吸い取ってるみたい・・・
「あっ火事!」
「消防車は?」
「電話が通じへんみたい・・・」
「・・・・・」


「新幹線の線路が落ちたらしいで」 「あそこも、ここの道もとおられへんわ」 「高速道路も、線路もみんなずたずたらしいで」 「○○地区はガス漏れで避難勧告やて」 「ビルが倒れてるし家も壊れてる・・・」 夜が明けるにつれ、人づてにいろんなうわさ話がささやかれる、 世界がひっくり返っていたのが少しずつ見えてきた、 昨日までの世界は、もうそこにはなかった。

◇◆◇


1月17日の朝・・・
「大切なものはない?」そう玄関で夫に声をかけられて、家の中を見渡した。 非難のための寝袋とあたたかいジャケット、わずかな食べ物、少しだけのお金、 それから、え〜っと、え〜っと・・・・・・?
必要なものとそうでないものは確かにあるけれど・・・

今まで描いてきた絵?
預金通帳?
え〜っと?
大切なもの・・・・・?

そして気がついた。
『大切なものはこの家の中には何もない・・・・・』
ぐるりと、がらくたでいっぱいの家を見渡し、「なんもない〜」 そう言って、「大切なもの」達が心配そうにして待っている方へ急いだ。 大切なものに命があること それだけで私にはじゅうぶん
それ以上の幸せがあるんだろうか

◇◆◇


1月17日の朝・・・
あの日から7年がたった。
この日をいつか忘れる日がくるんだろうか? 忘れたいような気がするけれど、忘れてはいけないような気もする。 私は幸いにも家族も友人も家も何も失わなかったけれど、 それでもあの日の記憶は鮮明だ、思い出すと息が詰まる。 今でも久しぶりに友人にあったりすると、 「あの時はどうしてたん?」という話から始まる。 普通に過ごしているけれど、みんなどこかであの日が基準になっている。 そして、まだまだ沢山ある雑草だらけの空き地を目にする度思い出す。

そうして、いちばん忘れたくないこと、
「ほんとに大切なものはそんなに多くない」ということ。



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