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2006年04月16日(日)  気どった声で
歯も磨いたし、目覚ましもセットしたので、本を少し読んで寝ようかと、ふとつけっぱなしだったテレビのチャンネルを変えてみたら、ベルリンフィルが、ラベルの名曲「ボレロ」を演奏していた。
どこかの野外ホールで、ステージの後ろには夕焼けが見えていた。
観客たちは思い思いに芝生に座り、寝そべっているもの恋人と肩を組んでいるもの、子供と話しながら聴いている者と、それぞれ自由に楽しんでいた。
とてもカジュアルなコンサートのようだ。観客の手に持った花火が、夜の闇へ変化していく会場に星が光るように見えている。

単純な旋律だからこそ、どこか複雑そうな、シンプルだからこそ難解そうな、そんな音楽だと思う。

それを聴きながら、恋人のことを私は考える。
もう最近は、考えすぎるほど考えて、ほとほと疲れ果ててきているかもしれない。
決壊したダムから大量の水が溢れてきて、私たちは飲まれないように必死にもがいている、そんな気分だ。
では、ダムが決壊したのは何が原因なのか。
それは、いろんなことの積み重ねだろう。
これは悪いことだけが積み重ねった結果じゃない。良いことも良くないこともすべて積み重なったもので、ダムが決壊しようとダムが干からびようと、人と人が長く付き合っていれば、たまにトラブルが起こることもあるだろう。

考え続けても仕方がないので、恋人に電話をかけた。

テレビの中ではボレロがクライマックスを向かえ、演奏が終わると観客たちは一斉に立ち上がり拍手をしている。指笛がどこかで鳴っている。素敵な演奏会だ。

電話の向こうの恋人は、どこか騒がしいところにいるようで、少しお酒を飲んでいるようだった。「最近僕らは、デートというものをしていないね」と、恋人がどこか気取った声で言い、じゃあどこかへ行きましょう、と言うと「任せろ」と言った。

幸せになりたい。そして誰かを幸せにしたい。
その思いは単純な思いのようで、実のところとても難しいことなのかもしれない。
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