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2005年07月24日(日)  そぞろ歩く人々
東京で地震が起こったと聞いたのは、地震が起こってから1時間後、
大阪にあるカフェの店内から流れるラジオからだった。

一瞬、ドキッとしてそのあと、心臓がバクバク鳴った。
その日は、ちょうど出張で大阪に来ていた。次のアポイントまで少し時間があったので、お茶を飲みながら時間を潰していたのだ。
ラジオの音はなかなか聞き取りづらく、新幹線が止まったとか、JR線は全線止まったとか、そういうことしかわからず、携帯を見たらたくさんメールが来ていて、送信者の名前を確認したけど、恋人の名前はなく、電話をかけてみたけど、呼び出し音が鳴るばかりで恋人は電話に出ない。
携帯でニュースサイトにアクセスしたら、震度5だとわかっただけで、震度5というものが一体どれくらい破壊力があって、一体どれくらいの被害を出すのか、私には全く知識がない。

恋人は建物の下敷きになってやしないだろうか。

メールに全部目を通してみると、「東京で地震があったみたいだけど、大丈夫?」と私の安否を気遣って地元の友だちがメールをくれていた。だけど、返信をする気分にもならず、私は一生懸命ラジオに耳を澄まして、携帯電話を何度も開いては確かめた。

18時からのアポイントで、お客さんに「東京では地震があったみたいだね」と言われ、「そうみたいですね」と答えたら「あんたは、大阪に来ていて助かったね」と笑われた。


少しでも早く東京に戻りたかったけど、明日も仕事があって今日はホテルに帰られなければならない。

ホテルに帰ってテレビをつけたら、25時間テレビなんぞをやっているので、「ああ、大丈夫なんだ」と思えた。ニュース番組でも東京の地震はそれほど大きく取り上げられておらず、ただただ、JR・私鉄・地下鉄が運行を停止しているとしかアナウンサーは話さない。

21時近くになって、やっと恋人から電話がかかってきた。
揺れは大きかったけど、大丈夫だよ、と言った。
駅には電車に乗れない乗客で溢れていて、駅の中にさえ入れないから、今日は歩いて帰るんだとも言った。

やはり、東京で地震が起こったら、人々は歩くことを免れないだろう。
道一杯に家に向かって歩く人々のうしろ姿が見えるような気がした。
私が、「気をつけて」と言ったら、「もう新幹線は動いているらしいから、明日はちゃんと帰って来るんだよ」と恋人は言った。


恋人は、どれくらいの時間をかけて、家にたどり着けるのだろう。
一体、どれくらいの人々が歩いて帰ろうと決心したのだろう。
そして、その人の群れは、一体どんな様だったのだろう。
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