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2005年07月22日(金)  沈黙のような会話
どないやの? 私の体は。

と、私は主治医に聞いた。
久々に病院に行く。
まる二ヶ月ぶりである。
忙しいからと病院に行くことを遠ざけていたけれど、「まぁそう言わず、遊びにおいでよ。仕事ばかりじゃ気詰まりでしょう」と主治医は言った。
仕事100%だと、それは気詰まりだ。気分転換に行ってみるかと久々に病院へ行ってみる。

相変わらず、休日の病院のロビーは人っ子ひとりおらず、気味が悪い。
どこかでセミが鳴いているのが聞こえる。

毎日、何してるの?
と、主治医は私の体を調べながら聞く。
毎日、仕事してる
と、私は答える。
「そんなに仕事が面白いのか」と聞かれて、私は「まあね」と答えた。

病院に纏わる何もかもが、時計の針がまったく進んでないような風景だと思った。
主治医も、看護士も、そこにある処置台も、主治医の履くスリッパも、そこに放ってある主治医のボールペンも、病院に来る途中に無意識にバスの中から覗いてしまうあのケーキ屋さえも、何もかもが何も変わっていないかのようだった。
変わらない、ということは、時に辛くなるし、時に嬉しくなる。
けれど、私が見えないところでいろいろなことは、実は少しずつ形を変えて変化しているものなのだ。だけど、私に染み入る部分は、少しも変わることがなく、だから今回はそれがとても辛いことのように思えた。

正体の知れない黒いものが、大きな渦を巻いて不安を煽っているような気がする。


私たちの会話は続いていくけれど、それは何かを紛らわせているだけに過ぎない。
それは沈黙と同等の会話なのだ。
私はそんな時間を早く終えてしまいたかった。
どないやの? 私の体は。
と、私は主治医に聞いた。
ぼちぼちやなぁ
と、主治医は言った。
その笑った彼の口元から真っ白な歯が見えた。
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