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2004年07月13日(火)  こんにちヘルペス
こんばんは。口唇ヘルペスです。左口角ヘルペスです。
生理前・風邪・疲れ・ストレスという4つがちょうど重なったため、ヘルペスです。
こんばんヘルペス。

そうだね、ヘルペスとの出会いは物心ついたころだったかしら。気づいたら常にヘルペスは私の側に寄り添っていてくれました。ふと気づくと、唇の端が痛む。「お母さん、唇、切れそうだよ」と言うと、母が「またヘルペス?!」とよく言っていたものです。
ヘルペスは、突然私の目の前に現れて、私を喜ばせてくれるかと思うと、あっという間にその姿を隠してしまう。淋しいやら悲しいやら。でも、またいつしか口角にむくむくと気泡が出来てまた私に会いにきてくれる。ヘルペスは、兄弟もおらず一人っ子として育った私にとって、「心の友・いつも側にいてくれる大切な友だち」でした。
幼い頃の私は、ヘルペスがちょこんと私の唇の端に現れてくれるたびに、友だちに自慢したものです。「ねぇ! 見て見て! かっこいいでしょうー! 殴られて怪我した人みたいでかっこいいでしょー!」なんて、殴られて唇の端が切れた男の人へのちょっとした憧れもあり、ヘルペスが出来るたびに友だちに自慢していました。でも、やはり現実世界にいる友人たちにはそのカッコよさが伝わらず、むしろ「えー、あいちゃん、気持ち悪いよそれ。」という言葉に、よく傷つけられたものです。
ヘルペスは、私にとって「ワイルド」若しくは、「一匹狼」という代名詞そのものなわけです。
一言でいって、「ヘルペスカッコイイ」。ケンカをして傷ついた男っていうイメージが私の心をくすぐるわけです。

「あ、あいさん、唇のところ、吹き出物できてるよ」
会社で、新人くんが私の顔を指差して言いました。
クス。この子は「ヘルペス」も知らないのかしら。やっぱり青二才ね。
「これ、“ヘルペス”って言うんだよ。知らないの?中学から出直してきなさい」
「……」
勝ったね!ヘルペスも知らない奴とは口きいてやんないよ。
「中学で、“ヘルペス”なんて習うんですか……」
「知らないけど。でも一般常識だよ?ヘルペスって」
「単に、あいさんが不規則な生活をしている表れなんじゃないですか……?」
ファーック!
いま、ヘルペスを馬鹿にしたね。いま、馬鹿にしたよね。私を馬鹿にしてもいいけど、ヘルペス馬鹿にするやつは死刑! キミは即刻死刑です。
「……なんなんですか。ヘルペスヘルペスって……」
新人くんも、一週間連続、終電で帰るくらい仕事をしたらヘルペスのカッコ良さがわかるようになるんだけどねぇ。惜しいねぇ、キミは本当に惜しい生き方をしているよ。先輩として、キミの将来が心配です。

「ほら、これ飲みな」
恋人が薬を持って帰ってきました。なにこれ。
「抗生物質だよ。すぐに効くから、これ飲んで早く寝なさい」
なに? なにに効くの?
「その口の横に出来ている、不規則で怠惰な生活をした証、“ヘルペス”に効くんだよ」
なんで、飲まなきゃいけないんですか。なんで、治さなきゃいけないんですか。
一年に一度、会えるかどうかもわからないヘルペスを、どうして抗生物質で殺さなきゃいけないんですか。私はナチュラル志向なので自然に流れる時間に任せたいと思うのですが。ヘルペスとの再会を楽しみたいのですが。
「僕は、あなたが鏡を何度ものぞきこんで、ソレを満足そうに眺めるその姿に我慢できません。」
なんと言われようと私は飲みません。断固として飲みません。


だって、ヘルペスカッコいいじゃん。
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