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2004年06月25日(金)  傘
街灯の少ない道を、私たちは傘をさして歩く。
夜の雨は冷たくて静かだ。
濡れてさらに黒くなったアスファルトの上を二人分の足音がコツコツ響いている。
角を曲がったら坂道をのぼる。坂の上を白い街灯が照らしている。

傘は一本しかない。彼の傘しかない。紺色の傘が私の腕に映っている。
彼の右肩に雨が落ちる。
私の靴先は水を跳ねて、歩く先に雫を落としている。
彼の右肩が濡れている。
雨の音は木の葉が揺れる音に似ている。
彼の右肩のシャツが肌に吸い付いている。
私の体は広い紺色の傘に守られている。

私の首筋に彼の唇を感じる。
彼の肩に手をやるとしっとりとそれは濡れていた。

セックスについて考える。
男と女について考える。
彼の右肩について考える。

私は首筋に唇を押し当てられることに慣れているし、
女であることを期待される。
相々傘に守られることに慣れているし、
私の肩が濡れることのないことを知っている。

しんと静まりかえった暗い部屋の中で、彼の右肩を噛んでみる。
湿った雨の匂いと木の葉の揺れる音がした。
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